「にゃ、にゃにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
とある休日の朝一番に木下家の中を優子の叫びが轟いた
「な、何事なのじゃ姉上!?」
突然の叫び声に二階に居た秀吉は驚き一階に居た姉の下に駆けつけた
「これよ! これ!」
来てみると叫びの主は一枚の広告を指差していた
「チラシ? ふむ。これはよく姉上が買い物に行っておるデパートのチラシじゃのう。えーとなになに? 店舗リニューアルの為本日限りの半額セール実施中?」
そのチラシに載っていたのはデパートの中にある洋服店が店舗をリニューアルする為しばらく休みに入るのでリニューアル前に半額セールを実施したのだ
「ここ可愛いの結構置いてて欲しいのが一杯あったんだけど値段が少し厳しくてね。だからこんなチャンスは滅多にないのよ!」
「は、はあ」
「秀吉! 今日予定ないわよね?」
「え? 今日は演技の参考にと劇のDVDを見ようか─」
「な・い・わ・よ・ね?」(ニッコリだけどとてつもない威圧感)
「は、はい!」
「よろしい♪じゃあ急いで支度するわよ♪」
「とほほ……」
デパート内
「よ、良かった~♪ まだあまり人が来てないわね♪」
「はあはあはあ……。そ、そりゃあれだけ早く急いでくれば少ないじゃろうに」
急いで支度しバスでデパート近くに着くと後は猛スピードでここまで走ってきたのだ
「仕方ないじゃない。急がないと可愛いのはすぐなくなるんだから!」
「あ、あはは。まあ姉上は行ってくると良いのじゃ、ワシは店の外で待っておるのじゃ」
「何言ってるのよ? アンタも一緒に来てよ? 色々と感想聞きたいしさ、ダメ?」
上目使いでお願いする優子。まあそうされては男心にWEAK!する訳で……
「う……。ま、まあワシの感想で良いのなら」
「えへへ、ありがとう♪それじゃ行きましょうか!」
そうして二人は店内に入った
「じゃ~ん! こんなのはどうかな?」
さっそく何点か選び試着室に行き着替えた一着目は背中が大胆にレースでデザインされたセクシーなタンクトップだった
原作とは違いこの優子は女性の象徴が、その、大きい訳で。まあ山と山に間が出来るわけで……
「い、いかんのじゃ!! 破廉恥なのじゃ!?」
「え? 確かに背中の辺がセクシーな所もあるけどそんな破廉恥だなんて」
「と、とにかくダメなものはダメなのじゃ! 却下なのじゃ!」
「わ、分かったわよ。それじゃ次のやつ着るわね」
そう言うと優子は試着室に戻った
「こういうのだったらどうかな?」
しばらくして次に出てきたのは上は来た時のやつだが下がちょっと短めのショートパンツになっていた
「なっ!? 短すぎなのじゃ!! そんなの履いて外に出たら他の男共の視線の的になるのじゃ!! だから却下じゃ!!」
「い、いやこれ位普通でしょう?」
「それでもダメなものはダメなのじゃ!」
「これもダメなの? はあ~、分かったわよ。それじゃあまた別の奴着てくるわね」
渋々ながら試着室に戻りしばらくして再び試着室のカーテンが開いた
「今度はどうよ?」
次に優子が着てきたのはさっきほどの二点とは違い露出を控えた白のワンピースだった
「………」
「秀吉?」
「!! よ、良いのではないかのう?」
「何で顔真っ赤になってんのアンタ?」
「な、なんでもないのじゃ!」
「ふ~ん、まあいいや。それじゃコレを買うとしますか」
「え? それで良かったのかの? 自分で言うのも何じゃが服のセンスなぞワシはわからんのじゃが?」
「別にセンスがないとかそういうのは別にいいのよ。アンタが選んでくれたのがポイントなんだから」
「!! (再び顔真っ赤)」
「どうしたのよ? また真っ赤になって? 風邪でもひいたの?」
「だ、大丈夫じゃ!! それより早くレジに行って清算してくるのじゃ」
「う、うん。分かった」
秀吉のおかしな態度に首を傾げながら優子はレジへと向かっていった
レジで清算を済ませ二人はブラブラとデパート内を見て歩いているとふいに後ろから声を掛けられた
「キミ達ちょっといいかな?」
「「はい?」」
振り返るとそこには40代位の困った表情をしているカメラマンらしき男性と20代位の若い女性がいた
「えーと、私達に何か御用でしょうか?」
「驚かせてすまない。キミ達これから何か予定とかあるかな?」
「い、いえ。適当にブラブラしていただけですけど?」
「そうか!……突然こんなことを言って申し訳ないんだがお二人にモデルを頼めないだろうか?」
「「モデル!?」」
いきなりの事に驚いていると隣にいた若い女性が申し訳なさそうに話しかけてきた
「私達はデパートの商品カタログの写真を撮っている者なのですが今日夏の商戦に向けて姉妹の浴衣の写真を取る予定だったのですがモデルの姉妹が突然体調崩してしまって来れなくなってしまって。今日中に撮らないといけないのにと途方にくれていた時に」
「私達を見かけた、と?」
「そう! ちゃんとお給料も出すから助けると思って引き受けてくれないかね? この通り!」
そう言うと二人は手を合わせて頭を下げてきた
「……だってさ。どうする秀吉?」
「ここまでお願いされて見捨てる事ようなことは出来んしのう」
「そ、それじゃあ!!」
「ええ、いいですよ」
「おおお!! ありがとう!! 本当にありがとう!!」
そう言うと私達の手を握り頭を下げまくるカメラマンのおじさん。相当焦ってたんだな……
その後私達はデパート内にあるスタジオで浴衣の撮影を行なった。浴衣と言っても何種類もあり撮影が終わる頃には外は夜になっていた
「突然のことでどうなることやらと思ったけど何とか撮影上手くいって良かったわね」
「そうじゃのう。お給料貰えた上に浴衣まで貰えたからのう」
撮影が終わった時に丁度デパートの関係者の人が来て依頼を受けてくれたお礼にと浴衣を一着ずつプレゼントしてくれたのだ。その為今私達の服装は浴衣のままである
「そういえばカメラマンの人達や関係者の人達アンタが男だって知った時かなり驚いてたわね」
あれはかなりの驚きぷりだった。まあ無理はないわね……
「ううう……。やはり少しでも早く男らしくなりたいのじゃ」
「あはは。ところでさ今日は無理して付いてきて貰って悪かったわね」
「ん?別にいいのじゃ。楽しかったしの♪」
「そっか……。よし! 今晩はお礼にお給料も貰ったし私が奢るから何か食べに行くわよ!」
「え!? この格好で?」
「今日はちょっと暑いし丁度いいじゃない! それに今日一日は私達は「姉妹」なんだから! それじゃあ行くわよ! 付いてきなさい!妹よ!」
「ワシは弟じゃ!って待つのじゃ姉上~!!」
こうして「姉妹」は街の中へと消えて行ったのだった