マイ「艦これ」「ブルネイの旭日」(第5部)   作:しろっこ

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小休止の間も、注目を浴びる青葉だった。そして休憩が終わり次の式次第が始まった。いよいよブルネイ国からの国家勲章授与。それは最初、意外な相手に与えられた。4つのメダルが提督や艦娘たちに授与された後、さらに王女様は青葉を見つけると、意外な行動に出られたのだ。


第30話(改)<歴史的な表彰と栄光の舞台へ>

”もし、歴史的瞬間というものがあるとしたら”

 

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「艦これ」的「ブルネイの旭日」(みほ5ん)

:第30話(改)<歴史的な表彰と栄光の舞台へ>

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<<大ホール:小休止>>

 

先ほどの映像の威力だろう。いま客席側でインタビューを受けている青葉が、注目されていて、次第に回りに記者が集まって来ている。ふと見ると、先ほどまで泣いていた王女様もまた、そんな青葉の様子に気付いたようだった。彼女は国王陛下に何か耳打ちをされている。私はふと思った。もし後から陛下に、何か青葉のことを聞かれたら何と答えるべきか?やはり陛下には本当のこと(復活)を伝えるべきか?うーむ、ちょっと悩むな。

 

やがて場内には、式典を再開するアナウンスが流れた。少し経つと開会のチャイムも鳴り響く。お客さんや記者たちは、それぞれの席に戻り、先の青葉の取材も自然に収束した。

 

<<大ホール:祝辞とブルネイ国>>

 

男女の司会者が再び式次第を告げた。次は著名人や有力者、各国元首たちからの祝辞だな。主に電報の披露が、ほとんどだったが、中にはビデオメッセージを寄せる元国家元首の映像もあった。また在ブルネイの各国大使館からも、担当官が代読という形で祝辞を述べていた。そのほとんどは、ブルネイ国と縁のあるアジアの国々だ。

 

それにしても、この短時間に良く、これだけの情報や人を集めたものだと感心する。ブルネイの情報収集能力も侮れない。噂によると、この国の諜報部門に関してはイギリスが協力をしているらしいが詳細は不明。

 

それにしてもわが国のように全てが、お役所的で遅々としているのとは大違いだ。もしかしたら財力にモノを、いわせているのかも知れないが国王陛下の手前だ。それは考えないで置こう。

 

<<舞台上:表彰式>>

 

続いての内容は、救助や軍・警察関係者への表彰だ。司会者が順に名前を読み上げるとホール客席の最前列に並んでいた人たちが順番に立ち上がっていく。一通り起立した後で代表者4名が舞台の上へ導かれる。そこで国王陛下と王女様から直接、表彰されるのだ。表彰された人には、一般の人も交じっているのだろう。場慣れしていない感じと、まさか国王陛下から直接表彰される栄誉に預かるとは想定外だったようで滂沱(ぼうだ)の涙を流している人も居る。でもそれは清々しさすら感じる、良いものだな。

 

会場を見ると大きなTVカメラも入っている。ブルネイの国営放送だろうか?舞台の上を映しているから、もし居眠りをした瞬間を中継されたら全世界へのさらし者だ。下手したら末代まで?これは油断できないぞ。

 

一通り拝受が終わってから、代表者らしい受賞者が前に出てひと言、お礼を述べる。男性だが感動で気持ちが一杯になっているのが分かる。先ほどの艦娘たちの必死な映像を見た直後だから受賞する側も感慨ひとしおだろう。戦争は災害ではないが何か大きな困難(災害)を、このブルネイの人たちと一緒に乗り越えたような気分になる。一体感とでも言うのだろうか?それは不思議な感覚だった。ブルネイは小さな国だから国民を一つにするため、このイベントのように、いろいろ工夫をするのだろう。

 

その男性のひと言が終わると、一旦全員が自分の席へと戻っていく。あれ?この流れのまま、やるんじゃないのか。ひょっとして私たちへの表彰は、また別枠でやるのか?ドキドキするな。

 

すぐに黒子みたいな設置係が舞台中央に表彰台のような机を持ってきて、そこに幾つかの勲章らしきものを並べる。いよいよか……あれ?数が1、2、3……4つか。ん?受賞するのは、私たちだけじゃないのか?

