マイ「艦これ」「ブルネイの旭日」(第5部)   作:しろっこ

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半ば暴走気味の次官の勢いに圧倒される提督と秘書艦だったが、横須賀での昔話は興味深いものがあった。突然、ドイツの艦娘から、緊急無線が入る。次の瞬間、指揮車内の各警報が鳴り始める。ブルネイの天龍や、金剛たちに、緊急警報が通じてない可能性を察知した提督は、とっさにある行動に出た。だが青葉のことも気になっていた。



第6話(改)<急転回>

「戦艦に、空母多数……早く逃げて!」

 

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「艦これ」的「ブルネイの旭日」(みほ5ん)

:第6話(改)<急展開>

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<<指揮車内:本土から遠く>>

 

「でも私は感謝してますよ」

今まで、寡黙だった技師が言葉を発した。

 

「中央に近いと、あっちからの雑用というか雑音が増えるんですよね。でもここでは、本当に開発に専念できます。設備も予算も充実してますしブルネイ司令も、とても理解がありますし。次官には本当に感謝しています。」

 

それを聞いた次官は、安心したような表情になった。

「本当か?いやぁ、それを聞くとホッとするね。左遷されたんじゃないかと、誤解されてやしないか、内心ビクビクしていたんだ」

 

そう言いながら、次官は立ち上がると技師の手を握った。

「今回、演習の提案が通ってから、是非とも現地の様子を見たいと思ってね。特にスタッフの意見を聞きたかったんだ。いや良かった、安心したよ」

 

技師も感動したように答えている。

「いやいや、左遷だなんて。ここは環境も良いですし現地スタッフも親日的で本土に居るよりもむしろ、過ごしやすいですよ」

 

なるほど~。それに比べると美保は雑音が少ないだけで、ちょっと狭いし、気候も夏は暑く冬は湿気が多い。おまけに田舎だから環境的には不利かな?貧乏くじといったら技術参謀に失礼か。

私は内心、苦笑して思わず祥高さんを見た。ちょうど彼女も肩をすくめるようにしながら、こちらを見て苦笑いしていた。多分、同じことを考えていたな。

 

次官は技師に問いかけている。

「お前は単身赴任なんだろ?」

 

「はい、家内も本土が良いって言うもので。まあ、そのほうが気楽で良いですよ」

もう演習そっちのけで同窓会みたいになってきたな。

 

次官は私をチラ見しながら続ける。

「ブルネイ司令は家庭持ちだったな……確かこっちで奥さんもらってたような」

 

一瞬間が空く。誰も答えない……これって、私が答えるのか?

「あ……はい、そのようです。娘が居るとか」

 

私は慌てて答えたが、次官は私の答えを待っていたかのようにニヤニヤしている。

「ときに美保司令は、独身らしいな。鎮守府の提督にしては珍しい」

 

「はあ」

次官は、どうなんだよ?と思う間もなく彼は答えた。

 

<<指揮車内:ケッコン話>>

 

「あ~あ、オレもケッコン早まったな~。艦娘ともう少し早く出会っていたら絶対、艦娘とケッコンしたかったよ」

何を言い出すんだ?この次官は。

 

空調は効いているはずだが、次官はついにネクタイを外してカッターシャツのボタンを外しながら言った。白熱してきたな。

「横須賀で祥高に初めて出会ったとき、正直”しまった”って思ったよ。美人だもんな、祥高は」

 

よくもまあ、本人を目の前にして、そういう発言が出来るものだな。でも祥高さんは、まったく表情を変えずに淡々と答える。

「そうですか?」

 

「そうだよ~」

次官はひざを叩いた。もうノリノリだな。

 

「横須賀の幹部の間じゃ、祥高三姉妹を誰がゲットするか、噂だったんだぜ。結局、技術参謀(姉)がゴールインして、しばらくしたら君は轟沈しかけて消えるし。残った作戦参謀(妹)、アレは頭が良すぎるからなあ~」

何だソレは?と思いつつ、やはり祥高さんが三途の川を渡りかけたことは、彼も知らないようだな。

 

「お姉さんを差し置いて祥高型という名前を流布させたのはオレが言い出したことなんだ。だいたい三姉妹の中では性格も性能も、あと艤装も一番バランスが良かったからな」

そう言いながら次官は、やっぱり扇子を取り出して、扇ぎ始めた。こういうタイプは、そのうち政治家にでもなるんだろうな。まあ、元軍人なら大いに構わないけどね。

 

「まあ今さら君をどうこうは言わないよ。オレだって家庭があるし。今後のキャリアを思えば、スキャンダルはご法度だ」

やっぱり次官は、いずれ政治家を狙っているようだな。

 

「でもね」

彼は急に真顔になった。

 

