「もうこれが最期かもしれないのだから」
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「艦これ」的「ブルネイの旭日」(みほ5ん)
:第7話(改)<戦闘開始>
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<<攻撃:雷撃>>
そのとき突然、無線機が反応。
「魚雷だ、気をつけろ!散開だっ!」
いきなり天龍が叫ぶ。続けてガリガリという、ノイズが入る。
一瞬間があって、誰かが叫んでいる。
「叢雲、被弾!」
「ごめんね、足手まといで……」
「叢雲ぉ!諦めるなぁ!」
天龍が必死で叫ぶ。
「あぁ!危ないっぽい!逃げてぇ~」
これは夕立か?
「魚雷多数、来るわ!用心して!」
これは?……なんだ夕張さんか?彼女も演習に出ていたのか?
時々ガリガリというノイズが入ってくる。一番沖合いに展開していた演習部隊が真っ先に雷撃を受けているようだ。
「敵、視認!」
誰かが叫ぶと同時に、隣の建物からもざわめきが起きる。この車にはモニターは無いな。私はすぐに運転席へ移動すると、窓を開けて埠頭の向こうに見える海面を双眼鏡で覗いた。
十数キロ先の海面にボンヤリと見覚えのあるシルエットが多数浮かんでいる。
「深海棲艦か!」
陽炎でシルエットしか分からないが、実物でこれだけの数を直接見るのは初めてだ。しかし連中も一気に来たな。はるか沖合いのタンカーに隠れて接近し、一気に畳み掛けてきたのだろう。
どこの国のタンカーか知らないが(想像はできるが)深海棲艦と組むとは厄介なマネをしてくれるな。お前たちの国が、どうなっても知らないぞ。
会場周辺の見物人たちもパニックになっているらしい。警察無線が必死に現地語で叫んでいる。ただ幸か不幸か、彼らの狙いはあくまでも艦娘のようだ。演習部隊のみ集中的に雷撃されている。
「危ない!避けて~」
誰だ?これは。
「叢雲ぉ!」
天龍が叫んでいる。しかし弱々しい声が入る。
「サヨ……ナラ……」
「叢雲……」
若干、呆然としたような声が入る。続けて、ノイズに混じって落ち着いた声。
「叢雲……轟沈」
午前に引き続き、参加していた最上が呟く。何となく重苦しい雰囲気が漂う。だが敵は待ってはくれない。
<<金剛部隊:迎撃>>
「警戒!敵機来襲!」
また最上だ。彼……もとい、彼女は常に冷静だな。さすが索敵娘だ。
すぐに私は無線機の前に戻って叫んだ。
「金剛!聞こえるか?……だめか」
どうもこちらからの無線は通りにくいらしい。妨害電波か何かだろう。やたらとノイズが乗る。
「空母の皆さん、迎撃お願いしマス!」
時々ノイズが混じるが、向こうの通信は、こちらに入るようだ。今日の金剛はしっかりしているな。自分で判断して、すぐに指示を出している。
『了解』
赤城さんと加賀さんか。やっぱり加賀さん欲しいなあ。
「日向サンは、魚雷を狙ってください」
「了解」
「あの……私は?」
「伊勢さんも、お願いしマ~ス!」
「りょ、了解!」
そうか、伊勢の実力は私も分からないが、日向のピンポイント射撃能力は、金剛も確認済みなんだな。
「ちょっと……みんな早いわよ~」
これは扶桑さんか。
「扶桑さん、遅れているのです」
これは、電か。彼女も出撃したのか。
「シット(小声)」
やや間があってから、金剛は続けた。
「扶桑さん、山城さん、遅れても構わないデス。後方からの支援をお願いデス!」
『了解』
そうか、あの姉妹は脚が遅いからな。今のところ金剛の判断は的確だ。なかなかやるな。
「金剛さん、頼もしいですね」
機銃に手をかけながら、祥高さんが言う。
「ああ」
祥高さんも認めるくらい、成長したんだな金剛。
<<金剛部隊:走れ!金剛>>
「前から来る魚雷に注意するネ!」
金剛が言うと、二人の比叡が即応する。
『はい』
何だかな~、この二人は本当に、微笑ましくなるよな~。
「上!うえぇ~!」
漣が叫ぶと同時に、金剛部隊に敵の航空機が襲い掛かった。なに?演習部隊を飛び越えて、金剛部隊を狙っていたのか?
