デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO- 作:深淵騎士
『ホラー』魔界という異世界より現れ、人間を喰らい糧とする異形なる魔獣。遥か古から存在するホラーに人々は抵抗すら出来ない日々に脅えていた。だが奴らに対抗すべく人間は様々な方法を取り、遂に一筋の光明を得、希望を見出した。
『魔戒騎士』人知れず生き、人知れずホラーを狩り人々に光を与える者。魔戒騎士の存在により人間は喰われるだけの絶望を希望へと変えていった。だがホラーは人間の邪心によりこの世界へとやってくる、人間がいる限りホラーとの戦いは永久に終わることはない。しかし魔戒騎士は戦い続ける、人間に希望の光を与え続けるために……
そして此処に一人『希望』の名を持つ若き騎士がとある街へとやってきた。
天宮市郊外── PM 10:37
「この管轄に来るのも久しぶりだな……」
何処かのマンションの屋上で、その街並みを見て誰かに投げ掛けるように言う。この場には月明かりに照らされた白色のコートを着た青年しか居らず、辺りには人の影もない……筈だが
「おい、懐かしんでる暇はなさそうだ、ホラーの気配を感じるぞ」
男の物と思われる声が聞こえるが、青年は驚くことなくその声に答えた。
「何処に居るか解るか?」
声は青年の左手の指環から発せられているようだ。
「ああ、気配を辿ればいける」
「よし……行くぞ」
青年は頷くと、なんと地上から数mはある屋上から飛び降りたのであった。
※
天宮市路地裏――― PM 11:07
「何なんですか……あれは!」
学生のもの思われる服を着た少女が、息を切らしながら人影一つすらない路地を紫銀の髪を激しく揺らしながら駆けている。まるで何かから逃げるように。建物の角を曲がり、そのまま壁に背を付けゆっくりと自分が来た道を覗き込む。誰もいない、恐ろしいほどに静まり返った路地には彼女の呼吸をする音しか聞こえない。
「……逃げ切れた?」
「誰が」
「ひっ!?きゃあっ!!」
突然引っ張られ、少し離れた壁に叩きつけられる。
「鬼ごっこは終わりだ、お嬢さん」
口を歪ませ男は少女に近づく。
「いや!!来ないでください!!」
恐怖、嫌悪感からか言葉と身ぶりで拒絶を示すが男は止まる気配はない。
「良い顔だ、恐怖にまみれたその表情……堪らない、先程喰った娘よりも良い」
少女は少し前にこの男に血肉を貪られた者を思い出す。自分もそうなるのであろうか、抵抗しようにも今まで感じたことのない絶望に声も出ず身体は動かない。
「さて、ディナータイムといこう―――ぐぇっ!!」
短い呻き声と共に真後ろに吹き飛ぶ男。少女は何が起こったか頭が追い付かない、どうやら空から白いコートの青年が降りてきて男を蹴り飛ばしたようだ。男は起き上がると、直ぐ傍に青年は迫っていた。コートから独特な装飾が施されたライターを取り出し灯すと、緑の炎が男の瞳を照らす。
「ザルバこいつか?」
「ああ間違いない、魔獣コカグローグ。若い女の恐怖を悦びとする悪趣味な野郎だ」
男の瞳には奇妙な文字が浮かんだこと、ザルバと呼ばれた者の言葉で青年は奴が標的だと確信する。青年は一度後方へ飛び退き、守るように男の視界から少女を遮る。
「隠れていろ」
「ッ!」
少女は一瞬青年を睨むと、言う通りに物陰へと隠れた。すると男が体を震わせ
「ヂャナヨツムア、ナサリシチ!!」
どこの言語か判別もつかないが声を荒げて、青年に指を指す。
「邪魔をするな……か、悪いが要望には応えられそうにない。貴様は此処で斬る」
「グゥゥウウウウ……オオオオオオオ!!!!」
天に向かい叫ぶと身体の皮膚が弾け飛び、まるで黒い害虫を思わせるような醜悪な姿へと変わる。
「気を付けろぉ、来るぜぇ!」
「わかっている」
青年は何処からともなく赤い柄と鞘の剣を取り出し抜刀する。
「少女の血肉を喰らい、恐怖を悦とする貴様の陰我……俺が断ち切る!」
切っ先を空へと向けそのまま円を描く。それと同時に円は光の裂け目を作り、眩い光を放つ。隠れていた少女は輝きに目を瞑る。対する異形の化け物は驚きに声を震わせていた、その黄金の輝きに。
「ナタサ……シタナバ……!!」
戻りしは白き魔戒騎士。
今は一時の安らぎにしか過ぎないが、それでも充分かもな。
次回、『千牙』
俺様もゆっくり寝たいものだ。