私が木下優子として生を受けて時が過ぎ小学6年生になっていた
転生する時にオマケとして付いてきて前世の知識のおかげでこの頃から常に成績優秀、品行方正の社交性に富んだ模範的な優等生をやっていた。転生してたのに原作と同じことやってるなと思わず苦笑してたりもする
同じく弟の秀吉のほうもこの頃になると演劇に興味をもち演劇のクラブのようなものに入り演技力を磨いていた
そんなある日クラスの子から秀吉が放課後によく男子に虐められているという噂を聞いた。双子の私達は容姿も瓜二つなため秀吉のことを女の子と馬鹿にされているという話だ
私は心配になり放課後秀吉がいるクラスに行ってみると噂通り何人かの男子が秀吉の周りを囲み虐めが行われている所だった
「女のくせに男物の服着るんじゃねよ、この変態」
「違う!ワシは男じゃ!」
「自分の事をワシって変なの!それに知ってるんだぞ、お前この間女物の服着てたろう?男ならなんでそんなの着るんだよ?」
「それは演技の為に着ていたからじゃ!」
「嘘付け!この変態!変態!」
この男子達の心無い行動に見て私は気が付くと駆け出していた
「貴方達!!うちの弟に何やってるの!!」
「やば!姉が来たぞ!逃げるぞ!」
私が秀吉の所に駆けつけた時には男子たちは散らばって逃げた後だった
「大丈夫だった?秀吉、ケガとかない?」
私がそう聞くと力ない声で
「あねうえ、わ、わしはおかしいのかの?わしはへんたいなのかの?」
よく見ると目から涙が溢れていた、けして泣くまいと声はこらえていた
そんな秀吉をみて私は座り込んでいる秀吉と目線を合わすようにしゃがみ、そして抱き寄せた
「あ、姉上!?」
「アンタさ確か幼い頃に見た演劇に感激して「ワシもあんな役者になりたいのじゃ!」って言ってそれからずっと勉強そっちのけでやってきたよね」
「……」
「確かに他人の目から見ればアンタは変に見えるかもしれない。だけどね私は知ってるわ、アンタがどれだけ夢に向かって努力しているのか。だから私は笑わない」
「姉上…」
「だから胸を張って堂々してればいいのよ♪もうこうなったら極めるところまでいっちゃいなさい!さっきの奴らみたいなのがぐうの音も出ないくらいのね!…例え周りがどうこう言ったとしても私だけはアンタのこと応援していてあげるからさ、ね?」
「あ、あねうえ…うわぁぁぁぁぁん!!!」
とうとう我慢出来なくなったのか泣き出してしまった秀吉
「ちょ、ちょっと!!なんで泣き出すのよ?私何か不味いこと言った?」
「ち、違うのじゃ、う、嬉しいから、な、泣いておるのじゃ」
「…やれやれ、…しばらくこうしといてあげるから溜まってる涙全部出しなさい」
こうして秀吉が落ち着くまで抱きしめて落ち着いた頃には外は夕暮れになっていた
「あ、姉上、そ、その、さっきはありがとうなのじゃ (///)」
抱きついて泣いていた自分を恥ずかしく思ったのか顔を真っ赤にしてお礼を言ってきた
「別にいいわよ~♪可愛い弟の泣き顔拝めたしね~」
「な!?わ、忘れるのじゃ!!姉上!!」
「さあ~どうしようかな~♪」
そう秀吉をからかいながら家に向かって駆け出した
「ま、待つのじゃ!!姉上~!!」
姉のいきなり駆け足に驚くが必死についてくる秀吉
でもその表情に悲しみは既になくあるのは夕日に照らされた笑顔だけであった