マイ「艦これ」「ブルネイの旭日」(第5部)   作:しろっこ

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ドイツの艦娘からの通信で、敵のミサイル攻撃が再び予想される中、潜水艦娘たちが動き出した。ミサイルを発射している沖のタンカーへ攻撃を仕掛けようとする艦娘たちだったが、敵の防衛線に阻まれ、なかなかうまくいかない。そんな中、海上では伊168と赤城さんの間で緊張が走っていた。そしてドイツの艦娘も攻撃を受けて限界に達していた。戦線はまさに、膠(こう)着状態だった。


第9話(改)<苦戦と膠着>

『大きな船から……早く逃げて』

 

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「艦これ」的「ブルネイの旭日」(みほ5ん)

:第9話(改)<苦戦と膠着>

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<<指揮車内:ドイツの支援>>

 

『ハロウ……』

 

『は、はろ~』

思わずベタな英語になった。防衛次官がハハハと言いながら苦笑している。笑うな!

 

『……提督サン、敵のミサイル来る。大きな船から……早く逃げて』

ノイズが混じるが、現場近くの海からだろうか?途切れ途切れに入る。

 

続けて、別の無線機から男性の声。英語だ。

『聞いたか?司令!あのタンカーでは今、第二波攻撃のための装填が進んでいる。着弾の傾向から敵の狙いは鎮守府と、その周辺設備らしいが、あのミサイルはわが国のコピー品だ。命中精度が悪くて着弾がズレるから気をつけろ!』

 

作戦参謀が呟く。

「これがドイツ武官か。的確な情報、助かるぞ……姉貴に伝える」

 

そう言いつつすぐに通信を始めている。通信相手は技術参謀か。

 

「そうか。するとブルネイ政府や関係機関にも、早く伝えたほうが良いな……羽黒にも会いたいし!」

防衛次官も、そう言いながら上着をつかんで車外へ出て行った。最後の一言が無けりゃ、尊敬できる奴なんだがな。そんな彼が出て行ったときに一瞬開いたドアからは、焦げ臭い匂いが漂ってくる。生々しい感じだ。

 

「……戦場の匂いだな」

通信を終わったらしい作戦参謀が呟く。それには同意する。私も久しぶりだな……艦娘の艦隊司令になってからは、ほとんど戦場には出ていないし。久々に血が騒ぐような、妙な感覚に包まれた。

 

突然、作戦参謀は驚いて、耳の後ろに手を当てている。

「……なに!」

 

彼女は、何かを受信したようだ。最初は驚いていたが直ぐに、何度もうなづいてメモを取っている。やがて彼女は私を見上げて話しかけてきた。

「そのドイツから私に直接通信が来たぞ。タンカーが見える位置にいるドイツの潜水艦娘が攻撃許可を求めているらしい。ドイツは心配して止めているが、その艦娘が打って出るといって聞かないそうだ。苦し紛れに、お前の意向を確認するということだが……どうする?止めてもいいぞ」

 

いや、いきなり振られてもねえ……しかもドイツの艦娘だろ?何かあったらどうするんだ?もしものことがあったら、愛する総統閣下だって悲しむに違いない。

 

<<指揮車内:決断>>

 

ちょっと引いている私だったが、まだ通信中らしい作戦参謀が畳み掛けてくる。

「お前が躊躇する気持ちも分かる。しかし負けると分かっていても抑えきれない感情もある……いや、最終判断は司令であるお前に任せるが」

 

何だよそれ、選択肢ないジャン……ああ!こんなとき秘書艦の祥高さんが居れば、相談できるのになあ~と、つくづく思った。こういう切羽詰った事態でも、恐らく冷静な彼女は貴重だと思う。だがしかし今は一刻を争う事態だ。躊躇することは命取りだ。私は決断した。

「ドイツの協力に感謝、攻撃を許可する。同時に沖にいる全艦隊にも、タンカー攻撃を最優先せよと伝えてくれ!」

 

「了解!」

作戦参謀は、軽く敬礼をすると、通信を始めた。ちょっと間があってから、全ての無線機が反応し始めた。

 

