マイ「艦これ」「ブルネイの旭日」(第5部)   作:しろっこ

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提督は美保鎮守府の艦娘たちの班長である金剛と日向を呼び、出撃準備を伝える。二人とも改めて決意を固めるのだった。午後から始まる演習を前にして提督たちは、同時に予想される敵の攻撃への対応に追われていた。そこにドイツ兵と艦娘が来た。彼らは意外な行動をしていた。やがて点呼を取る金剛が急に凛々しく見えた提督だったが、ブルネイ泊地から提供された作戦指揮車には、ちょっと戸惑うのだった。


第4話(改)<艦娘の決意と情報戦>

「君は……人間以上なんだな」

 

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「艦これ」的「ブルネイの旭日」(みほ5ん)

:第4話(改)<艦娘の決意と情報戦>

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<<広場:専守防衛>>

 

私は直ぐに祥高さんに言って、美保鎮守府側の班長である金剛と日向を呼ばせた。日向は相変わらずのポーカーフェイスだ。しかし私のただならぬ気配を感じたのか、いつもは賑やかな金剛も意外と神妙な顔つきでやってきた。

 

私は直ぐに二人に言った。

「私の一存で、お前たちを動かすのは忍びないが、どうしても午後の演習が平穏無事に終わるとは思えない。最悪、戦端が開かれることを覚悟して欲しい」

 

「深海棲艦が来るデスか?」

凛々しい顔をして金剛が言う。ウム、こういうマジメな金剛も良いじゃないか……って、いかん、いかん!妄想禁止だぞ!

 

私は内心自戒しつつ続けた。

「かなりの確率で来るだろう……ただ気になるのは、交戦する相手が深海棲艦だけでは無い恐れがあるということだ」

 

日向が言う。

「どういう意味でしょうか?」

 

私は続ける。

「このブルネイはシナ……仮想敵国であるが、あの国が設定する”防衛線”上にある。彼らは”第一列島線”と呼んでいるらしいが、その同じライン上に、わが国も位置している。つまり彼らから見ればブルネイとわが国は同じ位置関係にある。しかしわが国には、お前たちも含めた海軍と空軍、陸軍という強力な軍事力があり、あの国も簡単には手を出せない。しかし、このブルネイは、まだほとんど軍備が無い」

 

かいつまんで伝えたが、さすがこの二人は軍人であり班長だ。私の言わんとすることは直ぐに悟ってくれたようだ。金剛はちょっと考えるように、唇に手を当てながら、やがて口を開いた。

「それは……深海棲艦でなくても、攻撃してもイイということデスか?」

 

重いひと言だな。私は額に手を当てて答える。

「それは状況による。まず向こうから攻撃してこない人間に対する発砲許可は、私も出せない。しかし、わが国が今は専守防衛だとしても、それはあくまでも相手が攻撃してこない場合だけだ」

 

「つまり……そういうことですか」

日向がそう言いながら悟ったように淡々と答える。前髪がサラサラと風になびいている。お前はいつもどおりだな。

 

彼女の落ち着いた瞳を見て、うなづいた後に私は続けた。

「命令だ。お前たちを中心に待機可能な艦娘全員で、直ぐに出撃埠頭へ向かう。そこで臨戦態勢にて備えて欲しい」

 

『ハッ』

二人は敬礼をした。私は返礼した。

 

だが、私は思わず呟くように言った。

「何だか、この状況は美保鎮守府そのものだな……こちらが直接攻撃を受けない限り手を出せない状況だ。だからこそ金剛、お前の現場の判断力に期待する。今日は、これからどうなるか正直、分からない」

 

そこで改めて、金剛の目を見ながら言った。

「金剛、ここブルネイでの美保鎮守府、全艦隊の旗艦を引受けてくれるか?」

 

それまで神妙な顔つきだった金剛が、急に笑顔になった。そして決意を固めたような良い目をした。頭の被り物が太陽を反射してキラキラと輝く。

「任せるデ~ス!」

 

それを見て日向も微笑んでいた。よし、行けるな。

 

<<広場:作戦司令部>>

 

正装の五月雨がやってきて敬礼をした。私も返すと彼女は続けた。

「ブルネイ司令からのご伝言です。午後の演習以外の警戒行動にあったっては、すべての艦隊指揮権を美保司令に一任いたします。そして有事の際は全権を自動的に美保司令に移管いたします。これは防衛次官、長官、そして内閣総理大臣も承認の上です。なおこれは重要機密事項となります」

 

「承知した」

急に肩が重くなった気分だ。

 

「ブルネイ司令は、鎮守府から作戦司令部として作戦指揮車を準備して、こちらへ向かっています。ブルネイ司令はこのまま演習指揮を担当し、美保司令には作戦指揮車内での警戒部隊の指揮を、お願いいたします。警戒本部は、この広場を撤収して設置します」

 

「了解」

なんだ、さすがブルネイは大きいな。野戦用の指揮車まであるのか。美保にも、いつかそんな車両が欲しいな。いや、その前に軍用車の2台目、次官に直訴したら予算つけてくれるかな……いかん、この緊迫時に余計な妄想を膨らませてしまった。

