マイ「艦これ」「ブルネイの旭日」(第5部)   作:しろっこ

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提督の控え室にやってきた夕立は、いつもの彼女とはかなりイメージが違って、とても美しかった。でも、中身はいつものままなので、彼女から”王様”について、あれこれ質問された提督は、ちょっと困ってしまう。やがて時間になり、提督たちは係員にエスコートされ、迎賓館の3階へ降りた。そこはいよいよ会場の直ぐ側だった。


第27話(改)<真なるお姫様~艦娘>

「あれ?何でだろう?目から涙が……」

 

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「艦これ」的「ブルネイの旭日」(みほ5ん)

:第27話(改)<真なるお姫様~艦娘>

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<<控え室:綺麗な夕立>>

 

入口で待っていた夕立を見て、私は驚いた。あれぇ?お前、ホントに夕立なのか?”我が目を疑う”とは、こういうことを指すのだろう。そこにいたのは、いつもの夕立とは違っていた。

まず、いつもと違った印象の、きれいな白い頬に薄い紅が塗られ、その唇には多分、口紅を差している。

もともと夕立は、目鼻立ちがハッキリした艦娘だが、それが化粧のせいだろう。 いつもよりも表情がクッキリしていた。

 

だから私は入口で絶句してしまったのだ。そんな彼女は、廊下で首をかしげている。

「あれえー?司令、どうしたっぽい?」

 

「え~っと、お前……夕立だよなぁ~?」

 

「やだぁ~、もう何言ってんのぉ司令!私っぽい~」

彼女は、何かを振り払うようなしぐさをして、けらけらと笑った。いや、あまり意識はしていなかったけど……夕立も、普段から十分に可愛いとは思う。それが化粧をすると、その可愛いさに、美しさが加算されるイメージだった。

 

そんな私の気持ちとは無関係に、彼女は言った。

「ねえ、ねえ~。司令の部屋の景色、早く見せて~」

 

ああ、このノリは、いつもの夕立だな。外見の美貌とは裏腹に、中身はいつも通りなのでホッとした。

 

「ああ、入れ」

私が言うと、夕立は、直ぐに部屋に入った。その後から私が付いていくと、当たり前だが彼女の後ろ姿も、いつも通りだった。

 

「わあ~、こっちもスゴい~~!」

直ぐにかん高い声を上げながら窓際に駆け寄って、とても嬉しそうにはしゃいでいる夕立。その歓び方もまた、いつもの彼女だった。私はそんな夕立を見守りながら、テーブルのあるソファーに、再び腰を掛けた。

 

「ねえ、やっぱりさぁ~、ブルネイの鎮守府とも違うっぽいね」

振り返りもせず、景色を見ながら夕立は言う。ごめん、その姿って……まるで犬だよな。

 

私はコーヒーをすすりながら応える。

「ああ、ここは迎賓館だからね」

 

「迎賓館?」

夕立は、景色を見ながら言う。

 

私はちょっと考えた。

「ウ~ンっと、お客さんを、おもてなしするところかな?」

 

「ふーん、だから祥高さんが、私にも化粧したんだ」

彼女の金髪が、キラキラ反射している。やっぱり綺麗だよな。

 

「ああ。そうだね、きっと」

……そうか、祥高さんが先に夕立に化粧をしてくれたのか。

 

<<控え室:化粧の意味>>

 

「ねえ、ねえ……お客さんのために、何でわざわざ化粧するの?偽装?カモフラージュするの?」

夕立は景色を見たまま、なおも聞いてくる。しつこいな。

 

「ウ~ンっと……」

最初は”違うぞ”って言おうかと思ったけど。よく考えたら、女性の化粧っていうのは、ある意味、一種のカモフラージュだよな。でも、それは敵に対してするものじゃない。何て言うのかな……。

 

「お祝い事がある時には、女性は会場のお客さんの為に化粧をして、自分の美しさを、より引き立てるんだ」

ちょっと苦しいか?この表現は。

 

「へえ~、何の為に?」

 

「ウ~ンっと」

小学生の会話か?

 

ちょっと考えて、私は応えた。

「男性……いや、お客さんたち全員のために、女性としての美しさを、より輝かせて、お祝い事の会場を、より華やかに盛り上げる為……かな?」

 

私だって、化粧の意味なんて分かるわけ無いだろう。しがない軍人に過ぎないのに。

 

「ふーん」

ホントに納得したのかな?すると、今までは外の景色を見ていた夕立が、窓枠のところで、振り向いた。

 

「ねえ、司令?」

 

化粧をした彼女は、やっぱり美人だ。慌てて私はコーヒーを飲み干した。美味しかった。

「なに?」

 

「化粧した私って……いつもよりキレイになったっぽい?」

窓際で陽の光を浴びた夕立は、化粧の効果もあって、いつも以上に輝いて見えた。ここは、率直に言おう。

 

「ああ、とってもキレイになったなあ~」

なんだか、愛娘の成長振りに、しみじみしている父親の気分だ。

 

私の感想を聞いた夕立も、急にニコニコした。

「うん、ありがとう司令……」

 

でもフッと、床を見つめて黙りこくった夕立。あれ?