「警戒!いや、散開するネ!」
金剛が叫ぶと同時に、慌てたような空気感が伝わってくる。いつも思うが、艦娘の戦いっていうのは、相手が遠くに居るだけに、やり難さが付きまとう。艦娘との心の距離が重要だと痛感する瞬間だ。
「右舷から魚雷!」
伊勢だろうか?突然大声で叫んだと思ったら、激しいノイズが無線機から入る……いや、待てよ。魚雷って、いまどっちから来たって言った?
「赤城さん、危ない!」
これは誰だ?
「……!」
言葉にならない叫びが聞こえたような気がした。
「加賀さん、被弾……いえ、魚雷複数直撃……」
比叡が叫ぶと同時に、悲鳴が続く。
「上……、いや魚雷も……」
いかん、金剛部隊が敵機と魚雷と、集中攻撃を受けている。しかし魚雷って、どっちから来ているんだ?
「加賀さ~ん!なぜ?なんで……」
赤城さんか?何を動転しているんだ?
「敵機、急降下爆撃!回避、回避~!」
ノイズ多数。
「右舷……いや、左舷からも、潜望鏡!」
誰かが叫ぶ……しまった!あのドイツが言っていた、潜水艦のことを忘れていた!てっきり魚雷は、沖合いからの流れ弾かと……。
だが立て続けにノイズが入り、金剛部隊のメンバーと思われる悲鳴が相次ぐ。
「加賀さん、血が……!」
「大丈夫。私に構わないで早く……迎撃しなさい!赤城!」
加賀さんが大破か?それを見た赤城さんが動転しているらしい。しかし、なぜそんなに?だが拙い、これはかなり拙い状況だ……。くそっ、情報が足りなさ過ぎる。
加賀さんがやられ、赤城さんが攻撃部隊を出せないとなると、金剛部隊は、あまりにも不利だ!
「シット!」
歯軋りするような金剛の叫び声が入る。
だがそこで止まるな金剛!戦場では止まったら終わりだぞ。お前だけでも走り抜け!
<<埠頭付近:囮と犠牲、そして盾>>
そのとき、激しい地響きが伝わってくる。同時に無線機からもノイズが走る。
「……たちが囮になるから、空母は早く逃げなさい」
ブルネイの扶桑さんと、山城さんか?
「なニネ?」
「考えているヒマは無いわよ!早く!」
山城さんか。
「……」
金剛は黙ってしまった。さすがに彼女には囮の是非の判断は出来ないだろう。だが金剛、早く判断しろ!その躊躇が命取りになるんだぞ!
そのとき指揮車のドアを、誰かが激しく叩く。振り返ると作戦参謀とブルネイ司令だ。そうか、こちらへ移るか。私がドアのロックを解除する操作をしかけたとき突然、外で五月雨がブルネイ司令に飛び掛ったように見えた。
「なに?」
ここは機密性が高いため、外の音が聞こえにくい。次の瞬間……何だ?五月雨が倒れたのか?ブルネイ司令が叫んでいる。とにかく私はロックを外した。
「五月雨!」
ドアを開けると同時に外の会話が聞こえてきた。ブルネイ司令は、頭から血を流している五月雨を抱きかかえて叫んでいる。
「銃を!早く!」
作戦参謀が叫んでいる。反射的に何かを察知した祥高さんが、機銃を片手に外へ踊りだす。
「え?」
私は相変わらず状況がつかめていないが、作戦参謀は遠くの建物を指差す。祥高さんは、うなづくや否や手にした機銃を両手で構えた。
直後、機銃の激しい銃声と、あたり一面に散乱するカートリッジ。祥高さんは表情一つ変えずに、その方角へ撃ち放し続ける。その華奢(きゃしゃ)な身体で、よくもまあ、そんな機銃を真っ直ぐ撃てるものだ。やはり彼女は、ただ者ではないと思った。
「よし、仕留めたぞ!」
叫ぶ作戦参謀。
「……」
銃を持ったまま、黙ってその方角を見据えている祥高さんの目は明らかに、いつもとは違っていた。それは、まさにハンターだった。その視線の先に、蜂の巣になった建物が見える。恐ろしい。
ふっと、軍用車の荷台から機銃を撃つ夕立や日向を連想した。これが艦娘の”本気”か。
<<埠頭付近:囮(おとり)>>
私は車外に出ると、祥高さんに言った。
「すぐに寛代を通して伝達、金剛部隊に”囮”を実行させろ!」
「……はい」
