必ず読めって程のものではないですが、これからの話に多少違和感を覚える可能性があるかもしれないので、できれば読んでいただけると幸いです。
「なあ、イエローって何で旅をしているんだ?やっぱ、ジムバッチ集めて、ポケモンリーグを目指しているのか?」
「えっ?そ、そんなボクなんかがポケモンリーグなんて無理ですよ!」
「あ、あれ?違うの?」
リョウスケはせっかくトレーナーになってカントーに来たなら、ゆっくり旅をして回りながらジム巡りをするのもいいかな、などと考えていた。
イエローもトレーナーなら同じようにジムバッチを集めて旅をしているものだと思っていたが……
「……実は、人探しをしているんです」
「人探し?」
「はい、幼い頃に野生ポケモンに襲われていたボクを助けてくれた……言ってみれば、命の恩人なのですが」
先程までのぼーっとした顔つきではなく、真剣な顔でイエローは語る。
「その命の恩人が……襲われて行方不明になったんです」
「ッ!?……何だよそれ?」
「襲った連中……四天王というのですが、それを倒してレッドさん……その、ボクの命の恩人を探し出すのが、旅の目的なんです」
(し、四天王?)
四天王、それはゲームでもおなじみのワードだ。
全てのジムを制覇した後、ポケモンリーグで待ち構えるいわばポケモンにおけるラスボスみたいなもの。
(四天王が人を襲った?……全く訳がわからん)
リョウスケ自身の持っているゲームの知識と、さっきからズレが生じている。
(基礎的なポケモンの知識は同じと見ていいだろうが……世界観は全く違うもの、と捉えたほうがいいのかもしれない)
そうと決まればこの地における情報は知れるだけ知っておいたほうがいいだろう、とイエローに聞こうとするが
「……あ」
「ん?どうしたイエロー?」
突如、何かに気がつくイエロー。
(……そういえば一般の人にこんな事言ったら駄目だった!もしリョウスケさんが四天王の正体を知ったなんてばれたら、襲われる要因になっちゃうかもしれないし……やばいやばいやばい!)
▽イエローは こんらんしている!
「……イエロー、どうした?」
「い、今聞いたこと全部忘れてください!いや、むしろボク何も言ってません!」
「はい?あ、あのイエローさん?」
何かおかしくなってしまったイエロー。思わずリョウスケは、さん付けをしてしまう。
「リョウスケさんは何も聞きませんでした!おしまい!」
「お、おいイエロー。よくわからないけど落ち着け、な?」
『ぎゃうっ(何やってんだこいつら)』
『ピー……』
まるで漫才のような二人の会話に、呆れるボーマンダとピカであった。
「いや、それよりもイエローに聞きたいことがあるんだよ」
「な、何ですか?……四天王関連のことは何も言いませんよ!」
(……自分でまた四天王って言ってるじゃねぇかよ)
まぁ、スルーしとけば問題はないか、とリョウスケは思いつつ、イエローに問いかける。
「カントーについて、色々教えてくれない?歴史とか、あるいは最近起きた大きい事件とかさ」
「歴史……事件……そうですね」
う~ん、と考えるイエロー。リョウスケも細かいことでも何かしらの情報は聞けると思っていたが、
「……すみません!歴史とか、全然わからないです」
「……そ、そうか」
「アハハ、本当にごめんなさい、リョウスケさん」
「いや、いいって。いきなり歴史なんか聞いたって、ぱっと浮かぶものでもないかもしれないしさ」
とはいえ何も情報を聞けないのは少し困ったな、と思うリョウスケ。
ゲームとの世界観が違うかもしれない以上、自分の中の常識が通用しないかもしれないため少しでも情報を聞いておきたいのだ。
「あ、そういえば」
「ん?」
「二年前ですが、かなり大きい事件がありました!えっと……ロケット団がシルフカンパニーをのっとって、そこで大きい戦いがあったとか……」
「……シルフカンパニー?」
「あ、いきなりシルフカンパニーなんて言ってもわからないですよね。確か、ヤマブキシティにある大きな会社で……」
(ゲームでもそんなイベントあったな……それが二年前?やっぱり、似ているようでこの世界は何かが違うって認識していたほうがいいか)
「……って、リョウスケさん聞いてます?」
「あ、悪い悪い。途中からちょっと考え込んでたわ」
自分のこれからの行き先を決めるって程ではないが、ゲームの世界観と違うってある程度核心を持てただけでも収穫だったな、とリョウスケは思う。
「リョウスケさんはこれからどうするんですか?」
「ん?ああ、そうだな……」
適当に空飛んでたから、特に何かをするということを決めていたわけではない。
せっかくカントーに来たのだから、自分の実力を測るためにもジム巡りでもしようかな?とリョウスケは考える。
だが、その前に一つ思いついたことがあった。
「なあ、せっかくだしイエロー、俺とポケモンバトルしないか?」
「えっ?」
ポケモンバトルはトレーナー同士の挨拶、それはゲームでもこの世界でも同じだとリョウスケは思っていたが……
「ボク、ポケモンバトルは好きじゃないんです」
「……マジで?」
「……だって、ポケモンが傷ついちゃうじゃないですか?」
確かにイエローの言うことももっともだな、とリョウスケは思った。友達であるポケモンがバトルで傷つくのは、トレーナーである自分も辛い。
「そっか、悪いな無理言って。じゃあ、バトルは無しで「……いや、ちょっと待ってください!」……はい?」
バトルが好きじゃないならてっきり断るのではないかとリョウスケは思っていた。だが、イエローはイエローで少し別のことを考えていた。
(せっかくグリーンさんと特訓したんだ。リョウスケさんとのバトルは、力を試すチャンスかな?)
