私が十六夜咲夜であるために   作:pumpkin

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※16/04/03 注意:投稿当初からは大幅に文章作法の改訂がしてあります。

初めまして、pumpkinまたはかぼちゃと申します。

ずっと読み専門でしたが、ガマンできずこの度ちまちまと書き始めさせて頂きました。

プロローグみたいなものとなり、突然始まります。


プロローグみたいなもの

「あんた、何者?」

 目の前に立ちはだかるメイド服の格好をした少女に博麗の巫女が尋ねる。

「お初にお目にかかります。私、紅魔館のメイド長を勤めております 十六夜咲夜(いざよいさくや) と申します。

 博麗の巫女、博麗霊夢様ですね? 当館へようこそ。お待ちしておりました」

 自己紹介をし、完璧な佇まいで丁寧な一礼をして、少女――――十六夜咲夜と名乗る少女は答えた。

 

「ふーん。で、あんた ナニモノ(・・・・)?」

 

「………………」

 

 しばしの沈黙が流れる。

 しかしそう問われた十六夜咲夜と名乗る少女は依然として静かに佇んでおり、一見して表情が変わらない様に見える。

 少し間をおいて、そのメイドが改めて答えた。

 

「何者とは? 私は紅魔館のメイド。それ以上でもそれ以下でもございません」

 

 霊夢はその答えに言い知れない違和感を感じたが、今はそれに構っている時ではない。

 気を取り直してこのメイドの主を問うた。

 

「フン、まぁいいわ。で、あんたのご主人様はどこ? いますぐこのふざけた異変を止めないとぶち殺すわよ」

 

「お嬢様は上の階でお待ちになっております。ですが、その前に私と一つ手合わせ頂けないでしょうか?」

 

 その台詞と同時に二人の少女が己の目的を果たすべく交錯したのだった。

 

 

 わたしが十六夜咲夜となったのはいつからだろうか?

 

 お嬢様の下で働き、従者として認めてもらえた時?

 お嬢様に拾われ名前を頂いた時?

 

 事実としてはそうだと言える。

 だが、わたしの中での本当の意味では違う。

 

 紅魔館に来るよりもずっと前。

 大雨で表情もわからない中、わたしはあの子と出会ったとき。

 

 

(ヤバい、ヤバいっ死ぬ!)

 

 霊夢が投げた針は頬を掠め、私の頬から血が滴った。

 無数のナイフを投擲し、時間を止めてあらゆる角度、場所から攻撃する。

 

 全方位かつ突発的に飛んでくるナイフを、霊夢は飛びながらまるで舞でも舞うかのように軽々と避け、お返しとばかりに針を投擲してくる。

 

 私のナイフは全て避けられるのに、彼女が投げる針はまるで私の次の行動がわかるかのように狙い済まして飛んでくる為、常にギリギリで避けるのがやっとである。

 

 本来であれば私――十六夜咲夜の十八番というべき無駄の無い攻撃なのだが、私にはそんな芸当は真似出来ないのである。

 

 ――なぜなら私は本物の咲夜さんじゃないから。

 

 いや、この言葉は正確じゃない。

 なぜなら今の私は紛れもなく十六夜咲夜その人なのだから。

 

 いつの日だったか、随分前にわたしはあることをキッカケに十六夜咲夜として生きることになった。その時から十六夜咲夜の名に恥じぬ為に必死に生きているが、如何せんまだまだうまく出来たことの方が少ないのだ。

 

 ビュッ!

 

「っ!」

 

 生死を賭けた戦闘の最中にあろうことか注意をおろそかにしていた為、太腿に針が刺さった。

 

(何を考えているんだ、このままじゃ本当に死んじゃうじゃないか!)

 

 激痛に耐えながら私は必死に無表情を装い霊夢を見る。

 相も変わらず息の一つも切れず余裕そうに佇んでいる。

 

(……このままじゃジリ貧だ、今の私じゃ咲夜さんの様に完璧に捌いて圧倒するなんて真似出来ない。奥の手を使わせてもらう!)

