世界を旅することを夢見た者たち   作:ウグり

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バトル描写は、難しい。


第十九話 熱き炎の戦い! VSカガリ

「はぁっ、はぁっ……リョウスケさん走るの速いよ」

 

 

 

バトルをやっているのを見るや否や、すぐさま全速力で走り抜けていったのだ。

 

とても過去は病弱だったとは思えないほどの体力だ。イエローは少し鈍くさいところがあるので、置いていかれてしまった。

 

 

 

「たくさん人がいるなぁ……リョウスケさんどこにいるんだろう?」

 

 

 

気のせいか、先程よりも人が増えているような感じがするのだ。しかも周囲には背の高い大人もいるので、中心で行われているバトルの様子がわからない。

 

……それが普通のバトルならば。

 

 

 

「うわぁぁっ!?」

 

 

 

突然、中心から大きい……という言葉だけでは足りないくらいの炎が燃え上がった。

 

 

 

「うおぉっ、すげえバトルだ!」

 

「炎ポケモン同士の戦い……これは熱いですね」

 

 

 

炎ポケモン同士の戦いということは、この大きな炎はお互いの技がぶつかり合って生まれた炎なのだろうか。そうイエローは考えた。

 

 

 

「しかし、突然来たあの少年もかなり凄いな……10連勝をして圧倒的と思われた彼女相手に負けないほどの戦いをしている」

 

(突然来たあの少年……?それって、もしかして)

 

 

 

イエローは心当たりがありすぎた。恐らくリョウスケだろう、と。

 

だが、背の低いイエローは炎が一部燃え上がってきていることくらいしか把握できない。

 

 

 

「んー、こうなったら」

 

 

 

イエローは自分の持っているボールの一つに手をかける。

 

 

 

「ピーすけ、お願い!」

 

 

 

自分の手持ちであるバタフリー、ピーすけを出して少しだけ空を飛び、バトルの様子を見る。

 

 

 

「あっ、やっぱり……リョウスケさんだった」

 

 

 

思った通り、あの戦っている少年はイエローがよく知るリョウスケであった。

 

このままピーすけに飛んでもらいながらのんびりバトルでも見ようか、そう思った矢先に……

 

 

 

「あ、危ねぇっ!!」

 

「熱っ!?」

 

(ん?……って、うわぁっ!?)

 

 

 

高レベルなバトルの影響か、周囲に火の粉が飛び散ってきたのだ。

 

地面に立っている人たちには勿論、飛んでいるイエローにも。これでは、のんびり見れるなんて余裕などない。

 

 

 

「こんなところにまで火の粉が飛んでくるなんて……?お互い、凄い威力だなぁ」

 

 

 

バトルを見るだけでも危険だな、そうイエローは思った。そして、それだけ熱いバトルが行われているということでもあるのだが。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

ゴオォォッ!!

 

何度もお互いの炎技がぶつかり合い、その度に大きい炎が燃え上がる。

 

 

 

「ははっ、いいねいいねぇ!あたしはこういう戦いを望んでたんだよ!」

 

 

 

カガリの声と共鳴するかのようにキュウコンの炎も激しくなってくる。

 

 

 

「こっちも……こんな熱い戦いは久しぶりですよ!ブースター!!」

 

 

 

こちらもリョウスケの呼び声と共にブースターの炎が強くなっていく。

 

炎は何度も何度も衝突し、勢いを失うということを知らないかのようにさらにさらに燃え上がる。

 

 

 

「マジで熱い戦いだなこりゃ!」

 

「見てるほうも熱くなってくるな……いやもうそれは物理的に」

 

「このまま、お互いごり押しでスタミナ勝負か……?」

 

「体力勝負なら、少年のブースターのほうが小柄だし不利になってくるのか?」

 

 

 

周りの観客もそのバトルを見ながら様々な感想を述べていく。

 

そしてバトルのこれからの勝敗については、大体の人がこのまま炎のぶつかり合いの力勝負、そしてスタミナ勝負になると感じていた。

 