「恋愛感情抜きで、今でも君の事は尊敬しているんだよ。だから廃棄される予定だった君の艤装を壊さずに、ここに避難させたのもオレだ。その気持ちは頭の片隅にでも、留めてくれれば本望さ」

キザな奴。

 

でも、祥高さんは頭を下げた。

「ありがとうございます。そう思って頂けるだけでも光栄です」

 

その言葉に、彼はちょっと満足したようだ。

「昔から恋愛ごとにはツレなかったよな、君は。まあ、そこが良いとも言える。そうでなければ、他の艦娘たちに慕われることも無いだろう」

 

「慕う?」

思わず聞いてしまった。次官は続ける。

 

「ああ、今回脱走騒ぎを起こした秋雲は、変わり者だが祥高をずっと慕っていたらしい。どこかで祥高が美保に居ることを聞いて、今回の巻雲の人事だろ?居ても立っても居られなくなったという話を横から聞いているんだ」

 

それは初耳だ。だが祥高さんは呟いた。

「そうですか、あの娘、やっぱり……」

 

そのとき、無線機の一台がアラート信号を出した。緊急事態?赤い点滅ランプを確認して、すぐに技師が回線をつないだ。

「はい、こちら司令部」

 

「なんだ?この緊急回線を知っているのは、政府か本省だけだぞ?」

次官は怪訝な顔をしている。だが、もっと驚いたのは無線の相手だった。

 

『美保の提督サン……』

あれ?英語……あのドイツの艦娘じゃないか?

 

<<指揮車内:アラート信号>>

 

『どうした?』

私は思わず英語で無線に出た。

 

『緊急事態……敵の潜望鏡発見。近海に敵の潜水艦が多数潜伏中』

 

「なんだ?敵が居るって?ブルネイ軍も哨戒しているはずだぞ?」

次官は腑に落ちない顔をしている。

 

今度は別の無線機でアラート信号を検知。

「……司令」

 

私は直ぐに、次の無線機に応える。

「寛代か?どうした!」

 

「……敵」

 

「潜水艦か?」

 

「……それもあるけど」

それもある……って、どういうことだ?

 

また別の無線機が反応する。今度はアラートではない、通常の無線だ。

「はい……」

 

名乗る前に、相手が叫んでいる。青葉か?

「司令!沖のタンカー、あれマズイよ!」

 

「何だ?事実を報告しろ!」

 

「国籍は不明。普通のタンカーだけど、艦娘が……敵が乗っている!」

 

「ええ?」

 

「戦艦に、空母多数……早く逃げてェ!」

その声は、激しいノイズにかき消された。

 

「青葉……」

 

<<指揮車内:敵襲>>

 

呆然となりかけていた私に構わず、直ぐに別の警報が鳴り出す。

「今度は何だ!」

 

振り返ると、レシーバーを手にした次官が叫ぶ。

「これは警戒信号だ。かなりレベルが高い、ちょっと借りるぞ!」

 

次官は、手近な無線機を操作している。しかし直ぐにレシーバーを投げ出して立ち上がった。

 

「だめだ妨害電波だ!この付近一帯は、遠距離無線が使えない状態だ」

叫んだ彼は、すぐに私に言った。

 

「司令、後は頼む!事前に根回ししておいて正解だったな。次官権限で、いまこの時刻からお前に、このブルネイ近海の全帝国海軍への指揮権を発令する。私は海外武官たちを避難させてくる」

そう言うなり、彼は車外へ出て行った。

 

「私も、念のために準備をします」

祥高さんも、後ろに立てかけてあった例の機銃を手にとって、チェックを始めている。私は技師に言った。

 

「すぐに全回線へ向けて緊急警報発令。敵が迫っていることと警察関係者は民間人の避難誘導、艦娘や軍関係は、臨戦態勢を取るよう頼む」

 

「了解」

技師は直ぐに緊急信号を発信し、ブルネイ泊地から各所へ緊急連絡を依頼。同時に、艦娘たちにも出撃を指令した。

 

「魚雷、来るよ!」

寛代の無線は、やたら入るな。指向性の関係だろうか?

 

「ええ?何だってぇ~?」

ブルネイの天龍が驚いている。やはり緊急信号は向こうには届き難いのか?

