転生したら猫かぶりのあの子になっていた   作:秀吉組

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第21話

Fクラスを出ると私は歩きながらとある事に対しての対策を考えていた

 

 

それはこの戦争で防がなくてはいけない二つめ、根本君に奇襲を仕掛けるために吉井君がDクラスの壁に大穴を開けることである

 

 

勝つためとはいえ学園の教室の壁に穴を開けてしまったら元々問題児だらけで低い評判のFクラスの評判を益々下げることになり折角Fクラスの為に戦っている姫路さんの想いに泥を塗ることにもなる

 

 

そうさせないためにも壁に穴を開けずに根本君を奇襲させるように事を運ばないといけない

 

 

 

となると……やっぱりアレ以外ないか。私自信ないんだけどな~(汗)

 

 

 

はあ……、敵のクラスを助けるためにここまで尽力するなんて私も同じ位お人好しかもしれないわね

 

 

そう思いながら私はある場所に向けて歩を早めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久Side

 

 

 

あの野郎、……ブチ殺す!!

 

 

僕は今にもあふれ出そうとしている怒気を抑えながら美波と共にDクラスの教室に向かっていた

 

 

今より少し前に見た姫路さんと根本君とのやり取りを見た僕は雄二に無理を言って姫路さんを戦線から外して貰った。これは戦力の低いFクラスにとっては自殺行為にほかならないがまだ雄二には策があるようでそれを認められた

 

 

しかしその代わり本来姫路さんがやる役目を僕がすることになった。与えられた任務はタイミングを見計らって教室に立て篭っている根本君に攻撃を仕掛けること

 

 

入口をガチガチに固められ難攻不落のような城塞と化した教室にいる根本君に攻撃を仕掛けるのは至難の技だけどやるしかない! いや! やってやる!!

 

 

そんな風に考えているうちにDクラスの教室にたどり着いていた

 

 

「ところでアキ、どうやって教室内にいる根本に攻撃を仕掛けるつもりなの?」

 

 

「うん、奇襲を仕掛けようと思う」

 

 

「奇襲!? あんな入口をガチガチに守られてる教室にいる根本に奇襲なんて無理よ!!」

 

 

「そうだね。正攻法では、ね。だからここに来んだよ? 観察処分者の僕だからこそ出来る方法で奇襲を仕掛けるんだ」

 

 

「アキだから出来る方法?」

 

 

「そう。もうすぐ立会人として英語の遠藤先生が来てくれるように手配してもらって居るから召喚許可が出たら僕と戦うふりをして欲しいんだ」

 

 

「……それで?」

 

 

「僕が美波の召喚獣を攻撃する振りをしてBクラスに繋がっているこの壁に攻撃を加えて破壊したらその足で根本君に奇襲攻撃を仕掛けるんだ」

 

 

「……はあ~、ホントアキは無茶苦茶なこと考えるわね。…分かったわ、協力してあげる。でもあんまり無茶しちゃダメだからね?」

 

 

「……うん。ありがとう美波」

 

 

ごめん、美波。今回ばかりは無茶でも何でも絶対に成功させなくちゃいけないからそれは守れないかもしれない……

 

 

それにしても遠藤先生遅いな。ここに来るように頼んでおいたはずなのに……

 

 

そう思っていると誰かの駆け足が聞こえてきて教室の扉が開いた。振り返るとそこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあはあ・・・、どうやら間に合った! ……ようじゃな」

 

 

そこにいたのはなぜか女子生徒の制服を着た秀吉が居た

 

 

「秀吉?」

 

 

「木下?」

 

 

前線で指揮をとっているはずの秀吉が何でここに来ているんだろう?

 

 

「どうしたのよ木下? アンタ確か前線で指揮をとっている筈でしょ? いなくて大丈夫なの?」

 

 

「あ、ああ。それは大丈夫なのじゃ。ところで遠藤先生はここには来ぬぞ?」

 

 

「えええ!? なんで!?」

 

 

「坂本が断ったのじゃ。坂本が策を思いついてのう」

 

 

「雄二が?」

 

 

「そうじゃ。お主が無茶せんようにワシに言付けを頼んだのじゃ」

 

 

「それで策ってのは?」

 

 

「うむ。まず島田にはこれを、明久にはこれとこれを渡しておくのじゃ」

 

 

そう言って秀吉が渡してきたのは美波には緑のショートヘアーのカツラを僕には黒のロングヘアーのカツラに何故か女子生徒の制服が渡された

 

 

「え、えーと? 秀吉? これは?」

 

 

「うむ。二人にはこれらを付けてもらい他のクラスの女子生徒に化けてもらうのじゃ。そしてワシが姉上の振りをしてBクラスの代表と話があると言って教室内に入り根本が油断した所を二人で奇襲、といった策じゃな」

 

 

「でもいいの秀吉? あんなにお姉さんに迷惑掛けたくないって言っていたのに」

 

 

「大丈夫。……お主が心配することにはならぬ♪(ニッコリ♪)」

 

 

「う、うん。それならいいんだけど」

 

 

あ、あれ? なんで秀吉の笑顔を見るとドキドキするんだろう?