……だが、当のバトルをしている本人たちは。

 

 

 

(ったく、雑魚共が適当なことをべらべらと……このバトルの勝敗のポイントは、そこじゃない)

 

(相手はどう考えているかわからないけど……俺は体力勝負で決着がつくとは思えない)

 

 

 

お互いが、別のことを考えていた。

 

 

 

(見ている連中からはわからないかもしれないけど……あたしのキュウコンは、あのブースターに力で負けている)

 

 

 

カガリ自身、自分のキュウコンは相当の火力を持ち、そこらのポケモンにはまず負けることは無いだろうという自信を持っていた。

 

だが目の前にいるブースターは、その自分のキュウコンよりも強い火力を持っているのだ。

 

 

 

(……はっ、こんなガキのポケモンに力負けたぁ、情けないったらありゃしない。ま、とは言っても……)

 

 

 

キュウコンというポケモンには、とある利点がある。そのおかげで、力でも互角に戦えているように見えるのだ。

 

 

 

(あたしのキュウコンは尻尾から九つの火球を放てる。そのおかげでお互いが同時に放つ炎パワーの総合力では、互角に戦える)

 

 

 

そう、キュウコンとは名前の通り尻尾が九つある。そして全ての尻尾から火球を放つことが可能なので、手数が多い分力が上乗せされるのだ。

 

 

 

(さーて、この膠着状態にも飽きてきたね?向こうも、どうしてくるやら……)

 

 

 

……一方、リョウスケも

 

 

 

(くそっ……力では上回っているはずなのに押し切れねぇ!)

 

 

 

この炎のぶつかり合いという緊張状態に、何とも言えない歯がゆさを感じていた。

 

 

 

(相手……カガリさんもごり押しのように見えて、多くの火球をコントロールして威力を上げている。炎の使い方がかなり上手い)

 

 

 

この大味な力勝負に見える裏には、細かいテクニックによるものがあるのだ。

 

 

 

(とにかく、この膠着している状態をどうにかしなきゃならねぇ)

 

 

 

リョウスケは考える。どうすれば相手に大きいダメージを通すことが出来るか。

 

 

 

(炎以外の攻撃で攻めるか?だったら……!)

 

 

 

リョウスケはここで、初めて炎以外の別の指示を出す。

 

 

 

「ブースター!影分身だっ!」

 

『うんっ!』

 

 

 

指示を受けたブースターは周囲にいくつもの分身を作っていく。

 

 

 

「(ここで影分身……?)そんな小細工をしたところで、全部燃やせばいいだけの話になるけどねえ!?」

 

 

 

カガリの言う通り、キュウコンには手数があるのだ。分身を作ったところで、全てに攻撃するというのは簡単な話である。

 

 

 

「まだですよ!ブースター、そこから電光石火!」

 

「ッ!?面倒くさいことをするねえ!!」

 

 

 

全ての分身が高速で動いていく。これでは、攻撃を当てることすら容易ではなくなる。

 

……だが、

 

 

 

「……ふっ」

 

 

 

この状況ですら、カガリはどこか余裕を見せているのだ。

 

 

 

「そんな余裕を見せていていいんですか?」

 

「焦るよりは、マシだろう?」

 

 

 

リョウスケからすると、出来ればこのトリッキーな作戦で少しでも焦ってほしかった。それがリョウスケの狙いでもあったからだ。

 

 

 

(何故、余裕なのかわからないけど……ここは攻めるしかない!)

