バサッ、バサッ――――
スオウ島から離れたボーマンダは気を失ったリョウスケを連れ、どこかの無人島へと上陸した。
『ここなら、休める。ブースターもラプラスも傷ついてるからさっさとどこかの町にでも行きたいもんだが……』
回復させるためにはポケモンセンターのあるそれなりに大きい町に行くのが手っ取り早いだろう。……だが、
『俺だけじゃ、たどり着ける自信がねぇ……道に迷って、リョウスケの身体に負担をかけるのもまずいしな』
リョウスケが目を覚ましてからでも大丈夫だろう。それよりもまずはリョウスケを休ませることが先決だ。
そう考えたボーマンダは、どこでもいいので休めるところを探していた。……そしてたどり着いたのがこの無人島だ。
『しかし、周り一帯も木、草、木、草だな……ポケモンすら生息してないってのか?』
見回したところ、自然が豊かであるということくらいの感想しか思いつかない。自然だけで、ポケモンの気配も全くしないのだ。
『……ちょっと、探索したいけどな』
まぁリョウスケを一人にするわけにもいかないし、目が覚めるまで待つか。そんなことを考えていた矢先――――
『あれれ、誰?』
『……ッ!?』
気配など全く無かった。突如、それは現れたのだ。
『……なんだ?』
『あ、うーん待ってね。こうすれば、わかるかな?』
そしてそれはまた突如目の前から消えたかと思えばリョウスケの目の前に現れ手をかざす。
『ッ!?、おい何して』
『あー、なるほどなるほど。そういうことね』
何かに納得したかのようにそれは発言する。
『何か、大きな戦いに挑んだんだね?それで、やられちゃったと』
『おい、てめぇ……余計なことしやがったら、ぶっ飛ばすぞ』
『うーん、ボクは何もする気はないんだけどね?君は、その戦いの続き気になる?』
ブォン!!と突如スオウ島での現状を中継した映像が映し出される。
『なっ……!?』
突然のありえない現象に、ボーマンダは驚きの声を上げる。
『ボクの念力で映し出した映像だよ♪あれ、どうやらクライマックスが近いみたいだね?』
『お前……一体何者なんだ?』
遠くの映像を念力で映し出せるほどの規格外の力。そして瞬時にこちらの状況を把握できた謎の力。
これだけでも、何者か?という疑問を抱かせるには十分だろう。
『ん、ボク?ミュウって言うんだよ、よろしく♪ここは自然が美しいからね、ボクだけでここに住んでいるんだ』
目の前のポケモン――――ボーマンダは知る由も無いが、幻のポケモン。
ミュウが住む島。ボーマンダは本当に偶然、この島に上陸したのである。
~~~
一方、スオウ島。
こちらでは最終決戦のクライマックスを迎えようとしていた。
ガッ!!
プテラの攻撃をゴロすけが防ぐ。
「ふふ……、守りの戦い。いつまでもつかな」
「あなたが考えを正すまで!」
「しかし、その前にこいつがバッジのエネルギーを吸収しつくす!エネルギーを吸ったその翼の一振りで、先兵として送り込んだ各地の四天王軍もバッジの影響下におかれる!」
こいつとは、バッジエネルギーを大量に吸う存在……スオウ島の夜明けと共に現れる幻の鳥ポケモン。
「ふふふ、もうすぐだ!見えるぞカイリュー!!これから建国される、すばらしいポケモンの国が!今度こそ人間どもから、ポケモンを解放できる!人間どもからな!」
「く!」
キィィィン、と突如ピカの思考がイエローの頭に流れ込んでくる。
(対抗策……エネルギーの発生は防ぎようが無い。その対策はたった一つ!それ以上の力をぶつけて吹き飛ばすこと!ピカはそれに気づいている。バッジの力を吹き飛ばせば、ワタルの野望を止められるんだ!)
突如。
地上から大きなエネルギーが上空へと流れ込んでくる。
「(これは……、グリーンさんたちのポケモンのエネルギー!)ピカ!」
『ピッ』
「(トキワの森よ!ボクに、みんなを守る力を……!)100万ボルトオオオ――――!!!」
バシュウウウウッ!!