 

 

「でもあの根本が引っ掛かるかしら? それに見られた途端に戦闘を仕掛けられてもしたら」

 

 

「その点に関しては大丈夫じゃ。ちょっとした脅しをかければ大丈夫じゃ。それにこれもあるしの」

 

 

秀吉が取り出したのはあの学園長の直筆が入った封筒だった

 

 

「これ本物?」

 

 

「うむ。紛うこと無き本物じゃ!」

 

 

「よくこんな物手に入ったわね?」

 

 

「う、うむ。坂本がどこからか手に入れたのじゃろう? とにかく早くこれらを付けるのじゃ! 時間がないぞい」

 

 

「わ、わかったよ」

 

 

「OK♪」

 

 

それぞれカツラと僕が女子の制服を着るとあまり顔を見られないように俯きながら内心ドキドキしながらBクラスの教室に向かうと早速入口前で呼び止められた

 

 

「お前達ちょっと待て! うちのクラスに何の用だ?」

 

 

「私達はAクラスの者よ。ちょっとBクラスの代表に用があるんだけど入ってもいいかしら?」

 

 

お姉さん演じる秀吉がそう言うとBクラスの面々は怪しげにこちらを見てきた

 

 

「お前本当にAクラスの木下か? 確か双子の弟がFクラスにいたはず」

 

 

や、ヤバイ……バレた!? と僕と美波は焦るが

 

 

「だったら私に戦闘申し込んでみる? でも知ってるわよね? 試召戦争で関係ない他のクラスに戦闘を仕掛けたらその時点で反則、即戦死であの西村先生がいる補習室に連行される事に」

 

 

「グッ、それは……」

 

 

「私が秀吉でなければこの場にいる貴方達全員補習室送りになるわね? そうなるとFクラスが一斉に攻めて来るかもしれないわね。でも安心して証拠に用件である学園長先生から預かった手紙よ。ほら直筆のサインもあるでしょ?」

 

 

逆にこうして秀吉が強気に攻めたおかげでBクラスの面々に不安を植え付け危機を乗り切った

 

 

「では俺がその手紙を代表に渡しておこう」

 

 

そう言ってBクラスの一人が手紙を取ろうとするが

 

 

「ちょっと待って。それだけの用件のためにわざわざ試召戦争中に来たりしないわよ。緊急でAクラスとBクラスだけに伝えておきたい事があるらしいの」

 

 

「なんだその伝えておきたい事てのは?」

 

 

 

「ここでは言えないわ、他のクラスには他言無用らしいから。それにここで言えば聞かれる恐れがあるでしょ? ほらFクラスにいるでしょ? 盗聴とか得意そうな人物が」

 

 

 

「……Fクラスの土屋か」

 

 

どうやらムッツリーニの異名はBクラスにも伝わっているようだ

 

 

「だからBクラスの代表と会わせて欲しいの」

 

 

「お前が緊急の使いで来たのは分かったが後ろの二人はなんだ?」

 

 

うぐっ!? やっぱりこちらにも目を向けてきたか……

 

 

「ああ、この二人は私を心配してついてきてくれたのよ。こう言っちゃなんだけど貴方達の代表良くない噂しか聞かないから。だからこの二人も一緒でいいかしら?」

 

 

そう言うとBクラスの面々は自分達の代表を思い浮かべたのか納得した表情で頷いていた

 

 

「……代表に聞いてくるから少し待ってろ」

 

 

そう言ってBクラスの一人が教室に入っていった

 

 

待っている間何故か秀吉は何度も時計を見て時間を気にしていた。なにかあるのだろうか?