『了解したっぽい~!』

 

『沖の、あの大きな船ね!』

 

『へっへっへ、実戦だぜっ!腕が鳴るぜ!』

 

『やだ~、天龍ちゃん。控えめにネ~』

 

『うっせ~、任せろってんだ!……借りはな、きっちり返すぜ……』

 

『これより、防御しつつ全軍でタンカーへ向かいます。なお、目標周辺には敵防衛部隊多数。各自、十分注意するように!』

最後は現場の祥高さんからだった。敢えて通常無線を使ったようだな。

 

『攻……撃?』

だめだ!こっちの赤城さんは、ずっと呆けている。一体どうしたんだよ?まったく……作戦参謀も、その音声を聞いて顔をしかめているし。頼むから赤城さん、自分の身は自分で護ってくれよ!そこは戦場なんだから。

 

「……はい?」

そのとき、また作戦参謀が反応した。

 

「……ああ、そうか。なに?装備も?……そうか、分かった。待ってくれ、司令に確認する」

彼女は、また顔を上げた。

 

「司令、鎮守府の姉貴からで、泊地に控えていた美保と呉の潜水艦娘たちも、出撃許可を求めている。装備はオッケーだが……どうする?」

 

私は迷わず答えた。

「分かった。すぐに出してくれ」

 

「了解」

作戦参謀は、再び敬礼をすると通信を始めた。

敵のミサイル第二波攻撃までに、ある程度、こちらから攻撃を加えられたら良いが……住民避難の時間稼ぎにもなる。窓から見える町並みは、黒煙に包まれていた。

 

<<タンカー:雷撃>>

 

「ブルネイの地下埠頭より、いましがた伊401と伊168が出撃したそうだ。司令、彼女たちはそのまま沖へ向かわせて良いな?」

作戦参謀が確認を取ってくる。私は少し考えてから答えた。

 

「伊168には途中で赤城さんの様子を見させてくれ。ちょっと心配だ」

それを聞いた参謀は、うなづいた。

 

「そうだ、確かにな……一航戦なのにらしくない。あいつは何を動転しているんだ?」

呟きながら作戦参謀は改めて指示を出している。

 

やがて通信が終わるとホウッとため息をついて彼女は話し始めた。

「しかしそのドイツの諜報部員の情報量はさすがだな。しかも軍用無線への割り込み技術も持っている……我々も彼らを見習って海軍内の諜報部も、もっと強化したいな」

 

「教えてくれるか分かりませんが彼とは意外に話が合って。実は趣味も同じで……」

あ、しまった。つい口が滑って言ってしまった。

 

「なんだそれを早く言えよ!そりゃお前良い機会じゃないか?今度ドイツへ行って教えてもらえよ」

そう言うと思ったけど……誰も教えてもらえるとは言って無いのに。

 

「海軍における武官同士の交流というのは侮れないぞ。私もそれで、けっこう海外とのパイプが出来たからな。そうだ、いい機会じゃないか!今度ドイツへ飛ばしてやろう~」

ちょっとニコニコしながら”飛ばす”だなんて~……表現が微妙なんですけど。

 

そのときタンカー付近の部隊から無線が入り始める。

『だめ!近づけないわ』

 

『かなり強力な防衛線ね』

 

『そりゃそうよ~敵の攻撃の要だもの』

ガリガリと時々ノイズが入る。敵の攻撃を受けているようだ。

 

『……ちっ、小ざかしい!』

沖の部隊は苦戦しているようだな。

 

『みて!あれ……』

誰かが叫ぶと同時に、ノイズが入る。

 

『なに?魚雷?』

 

『見てぇ!タンカーがやられたっぽい!』

 

『あれ?私たちの部隊に潜水艦娘は居ないはずじゃ……』

 

「どうした?状況を報告しろ!」

作戦参謀が叫ぶ。

 

『潜水艦娘だと思いますが、タンカーへ向けて魚雷を発射、船体後部に命中しましたが……致命的ではありません……あ!』

祥高さんが伝えてくるが、通信が中断した。

 

