「それじゃ私こっちだから」
「うむ、それじゃまたなのじゃ姉上」
新校舎と旧校舎の境界線に当たる渡り廊下で秀吉と別れると私はAクラスに向けて足を動かした
Aクラスに向かっていると後ろから
「ゆ~う~こ~♪」ギュッ♪と誰かに抱きつかれてしまった…
この聞き覚えのある声、こんな事するのはおそらく…
慌てて後ろ見るとそこにいたのは色の薄い髪をショートカットしたボーイッシュな女の子、工藤愛子がそこに居た
むにゅ♪
「こ、こら!愛子どこ触ってるのよ!」
「胸だけど?♪おや~?優子さん、またちょっと大きくなってない?ここのところ急成長だね~♪」
愛子は一年の終わり頃に来た転校生でその時席が隣だった為知り合い友人となるって!!廊下のど真ん中でなんてことを言ってるんだこの娘は!!
「な、何言ってるのよ!?アンタは!?」
そんな風に廊下で騒いでいると「どうかしたのですか?」と後ろから声を掛けられ振り返るとメガネをかけスーツをきっちり着こなした女性、私達の担当の高橋先生だった
私は素早く身なりを整えた
「いえ、大したことではありません。ちょっと制服の乱れを工藤さんに直してもらっていただけですから、ねえ?工藤さん?」
「え?」
(ギロり)
「え、ええ!そうなんですもう気を付けなきゃダメだよ?優子」
「ええ、ごめんなさいね工藤さん♪」
「そうだったのですか。もう少しで授業が始まりますのでそれまでに教室に入っていて下さいね」
「はい、わかりました」
そう言って高橋先生の後ろ姿が見えなくなるまで見送った
「相変わらず優子のその猫かぶりぷりは凄いね…」
愛子は素の私を知る数少ない友人の一人でもある;;まあ去年ちょっとした油断から見つかってしまったのが原因なんだけど…
「仕方ないでしょ!これでも私は優等生で通ってるんだから!それにこれは木下家の血の性ゆえよ!そう!血のせいなのよ!」
「そ、そうかな?」
「そうよ!ほら教室に急ぐわよ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ~」
愛子と共にAクラスにたどり着くと教室の施設の凄さに唖然としていた
「…ここ、教室、だよね?」
「ええ…そうみたいね」
そこにあったのは壁全体を覆うほどの大きさのプラズマテレビを中心にノートパソコン、個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシートなど色んな設備が備わっており、またその周りを見てみると壁には如何にも高そうな絵が飾られていたり観葉植物などが置かれていた
原作を読んでいたとはいえそれを直で見るとそのスケールのデカさに改めて驚いた
「な、何だか高級ホテルみたいな教室だね」
愛子もこの教室の設備の凄さに頭が追いついてないようだ
「ええ…でもこれを見て「戦争」を起こそうって思う理由と学園側の思惑がよく分かるわね」
「「戦争」って試召戦争の事?それに思惑?」
「そう、授業料は同じなのにこれほど設備に差があると奪いたいって気持ちにもなって戦争を起こす。その為勝つために勉強をしようとモチベーションが上がるし、また奪わせまいと点数を上げるため勉強しようとモチベーションが上がる、そしてその結果成績向上に繋がる、とね」
「なるほどね。でもうちのクラスに挑もうと思うクラスなんているのかな?」
…それがいるのよね~。それも一番下から、ね…
とりあえず教室に入るとまずとある人物がいるか確認した
「…やはりいないか」
私が探していたのは後にFクラスの主力になる姫路瑞希さんだった。もしかしたら?と思ったがやはり原作通りFクラスになったか
そんな事を考えていると「優子、愛子おはよう」と声をかけられたので振り向くと黒髪を肩まで伸ばしたまるで日本人形ような女の子、一年の時の同じクラスメイトの霧島翔子がいた
「あ、代表おはよう~♪今回も代表が代表なの?」
「…愛子、何か変な会話になってる」
「あはは、ごめんごめん。去年ずーと代表って呼んでたからクセになってたよ。それじゃあ改めて霧島さんおはよう~♪」
「…うん、おはよう」
「それで今回も霧島さんが代表?」
「…うん、私がAクラスの代表になった」
「あはは、去年とまた一緒で代表って呼ぶね♪また同じクラスになれて嬉しいよ♪」
「私も♪またよろしくね代表♪」
「…うん、私も二人と一緒で嬉しい♪」
そうして喜んでいると高橋先生がやってきたので席についた
先生から各自の設備の確認、クラス代表の挨拶などが終わり最後に
「Aクラスの皆さん。これから一年間、霧島さんを代表にして協力し合い研鑽を重ねてください。これから始まる「戦争」でどこにも負けないように」
高橋先生の結びの言葉で締め二年生がスタートした