 

「どゆことネ?出撃?」

なんだ?金剛たちにも緊急信号が届かないのか?嫌な予感がした。

 

青葉が心配だ。

 

<<指揮車内:緊急警報>>

 

ブルネイの天龍や、金剛への命令伝達に不確実な印象を受けた私は、こちらからのアラート信号が彼女たちに伝達されていない恐れを感じた。私は直ぐに祥高さんに言った。

「祥高さん、君の無線で寛代と直接交信は出来るか?」

 

「はい、恐らく可能です」

 

「ならば、直ぐに寛代と連絡、寛代から艦娘に連絡させてくれ。内容は”緊急警報、敵襲撃。全艦臨戦態勢を取れ”と。それを艦娘だけでなく、このエリア全回線に告知させてくれ」

 

「了解!」

祥高さんは、すぐに窓際に立つと、ぶつぶつと呟き始めた。すぐに、回線がつながったようで、しきりに彼女はうなづいている。やがて通信が終わり、彼女が「伝達終わりました」と言うが早いか、直ぐに車内の無線機がいっせいに寛代の声を受信し始めた。

 

「こちら寛代、敵が来る!全艦、臨戦態勢を取れ!繰り返す。全艦、臨戦態勢を取れ!以上」

あの寛代にしては上出来だ。ただ、私がなぜ直ぐに寛代を連想したのか?何となく祥高さんと血のつながった従姉妹だから、それは直感だ。そして今日は妨害電波の影響か知らないが、どうも無線が通じにくい。ところがなぜか寛代の無線だけは通りが良い。そこに賭けたのだ。

 

私の狙いは的中した。すぐに艦娘たちの反応が来た。

「演習部隊隊長・天龍!緊急事態につき演習中止。すぐに臨戦態勢、全員警戒態勢を取れ!」

 

「金剛、出撃しマース!皆さ~ん付いて来て下さいネ~」

彼女たちの声を聞いて初めて安堵した。祥高さんも、こちらを見てホッとしたような表情を見せている。

 

「何だ?敵襲なのか?」

オンマイクで、会場の作戦参謀の声が入る。同時に会場からは急にバタバタしたような雰囲気に包まれた。武官たちも慌てて浮き足立っているのだろう。だがブルネイ司令や防衛次官、それに技術参謀が大声で慌てないように、会場をなだめている声が薄っすらと入る。英語でも告知が始まった。

それを聞きながら私は再び青葉の事を考えていた。あれから彼女のの通信が一切入らないのが、とても気になる。ただ、青葉の通信が切れる直前、激しいノイズが入った。あれは敵の攻撃によるものなのか?それとも妨害電波なのか?今は判断しかねた。

ただ寛代も青葉から、さほど遠くない位置にいるはずだから、青葉にもし何かあれば寛代が黙ってはいないだろうと思ったが……すぐに私は苦笑した。

「あの寛代では、何が起こっても黙っている可能性もあるよな……」

 

<<指揮車内:作戦司令部の情報>>

 

「そこの壁に、最新型の作戦ボードがあります。お使いになりますか?」

技師が指差した方向に、妙な黒板みたいな板があった。そうだよな。私が作戦指揮を取るのだから、艦娘たちの配置図は必要だよな。

 

「どうやって使うんだ?」

私は聞き返したが、技師も肩をすくめた。

 

「多分、直接ペンで描くだけです。うまくやれば、電算機と連動させたり、無線に載せて情報を送ったりも出来るみたいですが、この有事にはちょっと検証している暇はありませんので、取りあえずそこのペンで書き込んで使ってください」

 

「分かった」

私がアバウトなO型で良かったと思うのは、こういうときだ。きっとA型だと壊すのを恐れて、やっぱり使わないで置こうとか言い出すかもしれない。私はその辺は気にしないから……そう思いつつ、今把握している状況をペンで描き始めた。

 

「この大河の北端に、恐らく敵と謎のタンカー、詳細は不明。演習は、この埠頭の沖合い数キロ。金剛たちは少し離れた鎮守府の地下埠頭から出撃……」

早く、敵の正確な位置、そして潜水艦などの追加情報も欲しいな。あのドイツと直接更新が出来たら良いのだが、彼らはこちらの周波数を知っているけど、こちらから交信できるのかな?

 

そこまで考えて、私は祥高さんが、あのドイツの艦娘から海図データを貰っていたことを思い出した。

「祥高さん、あのドイツから貰ってって言うデータって出せるかな?」

 

「あ、あ……」

彼女も思い出したようだが、そもそも、艦娘のデータってどうやって取るんだ?

 

「艦娘のデータを……」

そこまで言いかけると、技師がすぐに壁の何かの機械装置からコードを引っ張り出した。

 

「これを、彼女に渡してください」

私は技師からケーブルを預かると、それを祥高さんに渡した。彼女は、ショートヘアをかき上げるようなしぐさをして、耳の後ろのあたりの何処かに、そのコードを刺した。

 

「RS-232C端末ですね」

 

「そうですね」

 

「9600まで出せますか?」

 

「これは最新型ですから、いけるでしょう。ダメなら4800に落としますが、そのモードは対応ですよね」

 

「はい。下位互換はあります。でも時間が掛ってしまいますよね」

私には、この二人のやり取りはチンプンカンプンである。しかしさすが祥高さん、自分の通信のことは完璧だな。まあ軍人なんだから、当然のことか。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ5ん」とは
「美保鎮守府:第五部」の略称です。
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