 

「へい、司令サン、トラックでお迎えに来たヨ」

あの男性……ブルネイ司令の義兄が来た。手回しが良いな。金剛と日向は直ぐに、美保のメンバーを招集している。五月雨は、ブルネイ側の艦娘たちを集めている。

すぐに、広場には日の丸をつけた作戦指揮車が乗り入れて来た。各国の武官たちも、ただならぬ様子に目を丸くしている。

 

良いなあ~この車、格好良いぞ。実物を見ると、やっぱり美保にも一台欲しい……(笑)

 

<<広場:第一列島線>>

 

日の丸をつけた作戦指揮車からブルネイ司令が降りてきた。

「おう、待たせたな」

 

しかし正装で作戦指揮車から降りてくるというのも、妙な光景といえば妙だな。

 

「何だよ、その目は!おかしいか?だいたいな、言いだしっぺは、お前なんだぞ~」

私の気持ちを察したのか、彼は苦笑いしながら言った。

 

「す、すまん」

思わず謝罪してしまった。

 

だが彼は、急に真面目な顔になって続けた。

「でもな、俺もこのままで終わるとは思えん。多分、現場の人間は皆が、そう感じていたことだろう。俺も正直、誰かが言い出さないかな~って思っていた。それにアレを見ろ」

 

彼が指差した川面には、多くのボートやヨットが浮かんでいる。岸壁にもたくさんの見物客が見える。

「まずいな」

 

「だろう。敵が来るのは仕方ないとしても、民間人を巻き込むのは防ぎたい。問題は深海棲艦ではなく、仮想敵国がどう動くかだ」

 

「やはり、お前もそう思うか?」

 

彼は腕を組んだ。

「ああ、このブルネイだけではない。あのフィリピンだって、シナが主張する第一列島線上にあるんだ。今回、彼らが特使を派遣したのも緊張感の現われだと思うぞ」

 

「そうか」

私は安来の画家を思い出していたが、それは口実に過ぎなかったのかも知れない。やはり国防担当者としては、国家の安全保障を真っ先に考えるのは当然だ。

 

「深海棲艦だけなら、話は早いんだがな。まったく~厄介な連中だ」

やはり美保の田舎とは違った、ブルネイならではの緊張感を肌で感じた。

 

私は彼に聞いた。

「だがフィリピンには米国が駐留していただろう」

 

しかし、彼は肩をすくめた。

「あれは撤退するらしいぞ。だからあの特使も、気が気でないのだろう」

 

「そうなのか」

なんだ、日本には伝わっていない情報だな。

 

「本土に居るからって油断するなよ。シナの連中は甘く無いぞ。世界中に人民のネットワークがあるからな。このブルネイだって……いや、日本の、お前のいる美保だって例外じゃないんだぞ」

 

「そうか。考えが甘かったな」

 

「本省が、お前たちを演習に出したのは、そういう世界の現状を知ることもあったかも知れんな」

 

「そうだな。内地に居るばかりじゃ分からない。現地でこそ感じる肌感覚ってのもあるな」

 

「そうだ。ただ、それが悪い方向に行かないことを願うばかりだ」

彼は五月雨を見て、持っていたカバンを渡しながら続けた。

 

「指揮車のオペレーターとして中に技師が居る。有事にでもならなければ基本的に、お前は通信を聞いているだけで良い。まあ事が起きたら、私もこの車に戻るよ……そうならないことを祈るばかりだがな」

そう言って彼は五月雨と共に広場横の建物に入って行った。

 

<<ドイツ兵:海図>>

 

各国の武官たちも、その建物に戻る者、郊外の公園に向かう者など分かれている。さっきから羽黒さんが、案内で走り回っている。郊外までは、シャトルバスが出るらしいな。それに相手は武官だ。機密情報もある。案内役を適当な者に頼めないのは、ちょっとつらいところだな。

 

つかつかとドイツの武官が寄ってきた。傍らには艦娘を連れている。

『何か起こりそうな気配ですね』

 

『分かりますか?』

さすが諜報部だな、感覚が鋭い。

 

だが彼は笑って言った。

『いや最初に異変に気付いたのはこの艦娘ですよ。私たちは午後は郊外の川べりの公園で見学することにしますよ』

 

『なるほど』

彼の表情を見れば、見学だけで終わるわけが無いのは何となく分かる。

 

私は”かま”をかけた。

『その艦娘は、初めての水域でも大丈夫なんですか?』

 

彼は、ニヤっと笑った。

『この一帯の海底は昨日から、この艦娘が自主的に調査済みですよ。午前中に休んでいたのは、その疲れもありますが、ずっとこの艦娘が海図データをまとめていたからです』

 

なるほど。抜かりが無いな。もうちょっと早く、彼らに出会っていれば、水上集落への襲撃は防げたかも知れないと思うと複雑な気持ちだ。

 

