これは小学校を卒業し服が小学校の服装から制服に変わって二度目の春を迎えた頃のお話。高校受験の為の参考書を買いに私は街に向かったのだが…、この行動がまさか後にうちの弟と関わってくるあの三人とのファーストコンタクトになるとはあの時の私には知る由もなかった
街に向かう途中ひと通りの少ないところで一人の女子生徒が他校の男子生徒達に絡まれている所を目撃する。絡まれている女子生徒の制服を見るとうちの学校の後輩のようだ
普段優等生を演じているせいかそれを目撃すると怖いはずなのに身体が勝手に女子生徒のほうに向かって走り出していた
「ちょっと!その子が困ってるじゃない!離しなさい!」
「ああ?お♪結構可愛いじゃねえか!君も俺達と遊ばない?」
「ふざけないで!その子を離さないと大声で叫んで巡回中の先生を呼ぶわよ?」
最近うちの通学路でこういった被害が出て来たので通学路に先生を巡回させていた
しかし私がこう言っても男子たちは少しも動揺しなかった
「へへ、いいぜやってみろよ?来ないと思うがな?この時間帯は巡回の教師の休憩時間に入っているのは調査済なんでな」
まさかと思い大声を出して見るが言われたとおり何の反応もなかった
「そ、そんな…」
「さあて、覚悟は出来てるよな?」
そう言って迫ってくる男子達。ヤバイと思ったその時だった
「へぶはぁぁ!?」
いきなり迫ってきた男子が殴られ真横に向かって吹っ飛んでいった
慌てて横を振り向くとそこには短い赤い髪がツンツン立っているのが印象的な荒っぽい雰囲気の男子がそこに居た
「全く女二人にむさい男共が取り囲むとは情けない連中だな」
「なんだと!?てめぇ!!」
「!!ま、待って!!そいつは!」
仲間の一人が止めようとするが聞かずに殴りかかろうとするがいとも簡単によけられ逆に返り討ちになっていた
「や、やっぱりコイツ例の神奈月中の!」
「あ、あの悪鬼羅刹で噂の奴か!」
どうやらこの男子達はこの人物の事を知っているらしく怯え始めていた
「さてどうする?やるならとことん付きやってやるが?」
ギロりと睨みながらそう言うと男子達は我先にと逃げ出していった
「あ、ありがとう、助けてくれて」
「別に気にするな、ただあいつらが気に食わなかったからしゃしゃり出ただけだ」
そう言って何処かに行こうとしているので私は慌てて名前を聞いた
「待って!!名前!名前教えて!」
「…神奈月中の坂本雄二」
そう言って彼は去っていった
私は彼が言った事にびっくりの余り呆然としていた
あ、あれが坂本君!?原作は一巻しか読んで居ないから彼の昔知らなかったけどあんな感じだったのか…
そんな事を考えていると「先輩」と後ろから声をかけられ振り向くとさっきの絡まれていた後輩の女の子だった
「先輩、ありがとうございました!私を助けようとしてくれて」
「ううん、気にしなくていいよ。それに実際助けてくれたのは彼のほうだったんだし」
「いいえ!もし先輩があの時来てくれなかったら私どうなっていたことか…だから!ありがとうございました!それじゃ私さっきのあの人にもお礼を言おうと思うので失礼します!」
そう言うと後輩の女の子はさっきの彼が歩いていった道を走っていった。また変なのに絡まれたりしなきゃいいけど…
私は後輩の子を見送ると再び街に向かって歩きだした