「どうした!?」

叫ぶ作戦参謀。

 

『敵の防衛線を突破した潜水艦娘が、今度は敵からの集中攻撃を受けています!』

 

『みてみて~、顔を出したっぽい!』

 

『あれは?金髪で……わが国の潜水艦娘じゃないぞ』

無線越しに轟音とノイズが走る。

 

『ああ……出来れば、助けたいのですが……』

 

『ダメ、こっちも手一杯よ!』

どうやらドイツの潜水艦娘が敵の袋叩きに遭っているようだ。何とかしてやりたいがどうにもならない……歯がゆい瞬間だ。

 

<<正規空母:呆然>>

 

そのとき別の叫び声が無線に入る。

『加賀さん、だめぇ~』

 

「今度は何だ!」

憤ったように作戦参謀は応えた。

 

『加賀さんが……ああ、沈んじゃダメ……』

赤城さんの悲惨な叫び声に続いて轟音と激しいノイズだ……明らかに赤城さんが攻撃されている。海の方角からも、やや遅れて砲撃音が聞こえる。これはまずいぞ。

 

しかしその加賀さんは量産型とはいえ、もし赤城さんに何かがあればこの海戦で正規空母を一度に2隻も失ってしまうのか?これは痛いな……気がつくと私は自分でもゾッとするくらい冷静に考えていた。

 

そのとき無線に別の声が入った。

『あんた!ふざけてンじゃないわよ!』

 

だ、誰だ?これは……もしかして?

 

続けて激しいノイズと轟音が入る。やや遅れて海のほうからは先ほどとは別の爆発音がいくつも聞こえた。誰かが近海で反撃しているようだ。

どうも赤城さんの周辺で何らかの動きがあったようだな。私はふと戦火の中でただ独り長い髪を振り乱しながら呆然と座り込んでいる赤城さんの姿と沈んでいく敵の艦隊の光景が目に浮かんだ。そこに加賀さんは居ない……。

 

『報告します。伊401です!赤城さん周辺の敵艦隊は、ほぼ殲滅しましたー!』

明るいな。

 

『伊168よ……赤城を確認!え~っと大破はしてるけど、まだ浮いてるようね。だけど加賀は……どこにもいないわ!』

きついなその言い方は。

 

『お願い……』

弱々しく赤城さんが呟く。

 

『私を、雷撃処分してください……』

いきなり何を言い出すんだ?赤城さん。何となく現地でもあっけに取られている伊号たちが目に浮かぶようだ。

 

『私、もうダメ……お役に立てなくて……すみません』

意気消沈している赤城さん。それを遮るように叫ぶ声がした。

 

『あ~、もう、さっきから~!アンタ何様のつもりよ!』

伊168か?ものすごい剣幕で怒っているようだが、こっちはまたどうしたことだ?

 

『お願い……ごめんなさい』

もはや消え入るような赤城さん、おい大丈夫か?

 

一瞬間が空いたのだが、私はただならぬ”気”を、無線機越しに感じた。鳥肌が立った。

『……』

 

あ……やばい気配(殺気)を感じる。これはまずいぞ。おい、くれぐれも早まるな、伊168!雷撃命令は出していないからな!

 

<<海上:殺気>>

 

一瞬、殺気めいたものを無線の向こうに感じた。それは私だけでなく作戦参謀も同じだった。彼女は特に何も言わなかったが少し構えるような素振りを見せていた。恐らく作戦参謀の無線を傍受している祥高さんや技術参謀も同じだろう。

戦闘は継続しているが、ほんの一瞬美保鎮守府艦隊全員の時間が凍りついたような感覚だった。

 

『ちょっと~ねえ168!何する気なの?』

伊401が叫ぶ。現場で何かの動きが……。

 

『……』

無線の向こうでは赤城さんが、半分呆けながらも身構えている感情が伝わってくる……これは、あの舞鶴沖の悪夢の感覚に近い。

 

