マイ「艦これ」「ブルネイの旭日」(第5部)   作:しろっこ

49 / 51
ブルネイ司令や艦娘たちに見送られて鎮守府を出発する美保鎮守府メンバーたちだった。そして……。


第49話<金剛の珈琲>(常新4版)

「あの金剛さんが淹れてくれたんですよ」

 

------------------------------------------

オトナ「艦これ」「ブルネイの旭日」(みほ5ん)

:第49話<金剛の珈琲>(常新4版)

------------------------------------------

 

<<リムジンバス:司令の涙>>

 

ブルネイ比叡の後姿を見送っていたら、なぜか五月雨が重なってつい涙が出そうになった。すると私の斜め前の開いたスペースでカメラを構えていた青葉に目ざとく発見されてしまったようで視線が合ってしまった。

 

ちょっと恥ずかしかったが彼女は何も言わずに軽く微笑んだ。何か分かったのかな?……そういえば青葉も三途の川の辺(ほとり)まで逝って戻った組だからな。五月雨とは通じる世界があるのかもしれない。

 

ブルネイ比叡が降りた後、バスの運転手と車掌さんが軽くチェックをする。

やがて車掌さんが英語で案内をする。

『お待たせ致しました。ただいまよりこのバスは空港へ向けて出発いたします。所要時間は30分ほど。なお空港まではブルネイ警察及び王室警備隊がエスコートいたします』

 

英語の分かる艦娘たちから感嘆の声が上がる。すぐに英語の通じない艦娘たちにも概要が伝達され時間差で歓声が上がる。

私も”玉座”から少し立ち上がって窓の外を見た。バスが動き出すと車窓からは手を振るブルネイ司令やあの技師に職員そしてブルネイで誕生した艦娘たちが見える。

 

天龍に山城さん、加賀さんに榛名さんか。あとはいつもの漣と、電ちゃん。あれからは新規の建造はしなかったようだけど、私たちが出発したらまたドンドン建造していくのだろう。そしてココも大きな鎮守府になるんだ。

 

車内からも手を振る艦娘たち。そうか……リムジンバスは窓が開かないんだよな。

 

やがて鎮守府の敷地から出ると外で待機していたらしいブルネイ警察や王室警備隊らしき車両がバスの前と後ろに連なった。驚いたのはパレードでも何でもないのに鎮守府玄関近くの沿道には私たちの出発を見送る人たちが結構立っていて手を振っていることだ。誰かが告知したのだろうけど本当に感謝されたのだな。改めて襟を正す想いだ。

 

艦娘たちも窓の外を見て歓声を上げたり手を振っている。美保でも本土でも、こういうことはなかったから艦娘たちにとっても、この歓迎振りは良い体験になるだろう。軍人としての責務を果たして目に見える形で感謝される。これほど誇らしいことはない。いかん、思わずまた涙が……。

 

ふと顔を上げるとまた青葉と……その隣に居た日向と目が合ってしまった。彼女たちは微笑みで返してくれた。そうだよな、今回は外的には軍事演習ではあったが内的にも私と艦娘たちとの関係が深まった。いいわば心の演習だったのかも知れない。私だけじゃない。彼女たちにとっても得るものが大きかったことだろう。

 

<<リムジンバス:金剛の珈琲>>

 

空港まではさほど時間もかからないだろう。だが車内の艦娘たちは喋ったり備え付けのお菓子やジュース、珈琲を勝手に飲み食いしている。まあ、そういうのに真っ先に手を付けるのは比叡や金剛、夕立辺りだけど……あ!何食わぬ顔で手だけは盛んにおつまみ攻撃をする赤城さんが居たっけ。

 

彼女を見ていると美保にも加賀さんが来ないかなあ~って思ってしまう。姉妹艦ではないんだけど同じ一航戦。二人の絆には独特のものがあるし赤城さん自身、本当に打ち解けて話せそうなのは加賀さんくらいだろう。

 

「どうぞ」

祥高さんが珈琲を淹れてくれた。

 

「ありがとう」

そうか、王室関係のバスなら珈琲も最高級では無いか?あ……。

 

「これってインスタントだよね?」

思わず聞いてしまった。

 

「いえ、このバスの1階部分に簡単な厨房があって、そこに専用の珈琲サーバーがありました。これはあの金剛さんが淹れてくれたんですよ」

そう言って彼女は微笑んだ。

 

そういえばさっきから妙に静かだと思ったら金剛と比叡の姿がなかったな。そうかこのバスは2階建てだから1階部分にはそんな設備まで備わっているのか……しかし意外だな。いつも”紅茶が”とか言っている金剛なのに。しかもあの二人が自発的に給仕を買って出るとは。

 

私は気になっていたことを祥高さんに聞いた。

「そういえば金剛って最近ちょっと様子がおかしいと思わないか?」

 

彼女はちょっと考えるそぶりを見せた。

「そうですね……ちょっと以前より……といっても着任してからのことしか分かりませんが、確かに着任当初とは少し変わった感じはしますね」

 

「特にこのブルネイに着てから大きく変わったように思うんだが」

私の問いかけに彼女は軽くうなづいた。

 

「仰るとおりだと思います」

やっぱりそうか。私は珈琲をすすった。その金剛が淹れたと思うとなおさら美味しいぞ。

 




--------------------------------------
※これは「艦これ」の二次創作です。
---------------------------------------
サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
---------------------------------------
PS:「みほ5ん」とは
「美保鎮守府:第五部」の略称です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。