一話時点で200UA、6人の方がお気に入り登録と正直驚いてます。
…しかもお気に入りしてくださった方の中に、自分が読んでいて好きな作品を書いていらっしゃる方のお名前が…。
ついつい、二度見した駄菓子です(二度目)
基本的に気紛れ更新なのでこれからもゆったり待って頂ければ幸いです。
それでは、二話目どうぞ。
《三日目》
新しい朝が来た。希望の朝であることを願う。
…まあ、洞窟の中だから本当に朝なのか分からないけれど、まあ気分的なものなんだと、誰に言うわけでもない言い訳をする。
そんな頭の中での一人劇場を開催しながら、意識を覚醒させていくと、どうも身体に違和感がある。
いや、違和感というか…むしろ妙にしっくり来る感覚。
私は怪訝に思いながら、まだどこか眠ってる意識をおして起き上がる。
……。
………起き上がる?あれ?私昨日まで寝返りもうてなかったんだけど?寝返り通り越して起き上がれるの?…これが成長期の力か。…いやいやいやいや、おかしいでしょ!?段階とばしすぎでしょ!だいたい……
とまあ、起き上がったその体勢のまま、内心で混乱しながら無表情を保つこと一時間ほど。
結論から言ってしまえばあれだ。ゴブリンの成長期すごいって話だった。
弱肉強食なこの世界。ゆっくり時間をかけて成長する生物なんて、それこそ人間くらいなんだろう。私の知識ではゴブリンは、最弱と言っていい種族であることがほとんど。それこそ某龍の依頼で出てくるスライム並だ。…どうでもいいけど、他のファンタジー世界だとスライムって結構強キャラなこと多いよね。やっぱり不定形故の物理耐性の高さが原因なのかな?
…こほん、閑話休題。
まあ、ゴブリンなんかゆっくり育成なんかしていたら瞬く間に全滅してしまうんだろう。実際、イメージ的に質より数、戦いは数だよ兄貴!ってものが強いし。ついでに言うと、知能が低くて女の敵のイメージも強い。……鬱になりそうだから考えたくないけど、この世界でも多種族の女性を犯すみたいだし。まあ、それは深く考えないこととして。
とりあえず現状把握。
今の私は幼稚園児くらいの大きさだ。まあ、幼児体型…という表現はなんか違う気がするけど、それくらい。ちなみに、私は我が親愛たる兄弟姉妹達の中で一番小さいようだ。…自然界で小さいって、ハンデじゃない?この先、生き残れるか心配になってきた。いや、逆に考えよう。確かに小さいのなら力は無いかもしれない。しかし、しかしだ。その分、敏捷性に勝るかもしれないし、隠れる事に関しては絶対に有利なはず。隠密と回避、この二つを軸にこれからの行動を決めよう。
…そうだ、私はゴブ忍。名は体を表すという言葉を体現してやろうじゃないか。そう心に強く誓う。
絶対に生き残ってやる!!
