まだプロローグにもなりません。気長にお付き合い下さい。
DMMO−RPG《ユグドラシル》
2126年に発売されたゲームである。
それのキャラクリエイト中に私は気付いた。「あれ?これアレ再現できるんじゃね?」と。
ある大墳墓の前
そこは人の海であった
1500人ものプレイヤーがたった1つのギルドを攻め落とそうと集まったのである。
「これだけいればいけんだろ。」「だな。いよいよ悪のPKギルドの最後だな。」「油断すんなよ?なにせあの『アインズ・ウール・ゴウン』なんだからな。」「人集まり杉ワロタwwwww」
そんな時である。小さな振動が段々と強く大きくなるのを大多数のプレイヤーが感じ取った。
「な、なんだ」「この揺れはなんだ!?」「お、おい!あれを見ろ!!」
指差した先にそれ(・・)はいた。
100メートルを越える偉容
溶岩を固めたようなごつごつとした黒い肌
全てを噛み砕かんとする鋭い牙
身長と同じくらい長い尾
剣山の如く鋭い背鰭
がっしりとした太い足
それは恐怖
それは絶望
それは畏怖
それは
それは
それは…
「ご…『ゴジラ』だぁぁぁぁ!?」「『ワールドエネミー』が何故こんな所に!?」「いくら規則性のない出現型っても限度があるだろぉぉぉぉ!?」
ある者は不運に叫び、ある者はあり得ない事態に混乱し、ある者はGMを恨んだ。
そして…
『GYAAAAAAAOOOON!!』
蹂躙が始まった。
「いやぁ、懐かしいですね。
まだジンライさんが『ワールドエネミー』だと勘違いされていた頃でしたね。」
「でしたねヘロヘロさん。
確かあの時レベル100のプレイヤー何百人倒したんでしたっけ?」
「私は『ワールドエネミー』ですよヘロヘロさん。
それと確か390…何人だったかな?レベル100未満が多かったのでそれほど100勢は倒せませんでしたよ。
それよりモモンガさんの方が大活躍だったじゃないですか。即死魔法で大半を倒したんですから。」
ここはナザリック地下大墳墓9層「円卓」
骸骨(オーバーロード)とスライム(エルダー・ブラック・ウーズ)と人間種(・・・)が和気あいあいと話していた。
「それにしてもジンライさんの変身は慣れませんね。どこをどう見ても人間種と何らかわりありませんよ。」
ヘロヘロさんがやれやれと首を振りながら言う
「ふっふっふ。無警戒の場所に突然現れて蹂躙する。
抵抗虚しく散っていく人間種の声の心地の良いことよ!」
「でもそれって『ゴジラ』っぽくないですよね?」
「ごはぁぁぁっ!?」
ヘロヘロさんの一言に私は崩れ落ちた。
「ちょっ!?ヘロヘロさん、それは言っちゃ駄目ですって!?」
「うぅぅ…だって、私の異形型あまりにも悪名が…買い物とか交流とか出来ないんですもん…サイズ変更は出来るのに…スキルスロットの無駄遣いぃ…」
「「自業自得です」」
「うわあぁぁぁん!?」
私の名は『ジンライ』
こう見えても男である
ここ『アインズ・ウル・ゴウン』に所属する種族『怪獣王』で『ワールドエネミー』である。
「しかし懐かしいですね。ジンライさんがみんなを集めたと思ったら『ウロボロス手に入れた』って。」
そうモモンガさんがきりだした。
「そうそう。で、『私、ワールドエネミーになりたいんです!!』って。」
「だって私『怪獣王』ですよ?『ゴジラ』ですよ?初めから最終目的ワールドエネミーだったんですよ。」
「だからってあれはねぇ…」
ヘロヘロさんがちょっと引きながら言う
「反対派には土下座をし、さらに9層の映画館に初代から最新作までの『ゴジラ』の映画を課金してまで配備しての布教もしましたからね。」
「い…いいじゃないですか!?目標だったんです、夢だったんですよ!?」
「だからってワールドクラス2種類取りますか普通。」
そう、私はクラスで『ワールドエネミー』ともう1つ『ワールドデストロイヤー』というクラスを取っているのである。
「『ワールドデストロイヤー』自体ロールプレイの副産物でしたし…」
「あぁ、たしか街や村、ギルドを壊して廻っていたら手にいれたんでしたっけ?」
モモンガさんが小首を傾げながら聞いてきた。
「オブジェクトが破壊できたときはさすがはゴジラと思いましたよ。」
「初心者用の街とか何回壊しましたっけ?」
「あそこはたしか10そこらだと思います。大半は敵対ギルドのギルド武器破壊狙いでしたし。
ワールドエネミー取った後にワールドデストロイヤー取得ですからね。まさかワールドクラス2種類取れるとは思ってもみませんでしたよ。」
「『ワールドエネミー』自体ウロボロスの恩恵ですからね。運営も誤算だったんじゃないですか?」
