※一部人形に対する残酷な表現があり
念のため。
それはとても不思議なもので、小さな式神は道中その中にあっても消して見失う事は無い。
だが後を追う二人に、そんな事実に対して関心を示す気配は少しも無かった。
半人半霊の魂魄妖夢は、どこか決意した雰囲気を纏い、迷いを捨て余計なものを意識の外へと追い出す。
逆に白黒の魔法使い、霧雨魔理沙は終始思考に没頭し、些事を受け流す、というよりは先ほどから全く頭に入っていない様子。額から冷たい汗を流しその表情からはどこか余裕が感じられない。
どちらも鬼気迫るものがあるのだが、明らかに異常なのは魔理沙の方だった。原因は他でもない、出立間際の八雲藍とのやりとりだ。
その場では素っ気無くやり過ごして見せたが、”狐の忠告”はあれからずっと魔理沙の頭について離れなかった。警戒心から罠やかく乱の類だと訴えつつも、単なる戯言だと切り捨てるには大妖怪の存在は余りにも大きすぎる。もしも真実であるならと今に至るが、答えはいっこうに思い至らず。
だが、それでも魔理沙は思考せずにはいられなかった。
誰でも無い彼女自身が、訴える。
胸を打つ鼓動が不安を募らせ、どれほど自分を言い聞かせてもあの言葉が頭から離れてはくれずに心を掻き乱す。
――こんなところで死んでたまるか。
◆
「――魔理沙。魔理沙? どうやら抜けたみたい」
「え? あぁ。そうか」
妖夢の呼びかけにはすぐには気付けず、何度か名前を呼ばれて漸く私は答えた。そして私は二度気付かされた。まだまだ明るい時間だと思っていたのに辺りはすっかり暗くなっている。それほどまでに私は余裕が無かったのか。
「クソッ」
何を悠長にしていたのか。時間の浪費に自然と口から悪態が飛び出した。
妖夢の姿もぼんやりとしか分からず、慌てて魔方陣を指で描き、パチュリー直伝の簡易魔法で灯りを点した。黄色い明かりに照らされた妖夢とその人魂がはっきりと見えてちょっとした事でも少し安心する。そのまま辺りを見回してみたが、式神も闇に潜む妖怪なども居らず、どうやら二人だけのようだ。
(何やってんだ。霊夢と咲夜は今どこだ? 悩んでる場合じゃない。あいつらが解決する前に早く先に進まないと)
そんな焦りを察してか。正確には先程の悪態に対して妖夢は私を励ましてくれた。
「大丈夫よ、魔理沙。
ううん、何があっても必ずやり遂げてみせる……!」
「あぁ、そうだな。
私は思わず笑みを浮かべた。緊張で凝り固まった頬が幾分解れ、自然と笑みが浮かぶ。おかげで少し冷静になることが出来た。
まずは、現状を把握すべきだ。
「魔理沙、ここどこか分かる?」
妖夢もちょうど同じ事を考えていたのか。
私は魔法でさらに灯りの数を増やし、一度高度を上げる。
いくつか四方に飛ばし周囲を確認すると、幸いにも背後に見える『妖怪の山』から下りてちょうど独特の臭気漂う『魔法の森』の北西辺りに居る事が伺えた。
妖夢の側に灯りを飛ばして、元来たように下りていく。
「ここは妖怪の山を下りて、魔法の森の北西部分に入った所だな」
「そうなんだ。他に春度が高い場所はある?」
他の場所と言われてもわからないな。もともとあまり心当たりは無かったし。ここにいるのは、イタズラ妖精か
「とりあえず西に森を抜けてみようぜ。ちんたらしてたら、面倒な奴に会うしな」
「分かった」
それには敢えて触れず、急ぐほどではないがきびきびと向きを変えて進みだす。
だけど運悪く、懸念していた人物は背後に迫っている。
こういう時に限ってアイツは必ず現れるんだ。
「こんにちわ、魔理沙」
「――――
「魔理沙、探していたの」
「……相変わらず話を聞かないヤツだな」
初めて会った時から決まり決まっていつも同じだ。
人形みたいな形だけの笑顔に、気取った挨拶。
不本意ながらもいつかの恩人に当たるわけだが、私はこいつ、アリス・マーガトロイドがとかく苦手だった。一応同じ魔法使い同士得るものも多いが最近では、意図的に避けている。
なぜなら、
「あの人形、魔理沙に似てる?」
「だからおまえに会うのは嫌だったんだ」
妖夢の疑問が何かはわかりきってる。ちょうど今一番見たくなかったものだ。
「
「おい、私に見せんな。その呼び方もやめろ!」
(やっぱり、今すぐに叩き壊してやろうか)
人形だけならまだしもあの呼び名は私が未だ普通の人間だった頃に、面白がってアリスの奴が付けやがった。普通の奴が魔法の森で死なず生きていけたのはそんなに珍しいのかよ。
でも、一度見逃してしまったのものはなかなか覆せなくなってしまっている。ましてや今は時間も無いんだ。けれど、絶対にアリスの呼ぶあの恥ずかしい呼び名だけは今度止めさせてやると心の中に誓った。
「早く用件を言えよ。私達は急いでるんだ」
「そうだったわ。魔理沙の持つ春を頂戴」
「……へぇ。なんでおまえが知ってんだ?