 

また場内が暗転する。そしてドラムロール。またか……参るな~この演出は。

 

やがて、場内が固唾を呑んで見守る中、司会者が、これは国王陛下と王女から直接、拝受される国家勲章であり、とても名誉なことであると説明される。そして名前を呼ばれた者は舞台中央へ出るようにと、アナウンスされた。

 

いよいよ私たちか?ドキドキ……。

 

<<舞台上:表彰式2>>

 

男性司会者が言う。

『イタリア海軍、リベッチオさん』

 

一瞬、”ええ?”っと、思った。いや、もちろん彼女も活躍したけど……私以上に驚いているのは他でもない、リベッチオ本人と、あのイタリア武官だ。武官の意外な慌てぶりは、ちょっと面白かったけどね。

 

続けて、女性司会者も言う。

『続けまして、ドイツ海軍、U-511』

 

なるほど、今度はドイツ。さすがにU-511は、コードっぽい呼び名だから、”さん”付けしにくいよな~と、変なところが気になったけど。もちろん、ドイツ武官も鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている。だが、肝心のU-511本人は、相変わらずの仏頂面なのが笑える。

 

『両者、前へお進みください!』

二人の艦娘たちは、それぞれの武官に促されて、部隊の中央へと進む。そこには、国王陛下と王女様、それに、エスコート役の女性が二人、立っている。

 

艦娘たちは少々オドオドしながら舞台中央へ。そうだよ彼女たちは軍人だ。しかも艦娘ゆえに、普通の軍人よりもさらに、ひのき舞台に上がる事は少ないだろう。まして、イタリアもドイツも、まだ艦娘は数が少ないから、なおさら、表彰とは全く無縁の世界で生きてきただろう。それが突然、異国の戦場で、この栄誉だ。驚くだろうし、精神にも、ぎこちなくなるだろう。

 

そんなリベッチオは舞台の上に咲いた華のようであり、一方のU-511は、まるで岩の塊だ。この二人のコントラストは微妙だが、ある面これは二人並べばバランスが取れてマッチしている感じもするから微笑ましいよな。

 

実は先ほどの映像にも、二人の姿はチラッと映っていた。イタリアとドイツにとっては、表舞台に出て良いのか悪いのか?私には何ともいえない。そう思うんだが、いつの間にか二人の武官は、こうやって舞台上に上がっている。両国政府も許可は、しただろうけど。でも両国の軍部も艦娘共々、いつまでも隠れているのは止めて表に出る戦法を取ったようだな。

 

<<舞台上:表彰式3>>

 

司会者は、この栄誉を通してブルネイと両国の絆が深まることを願うと説明。最初にリベッチオ、続けてU-511が、国王陛下と王女様から、勲章を授与された。

 

これは艦娘が一つの国家から認められた瞬間。ある意味、日本政府よりも先にブルネイ政府が彼女たち艦娘の価値を認めたともいえるわけだ。この映像を見て日本政府も少しは艦娘たちへの扱いを考えてくれたら良いなと思った。その時ふと私は美保鎮守府やブルネイ泊地の艦娘たちのことを想った。彼女たちも勲章を貰ってもおかしくない働きをしたけどな……まあ、”おねだり”は止めよう。

受勲というのは本人の栄光もあるが、それ以上に国家のPR戦略でもある。ブルネイだって一つの独立した国家である以上、名の知れぬ日本の艦娘たちよりはイタリアやドイツという軍事的にも有力な国家と縁を結ぶほうが有利と考えるのは至極当然のことだ。

それに私と秘書艦である祥高さんが受賞することで、日本の艦娘たち全体が栄誉に服したと考えれば良いではないか。私はそう、自分に言い聞かせた。

 

司会者が続ける。

『会場の皆様、もはや説明する必要はないでしょう!今回のわが国防衛のための作戦を指揮した日本帝国海軍の総司令官殿と、秘書艦です!両者前へとお進みください!そして皆さん、惜しみない拍手をお願いいたします!』

 

