世界を旅することを夢見た者たち   作:ウグり

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第四話 特訓

それからというものの、リョウスケ達の特訓はかなり厳しいものであった。

 

午前中はセンリと一対一でのトレーナーの技術的指導、昼間はセンリが調査のため特訓につけないためセンリの手持ちが見張っている中肉体的、精神的トレーニング。日が落ちて、ようやく一日の特訓が終了する。

 

 

 

「今だっ!コモルー、りゅうのいぶきっ!」

 

『よしっ!』

 

 

 

リョウスケは懸命に指示を出す。それにコモルーに応えようとする。が……

 

 

 

「甘い。ヤルキモノ、こらえる。からのきりさく!」

 

「ウキャァァッ!」

 

『ぐあっ!?』

 

「コモルー!?」

 

 

 

生半可な攻撃は、センリのポケモンに対しては通用しない。

 

 

 

「リョウスケ君、まだ甘い。隙だと思っていたかもしれんが、それは俺が誘い出したに過ぎない。もっと視野を広く持ち、見極めろ!」

 

「は、はいっ!」

 

 

 

リョウスケはチャンスと思って攻撃を仕掛けたが、あくまでそれはセンリがまいた餌にかかっただけの話なのだ。

 

こうして、特訓はさらに続いていく――――

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

「ゲホッ、うおおおっ!」

 

 

 

今リョウスケは、りゅうせいの滝の起伏が激しい道を走っている。コモルーは、彼のボールの中だ。

 

 

 

『……よくやるね、リョウスケは。身体もよくないのに』

 

「そりゃ、トレーナーになる為にはやれるだけのことはやらなきゃ駄目だろ?ゲホッ……今ならセンリさんの言ったことがわかる気がする。コモルーに頼るだけでは駄目なんだ。コモルーが最大限の力を発揮できるよう、俺も頑張らないといけない」

 

 

 

今リョウスケと話しているのは、センリからサボらないように見張りにと(リョウスケが野生ポケモンに襲われたときに対処出切るようにとの意味合いもあるのだが)、センリのイーブイである。最初の頃はこのイーブイとリョウスケは話すことなど出来なかったのだが、一ヶ月位すると何故だか話せるようになったのだ。

 

 

 

(そういや何で俺はいつの間にかイーブイと話せるようになったんだ……?ま、細かいことはいいか)

 

 

 

リョウスケもその現象に対して不思議がるが、さほど気にすることでもないと自己解決する。

 

 

 

『……ほらリョウスケ、足が止まってる!ダッシュ!』

 

「ちくしょー……ゲホッ、やってやるよ!」

 

 

 

元々リョウスケは割と熱血的なタイプではあるのだが、身体が弱いというのもあって、あまり大きなことを成し遂げるような人間ではなかった。だが、今彼は大きなことを成し遂げようとあまり動かない身体を精一杯動かして努力している。

 

 

 

『……頑張れ、リョウスケ』

 

 

 

このイーブイもこの一ヶ月でそんなリョウスケの努力を間近で見ていたからだろう、自然とそんなことをぽろっと小声で言ってしまう。

 

 

 

「……ん?何か言った?」

 

『……べっつにー。ほら早くしないと、僕が背中に体当たりして気合注入するよ!』

 

「げ、それだけは勘弁してください……よっしゃ、もう一本だ!」

 

 

 

弱い身体を強くするための特訓。リョウスケは一日一日、弱音を吐くことなく乗り越えていく。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

それから早いもので三ヶ月がたった。

 

コモルーも戦闘の中で確実にレベルアップし、そしてリョウスケ自身も病弱な身体というハンデを背負いながらも以前とは比べ物にならないくらい動けるようになった。

 

 

 

「さて、約束の三ヶ月がたったな。」

 

 

 

センリの目から見ても、リョウスケは変わったと判断できる。それも、かなりいい方向へとだ。

 

 

 

「……はい。あの、センリさん」

 

「どうした?」

 

「……俺、正直ここまで身体を動かせるようになれるなんて思っていなかったんです。」

 

 

 

この三ヶ月間、リョウスケは必死だった。そしてそれを乗り越え、自分でもわかるくらい身体は強くなった。ポケモンバトルも上手くなった。

 

そんなリョウスケがまずセンリに言いたいことは、一つ。

 

 

 

「……センリさん、その、本当にありがとうございましたっ!」

 

 

 

お礼だ。

 

この三ヶ月の努力というのも、センリがいなかったらまず努力すらしていないだろう。様々な面で強くなれたのは、センリの指導があってのことである。

 

 

 

「フッ、俺が考えたトレーニング方法だからな。そうなってもらえなくては困る」

 

「は、はぁ……」

 

 

 

さも当然のように言うセンリに、リョウスケは何とも言い難い声を出してしまう。

 

 

 

「だがな、勘違いするな。方法を教えたのは俺だが、努力したのは君自身だ。俺はただ単にサポートしたに過ぎない」

 

 

 

センリの考えたトレーニング。リョウスケの死に物狂いで頑張ってきた努力。

 

これらが加わることによって、リョウスケの体力は一般人には若干劣るもののそれに近いものを手に入れたといっても過言ではないだろう。

 

 

 

「……さて、これから二つのテストをする。その二つを見事に突破したなら、君はいいトレーナーになることが出来るだろう」

 

「……」

 

「どうした?二つもあると聞いて怖気づいたか?」

 

 

 

センリは少し煽るような口調でリョウスケに問いかける。

 

勿論センリもリョウスケが怖気づいているなんて微塵も思っていない。それはセンリから見た、リョウスケの目が語っている。やる気に満ち溢れた目だ。

 

 

 

「……いや、確信はないんですけど今の俺とコモルーなら突破できる気がするんです」

 

「はは、ずいぶんな口を叩くようになったな。だが、そのくらいの意気込みでなくては困る。では、一つ目のテストだが……出て来い、イーブイ!」

 

 

 

そう言ってセンリは腰のボールからイーブイを繰り出す。

 

 

 

「……一つ目はバトルだ。君がどれだけ強くなれたか、このイーブイに全てぶつけて来い!」

 

『リョウスケ、手加減しないよ!』

 

「勿論ですよっ!出て来い、コモルー!」

 

 

 

ボンッ!

 

勢いのある音と共に、リョウスケの手持ちであるコモルーが出てくる。

 

 

 

『上等だ!イーブイ、こっちもリョウスケと俺で勝ちに行くからな!』

 

「よし、いいな……では、ポケモンバトル、スタートだ!」

 

 

 

センリの宣言と共に、リョウスケの命運をかけた一戦が始まる。




リョウスケの身体の弱さは、ミツルあたりをイメージしてくれれば大丈夫です。
漫画のほうでも、特訓でミツルの身体も短時間で強くなれたしね。
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