大きな力が、あたりを巻き込む。
「く……、ここまで……か!」
カントー全土を巻き込んだ戦いにも、ついに終焉の時が訪れる。
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こちら、名前もわからない無人島。
決着の瞬間を、ボーマンダとミュウは目をそらさずに見ていた。
『意外な決着だったねぇ、まさか麦わらの子が勝つと思わなかったけど……ってあれ?どうしたの?』
『……』
決着がついたのにも関わらず、ずっとボーマンダは黙っているのだ。
多少なりリアクションを取ると思っていたミュウからすると、少し意外だったようだ。
『さっきそこのリョウスケって子の気を読み取ったけど、あの麦わらの子が勝ったなら君たちにとってはよかったんじゃないの?何でまた、そんな深刻な顔して』
『ああ、終わりよしなら全てよし……なんて言えるかよ。確かに最終的な結果としては申し分の無い結末だ。だがな、現にここでリョウスケは傷ついている』
自分の力不足もあって、リョウスケをかなり傷つける羽目になってしまった。それがボーマンダは許せないのだ。
『何も、無傷で勝とうだなんて甘いことは考えては無かった。でもよ、本当に生きてるのが奇跡なくらいに……危なかった』
『ふーん』
『……聞いといてその反応かよ』
『で、君はどうしたいのかな?どうせ、主人のために強くなりたい!とか言うんでしょ?』
『……わかってんじゃねえかよ。ちなみに、主人って感情よりかはダチだな、友達。他の二匹がどう思ってるかはわかんねーけど』
『うん、それなんだよ』
『?』
何がそれなのか?ボーマンダはミュウの発言に疑問を浮かべる。
『いやあ、リョウスケって面白いよね。さっき、頭の中から色々と読み取ったんだけど』
『……それはプライバシーもクソも無いけど大丈夫なのか?』
ミュウの発言にちょっと……いやかなり心配になるボーマンダ。
『まー、細かいことはいいじゃん。うん、ボクってこう見えても結構珍しいポケモンだからさ、よく人間に狙われるんだけどさー』
『おい、さらっとトンでも無い事言ってるけど』
『そのせいか汚い感情を持った人間ばかり見ててさ、だからこそ思ったってのもあるんだけどね』
『何だよ、もったいぶりやがって』
『いやいや、そこまでポケモン思いの人間も珍しいよねーってさ。勿論、過去にもポケモンを大切にしている人はたくさんいたよ?それでも、群を抜いているというか』
ミュウはさっき、リョウスケの思考を読み取ったときにそれを感じたのだ。気を失いながらも、自分のポケモンを気遣う心。
『うんうん、本当に面白そうだよね。だからさ』
ここで驚愕の一言を、ミュウは口にする。
『ボクも、リョウスケの旅についていこうかなぁー♪』
『……リョウスケの手持ちポケモンになるって事か?』
『いやいや、ボク人のボールの中とか入りたくないし。んー、尾行?』
『……ちょっと何言ってるか』
ボーマンダは頭が痛くなっていくのを感じた。
こいつ、悪い奴ではないと思うが食えない奴だ……と。
『だいじょーぶ、君たちがピンチになったらこっそり助けるからさ、安心してても大丈夫だよ?』
『いや、そういう事じゃなくて……』
『ああ、ボクの事はリョウスケに言わないでね?ポケモンと、喋れるんでしょ?』
『……頭が痛い』
『あ、言ったらそうだなぁ……念力でリョウスケの首をねじ切ったりー♪とか?』
『……はいはい言いません言いません言わないって』
どうせ、嘘でしかない形だけの脅迫だろう、とボーマンダは感じた。そしてミュウも、こんなことをするつもりは毛頭ない。
そしてボーマンダはというと……
(ウザい、面倒くせぇ……)
そんな印象しか受けなかった。
『っと、そうなったら何時までもこんな所にいるわけにもいかないね。もう一つのボクのお気に入りの場所へ、テレポート♪』