 

 

少しして入っていった一人が戻って来て教室に入ってくるように言われた

 

 

教室に入るとBクラスに完備されていた冷暖房は作動していなかった。どうやらDクラスが約定通りBクラスの室外機を故障させたようで教室内は暑かったためか教室の窓が空いていた

 

 

「試召戦争時にお供を連れてAクラスが一体何の用だ?」

 

 

中に入ると根本君が、そして根本君を守るように両側を近衛隊がいた

 

 

時刻は午後二時五十五分を示していた

 

 

「まずこの手紙を渡しておくわ」

 

 

近衛隊に手紙を渡し近衛隊が根本君に手渡し根本君が封を明け手紙を見ると表情が変わった

 

 

 

「CクラスがAクラスと試召戦争だと!? 友香の奴一体何を考えている!?」

 

 

午後二時五十七分

 

 

そんな時Bクラスの一人が慌てて教室に入ってきた

 

 

「大変だ!! 代表!! Fクラスが本隊を率いて教室前まで来てる!!」

 

 

「ふん、大方戦況が好転しないからヤケを起こして前に出てきたんだろう。丁度良い、お前ら前線出て坂本の首を取ってこい!!」

 

 

根本君がそう言うと半数以上の近衛隊が前線に出ていった

 

 

「それでAクラスとBクラスだけに伝えておきたい事ってなんなんだ? 木下優子?」

 

 

 

まるでもう試召戦争に勝ったつもりで話を切り出す根本

 

 

「それは…」と秀吉が言いかけたその時だった

 

 

「木下さ~ん? いますか?」

 

 

その場にいた皆が声のした方に視線を向けた先にはBクラスの入り口前にいる英語の遠藤先生がいた

 

 

「な、何で遠藤先生がここに?」

 

 

「どうやら私を探しているみたいね。ちょっと失礼するわね」

 

 

そう言って秀吉は遠藤先生のほうに向かおうとする途中僕のほうを見てウィンクし、僕はその意図を瞬時に理解すると黙って頷いた

 

 

秀吉が遠藤先生と幾つか会話してそして……

 

 

時刻は午後三時を示した

 

 

秀吉との会話が終わると遠藤先生はBクラスに入ってくると

 

 

「試獸召喚の召喚を承認します!」

 

 

「なっ!?」

 

 

突然の事に一瞬Bクラスが唖然としたその隙を僕と美波は見逃さなかった

 

 

「くたばれ!! 根本恭二!!」

 

 

僕と美波は被っていたカツラを脱ぐと唖然としている根本君に戦闘を仕掛けるべく駆け寄った

 

 

「お、お前らは、Fクラスの吉井に島田!!」

 

 

「遠藤先生!! Fクラスの島田がー」

 

 

「Bクラスの山本が受けます! 試獸召喚!」

 

 

 

「くっ! 近衛部隊か!!」

 

 

まだ教室内に残っていた近衛部隊がその行く手をふさぐ

 

 

「あ、あははは!! 残念だったな! お前らの奇襲は失敗だ!」

 

 

辛くも窓際のほうに逃れた根本君が取り繕うように笑う

 

 

確かに僕らの奇襲は失敗したけど根本君を近き近衛部隊から切り離した時点で僕らの役割は果たせた

 

 

そんな時だった、根本君の後ろの窓から一本のロープが垂れ下がり二つの影がBクラスに入ってきたのは

 

 

二つの影はムッツリーニと鉄人だった

 

 

「……Fクラス、土屋康太」

 

 

「き、貴様……!!」

 

 

「……Bクラス根本恭二に保健体育勝負を申し込む」

 

 

「ムッツリィニィーー!!!!」

 

 

近衛部隊から切り離れた根本君に逃れる術はなかった

 

 

Fクラス土屋康太

 

保健体育 441点

 

VS

 

Bクラス 根本恭二

 

保健体育 203点

 

 

 

ムッツリーニの召喚獸は手にした小太刀を一閃し、一撃で敵を撃破した

 

 

これによりBクラスとの決着がついた

 

 

激戦に勝利し上機嫌で教室に戻ると雄二といつもの制服姿に戻っている秀吉が何やら話し込んでいた

 

 

「なかなかニクいことしてくれるじゃないか雄二♪ まさか来ないと見せかけて時間をずらしてBクラスに遠藤先生を来させるなんてさ♪」

 

 

僕がそう言うと雄二は不思議そうな顔でこう言った

 

 

「なにいってるんだ? 俺はそんなこと全然知らんぞ?」

 

 

「……へ?だ、だって遠藤先生をBクラスに来るように言ったんだよね? 手伝ってくれた秀吉もそう聞いたんでしょ?」

 

 

秀吉にそう聞くと信じられないことを秀吉は口にした

 

 

「何を言っておるのじゃ明久? ワシはそのような事知らぬぞ? あの時ワシは前線で指揮を取っておったからのう」

 

 

えええ!? だったらあの時僕らと一緒にいたあの秀吉は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なかなか危なかったけど、私もやれば出来るじゃない♪」

 

 

そう言い上機嫌で優子は家路についていた


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