転生したら猫かぶりのあの子になっていた   作:秀吉組

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第30話

「これより第四回戦を始めます! 各代表は前に!」

 

 

「Fクラスから私、姫路瑞希が出ます!」

 

 

「Aクラス、木下優子出ます」

 

 

高橋先生にそう言われると後がないFクラスは切り札の姫路さんが、Aクラスからは私が前に出た

 

 

私の前方にいる真剣な表情の彼女の目から死に物狂いで勝ちに行くという強い意思の現れようなものを感じた

 

 

その目に思わず後ずさりしてしまいそうになったが何とか心を落ち着かせ再び彼女に目線を合わせた

 

 

落ち着いてよく見ると彼女が何だか気負い立ってるように見えた

 

 

まあこうなるのも無理はないと思った。自分が負けたら後がない上にクラスの周りから自分に掛けられた期待、そんな状況でこうなるなと言うのが無茶というものだ

 

 

「対戦科目は何にしますか?」

 

 

「総合科目でお願いします!」

 

 

「木下さん宜しいですか?」

 

 

「構いません」

 

 

「では対戦科目 総合科目、始め!」

 

 

「「試獣召喚!!」」

 

 

Fクラス 姫路瑞希

 

総合科目 4409点

 

 

VS

 

 

Aクラス 木下優子

 

総合科目 4102点

 

 

おおおおおおお!!!

 

 

歓声は両クラスから上がったものだった

 

 

「ま、マジかよ?」

 

 

「二人揃って4000点超えって姫路は凄いのは知ってたけど秀吉の姉って実は凄かったのか?」

 

 

「だがそれでも姫路との差は約300点差。やはり厳しいか……」

 

 

沸いてくる驚愕、歓声、溜息

 

 

しかし優子本人は自身と姫路との差が約300点付けられた事実を突きつけられても一切動揺の素振りすら見せなかった

 

 

「行きますよ! 木下さん!!」

 

 

「ええ! 最初から飛ばすわよ!!」

 

 

自分達の周りで起きている喧騒を他所に教室中央で二人は対峙した

 

 

ここで二人の召喚獣の武装を説明しておこう

 

 

姫路の召喚獣の武装は西洋鎧に背丈の倍くらいの大剣を装備していた

 

 

一方の優子の召喚獣は蒼色のチャイナドレスを動きやすいように加工した服に武器は少し大きめのピストルクロスボウが握られていた

 

 

「ハッ!」

 

 

素早い攻撃で仕掛ける姫路

 

 

大剣と言うと重量級な武器に思えるこれを軽々と扱う姫路の召喚獣

 

 

一方優子の召喚獣はその攻撃を素早く後ろに飛んで回避しながら姫路の召喚獣目掛けて矢を数発撃ち込んだ

 

 

姫路はそれを大剣でひと振りでそれらを防いだ

 

 

いきなり始まった攻防に周りは静まり返っていた

 

 

そして……

 

 

おおおおおおおお!!!!!

 

 

再び巻き起こる歓声

 

 

こうして勝負を決するかもしれない第四回戦のスタートが切って落とされた

 

 

 

おおおおおおお!!!!

 

 

いきなり始まった攻防に周りから再び歓声が巻き起こった

 

 

そんな歓声の中何事も無かったかのように武器を構える両者。だが既に変化は起こっていた

 

 

Fクラス 姫路瑞希

 

総合科目 4379点

 

VS

 

Aクラス 木下優子

 

総合科目 4052点

 

 

無傷と思われたあの攻防の中お互いにダメージを受けていたのだ

 

 

 

姫路Sied

 

 

全部防いだと思ったのに被弾してたなんて……

 

 

姫路はこちらに飛んできた矢を全て弾き飛ばし防ぎ切ったと思っていた。 しかし実は優子は撃ち込んだ数発の矢それぞれを少しずつ軌道を変えて撃っていた為そのうちの一つが大剣の死角に隠れて姫路の召喚獣に被弾していたのだ

 

 

もっと集中しなくちゃ! 少しでも気を抜くとやられる!

 

 

姫路はそう自分に言い聞かせると更に気合を入れて召喚獣に武器を構えさせた

 

 

一方優子のほうはと言うと

 

 

優子Side

 

 

避けたと思ったんだけどまさかダメージ貰ってたとはね

 

 

完璧なタイミングで後方に回避したと優子は思っていた。 だが実際は姫路の大剣の先が僅かに優子の召喚獣を捉えていたのだ

 

 

僅かに当っただけで50点持っていくってどんだけの威力なのよあの大剣……。とにかくアレを真面に受けたらシャレにはならないって訳か。 ……全くトンでもないのを相手に戦ってるわね私

 

 

改めて相手の攻撃力の大きさを再認識した優子は視線を相手の召喚獣に合わせると静かに武器を構えさせた

 

 

対峙してお互い相手を見たまましばらく動かなかったが今度は優子が仕掛けた

 

 

「いっけぇぇぇぇ!!!」

 

 

姫路の召喚獣に矢を打ち込みながら姫路の召喚獣に向かって優子の召喚獣が走り出す!

 

 

「えええ!? 姫路さん相手に接近戦挑むの!? 無茶だって!優子!!」

 

 

優子のこの行動に愛子が思わず声を上げた。 本来遠距離で戦う武器で接近戦を行おうとしているのだから無理もなかった

 

 

迎え撃つ姫路は今度は振り払う事はせず大剣を盾にその攻撃を防ぐ事に集中し一歩も動けなかった

 

 

 

「…………」

 

 

だが目線は鋭く優子の召喚獣を捉えていた

 

 

そして相手が十分に自分の間合いに入り込んだ瞬間

 

 

「そこ!!」

 

大剣を横にし切り込んだ

 

 

が……

 

 

そこには優子の召喚獣の姿はなかった

 

 

「えっ!? いない!?」

 

 

何処に行ったか探していると地面に黒い影が

 

 

慌てて上を向くと上に逃げていた優子の召喚獣が横になっている大剣の上に着地すると今度はそれを踏み台代わりにし後ろに回り込むように飛び空中から空きの姫路の召喚獣の背中に矢を数発撃ち込んだ

 

 

「クッ!?」

 

 

無理な体勢から何とか防御しようとするが間に合わず真面にダメージを貰ってしまった姫路

 

 

Fクラス 姫路瑞希

 

総合科目 4207点

 

VS

 

Aクラス 木下優子

 

総合科目 4052点

 

 

「木下さん、強いです。でも……」

 

 

そう言って武器を構えなおすと

 

 

「私はFクラスの皆の為にも負けられないんです!」

 

 

優子の召喚獣目掛けて一直線に迫った

 

 

「は、速い!?」

 

 

いきなりのスピードに優子は慌てて矢で迎撃しようとしたその時だった

 

 

ドォォォォン!!!!!!

 

 

「なっ!?」

 

 

姫路が地面に向かって大剣を振り下ろしたのだ。そのせいで優子の前方は煙幕が起き狙いが定まらなくなってしまった

 

 

「上?右?左?どっち!?……ええい!上!?」

 

 

やぶれかぶれで上をみるがそこには姫路の召喚獣の姿はなく

 

 

 

 

 

 

 

 

「貰いました!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

振り替えると大剣が優子の召喚獣に迫っていた

 

 

 


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