転生したら猫かぶりのあの子になっていた   作:秀吉組

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第35話

ちょっとした波乱の顔合わせがあったがなんとか二人を落ち着かせ桜が見事に満開に咲いている一本の桜の下にシートを広げて花見の準備を始めた

 

 

「ふ~、まあシートはこんなもんでいいかな。後は各自持ってきたお弁当を広げて、……ん?」

 

 

ごォォォォォォ!!!

 

 

なんか凄い殺気を感じて横を見ると凄いオーラを放つ姫路さんと島田さんがそこに居た

 

 

なんで二人がこんな事になっているんだろうと二人の視線の先を見るとそこには女子大生だろうか若いお姉さんにカメラのシャッターを頼まれてデレっとしている吉井君がいた

 

 

「アキの奴!! 美人だからってあんなにデレデレしちゃって!!」

 

 

「これはお仕置きですね。美波ちゃん……」

 

 

「ハイハイ。ストップストップ」

 

 

なんか二人が戦闘モードに入ちゃって吉井君を襲おうとしていたので止めに入ることにした

 

 

「何で止めるのよ!!」

 

 

「吉井君にお仕置きしないといけないんです!!」

 

 

「まあ二人の気持ちも分からなくはないんだけどさ……。一つ聞きたいんだけど二人のどちらか吉井君と付き合ってたりするの?」

 

 

私がそう聞くと二人は同時に顔を真っ赤にさせた

 

 

「な、何言ってるのよ!! ウ、ウチはそんな・・・・・」

 

 

「え、え~と。その~・・・・・・」

 

 

「……・その様子だと違うみたいね。だとしたら二人に吉井君に制裁を下す権利はないわね」

 

 

「なんでよ!?」

 

 

「どうしてですか!? 悪いのは吉井君なのに!?」

 

 

「彼の彼女でもないのに彼の行動についてとやかく言う権利はないって言ってるの」

 

 

「「うっ、そ、それは……」」

 

 

「二人とも彼に対して好意を抱いているから焼きもちを焼くのもわかるけどさ。だからって彼に暴力してもいいってのはちょっと違うんじゃない?」

 

 

「「で、でも!!」」

 

 

「今はいいかもしれないけどやりすぎると本当に彼に嫌われるかもしれないわよ?自分に暴力を振るう人を好きになるなんてドMでもない限りいるわけ無いでしょ?二人は彼に嫌われてもいいの?」

 

 

私にそう言われるとしゅんとする二人

 

 

「彼に好意を抱いてほしいのなら暴力じゃなくもっと彼とスキンシップしなきゃ。どれだけ想われてるか教えてあげないと。……こう言っちゃわるいけど彼この手の事は凄く鈍感じゃない?」

 

 

私がそう尋ねると

 

 

「そう! そうなの! 普通ここまですれば流石に気づく所気がつかないのよ!?」

 

 

「少しくらい気づいてくれてもいいはずなんですけど……」

 

 

……どうやらかなり手を焼いているようだ

 

 

「それなら尚更暴力はダメ。気づかせるためにもまず行動を起こさなきゃ」

 

 

「……そうね! 行動あるのみよね! 行くわよ瑞希!」

 

 

「はい! 美波ちゃん!」

 

 

そう言うと二人は物凄い勢いで吉井君の下に行くとお姉さんから引き離すように彼を連れ何処かに行ってしまった

 

 

なんか火に油注いでしまったような気がするけど。まあ、暴力を振るわれるよりかはマシでしょ……多分

 

 

やれやれと思っていると今度はさきほど敷いたシートから

 

 

「……はい、雄二。あ~ん」

 

 

「な、なあ?翔子。拘束されて食べさせられ続けて俺は苦しい一方なんだが……。お、お前も食べたらどうだ?」

 

 

「……大丈夫。これは雄二専用に作ったやつだから気にしなくていい」

 

 

「なら先輩♪お口直しに私のお弁当をどうぞ!」

 

 

「え、えーと、前田だったか?お口直しのそれで更に苦しいんだが……。そ、そうだ!俺ばっかりじゃあ悪いから他の奴らにも食わせて」

 

 

「それは大丈夫ですよ♪これは坂本先輩だけに作ったやつで。他の皆さんの分は別にありますから!」

 

 

「…………」

 

 

……さっきからすごーく助けて目線で坂本君がこっちを見ている。う、う~ん。これは…まあ…あれだ……

 

 

「え、えーと…。ちょっと別の桜でも見てこようかな~(汗」

 

 

「!?」ガーン

 

 

これは愛ゆえにだから仕方がない。決して関わって面倒な事になるのが嫌だからではない。…うん。

 

 

逃げるようにその場を離れると私は公園の中央にある一本の桜に向かった

 

 

その桜はこの公園で一番大きい桜だった

 

 

その桜を見ながら私はこれまでの事を振り返った

 

 

死んでこっちの世界に来て色々あったけどようやく一巻の内容が終わった訳か。そして私が知っていた事は全て消化されこれからは全くの未知の領域か……

 

 

でも全く知らないからこそ本当の意味でここから始まるのかもしれないわね

 

 

木下優子としての第二の人生が……

 

 

「姉上!! 大変なのじゃ!?」

 

 

気が付くと後ろで秀吉が大声を上げていた。どうやら少し思いに耽っていたようだ

 

 

「どうしたのよ? そんな大声あげて」

 

 

「工藤の奴がまたムッツリーニを揶揄ったせいで噴水のように鼻血を上げておるのじゃ!」

 

 

秀吉が指差す方向に視線を向けるとそこには秀吉が言っていたように鼻から噴水のように血を出す土屋君と苦笑いする愛子。そしてそれを見て慌てる他のメンバー

 

 

「……やれやれ。もう少しくらい感傷に浸る時間くらいもらえないのかしらね。この世界は……」

 

 

「姉上?」

 

 

「なんでもないわよ。ほら!行くわよ!せっかくのお花見に救急車を呼ぶ騒ぎ起こしたくないでしょ!」

 

 

「あ、姉上!」

 

 

私はそう言うと駆け出した

 

 

一体この先どのように進んでいくか分からない。でもそれでも進んでみようと思う

 

 

この道を、木下優子としての人生を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ようやく一巻の内容終了です。長かった……(泣)次のお話を書こうとしているのですが中々に詰まって難航しております(汗) アドバイスやコメントなど是非お持ちしております

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