『郊外の会場までは軍の送迎バスが出るそうですから、私たちはそちらへ向かいます』

そう言いつつ彼は敬礼をした。私も返した。

 

彼らが立ち去ろうとしたとき、そのドイツの艦娘が私の袖を引っ張る。

『ん?』

 

その艦娘が耳を貸せという素振りをするので、私はしゃがんだ。するとその艦娘は言った。

『海図データ、秘書艦に渡した』

 

それだけ言うと彼女はドイツ兵の元へ走り去った。ドイツ兵は、それを見て軽く手を上げた。なるほど恩に着るよドイツ。さすがだ。

ふと”先手必勝”という言葉が思い浮かんだ。

 

振り返ると祥高さんも微笑んで、ドイツの艦娘に手を振っている。落ち着いたら、絶対ドイツへも表敬訪問したいものだな。

 

<<広場:点呼完了>>

 

向こうを見ると、艦娘たちがトラックへ向かってゾロゾロと移動している。あの陽気なブルネイ男性(鎮守府の職員だったよな)もいるな。

 

すぐに、金剛が走ってきた。そういえばこいつには、何度も痴話喧嘩みたいなことで追い掛け回されたことはあるよな。でも純粋に任務のために走る姿を見るのは極めて珍しい。その姿は実に美しいと思う。

 

ちょっと息を切らせながら私の前まで来た彼女は、敬礼をして報告する。

「金剛班、日向班およびブルネイメンバーの集合、点呼完了致しました!これより、警戒出撃の準備に掛かります!」

 

「了解、よろしく頼む」

私が返すと、彼女はちょっと得意げな表情をした。そして南国の陽を浴びて全身から目映いばかりの凛々しいオーラを発散しながら回れ右をして、向こうのトラックへ向けて再び駆け出して行った。

その後姿を見ながら、なんだ金剛だってやれば出来るんじゃないか?そう思わずには居られなかった。

まったくあの娘はムラがあるよな。でも、基本的な実力はあるんだから、そのあたりの信頼感は強いものがある。

 

「彼女、変わりましたね」

私の隣に来た祥高さんが言った。

 

「そうだな。責任感が人を成長させる……あ、彼女は艦娘か。でも艦娘も人も本質は変わらないな」

私が言うと、彼女は応える。

 

「もう司令は分かって居られるでしょうけど、艦娘は誰もが一途です。それが良い方向に進めば素晴らしい成果を上げますし、逆に行けば破滅的な結末を迎えることがあります。私も轟沈しかけて、それは痛感しました。だから方向性だけは間違わないように。それは私自身いつも肝に銘じています」

風で彼女の前髪も揺れている。それを見ながら私は言った。

 

「君は……人間以上なんだな」

 

「そ、そんなことは……」

ああ、またやってしまった。彼女は真っ赤になってしまった。

 

でもこういう一途さ、迷いの無い純粋さこそが艦娘の素晴らしい特性だ。それがまた兵士としての艦娘の最高の性稟(せいひん)だと思うのだ。

 

目的もなく迷い、彷徨ったあげくに国家間で無意味な争いを続ける人間。それよりも、純粋な彼女たちのほうがよほど、幸せなのかもしれない。

 

<<広場:指揮車>>

 

広場ではバーベキューやバイキング設備の撤収も終わり、各国の武官たちもそれぞれ、移動して閑散とし始めている。ドイツは既に郊外へ向かっただろうし、あのイタリアも姿が見えないから、どこかへ行ったのだろう。

 

「金剛たちは鎮守府へ到着。準備に掛かるそうです」

祥高さんが受電して、私に報告する。

 

「了解。私たちも入ろうか」

彼女に声をかけながら、指揮車を見上げる。そういえば、作戦指揮専用の車なんて初めてだな。だいたい海軍では艦艇で指揮をするから、こういう野戦用の車両は本来不要なんだが。将来、艦娘が増えることを見越して導入したのだろうか?

 

だがドアを開けようとしていきなり焦る。

「あれ?」

 

ドアが開かない。ロックされているようだ。私が入り口で右往左往していると、インターフォンか何かから声がする。

「ああ、スンません。今開けますから」

 

あの技師だな。そうか、セキュリティも万全なわけだ。最新型じゃないか?これ。ガコンというような音がしてロックが外れてたらしい。私はドアを開けて、祥高さんと一緒に中に入る。中には無線機だのモニター何だの、ややこしそうな機械類で満載だった。何となくレントゲン車を連想する自分が微笑ましかった。

 

「いやぁ~失礼しました。こちらでも、ほとんど運用していなかったので、ちょっと不慣れでして」

うん、ちょっとばかり先が思いやられるよ。

 

「適当に座ってください。しばらくは、無線を聞くだけだと思いますから」

技師は、いくつかあるオペレーター席を指差した。しかしメカオンチには頭の痛くなりそうな車両だな。無線機も最新型っぽいし、モニターもいくつもある。これからの軍隊は、こういう電算化と言うか、いやはや凄く面倒な時代になるんだろうな。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ5ん」とは
「美保鎮守府:第五部」の略称です。
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