私と祥高さんはその場で起立して一礼をした後、舞台中央へと進み出た。ライトも眩しいが、それ以上に会場からの拍手と、この場の雰囲気……ただ、ひたすら圧倒される。さきの二人の艦娘たちの、ぎこちない動きを私もまた再現しているのだろう。ああ、こういう晴れの舞台は私も経験が乏しいから苦手だ……そんなことを思いながら、舞台中央へ進む。

 

あの優しい眼をした国王陛下が私に、そして王女様が秘書艦に、それぞれ勲章を授与する。私たちは、頭(こうべ)を垂れて、それを拝受。

 

そして会場からは鳴り止まぬ万雷の拍手。私たちは国王陛下と王女様、そしてさきの二人の艦娘たちと共に舞台上で一列に並んだ。舞台の前には、たくさんの報道関係者がやってきて盛んにカメラのシャッターを切る。あ、青葉も居るな。

 

もし、歴史的瞬間というものがあるとしたら、まさに今、この瞬間なのだろう。それは何となく感じる。だが正直、実感はない。まるで雲の上を歩いているような、ふわふわした感覚だ。

 

<<舞台上:王女の判断>>

 

そのとき王女様が国王陛下に再び、耳打ちをされている。そしてカメラマンの列を指差して居られる。その手が指しているのは多分、青葉だ。陛下もしきりに、うなづかれてている。さっきの映像は衝撃的だったからきっと、お二人にも強い印象を残したのだろう。

そう思っていたら突然、陛下がエスコート役の女性に何かを指示される。それを受けた係の女性はスッと、カメラマンたちの列へ近づくと、その中に居た青葉に何かを伝える。最初は困惑したような表情を浮かべた青葉だったが、係の女性が微笑んでもう一言伝えると、ようやく青葉も軽くうなづいた。そして彼女はすぐに客席へと戻っていく。

 

舞台上のこの動きに、周りの記者やお客さんたちも、ちょっとざわつく。すると、もう一人のエスコート役の女性係員が司会者のところへ行き何かを伝えている。明らかに式次第には無い何かを、陛下と王女様が指示されたことが分かった。

 

舞台上で不謹慎かと思ったが、私は隣に並んで立っている祥高さんに聞いた。

「祥高さんは、青葉から何か聞いているか?」

 

「いえ青葉さんも突然のことだったようで、報告する暇もなかったようですが……」

そうか、祥高さんも何も聞いていないのか。

 

陛下の方を見ると彼は、ニコニコしている。そして二人の司会者も、お互いにメモを見ながら何かを打ち合わせている。

 

<<栄光の舞台:青葉と夕立>>

 

やがて司会者が告げる。

『皆様、ただいま王女様より急きょ、ご提案がございましたので特別に表彰を追加いたします。先ほどの感動的な映像にも登場していた日本帝国海軍の艦娘たち。彼女たちにも陛下より勲章が下賜されることになりました』

 

ここで、会場からは、一斉に拍手が巻き起こる。司会者は続ける。

『そして本日、彼女たちを代表して、この会場に参加の2名には、特別に陛下より表彰を行います』

 

再び拍手。な、なんと!そういうことだったのか。きっと王女様は青葉を見て、そのように陛下に提案され、陛下がご決断されたのだろう。

何か私自身も、今まで胸につかえていたものが取れたような清々しい気持ちになった。すぐに青葉は、会場から夕立を連れて舞台の下までやって来た。カメラは何処かの席に置いたのだな。会場からはずっと割れんばかりの拍手が続いている。舞台上のリベッチオや、あのU-511、そして武官たちも立ち上がって拍手をしている。さすがの青葉も、ちょっと恥ずかしそうにしている。夕立もまた、恥ずかしそうに頭の後ろに手をやっている。

 

まず青葉が舞台に上がり、続いて夕立。カッターにカメラベスト、それにズボンという、いかにも取材記者風様の青葉に、いつもの軍服姿の夕立。まさに”艦娘そのまんま”って感じだな。でも、その方が素の艦娘らしくて良い。舞台に上がった二人も、私たちと同じ列に整列する。

 

そこで私はふと気が付いた。そういえば、メダルは4つしかないけど、どうするんだろうか?すると、陛下と王女様は、驚くべき行動に出た。

 





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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ5ん」とは
「美保鎮守府:第五部」の略称です。
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