前方を凝視していた祥高さんは、ハッとしたような表情になってうなづいた。もちろん私のポリシーとしては、囮はやめて欲しい。だが、このままでは金剛の部隊が全滅する可能性がある。
幸い扶桑さんと山城さんは、まだ戦闘区域外のようだ。囮になっても受ける被害は少ない可能性が高い。
「美保司令!無線が……!」
車のドアから技師が身を乗り出して叫ぶ。私は慌てて振り返ると、車内に取って返して技師が指す無線機に近寄った。
「……は、美保提督に嫌われて居るのは分かります。でもこの艤装も含めて誇りに思っています……。囮でも役に立てるなら本望なのです」
扶桑さんか?私は自分の申し訳なさと浅はかさに胸が潰れそうだ。
すぐに寛代の音声が、すべての無線機に入る。
「美保司令より発令、囮作戦、実施せよ。繰り返す、囮作戦実施!」
敵にもバレバレだが仕方ない。今はこうするしかない。
『了解!』
数人の艦娘が呼応している。すぐさま、また地響きのような轟音が響く。恐らく扶桑さんと山城さんが、派手に発砲しているのだろう。それは哀しみと同時に、誇りを込めて発砲しているように感じられた。胸が痛む。
「敵、3機撃墜!」
「山城、俯角を取りなさい。海中へ向けて撃つわよ」
「了解、お姉さま」
何?日向のマネをするつもりか?それはかなり無理が……
再び轟音と地響き。それは普通の地響きではない。もはや地震に近い。直近の浅瀬にめがけて艦砲射撃をするという、かなり思い切ったことをしているんだ。
「お姉さま、熱い……」
「堪えなさい、もうこれが最期かもしれないのだから」
ただでさえ凄みのある姉妹だが、もはや鬼気迫るものを感じる。
「お姉さま、敵機がこちらに……」
「良いわよ、こっちへ来なさい!迎え撃つわ!対空砲火、用意!」
<<埠頭付近:瀕死の五月雨>>
扶桑さんの無線を聞きながら、私は再び車外へ出る。そこも修羅場になっている。ブルネイ司令は礼服が五月雨の血で真っ赤に染まっている……どうしてこいつは、いつもいつも艦娘の悲惨な場面にばかり出くわすのだろうか?
恐らく敵のスナイパーに狙われていたブルネイ司令を庇った五月雨。当たり所が悪かったか、弾丸は五月雨の頭を直撃。もしブルネイ司令だったら、彼の胸の辺りだったろうが……。
心配した技師も車内から顔を出す。ブルネイ司令が叫んだ。
「おい!鎮守府に技術参謀がいるだろう?すぐに向かいたい。車を手配してくれ!」
「了解!」
技師が顔を引っ込めると同時に、祥高さんが言う。
「司令、私も鎮守府へ向かいます」
「……」
そのときズシンという地響きがした。扶桑さんたちだろうか?
「私の艤装……あれを着けて出ます」
「もう何年も実戦から遠ざかっているのだろう?大丈夫なのか?」
私は思わず応えた。
再び地響きと振動。建物の向こう側で良く見えないが、比較的近い場所の海から黒煙が上がっているのが見えた。あの黒煙は味方なのか、敵なのか?
その黒煙で日が陰る。少し暗くなった中で、祥高さんの決意をした目が、妙に目立つ。それは私に訴えていた。ああ、もはや彼女には何を言っても、止められないだろう。
「分かった。すぐに向かえ」
「了解!」
彼女は機銃を抱えたまま、敬礼をした。私も返した。
直ぐにブルネイ司令の義兄が来た。ブルネイ司令は血まみれのまま、五月雨を抱えてトラックの荷台へ向かう。付き添うようにして祥高さんも機銃を抱え、その後を追う。
何度も地響きがして、黒煙がいくつも立ち上る。ブルネイの町中が騒然としてきた。やや近い場所から、敵の艦載機だろうか?飛行音も響いて来る。
まだ敵が町を攻撃してこないのが幸いだが、いつまでも無傷というわけにはいかないだろう。多少の犠牲は覚悟してでも、この戦いは早く終息させなければなるまい。
しかし敵は艦娘を狙い、提督を狙う。やはり艦娘を中心とした、ここブルネイの帝国海軍を叩いてしまうつもりか?すると鎮守府が狙われるか?……まずいな。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ5ん」とは
「美保鎮守府:第五部」の略称です。