マイ「艦これ」「ブルネイの旭日」(第5部)   作:しろっこ

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ウカウカして結局、パーティの食事を軒並み食べ損なっている提督。せめてケーキだけでもと目論んだところ、青葉の企みに見事に引っかかる。それから提督は美人秘書官に質問をし、改めてブルネイが置かれた位置を知るのだった。
時間になり提督はパーティ会場で英語の演説を始めた。西洋人が多いせいだろうか、いつもよりも軽いノリに彼は驚くのだった。


第35話(改)<提督のデザートと女神たち>

『きっと艦娘たちが神様のようなものでしょう』

 

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「艦これ」的「ブルネイの旭日」(みほ5ん)

:第35話(改)<提督のデザートと女神>

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<<会場:デザート>>

 

ケーキやら写真やらで舞い上がっているうちに、メインらしき肉料理は次々と片付けられ、気が付くとデザートの時間になった……ということは、もう終わりか?はじめはちょっと気分が悪かったとはいえ結局、私はこのパーティで何も口に出来なかったのか。せっかくなのに残念だ。

それでも、さっき祝ってもらった際に小皿に取り分けてもらったケーキが目の前にある。せめて、このケーキと今、出ているデザートだけでも食べたいな。

 

ふと会場に次々と出されているデザートを見る。何かの木の実にアリスクリーム、それにフルーツが添えてある。南国の果実だろうけど、えっとマンゴーかな?それに緑色のキウイが薄く切ってあって、交互に並べてある。その真ん中には赤い実か。なんだろう?良く分からないが全体を見るとキレイに彩られている。

ここに鳳翔さんか料理の上手い艦娘が居れば、上手くコピーするんだろうけど。

 

そうだ!私は思わず向こうにいる青い髪の艦娘に声をかける。

「青葉!」

 

「はい?」

彼女は直ぐに振り返って、こちらへやってきた。

 

「どうかしましたか?少将殿!」

おどけたように敬礼する青葉。その反応の速さはさすが情報通だ!まったく相変わらずだよ、お前は。

 

フッ、どうせなら悪乗りだ!私は敬礼しつつ彼女に聞いた。

「確認だ、青葉。今日のメニューの写真は、だいたい撮ってあるか?」

 

それを聞いた青葉はニタリとした。

「司令の考えは分かりますよ。そこは任せてくださいって、バッチリですから!」

 

「はは、そうか。でかしたぞ」

私は妙に安堵した。

 

すると突然青葉は続ける。

「ねえ、せっかくですからぁ司令には、そのケーキを美味しく召し上がって頂きましょうか?」

 

「はあ?」

思わず声を出した私。

 

<<会場:甘い悪だくみ>>

 

驚く私を無視して青葉は、あごに手を当て、首をかしげながら考え込んでいる。

「そうですね~さすがに、あの美人秘書官にお願いするのは無理でしょうから、ここは手堅く、艦娘で行きましょうか」

 

「だから、なんのことだ?」

私がしつこく聞くと彼女は笑う。

 

「エヘヘ、司令の決定的瞬間を撮るんですよ~。もちろんジョークですけど!」

 

「だから……」

反論しようとする私を両手で強引に押し止める青葉。

 

「まぁまぁ~、せっかくだから、さっきの面子で行きましょう~”オ~イ!”」

名前を呼んでいないのに、手を挙げた青葉の顔を見るだけで、なぜかさっきのメンバーが揃って近づいてくるぞ。お前たちは”ツーカーの仲”なのか?以心伝心なのか、それとも?

 

「すみません皆さん、あ……」

ここで、ご丁寧にも夕立以外の艦娘に向けて、英語で喋りだす青葉。お前は、まったく器用すぎる。

 

『皆さん、美保の司令の歴史的な栄光の一枚を撮影します。ぜひ、ご協力下さいね!まずは各自スプーンを持って下さい!』

すぐに振り返ると、今度は日本語に切り替わる青葉。マジで忙しい奴だな。

 

「夕立は、スプーンを持って、こう……ケーキをすくって」

 

「ええ?こう……っぽい?」

それを見て青葉はウンウンとうなづいている。

 

「さ、司令は座って!」

私は、振り向いた青葉に強引にイスに押し付けられる。仕切りの手際も良過ぎるって。

 

『では皆さん!ケーキを取って、司令に食べさせて差し上げましょう~、そう一斉に!』

リベッチオやU-511は、まだ可愛から良いとしても、なぜ秘書艦の祥高さんまでが……って、ニコニコしているし。

 

「夕立も、ほら、GO!」

青葉が急かす。どこまで悪乗りするつもりだ?

 

「ぽ、ぽい~」

 

「おい!私も混ざるぞ!」

突然、どこからともなくやって来た作戦参謀が乱入した。あの~、酔っているのに参謀、手元が狂うんじゃ?

 

「甘く見るな!私だってな、現役時代は射撃が上手かったんだぞ!」

いや、それとこれとは話が違いますって。

 

『まあ~ステキな光景ね~!』

アア!イタリアに見つかった!

 

「おおぉ!絶景だな~!」

こっちは次官か……ダメだ~!道化連中に煽られたら、もう反抗できない。こうなったら私もヤケだ!