 

 失敗は許されない、霊夢ならもしかしたら命までは取らないでいてくれるかもしれないが、どのみち失敗すれば私は紅魔館で生きていくには相応しくないだろう。

 

 幸か不幸か、霊夢からの攻撃は来ないため、床に着地し、より一層集中する為大きく深呼吸をとる。

 

「あんた、能力はすごいみたいだけど見掛け倒しね。ナイフも数が多いだけでたいしたこと無いわ」

 

 見抜かれた。

 その通り、私はナイフをうまく扱いきれてない。

 それでも表面上は動揺一つとして、決して見せない。

 ナイフが下手でも関係ない、私だけ傷だらけでも気になんかしない。

 どんなにみじめったらしくても私はいかにも余裕そうに笑みを見せる。

 完全なる一方的ではあるがわたしがした約束の為に。

 

「ふふ、少々手加減が過ぎました。――――では、これならどうでしょうか?」

 

 太腿にささった針を強引に抜き捨て、手を高らかに掲げて親指と中指で弾く。

 

 ――――「ザ・ワールド」

 

 パチーン――……

 

 フロア一面に高らかに音が鳴り響いた。

 

「時よ、止まれ」

 

 全ての時間が止まる、全ての生き物もそうでないものも。

 

「…………? なんのつ――――」

 

「そして、時は動き出す」

 

 瞬間、私は霊夢の背後に現れ(・・)、するどい手刀を放つ。

 

 が、霊夢は間一髪でその攻撃を大麻(おおぬさ)でガードした。

 

「なるほど、本命は徒手格闘ってワケね。それにやっぱりあんた自身も突然現れたし、おおかた時を止めてるってところかしら?」

 

(怖い)

 

 霊夢の恐るべき”勘”に恐怖した。もはや予知能力。

 それでも私は微塵も動揺を見せない。正面、横、背後、時に真上からとあらゆる方向から出現し攻撃を繰り出す。

 

「くっ!」

 

 形成は逆転。

 天性のセンスと勘でなんとか攻撃をいなしていた霊夢も押され、少しづつだが反応が送れて攻撃が入るようになってきた。

 

(イケる! このまま押し続ければなんとか勝てる!)

 

「破ぁっ!」

 

 霊夢がよろめいた隙に、必殺の一撃を放つ。

 ……だが当たらない。あろうことか、私の拳は霊夢を()()()した。

 

「『夢想天生』。……まったく、とんだ伏兵ね。使うつもりなんてなかったのに、あんたのせいよ」

 

 『空を飛ぶ程度の能力』。その中でも究極の奥義。

 ありとあらゆるものから宙に”浮き”無敵となった霊夢の周囲には回転する八つの陰陽玉が浮かび上がり、私へと飛来する。

 

 瞬時に飛び退る、八つの弾が追尾弾となって追いかけてくる。

 

(ちょっとまって! これ反則じゃない!?)

 

 ナイフを投擲してもわずかに軌道が変わるだけ。迫ってくる弾を必死に避け続ける。

 避けながらも考える。必死に考える。

 

 しかし打開する策は……………なかった。

 

「ぐっ」

 

 ついに、かわしきれず陰陽玉の一つをくらい、勢いで壁面へとたたきつけられた。

 

「ふう、あぶなかったわ。

 ……ほんとに避けきるんじゃないかと思ったわ」

 

 勝負アリと見た霊夢は満足げな表情で見下ろしてくる。

 もはや、私に動く気力は無い。

 

(あはは、ちゃんと時間制限あったんだ…………。

 でももう終わりか、ごめんなさい――――)

 

 結末とは裏腹に、咲夜はわずかに笑みを浮かべたまま気を失った。

 

 

 それを見た霊夢がムッとして顔を顰めたのを咲夜は知る由もない。

 




このあとレミリア様の登場かと思いきや、続きません。
次は紅霧異変よりも前から始める予定。

途中の回想で一旦終わらせようと思ったのに文字数が足りなくてあとから戦闘描写を無理やり足しました。

パチーンって擬音を文字で見るととてもシュールです。しにたい。

※技名を宣言する描写を追加しました。
弾幕も無い世界なので、情報を知られるのはだめと思いましたが、技名の叫ぶのはロマンだと思いなおしました。


※16/04/04 全話改訂しました。
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