それに何に使うんだ。どうせお得意の人形だろうけどな」
「まぁ! いつもより冴えてるのね、魔理沙」
「いつもよりは余計だよ!」
まさかとは思うがこいつも異変関係者か?
いったいどんな理由があるのかと身構える。
これまで通り、隣で妖夢も淀みなく警戒しいつでも抜けるように腰を落とす。
私達の春度がほしいって言うなら戦うまでだ。
だけど、ちょっとだけ待ってくれ。
アリスは変人だが、こいつが使える――優秀な奴なのは確かだ。
どうせなら、決闘を始める前に異変のルールを楯に出来るだけ美味い賞品を約束させてやる。
とりあえず、一応確認はしておくか。
「本当に人形の事だけか? まさかおまえが裏で糸を引いてるなんて事はないだろうな?」
するとなぜかアリスは心底不思議そうに見えるように、小首を傾げた。
「魔理沙、頭は大丈夫?」
「いちいち、うるせえよ! 人をおちょくるのが好きな奴だなっ!」
「春度は盲点よ。これまでは擬似的に天候を作り出す研究をしていたのだけれど、今回の発見は次元が違うの」
「はっ、たかだか人形の事だろ。異変に比べたら欠伸が出るぜ」
「魔理沙、可愛いらしいのは素敵だけどお馬鹿さんなのは頂けないわ」
「よし、おまえ今すぐ私が相手してやるっ!!」
分かってはいるんだが、何時もこんな感じでイラつかされてしまう。
だがこれは、私が悪いわけじゃ決して無い。こいつは人をおちょくる天才なんだ。だからこの後に続く長々とした聞きたくも無い説明も全部こいつのせいなんだ。
「見るのと、感じるのでは世界が全く別物なの。春度が高まれば”本物”の春を感じる事が出来るわ。感じるとは真に認識する事。空想だと捉えていた者が現実に成り変わるのよ。本や劇を通して真に現実を感じれば、その物語には”力”が宿る。”本物”になるの。どんなに精巧に似せても”レプリカ”と”オリジナル”を同列に語るのは魔法使い失格よ、魔理沙」
「おい、さらっと最後に私をけなすのは止めろ」
「これは万物のあらゆる物に言えるの。曰くつきの人形、幻想郷では付喪神が有名ね。方法は違えどそこに神が宿ると信仰し、長い年月をかけて人々が確かな存在だと認識すれば―――」
これも何時もの事なので適当に聞き流した。
その饒舌な舌をちょっとでも普段の会話に活かせれば、もっとマシな奴なのにな。適当に相槌を打って、キリの良い所で切り上げてやる。
「――だから、貴方の人形は素晴らしいの」
「そんな事で納得してやるもんか。それで、結局お前は春度の欠片があればその”本物”とやらを生みだせるのか?」
「未だ、出来ないわ」
「じゃあ、私達の方が今は重要だって事だぜ」
「…………」
アリスは何も答えず黙ってしまった。でも、おまえはわかりやすい奴だ。その証拠に傍らの上海人形達がしっかりと地団駄を踏む。さらにどうでも良いが白黒の人形も腕を組み勝ち誇った様子でアリスを見ていた。そんなとこまでしっかりやる根性だけはちょっとは尊敬してやるぜ。
「魔理沙……」
いい加減焦れてきた妖夢に済まないと仕草を一ついれて、簡潔に本題に入る。
「無駄話はここまでだ。異変なら勝負して決めるんだ。私達が勝ったら何をくれる?」
すると人形劇のつもりか、対面に上海人形を向かい合わせ、私を真似て白黒の人形が相応の極太ビームを放った。一瞬大きく発光した後に上海人形が目を回し、残るそこには桃色に発光する小さな欠片が入った小瓶が舞い、白黒人形が器用にキャッチして高々と掲げた。
「それは!」
妖夢が叫ぶ。
いきなり現れた小瓶を目にし、思わず懐を探ってからマジックグラスが無い事に気付く。慌てて代わりにマジックボックスから取り出した私のものと見比べた。