「どうかしたのか?お前……」

 

ちょっと間があってから彼女は言った。

「何だか私ってさ、戦果以外のことで、人から褒められるのって、初めてっぽい……」

 

そうか……そうだよな。そして彼女自身、何かに驚いたような顔をした。

「あれ?何でだろう?目から涙が……」

 

それを見ていた私はなぜか、安心した。そして彼女に語り掛けた。

「夕立……お前も私たちと同じ感情を持つ仲間なんだよ。だから、もう私たちは、この遠征を通して隊員以上の、家族みたいな絆が出来たんだよ、きっと」

 

正直、この言葉には自分で言いながら自分で驚いた。でもそれが偽らざる実感だ。この艦娘とも、いろいろあったよな。その思い出がすべて、これからの私たちの絆になるんだ。

 

それを聞いた夕立も、涙を拭いながら、「うん」ってうなづいた。そして、彼女は言った。

「司令……、私ねぇ、このお祝い行事に参加して、ホントに、良かったっぽい」

 

「そうだね」

うん、私もそう思うよ、夕立。

 

「遠征も……良かったっぽい」

そう呟いて、再び窓の外を見た彼女の金髪は、青い空とコントラストを成していた。

その空の広がる様は、夕立と私の心を表しているような気がした。

 

<<控え室:王様って?>>

 

そのとき、部屋の電話がまた鳴った。今度は私も驚くことなく、受話器を取った。

「はい」

 

「美保鎮守府の提督様、そろそろお時間になります。係の者が伺いますので、ご準備を、お願いいたします」

片言の女性の声で案内があった。

 

「分かった、ありがとう」

私が電話を置くと、夕立が感心している。

 

「ここって、すごいね~。何でもやってくれるんだね~」

 

「そうだね。私たちは今日、ブルネイ国の”お客様”って言う扱いだからな。まあ、私たちは”王様”みたいなものだ」

 

「王様って?偉い人?」

 

「そうだな」

 

「ふーん」

ちょっと考えていた夕立。でも、また言った。

 

「あれ?司令って、偉くないっぽい?」

 

「うーん、っとだなぁ……」

夕立と会話をしていると、ホントに堂々巡りみたいになって来るんだよな。

 

「この国にも、鎮守府みたいな軍隊があってだな。そこの最高司令官よりも上の人だ。まあ、こういう小さい国だと、王様が軍隊の最高司令官を兼任することが多い」

 

「ふーん」

今度こそ分かってくれたかな?本当に小学生に話をしているような気分になってくるな。まったく。

 

私は心配になって、もうちょっと説明を追加してみた。

「このブルネイを、お前たちが必死に敵から守っただろう?だから、この国の王様が国を代表して、私たちに感謝して表彰をしてくれるんだ」

 

「ぽい?」

首を傾げる夕立。今度こそ分かったか?……でも、こうして改めて見ると、化粧をした夕立って、お雛様みたいだな。

 

さらに蛇足的に、私は説明を加える。

「これは私と秘書艦だけが頂く表彰ではない。皆が全員で受けるものだ。私と秘書艦は皆を代表して受けるに過ぎない」

 

「うん、それは何となく分かるっぽい」

即答。おお、”皆”という言葉には、敏感に反応するんだな。そこは夕立も軍隊の兵士だから、当然か。

 

そのとき、ドアをノックする音がした。

「迎えが来たようだな」

 

「準備、オッケーっぽい」

夕立は、微笑んだ。

 

<<廊下:会場へ>>

 

私たちが廊下に出ると、男女の係員と、補助の女性係員たちが3人居て、その向こうには祥高さんも居た。

 

「おお!」

思わず声を出してしまった。そう、やっぱり化粧をしていた秘書艦の祥高さん。もともと端正な顔立ちではあるが、やはり夕立同様、化粧をすると、ものすごい美人になるな。

ふっと、あの作戦参謀とかも化粧させたら凄いぞって思った……あれ?よく考えたら彼女も列席するから、化粧をするか。すると今日の会場は、美人の艦娘が二人……いや三人?

こりゃ凄まじいことになるな……いかん、鼻の下が伸びてしまう!自重、自重!

