お昼休みになると私は屋上に向かう前に購買部に立ち寄り飲み物を買うことにした
無事飲み物を買い屋上に向かおうとしたとき後ろから声を掛けられた
「木下せんぱ~い♪」
振り返ると嬉しそうな顔で永姫ちゃんがこっちに向かって走ってきた
「あ、永姫ちゃん。どうしたの?」
「いえ、購買でお昼買いに来ていたら先輩の姿が見えたものでつい♪先輩もお昼買いに来たんですか?」
「ああ、私は飲み物を買いに、ね」
「だったら私とお昼一緒にしませんか?今日は生憎友達みんな先約があって私一人なんですよ、よよよ」
「あはは、そうなんだ。あ!そうだ永姫ちゃん!私友達にお昼誘われてるんだけど一緒に来る?」
「え?でも突然行ったら迷惑じゃないですか?」
「うーん、ちょっと待ってね…」
そう言うと携帯を取り出し秀吉に電話を掛けた
『はい、どうしたのじゃ?姉上?』
「あ、秀吉?あのさお昼のお誘いの件なんだけど後輩の子一人連れって行っても大丈夫かな?」
『うむ、少し待つのじゃ……。来ても大丈夫のようじゃ」
「そう♪分かったわ。それじゃあまた後でね。…来ても大丈夫だってさ♪」
「そうなんですか?うーんどうしよう」
そう言って悩む永姫ちゃん。ならここは一つ…
「あ、お昼のメンバーの中に坂本君もいるけど?」
「行きます!!!!!!」
おお!?目の色が変わった。これが恋する乙女の目つきか、な、なんか迫力あるな
「そ、それじゃあ屋上に向かおうか?」
「はい!」
そう言って永姫ちゃんと屋上に向かう真下私の中で何か引っかかっていることがあった
(うーん、何だろう?何かとんでもない重要な事忘れているような?…なんだっけ?)
考えても答えが出ないまま屋上に到着した
屋上に出ると吉井君達が大きいシートを広げて大きめの重箱を置いている所だった
「もう準備出来てたんだ。お招き有難うね♪」
「あ、木下さん。うん?そっちの子が?」
吉井君が私の後ろにいる永姫ちゃんを見ながら尋ねた
「そう、こっちが…」
「一年の前田永姫です!よろしくお願いします♪」
「僕は吉井明久、ヨロシクね永姫ちゃん」
「私は姫路瑞希です。よろしくお願いしますね永姫ちゃん♪」
「ウチは島田美波。ヨロシク!永姫!」
「ワシは姉上の」
「あ!妹さんですね!でもなんで男子の制服を??」
「…ワシは姉上の弟の秀吉じゃ。正真正銘の「男」じゃ」
「ええええ!?男!?こんなに可愛いのに!?」
あ、あはは。やっぱり初対面の人だとそう思うか
「ううう。ワシは早く男らしくなりたいのじゃ」
「あわわ!?す、すみません!!私てっきり女の子かと思って!」
慌てて秀吉に謝罪する永姫ちゃん。まああれで男だと認識出来る方が無理かもしれないわね
「気にするでない前田よ。ワシは気にしてはおらんのじゃ♪……もう慣れたしのう、はあ~」
いや、アンタ全然気にしてるでしょ!?それ!?
「ところで土屋君と坂本君は?見当たらないけど?」
「あ、あれ?ムッツリーニならさっきまでここにいたのに」
そうして周りを見回してみるとカシャカシャと音が…
「……ムッツリーニ、なにしてるの?」
「…自主トレと新作入荷」
「いつの間に後ろに!?」
「…土屋康太。よろしく」
気が付かない間に永姫ちゃんの後ろにいた土屋君。…もう何も言うまい
「坂本君は?」
「雄二はなんか飲み物買ってから来るって言ってたから」
「・・・そうなんですか。な、何か緊張するな」
坂本君が遅れてやって来ると聞いて少しホッとしてまた緊張した面持ちになる永姫ちゃん
「木下さん、もしかして永姫ちゃんひょっとして…」
永姫ちゃんの様子を見て女性陣は気がついたようだ
「ま、まあ…、そういう事♪」
「そうなんですか。頑張って下さいね永姫ちゃん♪」
「応援してるわよ♪」
「ど、どうも」
こんな和やかな空気が流れる中あの悪夢の時間が刻々と近づいていることにこの時は誰も知る由もなかった