しかし後悔はしていない。
《一日目》
ーーーふと、意識が宿る。
今まで自我が無かったモノに、自我が宿って者になる。自我無いモノが、一つの生物になる。今この瞬間に
一つの生物が産まれたのだ。
…私は今、生まれたのだ。
ーーー臭いを感じる。今まで知るはずも無かったことだけれど、これがきっと臭いというもの。何故か自分の中に最初からある様々な知識。それによると、この臭いというものは鼻という器官で感じ取るものらしい。
…初めて嗅いだ臭いが、こんな悪臭というのには閉口するけれど。
ーーー温度を感じる。自分の背中から冷たさを、お腹の上にあるっぽい布のようなものから暖かさを。まあ、その暖かさをくれているものから、この筆舌し難い臭いが漂ってきているようなのだけど。
ーーー音が聞こえる。自分の周囲からたくさんの寝息と、少しの生物が動く音、それと自分の心臓の鼓動。寝息が聞こえると少し安らいで、他の生物が動く音が聞こえると少し安心して、自分の心臓の鼓動を聴いていると段々と眠くなってくる。でも、その眠気にもうちょっとだけ抗いたい。
ーーー目蓋を開ける。生まれたばかりだからだろう、とても重い目蓋を開けるのに苦労をしながら、でもゆっくりと確実に開ける。
薄暗い天井が見える。ゴツゴツとした、寒々とした岩肌が見える。そうか、これが世界なのかと、これが自分がこれから生きていく世界なのかと、少し感動に浸っていると。
…横からにょきりと、緑色をした怪物が顔を覗いた。そして…私は意識を失った。
ーー最後に お前の名はゴブ忍だ という言葉が聞こえた気がする。…多分雌(少なくとも自意識ではそのはず)にその名前はどうなのよ、そう心の中で抗議しながら私の意識は暗転した。
《二日目》
ふわりと、意識が覚醒する。…なるほど、これが眠りから覚めるという感覚なのか、そんな一つの新しい経験を詰みながら、目蓋を開ける。
目の前に広がるのは、(多分)昨日見たのと同じ薄暗い洞窟。…それと20人(匹?)くらいの床に寝かされている小さな緑色の怪物、それの成体と思われる甲斐甲斐しく世話を焼く10くらいの緑色の怪物。私の知識で一番近い存在は…ゴブリン。元々は悪戯好きの妖精だったものだが、様々な創作の中で邪悪な存在になった者達。彼等が果たしてゴブリンなのかは分からないけれど、とりあえず私の頭の中ではゴブリンということにしておく。
一つの予感があったので、私は自分の右手を目の前に持っていく。
ーーーしわくちゃの小さな緑色の手がそこにあった。
まあ、そうなるよね。今、冷静になって昨日の覗き込んだ顔の表情を思い出すと、慈愛に満ち溢れてた(しわくちゃの醜悪な顔だから予測だけど)からね。多分、私はあの10匹(こっちの方がしっくりくる)の子どもなんだろう。わーい、兄弟姉妹がいっぱいだー!なんて現実逃避をしながら、私はまた微睡みに身を任せることにした。おやすみー。
さて、次は何時になるかいなっと。
ちなみにある程度の設定は決まってるけど、プロットとかはない行き当たりばったりとなります。