「間違いないな。アリス、そいつをどうした?」
「私も少し集めてみたの。でも全然足りないわ」
「そうか。しかし、それじゃあ私の分に比べても全然足りないぜ?」
そう言ってそのままマジックボックスを示す様に振ってみせる。
妖夢は迷い家で必死に集めていたからもっと多いはずだ。
(さあ、もっと何か良い物をよこせ)
「霊夢やメイド長さんに話した事を教えるわ」
「なにっ!? あいつらに会ったのか! いつだ?」
「少し前」
(くそっ、やっぱりあいつらに抜かされていたか)
迷い家で集めた春度できっと私達の方が多く集まっているだろうが、これはあくまで手がかりだ。先に黒幕に辿り着き解決されちゃ意味が無いぜ。夜もどんどん更けていくし、一旦追いついて、出し抜くチャンスを伺うのも悪くない。
とにかく、決闘の賞品には十分だ。
俄然やる気になり、ここも私がと勢い込んで八卦炉を取り出したところで、突然、目の前に鈍く光る長い刀身が煌いた。
「私の集めた春は渡さない。その春度、渡しなさい!」
心の中で危ないだろとツッコミつつも、とうとう痺れを切らしたらしい妖夢が三度目の正直にして今度こそ刀を抜き放つ。前から思ってたが、妖夢は春度の事になると我を忘れるな。とりあえず引きそうにも無いのでここは譲ってやる事にした。
構えろと哮える妖夢に、ここで初めてアリスは妖夢の方に顔を向ける。
そして先ほどと全く同じ角度でとても不思議そうに見える様に小首を傾げる。
なら、言う事もきっと
「
しかし、その答えは私が全く予想もつかなかったものだった。
◆
「おい、どういう意味だよ……?」
魔理沙が何か口を挟もうとするが、もはや始ってしまった戦いにその余地は無い。二人の距離は会話の時のより少し開け、
黒いベルトにゴツい錠前を着け、しっかりと封が為された魔道書を大事そうに抱き、アリスは利き手を人形達に翳す。
――――『乙女文楽』
翳された上海人形が指揮を執る様に両手を高く振り上げると、彼女のさらに正面には合図に応じ新たに上海人形が三体現れた。
人形達はお互いの手と手を向かい合わせ、糸で繋ぐ様に魔法の光線で一つの線を結ぶ。光線は極限まで細く伸ばされ、その線に触れたものはさながらギロチンの様にムラ無く裁断されてしまうだろう。速度はそれ程速いわけではないが、巧みに交差する動きに避ける事は困難に思えた。
「人形如きに、嘗めるなっ!」
「っ、上海!」
妖夢はアリスのあくまで人形で戦う様を挑発と捉えたのか、八相の構えから宙を蹴り一足で人形達を追い越す様に刀身の恐ろしく長い楼観剣を振り下ろす。その速度は尋常では無い。初めて目の当たりした魔理沙などは宙を蹴った所から刀が止まるまでほとんど見えていなかった。
時間にして斬撃は一度きりに見えたが、瞬く間に閃く剣線は三つ。
三体の人形は吹き飛び、光線はたちまち全ての糸を切られる様に消えてしまう。これは妖夢に斬られたのではなく、的確に狙われる人形達の危機を察知してアリスが庇った結果だ。
されど妖夢は止まらない。
勢いをそのままに妖夢が奥の上海人形、ひいてはアリスへと斬りかかる。
姿勢を戻さずさらに速度を上げた為、剣先が遅れ脇構えの様に刀を引き寄せ逆袈裟に仕掛ける。
「野蛮な子ね」
――――『ソルジャーオブクロス』
突破されても、淀み無く次の手を打つ。
あらかじめ用意していたかのようにアリスは呼び出した。
