世界を旅することを夢見た者たち   作:ウグり

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第十五話 決着!

「これは……!?」

 

 

 

光るイーブイを見て、リョウスケ、ワタル共に驚く。

 

 

 

「ちっ、進化か?ハクリュー!先にイーブイを仕留めろ!」

 

 

 

ワタルは今にも進化しようとするイーブイを始末するため、リョウスケから狙いを変更する。

 

だがそれよりも早く進化が完了し……

 

 

 

『やぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

 

ゴウッ!!と破壊光線と飛んでくるがそれを素早くかわし、

 

ガァン!!

 

 

 

「ハクリュー!?」

 

 

 

そのままハクリューに突進をかます。進化したことによりパワーアップし、かなりのダメージが通った。

 

リョウスケは破壊光線で起きた煙が晴れ、ようやくその進化した姿を見る。

 

 

 

「……ブースター!?」

 

 

 

本来ならブースターになるためなら炎の石という進化アイテムを与えなければ進化しない。

 

なら何故今ここでブースターに進化することが出来たのか。

 

 

 

「……スオウ島の火山エネルギーが炎の石の代わりの役目をしたようだな」

 

 

 

ここスオウ島の中央には大きな火口がある。それも活火山でかなりの炎エネルギーがたまっている状態だ。

 

そのエネルギーが進化をもたらしたというのだ。

 

 

 

「本当に……そんなことが?」

 

『……これで、ようやくまともに戦えるっ!』

 

 

 

奇跡のような理由だが、進化したことにより戦力はアップした。

 

 

 

「確かに戦力は上がったようだが、それだけ手負いの状態でこの竜軍団に勝てるとでも?」

 

「そんなことは……やってみなきゃわからない」

 

 

 

だがまともに戦っても軍配はワタルに上がるだろう。それほどまでにワタルのポケモンは強力だ。

 

 

 

(何か工夫をしないとこの勝負は勝てない……それにブースターも進化したばかりでまだ炎を上手く扱えないはずだ)

 

 

 

進化したからといって、すぐに炎の技を扱えるというわけでもない。

 

 

 

(どうにかこの状況を打破しなければ……そうだ!)

 

 

 

一か八かだが、賭けるしかない。リョウスケは思いついた作戦をすぐに指示した。

 

 

 

「ボーマンダ!ブースターに火炎放射!」

 

「仲間に攻撃……!?」

 

 

 

ボーマンダは迷わず、炎の攻撃である火炎放射をブースターに放つ。

 

もしブースターが身体の内部から炎を上手くコントロールできないのなら、外部から炎のエネルギーを与え纏わせればいい。リョウスケの考えた作戦とは、こうだ。

 

 

 

『相変わらず手加減無しだね、ボーマンダ!でも、これで……!』

 

 

 

強力な炎を纏ったブースターはタァン!!とジャンプしながら回転し、炎の勢いを上げそのままハクリューに突進する――――!

 

 

 

「いけぇぇ!!火炎車ぁぁっ!!」

 

 

 

ガァァン!!と大きな突撃音が鳴り響き、一匹のハクリューが吹き飛ぶ。……戦闘不能だ。

 

 

 

「なっ……!?」

 

「(今がチャンスっ!!)ボーマンダ、プテラに向かって破壊光線っ!!ラプラス、動いたところを狙い打ってハイドロポンプだ!」

 

「ッ!?」

 

『らあぁぁぁっ!!』

 

 

 

不意をついてきたようにボーマンダがプテラに向かって破壊光線を撃つ。自慢のスピードでかろうじてかわすが……

 

 

 

『はぁっ!!』

 

 

 

バシャアアァァァッ!!

 

ラプラスのハイドロポンプが、プテラにクリーンヒットする。相性も良く、一撃でダウンだ。

 

 

 

「……よっしゃ、これで後一匹!!」

 

 

 

三匹のうち二匹を倒し、かなり優位に立ったリョウスケ。

 

……だが、ここで思わぬ事態が発生する。

 

 

 

「ゲホッ、ゲホッゲホゲホゲホッ!?」

 

『リョウスケッ!?』

 

 

 

リョウスケが突如かなり苦しそうに咳き込み始めたのだ。

 

 

 

「くそ、こんなとこ……ろで……ゲホッ!?」

 

 

 

ガクッ。

 

ついに、立つ事が困難になり膝を突いてしまった。

 

 

 

「フフフ……フフフ、フハハハハ!!」

 

「なに……がおかしい!」

 

 

 

いきなり狂ったように笑うワタル。

 

 

 

「どうやらお前を過小評価しすぎていたようだな。……お前は強いよ、俺が今まで出会ってきたトレーナーの中でもかなりな。」

 

