これは二年に上がる日より前の出来事
それは新たな年が来て正月が去り冬休みが終わった次の月にくる一大イベント、バレンタインの前日から始まる
「そういえば明日バレンタインだよね?」
「あ、そういえばそうね。なんかついこの前まで正月だったのにいきなり来た!って感じね」
「・・・今年こそ雄二に渡してみせる」
「お♪代表気合入ってるね♪どんなの作るの?」
いつものように昼休みに優子、愛子、翔子は机をくっつけてお昼を取っていた
「・・・秘密。当日のお楽しみ」
「それは楽しみだね♪ボクは買って済ませるかな。優子はどうするの?」
「うち?うちは作るわよ?買うより作ったほうが安いし。う~んでもな~」
「どったの?優子」
「作るときすご~く邪魔するやつがいるのよね・・・」
「???」
この日学校が終わると優子はチョコの材料を買って家に帰ると服を着替え、いざチョコの製作に取り掛かろうとすると毎年必ず決まって・・・
(優)「(-.-;)・・・・」チョコ製作中
(秀)「( ̄^ ̄)じーーーーー」
チョコを作っている隣で秀吉がじーーと見てくるのだ
「あ、あのさ秀吉?なんか用?」
「いや、なんでもないのじゃ。姉上は気にせず作業すると良いのじゃ」
「いやいやいや!!気にするから!っていうかこれもう毎年やってる会話だから!・・・毎回言ってるじゃない、別に男の子にあげる用はないって」
「いいや!もしかしたら今年はあるかもしれないのじゃ!姉上は嘘がうまいからのう。じーーーーーー」
「(気になって集中できないし・・・。うん?・・・ムフフ、よ~しなら・・・)」
優子は冷蔵庫からあるものを見つけるとそれを包み丸め湯せんして溶かしてあったチョコをコーティングし表面をココアでまぶした
「ほれ、アンタの為に一個作ってあげたからこれ食べたらあっち行きなさい」
「おおお♪なんか急かして作らせたみたいで悪いのう。では頂きます♪」
ぱくっとそれを口に入れる秀吉
「うんうん。チョコレートの甘味のあとに強烈な酸味が、ってすぱーーーーー!!!」
秀吉に渡したそれは梅干をチョコでコーティングした物だった
「これに懲りたら邪魔しないように。またやったらまたこれ食わせるから♪」
「ううう・・・」
そんなこんなで時間が経ち、そしてバレンタイン当日
の放課後
「さーてと・・・この後どうすっかなー。もうちょっと学校にいるけど、どうすっかなー。(棒読み)」
「か、帰ってもする事ないしなー。屋上でも行ってみようかなー俺。(棒読み)」
「お、俺も特に意味はないけど校舎裏にでも行こうかなー。(棒読み)」
「あからさまなアピールだね、あれ・・。」
「ええ・・・、女子ほとんど帰った後だけど」
放課後、私と愛子が見たのは
放課後の廊下を聞こえるくらいの声でそう言って歩いていた男子達だった。必死だな・・・
そんなメンツも入ればこちらでは・・・
「女子からチョコを貰った者は異端者だ!!刈り取れ!!」
「オオオオォォォォォォ!!!」
「ひぇぇぇぇぇぇ!!!!」
覆面を被った怪しい集団が武器を持って一人の男子生徒を追い掛け回していた。まあそれ吉井君なんだけど彼のことだし何とかするでしょう・・・
「それにしても優子が作ってきたトリュフ美味しかったよ♪」
「それだったら愛子が持ってきたあのチョコだって美味しかったじゃない♪」
私達はその日のお昼休みにお互いが持ってきたチョコを交換していた。いわゆる友チョコである
私はトリュフを、愛子は専門店で買ってきたチョコを、そして代表は・・・
「え、えーと、代表?それってウェディングケーキ?」
「うん。私の愛を形にした。これを雄二に渡すの」
それはハート型のチョコのウェディングケーキだった。・・・愛されてるな坂本君
そして今現在、代表はそれを渡すために校内を巡回している。あのケーキを持って
「さてと。それじゃそろそろ部活だからボク行くね。またね優子」
「ん。部活頑張ってね愛子」
そう言って愛子と別れ校内をでて校門の所まで行くと秀吉が誰かを待っている様子でそこに居た
「あれ?秀吉、アンタ部活は?」
「あ、姉上。今日は部活休みじゃったから一緒に帰ろうかと待っておったのじゃ」
「そうなんだ。じゃ、帰りますか」
「うむ」
そうしてふたりで帰ることになったのだが・・・
「ところであの手作りのチョコ誰に渡したのじゃ?」
「だから、友達に渡しただけだって言ってるじゃない」
帰る中何度もこう聞いてくるのである
「はあ・・・、全く仕方ないわね」
うんざりした顔で優子はカバンの中から何かを取り出した
「ほれ」
そう言って取り出したのは可愛いらしいリボンに封されたキャラクターが印刷されてある紙袋を渡した
「なんじゃこれは?」
そう言って秀吉がリボンを解き中身を見ているとそれはトリュフだった
「安心しなさい。梅干じゃないから。作りすぎたから家に帰ったらアンタにあげようと思ってね。でもしつこいから今あげとくわ」
「わしの分なのじゃな!?・・・えへへ」
そんな弟の顔をみてやれやれと思う姉であった
「ほら、帰るわよ。秀吉」
「うむ、分かったのじゃ♪」
「あ、言ってきますけどそれ家族として渡すんだからね!」
「分かっておる♪分かっておる♪」
ちょこちょこ気になる日であった