今度は上海人形ではなく、ゴツい甲冑を着た西洋の兵士人形がいっきに十体も現れ、彼女達を庇う様に妖夢の行く手を塞いでいく。盾と槍、剣、斧を持った兵士達が盾を前に一塊となる隊列を組み、後方から遅れて弓、弩兵の斉射が矢の雨を降らす。
その物量は対一人の剣士に対しては圧倒的。
だが、構わず妖夢は渦中へ敢えて突っ込み、逆に兵の体を矢面に立たせて打ち合いながら止むのを待つ。矢の雨が止めば直ちに鋭い剣戟で十字が描かれた盾を割って迫る槍を掻い潜り切り伏せる。一撃の威力は高いが、隙の大きい斧など物ともしなかった。
「邪魔な……っ!」
それでも、兵士人形達もただでは転ばず。
斬られた半身で得物を投げつけ、果てはその身で覆い被さり、妖夢の特攻は敢え無く失敗に終わった。
身を犠牲にしてまで障害となる兵士人形達に妖夢は悪態を吐くが、物量を敷くも多くの犠牲を払っているはずのアリスは静かに呟いた。
「芸が無いのね」
「なにっ!?」
「貴方の
「貴様……!」
アリスの物言いはまるで魂魄妖夢のこれまでの半生を見て来たかの様だ。しかし、そこには経験に裏づけされた確かな”目”が存在する。”演じる”とはすなわち真似る技術に帰結する。観客を魅了する少々誇張した演技も真に迫る基があっての賜物だ。魔理沙をモデルにした精巧な人形を仕立て上げそれを動かす技術も観察眼も、生半可な努力で培われたものでは決してない。
「私の生き方が面白いかどうかなんてどうでもいい!
おまえを今、この場で斬れば春度が手に入る。それで十分よっ!!」
「忠義高い剣士さんはそれだけで魅力的よ。でも貴方には芯が無いの」
「分かったような口を聞くなっ!」
矢を番えて待ち構えていた弓兵達は再び斉射を開始する。
だが、挑発と分かっていながらも妖夢は更に奥へと踏み込んだ。
一度剣を鞘に納めてその広い間合いに入った瞬間に抜き、振りぬく。
真一文字に閃く剣線が、残る弓兵達を為す術も無く矢ごと切り捨てた。
ようやく開けたアリスないしは上海人形へと続く道を新たに現れた兵士人形達が再び立ち塞ぐ。斬られるとわかっていながらそれが当然であるかの振る舞いは、まるで現実に存在したかの軍のそれだった。得物や体格差どころか技術に圧倒的な差がある。しかし、そんな事は障害にならないとその身を壁にしてでも形振り構わず立ち向かった。
「その子達はかつて聖地を取り戻す為に文字通り、身を盾にして正義を貫いた。そこに偽りは無かったわ」
「…………」
妖夢は答えない。
代わりに振るわれる剣は、あたかもアリスの口を強引にでも閉ざさんとするかのようだ。
――――『博愛のオルレアン人形』
指揮を執っていた上海人形を下げ、これまでとは毛色の違った人形を呼び出す。
舞い降りたのは、蒼い瞳に金の房を編み込んだ騎士人形。
右手で旗のついた長槍を高々と掲げていた。彼女はたかが一騎士にしてその身分は平民過ぎない。されど彼女が一度鼓舞すれば、兵士達各々が十の兵士にも匹敵する。
凄腕の剣士と唯一無二を信ずる数え百の戦士達の激突は、後者へと勢いが傾くかの様に思われた。しかし、数の理を無視して僅かに剣士が押していく。
絶え間なく揺れる白刃が激しい金属音を打ち鳴らしながら僅かに点した魔理沙の明かりで反射し、激しく瞬く。
時折見える妖夢の形相はアリスを決して逃す事は無いが、魔理沙もまた妖夢の姿を追い続けるのだった。
その表情は困惑して見える。
一つは、妖夢の実力に対しての純粋なる驚き。
されど、もう一つは先ほどの質問から。
アリスの言うことだからと取るに足らない事だと考えるが、自然とアリスの言葉に耳を傾けてしまう自分がいた。そうさせるのは妖夢の鬼気迫る形相か。それともこれまであった数々の出来事からか。