「むしろ『ワールドデストロイヤー』は『ゴジラ』専用で、運営がもっと私にオブジェクトを破壊せよと!!」
「ないです。」「ありえませんね。」
「二人ともひどいっ!?」
泣き崩れる私。からからと笑う二人。何故かとても温かい空気が流れた…が、
「そういえば土下座で思い出しましたが、たしかジンライさんのNPCも外装データやプログラムも土下座で手に入れてましたね。」
また懐かしい事をモモンガさんが言い出した。
「ああ、たしかデザインだけ持ってきて「私には才能無いんです!力をお貸しください!」って土下座してましたね。」
「だ…だって私の好きなキャラだったので一切の妥協をしたくなかったんです。でも種族や職業…はウルベルトさんにも手伝ってもらいましたが、設定は私一人でガン詰めしましたよ!?」
「で、出来上がったのが第10位階までの魔法を使える魔法攻撃特化と支援魔法特化のNPC二人…と。」
「しかもレベル100で、おまけにガチ構成。」
「私の自慢の嫁達ですからね!どこに出しても恥ずかしくないですよ!」
「でもあの設定は無いですよ。」
ヘロヘロさんが完全に引きながらきりだした。
「たしか「ジンライをその存在全てを持って愛し、信頼し、忠誠を尽くし、たとえワールドアイテムの対象になってもその心は揺るがない」でしたっけ?正直やり過ぎな気もしますが…」
モモンガさんがすらすらと私のNPCの設定の一文を言った。
「だ…だってある二次創作がトラウマになっていてかなり不安になったんですもん。快楽堕ちとか洗脳堕ちとか…」
「いやいやここゲームですからね?そんなNPC奪取系なんて…」
「たしかワールドアイテムの1つに『傾城傾国』っていうNPC洗脳奪取系があったはずですよヘロヘロさん。
私の支援魔法特化型も似たような事できますし、魔法攻撃特化型はもっとえげつないのできますが。」
「そこは普通支援魔法特化型にじゃないんですか?」
不思議そうにモモンガさんが聞いてきた。
「いえキャラ的にそっちだったので。支援魔法特化型にはモンクを覚えさせていますけどね。」
「それでもガチ構成なんですよね…」
「その二人の名前なんでしたっけ?」
「魔法攻撃特化型が『エセルドレーダ』で、支援魔法特化型が『レン』ですよ。二人とも女性です。」
「そしてどっちもロリである。」
「ジンライさんはロリコンですね。」
「愛しい者がロリならばロリコンにもなろう!」
「開き直りましたよモモンガさん。」
「開き直りましたねヘロヘロさん。」
「へん!ロリコンこじらせた童貞にはそんな挑発程度通じんさ!」
「「やーい童貞」」
「うっさいこの童貞共!」
カラカラと楽しそうに笑うモモンガさんとヘロヘロさんと私。と、
「あぁ楽しいのに、楽しいのに睡魔が…」
「ああたしかヘロヘロさん、リアルで転職されてましたね。」
「残業だらけで体超ボロボロですよ。医者にかからないのが不思議なくらいです。」
「うわー」
「大丈夫ですか?」
モモンガさんと私はヘロヘロさんの体が心配になった。
あ、モモンガさん手が震えてる。
「こぼしたい愚痴は大量にあるんですよね。でも最後くらい皆と笑っていたいじゃないですか。」
「ヘロヘロさん…」
「……」
「それじゃ。最後まで残りたいんですがさすがに眠気が…」
「ええ、お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした、ヘロヘロさん。」
「別のゲームか、ユグドラシルⅡで会いたいですね。モモンガさん、ジンライさん、最後にお会いできて嬉しかったです。お疲れ様です。またどこかでお会いしましょう!」
そう言いヘロヘロさんのアバターは消えた。
「またお会いしましょう…か。」
モモンガさんが感慨深そうに言う。
「会えますよ、きっと。信じていれば必ず。」
「そう…ですね、そうですよね。会えるんです。信じていれば…」
「ええ、きっと…」
私とモモンガさんとの間にしんみりとした空気が流れ、しばらくの間円卓を沈黙が支配した。
「…ジンライさん、私は玉座の間で最後を迎えようとおもいます。」
「私もお供しますよ。あ、せっかくだからあの二人連れてきてもいいですか?」
「いいですよ。それじゃ、行きましょうか。」
立ち上がるモモンガさん。
ああそうだ、
「モモンガさん、それ持っていきましょうよ?」
「それ?ああ『スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』ですか。でも…」
躊躇うモモンガさん。
ここは背を押さなきゃいけないよね?