 

「では、戴きま~す!」

結局、気が付くと4人プラス1名の艦娘たちに、一斉にケーキを食べさせて貰っている司令官という、妙な写真が撮影されてしまった。会場ではクラッカーが鳴る。どこに置いてあったんだ?そんなもの……そして、まだあったのか?というシャンパンが景気良く何本も抜かれる。会場もノリまくりだな。これが日本だったら誰もが顔をしかめただろう。だがここでは異様に盛り上がっている。

 

後日談だが、止めろというのに、その後いつの間にかこの写真が世界に配信されていた。

だから、以後は国内でも海外でも私が訪問すると、どこでも初対面の相手なのに、必ず最初は笑われるようになった。大抵の軍関係の相手が、ほどんど既に私のことを知っているのだ。もともと私も社交的ではないのに、やたら顔が知られているのは妙な感覚だな。

 

だから今では私が一人で行くと大概こう言われる。

”秘書艦は、お元気ですか?”とか”今日は女神たちは同行されないのですか”と。おい、艦娘は女神なのか?

私も最初はウザくて恥ずかしかった。だが、そのうち次官にアドバイスされたのだが、これも一種の名刺代わりだと開き直るようにしたら良いのだと。確かに、それ以後は気が楽になった。

また後に技術参謀にも言われたが、美保鎮守府を、良い意味で印象付けたという点では良かったそうだ。このことで特に批判や反発もなかった。意外にも、好感を持って受け入れられたようだ。世の中の感性っていうのは分からないものだな。

 

お陰で、後の美保鎮守府では、パーティの主役には必ず皆で一斉にケーキを食べさせるという変なイベントが実行されるようになった。名付けて”提督のデザート”……恥ずかしいから止めて欲しい。

 

<<会場:秘書官の想い>>

 

私たちがバカみたいなことをやっているところへ、美人秘書官がやってきた。艦娘たちは、サッと離れる。この辺りの臨機応変さは、さすが軍人だな。私は少々慌て気味に、口の周りに付いたクリームをハンケチで拭った。ちょっと恥ずかしいな。

 

しかし彼女は微笑みながら軽く会釈をして言った。

『大概、軍人のパーティは堅苦しくなりがちなのですが、皆様のフレンドリーさに私は、とても感動しています』

 

『それは……ありがとうございます』

意外なことを言われて驚いた。でも彼女が来たということは、そろそろ締めの演説の時間か……。だが私には、個人的に少し気になっていることがあった。

 

私は、さりげなく周囲で聞き耳を立てている人が居ないことを確認してから彼女に聞いた。

『失礼ながら一つ伺っても、よろしいでしょうか?』

 

『どうぞ』

 

『基本的に、この国はムスリム(イスラム教)の方が多いと思うのですが、このパーティでは、あまりそれを感じませんね……料理とか』

 

彼女は微笑みながら応えた。

『そうですね。この国の政府や王室はそうですが、他の多くのイスラム教国より、かなりオープンです。そうでなければクリスチャンである私が、この国の政府中枢に入ることは難しかったでしょう』

 

そのひと言で私は悟った。

『なるほど』

 

彼女は続けた。

『こういった海外武官や駐在官たちを相手にする場合は、やはりイスラム式では、お互いにやりにくい部分もあります。特に西洋はキリスト教が多いからこそ、対外的な折衝や渉外には私が、この役割を担っているのだと思います』

 

『はい』

 

『この国は、まだ生まれたばかりです。宗教の違いを超えて一日も早く一つの国家として、まとまる必要があります。もちろん日本海軍の皆さんが、ほとんど神道、あるいは特定の宗派が無いことも存じ上げております。それは了承した上で私たちは皆さんと協力して、この国を護っていきたいと考えます』

 

『良く分かりました、ありがとうございます』

私が言うと彼女は微笑んで、私と同じように周りを気にするような感じで顔を寄せてきて、ちょっと小声で言った。

 

『実は私たちの立場を聞いてきて下さったのは貴方が初めてなのです』

 

『そうでしたか』

それは意外に感じた。

 

彼女は、私との会話でややリラックスしたのか、髪をかき上げるようにして続けた。そういうしぐさをされると、ドキッとするよなあ。

『結局、人と人……いえ、国と国の関係も理屈や宗教ではないと思います。特に艦娘や皆さんのやり取りを見ていると、主義や義務、使命感ではなく純粋に心が通じ合っている印象を受けるので、羨ましく思います』

 

『そう言って頂けると面映ゆいですが……正直、まだまだ課題ばかりです』

 

彼女は微笑んだ。

『ええ……でもその謙虚さがあるからこそ、皆様と私たちは、これからも良い関係を築いていけるのだと思います。司令官、期待していますよ』

 

そう言いながら彼女は手を差し出した。

 

『私たちも、そう願います』

私も手を出して、お互い固い握手をした。私たちの握手する姿は、すぐに青葉や記者が来て撮影された。さすが目ざといな。艦娘たちも、小さく拍手をしている。そうだよな、表彰も含めて、艦娘が初めて国家と言う器に認められたのが、このブルネイだから。

