清涼祭、 二日目
二日目のメインイベントは召喚大会なのだがそれだけでなく各クラスの出し物もまた継続している訳で……
「数多くのお客様から謎の猫耳メイドさん登場の要望が殺到してます!!」
「こちら受付係です!! これ以上は持ちませーん(泣) 救援を!! 救援を!!」
今、うちのクラスの入り口で大変なことになっております……
どうやらあのムッツリーニ協会が出したあのブロマイドがこの状況を作り出したようだ
これを見てアタシの隣にいる緑髪の悪魔がこっちの肩に手をかけてこう言った
「さあ、優子。 メイクアップの時間だよ(ニコッ)」
「アタシにまたアレをやれというのか!?」
出来ればアレはもう遠慮したいんだけど……アタシの黒歴史的にも
「出ないとこの状況を収拾できないと思うけど?」にやにや
コ、コイツ!? 分かって言ってるでしょ!?
でももう受付の所も限界みたいで涙目で助けを求めていた
つまりアタシには選択肢が初めから無かった訳で……
……
………
…………
「「ありがとうございました~」」
バイトで鍛えられた営業スマイル全開でなんとかラッシュを乗り切ることが出来た
「どうにかなんとかなったみたいだね」
「もうへとへとだよ~。……ところで工藤さん、この子一体何者なの?」
クラスメイトの視線がこちらに集まってきた。や、ヤバい……
内心焦っていると
「ああ、この子は優子の知り合いで鏡ちゃん。 この清涼祭に緊急のヘルプで来てもらうことになってたんだよ。 まあ忙しい所に無理言って来てもらってるからランダムな助っ人だけど鏡ちゃん本物のメイド喫茶で働いてるから戦力になるでしょ? 皆に伝えるの忘れてたよ、ごめんね」
そう言って苦笑いで手を合わせて愛子がそう謝罪すると「なんだ、そういうことなら」と納得するクラスメイト達
即興で作った嘘とは言えこんなにも簡単に皆を騙すとはこいつ、秀吉と同じくらいに役者の才能あるのではないだろうか
そんなことを考えていると
『まもなく召喚大会がスタートします。大会に出場する生徒は会場のほうに集合して下さい』
「もうそんな時間なの? 全然気が付かなかったよ」
「そういえばうちのクラスからも何名か出るんだったよね」
「そうだよ。 代表の所にボクの所とあと優子の所も出るんじゃなかったかな?」
「へー。 あ、その木下さんだけどさっきから姿見えないけど?」
ギクッ!?
「え、えーと、そ、そう! 優子にはお店の宣伝に出て行ってもらってるんだよ!! 鏡ちゃん、悪いんだけどこのバックを優子に渡しに行ってもらえないかな? 中には制服が入ってるから」
「わ、わかりました! そ、それじゃあ皆さん! 頑張ってください~」
そう言うとアタシは愛子からバックを預かると急いで教室を後にした
「はあはあ……、ま、間に合った……」
あの後、回りに誰も居ないことを確認しながら一階の使われていない実習室で大急ぎで着替え、ここまで走ってきた所である
ゆっくりと息を整えて周りを良く見ると全クラスから参加者が出ておりその編成は同じクラス同士だったり別々のクラスのコンビだったりと色々なペアーがいた
そんな中アタシのパートナーはと言うと……
「木下さん!! こっちです!!」
そう呼ばれ声がするほうに進むとその人がいた
「ごめんね? 待たせちゃった?」
「いいえ。 こちらも今来た所です」
今回ペアーを組む事になったその人は
「さあ! 行きましょう!! お姉さまに近づく豚共を殲滅し目指すは優勝です!!」
「あ、あはは。 よ、宜しくね?……清水さん」
Dクラスが一人、清水美春その人である
次回は美春との出会いと何故組む事になったかの経緯を書こうと予定してます