…さて、その為にもまずは自分の身体能力の把握からかな。
《四日目》
やっぱり自然界って厳しいね。朝起きてすぐにそう思った。今まで食料は配給されてたんだけど、今朝になっていきなり「これからは自分で自分の飯を獲るんだな(キリッ」なんて言われた。
…キリッじゃないよ!?私まだ生まれてから四日だよ!?言うなれば四日児(四歳児に非ず)だよ?人間なら…ってゴブリンでしたね、すみません。
ふぅ。とりあえずスッキリした。
そしてこれからの方針を決めないとね。
とりあえず外に出ることは確定。できるなら他のゴブリンと組みたいけど…、ダメだ、コイツらほぼ全員がアホ面晒してる…。理知的な行動を取ってたゴブリンは、既に一番体格の良い奴をたぶらかして狩りに行ってしまったし…。…仕方ない、ソロで動くか。基本的には果実、太めの木の棒を武器にして、樹上から奇襲をかければ非力な私でもどうにかなるかもしれない。
と、いうわけで早速外にGO。
今日はどうやら晴れの様だ。キラキラと降り注ぐ日差しが、私を祝福してるみたい。…祝福するくらいなら力か食料くれないかな。なんて荒んだ内心のまま、洞窟の外に足を踏み出す。
これが、私の最初の一歩。
小さくて頼りないけど、確かにこの世界に自分という…ゴブ忍という存在を刻み付ける大いなる一歩。
…になればいいなぁ。
気を取り直して。
とりあえず、近くの木に近付いて木登りの練習をする。案外、スルスルと登れたがまだ遅い。しばらくは登ったり降りたりの反復練習をすることにする。…ついでに枝を少し失敬して、簡易な棍棒を作成するのも忘れずに。近くに生えてた蔦をベルト代わりにして、装備する。心許ないけど、まあ無いよりはましなはず。…その内に袋状の物を作って、中に石を入れるのもありかもしれない。石を投げても良いし、ブラックジャックとして活用もできるはずだし。ん、思い付きにしては良い案な気がしてきた。心の中のメモ帳にメモして練習を再開する。
二~三時間経っただろうか。流石にちょっと疲れを感じて、樹上で休憩をいれていたんだけど。ちょうど私の真下辺りに、一匹の兎が現れた。兎というには額の角が物騒だけどね。その角が生えた兎(めんどくさいから次からはホーンラビットと呼ぶ事にする)は、私に気付かずに草を呑気に食んでいる。
…これは、チャンスかな?
ここから気付かれずに急降下爆撃(頭を爆発させるくらい強く殴るという気持ちを込めた一撃の略)をすれば、仕留められるかもしれない。もし、避けられたとしてもすぐに樹上に戻れば追ってこれない…はずだ。
…殺るか。
そう心に決めた私は、気付かれないようにゆっくりと深呼吸をする。
スゥーッ……ハァーッ…、スゥーッ…ハァーッ…。
二回、三回と行い息を止める。
そして…
私は…ホーンラビットに襲い掛かった。
落下するまでにそんな時間はかからないはずなのに、やけに地面が遠く感じる。集中しているからか、ホーンラビットの毛の一本一本、呼吸する時の肺の膨らみまで見えている気がする。そして、その姿は加速度的に大きくなり……距離が0になった。
ガツッ、と大きく鈍い音と。キュッ、という短い断末魔が鼓膜を叩く。そして飛び散る赤。噎せ返る鉄錆の匂い。視界に映る、ピクリとも動かない…いや、ピクピクと筋肉が痙攣しているホーンラビットの姿。まだ、辛うじて息があるようだ。
そこで自分の状態に気付く。足は飛び降りたからか、足裏がじんじんと抗議の声を上げ、棍棒を振るった腕は疲労を訴えている。止めていた筈の呼吸も、いつの間にかはぁはぁと荒げているし、背中は冷や汗で濡れている。手がカタカタと小刻みに震えているのは緊張からか、それとも…罪悪感からか。
虫の息のホーンラビットを少しの間見つめ、そして苦痛を長引かせるのは酷だと、早く止めを刺してやろうと思う。足を引き摺るように少し離れたホーンラビットの元に向かい…、ホーンラビットの生にピリオドを打つ。
その一撃を受けて、一度ビクリと大きく身体を震わせたホーンラビットは、二度と動くとはなかった。
ッーーーーーッッ!!
言葉にならない咆哮を上げる。
それに内包されてる感情は始めて獲物を狩った歓喜か、それとも奪った命に向けた感謝と謝罪か…。
その日、将来【鬼神の影】と呼ばれる存在が産声を上げた。
あれ?こんなに長くなるつもりも二日間で終わるつもりも無かったんですけどね…。
書いてたら筆が横滑りしました。
楽しかったので後悔はしてませんけど←
ここをこうした方が良いなどのアドバイスやご感想お待ちしております。