とにかく魔理沙は今、アリスの言葉を聞かずにはいられなかった。
そして、残酷にもアリスは事実と言う名の鋭い針を魔理沙の胸へと突き刺した。
「
「うるさい、だまれっ!!!」
「――――降参よ、私の負け」
アリスの目前まで迫った刃は結局届く事はなかった。
切っ先は、アリスの喉元数寸の所で静止する。
しかし、受け止めたのは
決闘において自身に定めた人形を操る事を放棄してしまったアリスは自ら敗北を宣言した。しかしそこに勝者の顔を浮かべた者はいない。
「これは貴方のものよ。霊夢達は冥界へ向かったわ。そこには此の世と思えないほど妖しい桜があるの」
投げ渡される小瓶を勝者の妖夢は無言で受け取った。
◆
「おまえ、あんなに強かったんだな」
「…………」
返事は無い。あれから西を目指し少し時が過ぎた。
その間ずっと、妖夢は無言のままだ。
そして私は未だ切り出せずにいる。
――魔理沙、どうしてその子と一緒にいるの?
決まってるじゃないか。一緒に解決するパートナーだと決めたからだ。
危なっかしくて、怖がりの妖夢は私がついてないと駄目な奴だと思ってた。
今でもそう思う。こいつは想い詰めると何をしでかすかわからない。
まるで
――貴方が魔理沙に手の内を見せないのはなぜ?
偶然、だと思いたい。現に妖夢はあのアリスに勝ったんだ。
悔しいが実力は今の私より上みたいだ。だから技も出すまでも無かったんだろ。
――大丈夫よ、魔理沙。やってみなくちゃわからない
同じ想いだと思っていたがおまえは違ったのか、妖夢。
私はいつだって本気だぞ。能力なんて関係無い。私達人間は弱いから一度諦めたら止まっちまうんだ。
(それとも、半分だけのおまえは違うのかよ)
「……あれが入り口か」
四本の途轍もなく長い柱が雲の上まで貫いているのが見えた。
向きを変えゆっくりと上に昇ると、白い雲を突き抜けやがて巨大な陣を張る結界が姿を現す。そこには人影も三つ。
あいつらだ。
そこで漸く揺らいでいた決心が固まる。
このまま確かめもせずあいつらに会わせるわけにはいかない。
(もしも本当なら、これは私の失敗だ)
そう決意し、心を強く持って振り返ろうとした時。
もう何もかもが遅かった。
「ごめんなさい、魔理沙」
振り返ろうとした私の背中に、刃が滑る音と共に鈍い衝撃が走った。
補足と裏話:
・迷い家③
迷い家には独自の時間軸があり、中で過ごした時間は外では体感の数倍になります。理由は”俗世から逃れ、迷い込んだ家”では無意識のうちに”世の理から逃れ、自ら時を惑わせる”という自作設定。
言い換えるとご都合主義(メメタァ
・アリス・マーガトロイド②
原作のステージ『人形租界の夜』から、租界、つまり外人居留置としてそのまま幻想郷に取り残された存在。外とは魔界の事でいずれは帰りたいと思っているが、それは自身で本物の自律人形を完成させる事で力を証明し、望まれて帰るものだと考えている。
性格や趣味趣向を極端に偏らせたので、使える技も本来先のものから一部を習得済み。
・ソルジャーオブクロスと博愛のオルレアン人形
どちらも有名な軍、聖人から。軍に関して史実では異なる話もありますが、考慮していません。オルレアン人形はわかりにくいですが、鼓舞されると全身体能力強化が掛かると思ってください。
・魔理沙とアリス
面と向かって運が良いと言っているも同然なのは実は今の所アリスだけ。
上記の様にアリスの設定を盛りまくったので原作会話はオマージュなし。
魔理沙は魔法の森でアリスに助けられた過去がある。
※16/07/30 セリフの誤表記、誤字脱字修正。