 

<<会場:演説>>

 

『そろそろ、お願いしてもよろしいでしょうか』

握手のあと、秘書官は微笑んだ。

 

『分かりました』

私の気分も回復したから演説するには問題ないだろう。心残りは結局、美味しそうな料理をまったく食べることが出来なかったことだが、仕方あるまい。”艦娘デザート”は食べたわけだし、主賓というのは、そんなものだろう。

 

美人秘書官が司会のマイクを持って、案内をする。

『宴も盛り上がっていますが、そろそろ総司令官には、まとめのお言葉を頂きたく、ご準備のほど、よろしくお願い致します』

 

私は立ち上がると演台へと向かう。会場からは拍手。相変わらず私の頭の中は空っぽだが、下手に考えたところで大して変わらない。最近の私は、そんなことを悟った。

会場は期待している雰囲気だが、見ると艦娘連中の中でも特に夕立がキラキラしている。お前なあ~ちょっと期待し過ぎだって。でも何となく、彼女のその雰囲気は金剛に似ている感じがした。

 

演台に立つと拍手と同時に笑いも起きた。さっきのケーキの件もあるからな、仕方ない。でも全然、不快感は無かった。これも秘書官が言った、艦娘と少しは通じ合えた結果だろうか?そうなら良いけど。

私はためらい無くマイクに向かった。

 

<<会場:演説始め>>

 

この会場はクリスチャン……西洋人が多いなら、やっぱり英語かな?そう思って私は、あまり得意ではないが英語で話し始めた。

『このたびは身に余る栄光を頂き、感謝に絶えません。また、このようなパーティを催して下さったことと、多数ご参加下さった事を心から御礼申し上げます』

 

なぜか笑いが起こる。私の英語が堅苦しすぎるからかな?でもこの場は笑えるくらいがちょうど良い感じもした。すると気が楽になって、私はいつに無くリラックスして話すことが出来た。さらに続ける。

 

『実は私、神様が分かりません。日本には八百万の神様が居るので、どれが本物なのか、いつも悩みます』

ここでも、また笑い。ノリがいいな。

 

『私が束ねる艦娘には一人ひとり、神様が付いているとされています。ですから、私にとっては、きっと艦娘たちが神様のようなものでしょう』

また大爆笑。いや正直、自分で何を話しているのかわけが分からないんだけど。でも、あのイタリア武官や防衛次官が、手を叩いて大喜びしている。道化たちを笑わせているから、まあ良いのかな?ドイツも微笑んでいる。それなら良いか。

 

『ご存知のように、かつて世界は大きく二つに分かれて戦争をしました。それが今、まったく新しい脅威、深海棲艦が現れ私たち人類は別の意味で一つになって対抗せざるを得なくなりました』

ちょっと真面目な話だ。でもここに居るのはVIPが多いからな。まったく問題ない感じだ。

 

<<会場:演説後半>>

 

『そこに機を同じくして現れた艦娘という存在は、新たな脅威に対抗しうる唯一の存在です。彼女たちは兵器でありながら、単なる機械でもありません。そんな艦娘と私が本当の意味で出会ったといえるのが今、私が束ねている美保鎮守府なのです』

なるほど思う人も多いだろう。軍隊の概要、特に日本海軍の鎮守府なんて、一般的にも、また西洋人でも知らない人の方が多いだろう。

 

『もちろん私も日本海軍の軍人ですから、以前より彼女たちの存在は知っておりました。しかし美保に着任してから、彼女たちと身近に接し、戦い、喜怒哀楽を共にする中で、いろいろ学び悟りました。彼女たちの感情の動きは人間と何ら変わることがありません。そんな彼女たちには、正直言うと私も日々戸惑い、悩むばかりなのです』

感心したような雰囲気が広がる。実際、艦娘と接することが無ければ分からない部分だ。

 

『このたび日本を出て、この地で艦娘とブルネイの人たちと共に戦いました。そこで多く悟りました。そして艦娘だけでなく、この地の人たちとも絆が深まったと思うのです。この出会いに、そして私たちの働きに対しての身に余る表彰には改めて心から感謝します』

拍手を仕掛ける夕立、それにつられて会場も拍手。良いけどね、まだまだ続くぞ。

 

『この地で培った絆は私たちを宗教や主義・思想を越えて、ひとつの家族のように結び付けてくれることでしょう。ブルネイの皆様、同じ軍人たち、そして艦娘と共に手を取って一日も早く戦争終結というゴールを目指して参りたいと思います。短いですが、この場にご参席下さって本当に、有難うございました」

ここで私は、再び深々と頭を下げた。会場からは拍手。ただ先の会場ほど人数が居ないせいか、あるいはVIPだからだろうか。さほど激しい拍手ではない。

 

私としては珍しく笑いを取った演説だったが。何となく、演説とは自分だけが一方的に話すものではないのだと、当たり前のことに気付いた。見ると、夕立を始め、艦娘たちも、喜んでくれたようだ。やれやれ、これで大きな演説の機会は終了かな。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ5ん」とは
「美保鎮守府:第五部」の略称です。
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