(私より次官が心配だが)

 

「見違えますね……」

つい言ってしまった。普段の彼女の素顔との落差が凄まじい。

(もともと美人ではあるが)

 

「……いえ、本当は化粧って苦手なんですけど」

祥高さん、謙遜する。いやぁ、艦娘とはいえ、この美しさはちょっと半端無いぞ。本当に”姫”というか、高貴な雰囲気すら漂っている。

だいたい艦娘ってのは皆、基本的に美人が多い。それでいて、ほとんどがスッピンだからな。もし艦娘たちが軒並み化粧をした日にゃあ~!……いや、やめておこう。これから大切な行事だ。自重、自重。

 

男性係員が言う。

『では、参りましょうか』

 

『お願いします』

係員の誘導に従って、私たちは、廊下を歩き始めた。

 

こうやって、お姫様のように美しい艦娘が王様の表彰を受けに行く。まさに「王様とお姫様」って感じだ。普通の人間ではなく、艦娘っていうのがまた、よけいに別世界のような印象を強くするのだろう。

 

<<会場へ:4F→3F>>

 

私たちは廊下を進み、来るときに乗ったエレベーターで3階へと降りる。たった一階を降りるだけなら、別に階段でも良いのではないか?それは私が軍人だから、効率を考えてそう思うのだろうけど。でも普通のVIPは、1フロアであっても、エスコートされてエレベーターで降りるのものなのだ。自分がそういう扱いを受けると、なるほどと実感する。

 

いち司令官、あるいは秘書艦や夕立のような一般兵士であっても、そういう扱いをされる人種が世の中に居ることは知っておくべきだろう。体験するのがいちばん分かりやすい。もしそんなVIPたちが日本人であれば、私たち軍人は迷うことなく命がけで、彼らの生命も守るんだ。それが防人というものだ。

でもあのシナとかは”階級闘争”とか言って、毛嫌いするだろうけどね。だが私は帝国海軍の軍人である。外見の結果の平等だけを求める共産主義者ではない。

 

さすがに今回は、夕立も緊張しているのだろう。エレベーターからのパノラマ景色を楽しむ余裕も無くジッと黙っている。秘書艦と駆逐艦という、化粧をした艦娘が二人。その様子は、やっぱり、”お雛様”か”お姫様”だよな~。特に、この二人は端正な顔立ちだから、なおさらだ。変な話、男性の私が化粧も何もしないのが、申し訳ないくらいに感じるよ。

 

そう思っているうちに、エレベーターは3階へ到着して扉が開く。このエレベーター自体が、とても豪華な作りで、出入り口の扉の縁取りに至るまで、すべてが金または銀色のモールで装飾が施されていたことに気付く。贅沢のきわみだな。

 

そこでまず先に女性スタッフが降りて3階の廊下に一列に並んで、私たちに礼をする。次に女性の係員が降りて日本語で先導してくれる。

「皆様、こちらへどうぞ」

 

「ありがとう」

 

私は、秘書艦と”護衛艦”に声をかける。

「じゃ、行こうか」

 

『はい』

二人が返事をして私たちはエレベーターを降りる。ここまで仰々しいと、嫌でも舞い上がってくるな。さすがの”護衛艦夕立”も、ガチガチになって居るのが分かる。むしろ、こういう場にも慣れている祥高さんのほうが平然としている。改めて、彼女の胸の勲章が光る。そうだよ、こういう場でこそ、その勲章も”映える”んだな。私は意外にも、こうやって周りを観察するだけの余裕があるくらいだ。私も今のところは、緊張もせずに大丈夫なのかな?

 

<<舞台袖:楽屋>>

 

やや暗くて狭い廊下を歩いていくと舞台袖のような、こじんまりとした楽屋に案内された。その室内には鏡台や、簡単な応接セットがあり、モニターTVまで備わっていた。さすがに、ここまで来ると独特の緊張感が漂ってくるな。一番緊張しているのは夕立だが、化粧をしている分、むしろその美しさが異様に引き立っていて、何ともいえない”夕立”になっている。

 

男性係員が、英語で案内をしてくれる。

『最初の来賓入場までは、こちらでお控えください。国王陛下がご入場される直前に、皆様をお迎えに上がります。なお、もし廊下で陛下と出会われた際には、この舞台袖に限っては敬礼は不要です。会釈にてお願いします』

 

なるほどね。いちいち敬礼をしていたら時間が押してしまう。イベントの裏側……まるでTV局のようだな(行ったこと無いけど)

『では、直前にお迎えに上がります。モニター画面で、だいたいの流れを、ご確認頂けると幸いです。お茶は、ご自由にどうぞ。式典が終わるまで、この部屋は皆様専用となりますので、貴重品以外でしたら、置かれても結構です。では失礼します』

 

男性係員は、頭を下げて退出した。

楽屋には、モニターから流れる開会前のBGMのみ聞こえる。私と祥高さんは、直ぐにソファに腰をかけたが、見ると夕立が固まっていた。私はソファを指差しながら、声をかけた。

「夕立も、突っ立っていないで、そこに腰をかけなさい」

 

「……ぽい~」

ハッと我に帰ったような反応をして、夕立はヨロヨロとソファに腰をかける。

 

直ぐに祥高さんが声をかけた。

「大丈夫?」

 

「……ぽい~」

大丈夫じゃないな、こりゃ。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ5ん」とは
「美保鎮守府:第五部」の略称です。
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