キリのいい数字の5。5話目です。それではどうぞ!
鼻を啜ってしまいがちになる寒さが気にならない、青々と晴れ渡った良好な空模様が広がっている。快晴である。
「くくっ……」
小声で笑い出してしまうくらいには機嫌が良い。恥ずかしかったといえばそうだが、朝あの人と見つめ合ったことが無性に嬉しかったのだ。あああ……ますます心が躍ってきた。今なら、たとえ大衆が歩く街並みで堂々とスキップしようが平気かもしれない。
おっ、もうそろそろ会社に着くな。腕時計も別のものに変えてきたぞ、今度は取り越し苦労なんてヘマは絶対にしない。昨日までの俺とは違うぜ! 社内に入り、階段を上がって仕事場へ到着!
「おはようございます!」
元気な声で入り、自分の机へ。今日はガンガン仕事できる気がする。
「おはよう絢瀬さんっ!」
「おはよう、戸宮君。元気っていうか、なんだか楽しそうね」
「ええ、まあ…」
ただでさえテンションが高いのに美女と話せたらそりゃさらにテンションアップですよ。そろそろ本気でルンルンしそうだ。
「ふーん」
絢瀬さんは言及せず、時間になると仕事を始めた。テンションMAXに近い今の自分であれば、聞かれたら勢いで全て話していたであろうな。さ、俺も油を売らずに仕事仕事~。
~□■□■~
昼休みになった。ガンガン仕事できる気がするとか言ったな……確かにガンガン仕事できたさ、午前はね。集中し過ぎたから疲れが祟ってきた。午後はきっとしんどい。ごめんなさい皆さん、俺帰りたい、超帰りたい。
昼は皆がそれぞれ別行動。愛妻弁当を美味しそうに頬張っている上司、外へ何か食べに行く人及び買いに行く人。机に突っ伏してる人などなど。
俺は机に突っ伏してる人――ではなく、コンビニで買ったスイーツを堪能し、水を飲みほして一服した後、机に向かって回復を図っている人だ……同じようなものじゃないか。
因みに絢瀬さんは昼食を食べ終わって以降、一足早く仕事に取り掛かっていた。さすが絢瀬さんである。同じ同期とは思えないほど有能だな、すぐ出世するんじゃないかこの人。むう……彼女には弱点がないのだろうか。完璧に見えてどっか抜けてるところとかがあったら面白そうなのだけど。
昼休みもあと数分で終わりだ、そろそろ仕事を再開しようか。と考えた矢先、その絢瀬さんが手を止めてこちらを向いた。
「戸宮君」
「何です?」
「明日、買い物に付き合ってくれない?」
「いーよ。俺でよければ……は?」
聞き間違いでなければ。幻聴でなければ。絢瀬さんは「明日ちょっと買い物に付き合って」と言ったのか?
「ダメ、だった?」
「い、いえ。そうではなくてですね」
女の子と二人きりで出掛けたこともない俺にはハードルが高すぎるよ。よりによって貴女のような麗しい女性とだなんて……ねぇ?
「わかったぞこれは夢か!いたっっ!!」
やけくそに叫んだ途端、顔の両サイドに痛覚が。あっ、絢瀬さんがギューっとほっぺを思い切りつねってい……いたたっ、痛い痛い痛い!
「夢じゃないでしょう?」
絢瀬さんはいたずらに微笑んだ。たまらない。これから将来絢瀬さんはこうやって一体何人の男を虜にしていくのだろう。……俺がMですって? 一理ない。
「夢じゃない! 夢じゃないです!! わかったから離して痛い!!!」
「よろしい」
やっと解放してくれた。ほっぺが長い間つねられたため痛みの余韻が残っていた。ほっぺが泣いちゃうぜベイベー。
現実であるのは理解した。しかし疑問は残る。
「女友達は? わざわざ俺じゃなくても」
「それがね、全員空いてなくって。一人で買いに行くのもなんだし」
そういうことか。なるほど納得だ。明日はおそらく、というか絶対に暇だ。独り身のインドア人間ですから。できれば家でGoro!Goro!!したいが、誘ってくれたのだ、断る理由はない。
「わかった、同行させてもらうよ。どこで集まるの?」
「そうね……」
「お互いどのあたりに住んでるか知らないし、この会社の前で待ち合わせするのはどうかしら?」
「了解。それがいいと思う」
「うん!じゃあそういうことで」
いやちょっと待て、すごいことになってしまったぞ。まさかこの人とこんな俺が出掛けることになろうとは。
うーん、ハードルは高いけど気楽に行く……か? 考え過ぎてもろくなことはない。昨日みたいにボロがでるに決まっている。
……昼休みの時間もちょうど終わったな。お仕事後半戦も、しまっていきますか。
後書きを書き始めて気付いた、ちょうど携帯の充電が残り25%。にっこにっこにー!にこちゃん可愛いよにこちゃん。
今回はどちらかというと繋ぎ回です。それではまた次回!