『……ん?』
『あ、慣れてないと気持ち悪くなって気を失うかも?』
無人島に居たリョウスケ、ボーマンダ、そしてミュウの姿が一瞬で消えた。
~~~
全てを終え、無事帰る事が出来たイエロー。
今はレッドの家でレッド、グリーン、ブルーと共に小さなお祝いをして、ちょっと外の空気を吸いに来た、という状況だ。
「やっぱり、マサラの空気は綺麗だなぁ」
四天王の野望を阻止し、目的であったレッドも見つかり、こうして平和を取り戻すことが出来た。
……だが、一つ気がかりがある。
「リョウスケさん、どうなっちゃったんだろう……?」
自分と同じくスオウ島に上陸していた人物、リョウスケ。
あそこで連絡が途絶えてから、帰還してからも何度か連絡を入れているが繋がらない。
「ブルーさんも、あまり気にしすぎないほうがいいって言ってたけど……」
気にしすぎないほうがいいと言われても、どうしても気にしてしまうのだ。
「ん?」
何だろ?と目の前にいるポケモンを見る。見たことのない、ピンクの色をしたポケモンが宙に浮いているのだ。
「ッ!?」
自分が手を触れていないのにもかかわらず、突然頭の中に感情が流れ込んできた。
「えっ?……ひ・ま・つ・ぶ・し?って、あれ?」
その目の前のポケモンは既に姿を消していた。暇つぶしとは何だったのか?あのポケモンは何だったのか?色々な疑問が残る。
「今のポケモン、何だったんだろう?……って、あれ」
あそこで寝ているポケモン、そして人を自分は知っている。
ついさっきまでずっと心配していた、その本人だから。
~~~
「んっ……」
自分はどれだけの間気を失っていたのだろう。そしてここは、どこだろう。
様々な疑問が、リョウスケの頭の中をよぎる。
「少なくとも、スオウ島ではないな……」
隣にいるボーマンダの姿を見る。とても、気持ちよさ……いや、何故か気持ち悪そうに寝ている。
「お前が、安全なところに俺を運んでくれたのかな?」
寝ているため返事は無いが、きっとそうだろうと自己解決する。
「……ともかく、これからどうしよ「リョウスケさあぁぁぁぁん!!!」な、何ですか!?」
目覚めの一発と言わんばかりの自分を呼ぶ大声。思わず敬語で、反応してしまう。
そしてあることに気がつく。この声は、どこかで聞いたことがあるようなと。そして、声のする方を振り向くと――――
「リョ、リョウスケさあぁぁぁぁん!!!」
「イエ……ロー?」
声、姿共に見覚えのある麦わらの子が、こちらへ走ってくる。
「はぁ……はぁ……」
「……」
少しの沈黙が流れる。そしてその沈黙も、
「……わりぃ」
リョウスケの一言で、破れる。心配をこんなにもかけたのだ、怒鳴られてもしょうがないな。そんなことを、リョウスケは思った。
「ッ……。確かに、凄く心配しました。けど……」
「……」
「リョウスケさんが無事なら、それで大丈夫です。……だいじょう、ぐずっ」
「……え、ちょっとイエローさん?」
怒鳴られるどころか、泣き出してしまったではないか。これはリョウスケもさすがに予想外である。
「うわ~~ん!!こっぢは凄い心配してたんでずよぉ!?いっだい、なに、して」
「わー、わかった、ごめん!泣き止んで、マジで!イエローさん!」
……こうして、無事カントーの日常を取り戻すことができた。
『……おえぇ、気持ちわりぃ……あの野郎、こんなことになるなら先に言えよ……おえっ』
……取り戻すことができた?
カントー編終了。
漫画のラストのシーンの一部(多少改造)を書いてみましたが、文で書くとすごく迫力が激減しますね。文才のある人なら、上手く書ける方もいるかもしれませんが……
次からはオリジナルの章に入る予定です。それから、金銀編へと移行の予定。
……オリジナルと言っても、元ネタはある(漫画ではないですが)のでもしかしたらわかる方もそれなりにいるかも?