 

 

 

そしてその意志を受け取ったかのように、ブースターはついに攻撃を開始する。

 

ガアァァァン!!と、大きな音が鳴り響いた。ブースターの攻撃が、ヒットした音だ。

 

 

 

「……どうなった!?」

 

「凄い音がしたな……」

 

 

 

周りの観客も緊張状態が終わり、攻撃が通って今の状況に対してかなり気になっている。

 

 

 

「……ッ!?」

 

 

 

そしてリョウスケは、思わぬものを見た。

 

 

 

「はんっ、すばしっこいブースターをようやく捕まえたよ!……どうして、って顔してるねえ?」

 

 

 

あれだけの素早い攻撃をしていたというのに、ブースターがキュウコンに捕まっているのだ。

 

リョウスケも思わず、驚きが顔に出てしまう。

 

 

 

「簡単な話さ。最初っからこっちは一発を喰らうことを覚悟していたのさ。別に影分身をしたからといって本体が増えるわけじゃあない。来るとわかっているなら、それなりの対応は出来るってことさ」

 

 

 

キュウコンはブースターの一撃を喰らうことを前提に動いていたのだ。カガリのキュウコンほどの実力があれば、その喰らう覚悟さえあれば対応することは出来るということ。

 

これがもしスピードに躊躇していたならば、上手くブースターのヒットアンドアウェイ攻撃に翻弄されていただろうが。そしてそれこそが、リョウスケの策でもあったわけである。

 

 

 

「さてキュウコン、こっちも一撃喰らったんだ。……でかいの一撃、返してやりな!破壊光線っ!」

 

「……くっ!」

 

 

 

ゴオォォォッ!!と大きな光線をブースターはもろに喰らう。

 

 

 

『……』

 

 

 

さすがに耐え切れず、気を失い戦闘不能だ。

 

 

 

「おお、キュウコンが勝った!」

 

「これで彼女の十一連勝か!!」

 

 

 

周りの人々も、完全にキュウコンが勝利したと思った。そしてリョウスケも、ブースターが敗北したと思った。

 

 

 

「……おいおい、何が十一連勝だって?よく、目凝らして見てみるんだね」

 

 

 

ドサッ。

 

何と、カガリのキュウコンも倒れているのだ。

 

 

 

「……はっ、覚悟はあっても身体は正直、ってか?思った以上に、ブースターの一撃が重かったみたいだねえ?……引き分けってとこか」

 

「ブースター……」

 

 

 

……この現状を見て、自分の策さえしっかりしてたら勝てた勝負だったな、とリョウスケは思った。

 

そして、まだまだ反省するべき点は色々あるな、とも。

 

 

 

「お疲れ、戻れ!」

 

 

 

ねぎらいの言葉をかけ、ブースターをボールに戻す。そしてカガリもキュウコンをボールに戻す。

 

 

 

「おい少年、お前すげえな!」

 

「ああ、お互い熱いいいバトルだったぜ!!」

 

「俺火傷した」

 

 

 

バトルを見ていた人々も、その熱さに感動し勝敗に関係なくリョウスケを称える。

 

そして、一方のリョウスケと言えば。

 

 

 

「はぁー……」

 

 

 

と、深いため息を一息ついた後

 

 

 

「あぁー、すっげー楽しかったあぁぁ!!……でも、勝ちたかったなぁ」

 

 

 

喜んだり、しょんぼりしたりと忙しい様子であった。

 

ここに熱きバトル、終焉する。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

「……うーん、見ているボクも熱くなるようないいバトルだったな!」

 

 

 

リョウスケ対カガリのバトルを見ていたイエローは、感想を率直に述べる。

 

イエローも、少なからずいい刺激を受けたのだ。

 

 

 

「さてと、バトルを終えたリョウスケさんの所へっと……って、ん?」

 

 

 

イエローは現在飛んでいるため、大きな通りから路地裏の細かいところも見える。

 

 

 

「ああ、そうだ。わかった、明日だな……」

 

 

 

そして路地裏のところに、何やら羽のマークがついた怪しい人がこそこそと電話をしているのだ。

 

 

 

(……まぁ、特に気にするようなことでもないかな?)

 

 

 

と、イエローはあまり気にはせずその場を後にする。

 

まさかこの羽のマークのついた連中が、後にアルトマーレで騒動を引き起こすとは知らずに。




小ネタ
影分身→電光石火のコンボ……これ、実はゲームのコンテストでのコンボなんです。
カガリは過去にコンテストに挑戦していた、という実績があります。このコンボの対策をすぐ思いついたのも、そういう理由から……ということです。
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