「最後なんですし、ね?」
「しかし…これはギルドの…」
「モモンガさんが持つ事に反対する人はいませんよ。ほら、持っていってもいいと思う人はーい!これで過半数ですよ?」
「…強引だなぁジンライさんは。」
モモンガさんは苦笑するとスタッフを手に取る。
するとスタッフからどす黒い赤色のオーラがまるで苦痛の声が聞こえてくるようなリアルな表情で現れ、崩れ、消えていく。
「……作り込みこだわりすぎですよ皆さん……」
呆気にとられているモモンガさんに私は苦笑しながら
「だってそれ、モモンガさんが持ったときに相手に最も畏怖を感じさせられるように皆で考えて作りましたからね!」
「え、私それ知りませんよ?」
モモンガさんはびっくりしたように急にこちらに振り向いた。
「モモンガさんをビックリさせたくて。ちなみに発案はるし★ふぁーさんとペロロンチーノさんで、ぷにっと萌えさんとウルベルトさん監修です。」
「ペロロンチーノさん…しかし、るし★ふぁーさんが?…変な機能付いてないだろうな?
まぁぷにっと萌えさんとウルベルトさんが監修してくれていたのなら何ら不安は…しかしるし★ふぁーさんだからなぁ……」
ブチブチと不安そうに呟くモモンガさん。
「安心してください。変な機能もありましたが、全て取り除きましたから。」
「……ちなみにどんな機能が?」
「たっち・みーさん考案の背後に魔王降臨のエフェクトがでるのとか、ホワイトブリムさん考案の戦闘装束がフリフリなメイド服に変わる機能とか、女性陣考案の握った瞬間まるっこい『ふにふにおーばーろーどくん人形』に外装データが強制的に入れ替わる機能あとは……」
「もういいです!もういいですから!」
憔悴したような声でモモンガさんは止める。
「まだるし★ふぁーさんまでいってませんよ?」
「…いいですから。それより本当に余計な機能付いてませんよね?」
「大丈夫ですって。ちゃんと取り除きましたから。言ったでしょう?ぷにっと萌えさんとウルベルトさん監修だって。」
「なら…まぁ…」
「さぁさ、早く玉座の間へ。時間あまり無いんですから。」
ぶちぶちとつぶやくモモンガさんを押しながら円卓をでる。
「ではモモンガさんは先に玉座の間へ、後から私も行きますので。」
「…ええ、それでは先に行ってます。遅れないでくださいね?」
「わかりました。それでは。」
そう言い私は自室へと急ぐ。そう、私のNPC達は自室に居るのだ。
しばらく小走りで行くと、自室についた。自室に入るとそこは本の海だった。
壁全面を埋める本棚に、それに入りきらない本が床に平積みにされ、部屋の中央にあるベッドの周辺にも本が散らばっていた。本の種類も様々で、『死霊秘法』に『無銘祭記書』などの魔導書から漫画やラノベまで色々な本がある。だが、魔導書の棚に納められてるはずの粘土板がない。なぜなら
(『ナコト写本』はお前だもんな。エセルドレーダ。)
私はベッドの側に立つ二人のうち一人に目を向ける。
雪のように白い肌
闇よりなお暗い黒色の髪
強い意思を込めたキリッとした目
薄く儚げな唇
その細くも肉感的な肢体を被う黒いゴスロリ服
そこにはかわいいかわいい私の嫁の1人、種族《精霊《魔導書》》の『エセルドレーダ』がいた。
そしてその隣には
まるで雲のように白い肌
蒼い髪
無機質な紅い瞳
その華奢な肢体を被う黒いドレス
ドレスを包む黒いケープ
もう1人の私の嫁、種族《使い魔《夢魔》》の『レン』がいる。
(やっぱ二人共可愛いなぁ…)
ぼんやりと二人を眺めてしまう。と、
(いけないいけない、モモンガさんが待ってる。)
急ぎ二人に指示を出す。
「えーっと…『付き従え』」
すると二人はお辞儀をし、私の後ろに付く。
そして私は10層『玉座の間』に急いだ。
はい、尻切れ蜻蛉で終わりました。
仕方がないんです、メール機能で打っているのでこれが限界の長さなんです(メールの最大容量的に)
次回、ようやく異世界到着です。
お楽しみに。