「な……に……?」

 

「どうやら、身体にハンデを抱えているようだな。それでいながらあの逆境での強さ、奇抜且つ好判断。俺もかなり驚かされた。……だがな、お前は運が悪かった。何故なら戦っている相手が俺だからだ!」

 

 

 

戦闘不能になっているハクリュー、プテラに手をかざすワタル。すると……

 

ポウ、と柔らかな光がポケモン達を包み込む、そして瞬く間に……傷が回復する。

 

 

 

「な、それは……!?」

 

「フハハハハハ!!絶望したか?お前の手持ちはそのボーマンダという竜しかもうまともに動けないだろう?」

 

 

 

ブースターも、ラプラスもかなりのダメージを負って戦闘不能寸前である。まだまともに動けるのは、ボーマンダのみだ。

 

 

 

「それに対してこちらはまだ、全てのポケモンが全快だ。それに俺の手持ちはこの三匹だけじゃない。これでもまだ、お前に勝ち目があると思うか?」

 

「く……そっ……!」

 

「……じゃあな、それなりに楽しめたよリョウスケ。これでとどめ……!」

 

 

 

ピー、ピー。

 

突如何かの通信音が戦場に鳴り響く。ワタルの通信機だ。

 

 

 

「……なんだ、カンナ」

 

「侵入者が一気に攻めてきたわ。もう、遊びの時間は終わりみたいよ?」

 

「……チッ、わかった。すぐに移動する。」

 

 

 

プツッ、と連絡を切る。

 

そして、ワタルは自分の手持ちを全てボールに戻してしまった。

 

 

 

「……運がよかったな。俺はもう行く、じゃあな」

 

「くっ……!」

 

「これに懲りたら、自分の命くらいは大事にするんだな。……そうじゃないと、お前の手持ちのポケモンが悲しむことになるぞ?」

 

 

 

そう言って、ワタルはこの場から立ち去る。

 

……リョウスケは負けた、それも完全にだ。身体は、動く気配が無い。そのまま、地面に倒れこんでしまった。ブースターも、ラプラスも動けそうに無い。動けそうなのはボーマンダだけ。

 

 

 

「戻れ、ブースター……ラプラス……」

 

 

 

わずかに残っている力を振り絞って、ブースターとラプラスを戻す。

 

 

 

「負けちまったよ」

 

『……ああ』

 

「……命があるのが不思議なくらいだ、はは……ゲホッ!」

 

『もう、無理すんな!しばらくそこに寝てろ!』

 

 

 

リョウスケの視界がだんだん薄れていく。身体が耐え切れなくて、意識を手放そうとして楽になろうとしているのだ。

 

 

 

「……?」

 

 

 

誰かが歩いてくる、わずかな意識の中リョウスケはそれを感じた。何となく、黒服を着ているような気がする。

 

 

 

「……」

 

「誰かわかんないですけ……ど。俺の代わりに、イエローを……助け……て」

 

 

 

それだけ言って、リョウスケの意識は完全に落ちた。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

「……面白いものを見せてもらった」

 

 

 

黒服の男……サカキは意識を失ったリョウスケをよそに、そう呟く。

 

 

 

「ここら辺では見ないポケモンだな……そう睨むな、俺はその少年に何かしようってわけじゃない」

 

 

 

リョウスケに手出しさせるものか、とサカキを睨みつけるボーマンダ。

 

 

 

「途中から見させてもらったが、正直ワタルにあそこまでの戦いが出来るとは思っていなかった。……負けはしたが、善戦と言ったところか。まあ……この戦場に於いて善戦など何の価値も無いのだが」

 

 

 

だが、と一言の後

 

 

 

「良いものを見させてもらったお礼というわけではないが、偶然にも君の願いと俺の目的は一致しているのでな。その頼み、聞いてあげよう。……これ以上ワタルに好き勝手やってもらうのも困るのでな。フフフ……フハハハ」

 

 

 

それだけ言って、サカキはこの場を後にした。

 

 

 

『リョウスケ……』

 

 

 

誰もいなくなったこのスオウ島の内部で、ボーマンダは一人呟く。

 

 

 

『俺、もう絶対に負けねぇ。これ以上……絶対に負けねぇ』

 

 

 

誰も聞かないこの場所でボーマンダは静かに、力強く宣言する。

 

 

 

『とにかく、ここは危ない。どこでもいい、リョウスケを休ませる場所に避難しないと……』

 

 

 

戦い抜いた青き竜は友人を落とさぬよう、リョウスケを丁寧に背に乗せ戦場を後にする。




次の話で、カントー編ラストになる予定です。
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