「お、おーいイエロー?」
「やりましょう!……バトルを」
「いいのか?何か俺が無理やり強制させるみたいになっちまって……」
「いいんです、それに……」
一息置いて、イエローははっきりとこう言う。
「バトルは好きじゃないですけど、ボクには強くならなくてはいけない理由があるんです。だから、リョウスケさん……手合わせお願いします!」
「……勿論だっての。俺だって、負けないぜ?なあ、ボーマンダ?」
『そりゃそうだっての!……あれ、そういやセンリとの特訓以外では初バトルか』
「あれ、確かにそうだな……なおさら負けられないな!」
(……やっぱりリョウスケさん、ポケモンと会話出来てるよね?バトルの後に聞いてみようかな?)
~~~
同じくカントー地方のとある場所。
そのとある場所に、とある人物二人がここにいた。
「はー……」
「ん、どうしたんやブルー?そんなにため息ついて」
この思いっきりため息をついている女性、名をブルーと言う。
イエローをこの旅に送り出した張本人であるが……
「……イエローが人と接触したわ」
「なんやて?ま、まさか四天王の追手じゃ……」
「いや、一般人だからそこは大丈夫よ、マサキ。……ただ」
「ただ?」
この関西弁の男性、名をマサキと言う。
本来ならポケモンの研究者として名高い彼なのだが、事件に巻き込まれたせいで四天王に狙われることになっている、いわば貧乏くじを引いた人物だ。
「四天王のことをべらべら喋った挙句、自分の名前まで思いっきり言っちゃったわ。あれほど言うなって言ったのに、はぁ……」
「……自分の名前はともかく、四天王のことを話したらまずいんちゃうか?下手したら狙われるんじゃ……」
「あまり良くはないと思うけど、それだけじゃまだ狙われないでしょうね。そこまで盗聴されてるとも思えないし」
「さっすが、盗聴のプロやな……」
「誰がプロよ、誰が。……どうやら、この二人ポケモンバトルをするらしいわね」
「あのポケモンを傷つけることを嫌うイエローがバトルを承諾したんか?……珍しいこともあるもんやなぁ」
マサキはその巻き込まれた事件の際に、イエローと共に行動していたからある程度のイエローの正確は知っている。敵のポケモンですら傷つけることを嫌うのだ。……だからこそ、ポケモンバトルをするということ自体を不思議に思っているわけだが。
「あの子の中でも何か変わったんでしょ、きっと♪」
「……やけに嬉しそうやな?」
「ええ、あの甘いだけのイエローがこうやってバトルをしようとすることだけでもかなりの収穫だわ」
いずれイエローも四天王と再び戦うことになる。甘いだけでは絶対に四天王には勝てない。それをブルーは知っているからこそ、このイエローの心境の変化だけでもかなりの成長なのだ。
(ま、バトルが強くなっているかどうかは……そのリョウスケ君とやらで、見極めるとしますかね?)
今作での注意事項
現在、カントー地方編ですがポケモンの技に関しては第三世代(ルビサファ)までの技を使わせてもらいます。
理由としては2つあるのですが、カントーにも関わらずボーマンダというホウエンのポケモンがいるため(第一世代の技に限定してしまうと、使える技も本当にごくわずかになってしまい非常に作品を作りにくくなってしまうため)
また、作者はポケスペの原作を第四章(22巻)までしか所持していないので、作品を完結させるにしてもここら辺の話までが限度なのです。
後付設定みたいになって非常に申し訳ないですが、これからもこの話を読んで頂けるとありがたいです。