転生したら猫かぶりのあの子になっていた   作:秀吉組

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第34話

「お弁当よし、水筒よし、シートよし、っと。もう忘れ物はない?」

 

 

「うむ、全部持ったぞい」

 

 

「それじゃあそろそろ出ますか」

 

 

家の外に出ると空は雲ひとつもない晴天だった

 

 

 

 

如月中央公園

 

 

 

公園内に入るとそこはもう桜一色に染まっていた

 

 

「桜は学園前の坂で見慣れたと思っておったがここの桜は段違いじゃのう」

 

 

「そうね~、何か見とれちゃうわね」

 

 

華麗に咲き誇っている桜を見ながら奥に進むとひと足先に待ち人達が来ていた

 

 

「もう来てたんだ、吉井君、姫路さん、島田さん、それに代表達も」

 

 

一際大きな桜の下にはFクラスのメンバーらに愛子達がそこにいた

 

 

昨日の試召戦争の後でふと外で咲いている桜を見て優子が代表達や吉井君達を花見に誘ったためだったからだ

 

 

「あ、木下さん!それに秀吉!こっちこっち」

 

 

「ごめんね、待たせちゃって」

 

 

「僕らは早く来すぎただけだから気にしなくていいよ。それに木下さんは僕らの為にお弁当まで作ってくれたんだから」

 

 

そうあらかじめ全員にお弁当を作って行くからと伝えておいたのだ

 

 

「実はねお弁当作ってきたのは私だけじゃないのよ?ね?姫路さん、島田さん、代表」

 

 

「え?……姫路さんが?」

 

 

姫路さんが作ってきたと聞いて一瞬硬直するFクラス男子メンバー。まああの恐怖のお弁当事件があったから無理もないが

 

 

「大丈夫よ吉井君。ね?姫路さん」

 

 

「はい♪」

 

 

そう言って姫路さんが持ってきたお弁当箱を開けるとそこには厚焼き玉子が箱一杯に入っていた

 

 

懸命の努力のおかげでただの卵焼きから厚焼き玉子にクラスチェンジしていたのだ!…まあ卵しか焼けないのは変わらないが。味はまだ少し塩辛いこともあるけどそれでも最初の頃に比べれば大きな進歩だと私は思う

 

 

「その厚焼き玉子は私も何度か味見してるから大丈夫よ。姫路さん皆に食べてもらうんだって結構練習したんだから食べてあげてね♪」

 

 

「き、木下さん!?」

 

 

練習していたことを言われたくなかったのか顔を真っ赤にして姫路さんが慌てていた

 

 

「そうだったんだ。ありがとう姫路さん!」

 

 

「よ、吉井君。エヘヘ…」

 

 

吉井君にそう言われて嬉しかったのか顔がニヤける姫路さん。まあ好きな人にそう言われればそうなるわよね

 

 

「むーー。ずるいわよ瑞希。ウチだってお弁当作って来たのに・・・」

 

 

姫路さんに面白くなさそうに小声で言う島田さん

 

 

「島田さんも作ってきたんだよね?・・・吉井君「だけ」に、さ♪ニヤニヤ」

 

 

「工藤さん!?な、何言ってるのよ!そんなこと…」

 

 

「だけ」と愛子が強調して言うと顔を真っ赤にさせる島田さん

 

 

「そうだよ!皆のためならまだしも僕だけに作ってくるなんてそんなことあるわけないじゃないか。こんなに顔を赤くさせる位なんだから」

 

 

……そう捉えますか。ここまで鈍感だとはこりゃあ苦労するわけだ

 

 

「島田…。お前が改めて言い直さないとこのバカはきっと理解しないぞ?」

 

 

「そうじゃぞ?明久だけに作ってきたと言うのじゃ」

 

 

「ええ~~ッ!?」

 

 

坂本君と秀吉にこう言われ更に真っ赤になる島田さん。なるほどこういういじり方をすればいいのか覚えておこう

 

 

「ところで優子」

 

 

「ん?なに?愛子」

 

 

「今日のメンツはこれで全部?」

 

 

「あ、そうだった。実はあともう一人来る事になってるからもうちょっと待っててくれないかな」

 

 

「もう一人?」

 

 

「もうすぐ来るとおもうんだけどな」

 

 

そう言って時計を見ていると

 

 

「す、すみませ~ん!!遅れました~~~!!!」

 

 

後ろを振り替えると全力疾走でこっちに向かってくる小柄な女の子が一人

 

 

「ハアハアハア・・・、す、すみません・・・、ちょっと準備に手間取っちゃって・・・」

 

 

「だ、大丈夫?永姫ちゃん?」

 

 

「は、はい。すみません、遅れちゃって」

 

 

「いいよ。こっちこそごめんね。昨日の今日だから」

 

 

「優子、誰?その子」

 

 

「なんか可愛い子だね♪」

 

 

「ああ、愛子はまだ会ったことなかったか。この子は一年の前田永姫(まえだはるき)ちゃん。紹介するね、こっちは私のクラスメイトの工藤愛子、そしてこっちは私のクラスの代表の霧島翔子」

 

 

「ま、前田永姫です!よ、よろしくお願いします!」

 

 

そう言ってペコペコする永姫ちゃん。そこまでしなくてもいいのに

 

 

「あはは、まあまあ落ち着いてよ。永姫ちゃんか~、うん♪よろしくね~。 工藤愛子です、こっちこそよろしく」

 

 

お互いに自己紹介すると二人で仲良く握手を交わした。うんうん、よきかなよきかな

 

 

「私は霧島翔子。よろし─」

 

 

「あ、はい。こちらこそよろ─」

 

 

互いに顔を見て挨拶をしようとした時だった

 

 

時が止まったのは……

 

 

この時初顔合わせだったがこの瞬間に互いに認識したのだ。目の前にいる人物は自分の大切な人を巡って戦う敵だと・・・

 

 

「よろしく」 ニコッ

 

 

「はい♪よろしくお願いしますね♪霧島先輩」ニコッ

 

 

それはお互いににこやかに握手をしている穏やかな一面に見えるだろう

 

 

グギギギギギギ!!!!!

 

 

握手をしているところからこんなトンデモない効果音が流れなければ……

 

 

「ね、ねえ?優子。なんかあっちえらい事になっちゃってるんだけどもしかして永姫ちゃんも坂本君のことが?」

 

 

「あー、うん。そうみたい」

 

 

二人のやり取りに不味ったかな~と頭を掻く優子

 

 

 

こうしてドタバタの花見が始まった

 

 

 

 

 

 

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