『どうした!168っ早まるな!命令は出ていないぞ!』

私ではなく作戦参謀が叫んだ。だが無線からは何の応答も無い。何となく168が赤城さんに向かっていることだけは感覚的に伝わってくる。それは、この無線を傍受している艦娘たち全員もまた感じているはずだが、なぜか誰も黙っている。

そして……パシッ!という感じの鈍い音が聞こえてきた。

 

『……!』

何かに驚いたような感情……これは赤城さん。そして怒りのような感情……これは168だな。

 

『雷撃処分される覚悟があるなら……生きな!アンタが沈んだってさぁ誰も喜ばないんだよ!……敵しか笑わないんだ!』

 

『168……』

恐らく168は赤城さんの頬を叩いた。赤城さんは頬を押さえ、目の前に立ちすくむ168を見上げているに違いない。

 

168は半分、泣いたような声で続ける。

『アンタ、空母のくせに勝手なこと……加賀だって悲しんでるよ!……いい加減、頭でなく腹で考えて!理屈じゃ……ないんだ……』

 

ハッとするような感情が伝わって来た……赤城さんだ。また別の感情の動きが伝わってくる。

 

『さあ立って。戦闘は、まだ終わっちゃいないよ』

これは401だ。

 

『……』

赤城さんは無言でうなづいて立ち上がっているのだろう。何となく潜水艦娘たちが安堵してうなづいている空気が伝わってきた。

 

「ホウ~」

珍しく作戦参謀も、ため息をついている。彼女にとっても緊張する瞬間だったようだ。

 

潜水艦娘たちは普段は目立たないが孤独なミッションをこなす戦士たちだ。だからこそ彼女たちには独特の強さがある。赤城さんもちょっとは見習って”浮上”するかな?

 

<<海上:膠(こう)着状態>>

 

『だめぇ~、近づけないっぽい~』

タンカーの組は、相変わらず苦戦している。敵も簡単には突破させないだろう。

 

『くそう、膠着状態か!』

 

『でも~、ちょっとずつ押されているわ~』

 

『早くしないと、あの潜水艦娘も、そろそろ限界よ!』

 

『もう少し、距離が取れれば……』

最後は祥高さんか。彼女の主砲は戦艦クラスだから、至近距離からだと決定打にならないようだ。

 

『後方注意して!敵よ!』

 

『まずいよ~挟まれるよ~』

 

『そんなの、蹴散らすネ~!』

 

『きゃあ~!』

轟音と共に、かなり激しいノイズが聞える。

 

『ひ、比叡さん被弾!』

 

『退避しろォ!比叡!』

天龍が叫ぶ。

 

『……ごめんなさい!』

 

『比叡さん、大破。比叡2号と一時戦線離脱します』

 

『早くしないと第二波が発射される』

 

『瑞雲でタンカーを直接攻撃できませんか?』

 

『だめだよ~、いま敵機の防戦が精一杯でさぁ~……こっちの被害も大きくて』

 

『赤城!今どのあたりだ!』

作戦参謀が叫ぶ。

 

『もう少しです……』

 

『お前の艦載機を飛ばせないか?』

 

『すみません、先ほどの攻撃で飛行甲板が大破していて……』

 

『伊号は?』

 

『赤城さんに随走していますが……』

 

ここで作戦参謀は私を振り返る。

「うかつだった。赤城を投入するのは、これ以上は無理だ。もともと大破だったからな……彼女は引き返させたいが、いま戻すと敵に狙われる。単独では危険だ。もうしばらく様子を見るか?」

 

「そうだな……」

こう着状態。戦場では、もっとも判断が難しい場面だ。何か、一点でいい。流れを変えるポイントがあれば……。

 

そのとき、誰かが叫んだ。

『あれは?』

 

『チャオ~!』

この声って……まさか?

 

「だ、誰?」

現場の艦娘たちも驚いているな。

 

そのとき指揮車の外で誰かがドアを叩いた。そこには防衛次官と隣に居るのは……

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ5ん」とは
「美保鎮守府:第五部」の略称です。
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