デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO-   作:深淵騎士

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第十話 過去

五河宅前――― AM 11:28

 

 

「シドーまだかー」

 

「まだ五分も経ってないだろ、そろそろだから待ってろって」

 

「むー」

 

 

膨れっ面の十香、その隣には士道そして琴里、令音だ。彼等はこの時間に何故家ノ前で立っているのか、その理由は……

 

 

「お、あれかな?……すげぇ高そうな車……」

 

 

向こうからやってくるのは黒く少し古い型の高級車だ。車は彼等の前に止まると運転席から執事服を着た男性が。

 

 

「皆さま御待たせしました」

 

「えっと、どうも……」

 

「私、千牙様の執事の倉橋ゴンザともうします」

 

 

丁寧にお辞儀をするゴンザ。

 

 

「令音様も御元気そうで」

 

「ふふ、お陰さまでね」

 

 

ゴンザは車の扉を開け

 

 

「どうぞお乗りください」

 

「シドー!私が先でいいか!」

 

「いいよ、あんまり順番とか変わらないと思うけど……」

 

 

元気よく乗り込む十香とやや飽きれ気味の士道。次に琴里が乗ろうとしたが、途中で彼女は止まる。

 

 

「家に四糸乃は居るかしら?」

 

「ええ、四糸乃様もいらっしゃいますよ」

 

「そう、ならいいわ」

 

 

彼女も乗り、ゴンザは扉を閉める。ゴンザは令音が乗る助手席を開けようとしたが彼女は手でそれを制す。

 

 

「いいよ、これくらいは私でやるさ」

 

「御手数お掛けします」

 

 

令音も車へと乗り込み、ゴンザは運転席に戻る。

 

 

「それでは参りましょう」

 

 

 

 

 

 

冴島邸――― AM 11:56

 

 

 

「おお!大きい家だな!」

 

「あ、ああ……」

 

 

士道は目の前に座する屋敷に下を巻き、一方の十香はあまりの大きさに興奮していた。

 

 

「どうぞ」

 

 

玄関を開け皆を招き入れる。中も非常に豪華な作りになっており、それこそテレビでみるような光景が広がっていた。

 

 

「千牙さんこんなところに住んでたんだ……」

 

 

「皆さま、此方へ」

 

 

彼の後を追う一同、そして連れられた部屋には長テーブルと人数分の椅子が。

 

 

「ご自由に御掛けになって御待ちください、千牙様を御呼びいたします」

 

 

ゴンザは一礼し部屋を後にする。残された士道達はそれぞれ適当に椅子に腰を掛けていく。

 

 

「……まさか千牙が“礼を言いたいから家に来てくれ”だなんて、意外だわ」

 

「お前の中で千牙さんのイメージどうなってるんだよ……」

 

 

毒づく琴里にツッコム士道。

 

 

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

四糸乃と千牙は小さな机を挟み向かい合わせになっていた。机の上にはチェス盤があり、千牙は何時にもなく真剣な表情でそれを見ていた。そして四糸乃の手が駒へと掛けられ

 

 

「チェックメイト、です」

 

『また四糸乃の勝ちだねぇ~』

 

「……」

 

 

よしのんが両手を広げて喜ぶ。

 

 

「おいおい、千牙、これで五敗目だぜ?」

 

「うるさい」

 

『にしても千牙くんは何でもこなせる完璧超人かと思っていたんだけど、意外とこういうの苦手なんだねぇ』

 

「……うるさい」

 

 

ケラケラと笑うよしのんをジトっと睨む。四糸乃の元によしのんが戻ってきてからというもの、こうしてよしのんに言われるのもご愛嬌となってしまった千牙。

 

最初は腹話術の類いかと思われたが、よしのんからは確実な意思が感じられ千牙は一人の存在としてよしのんを認識して接している。

 

 

「えっと、千牙さんごめんなさい……」

 

「謝らないでくれ、四糸乃……逆に響く」

 

 

すると扉をノックする音が聞こえゴンザがやって来る。

 

 

「失礼します、士道様ご一行を部屋にお連れしました」

 

「そうか……四糸乃、行くか」

 

「はい……」

 

 

チェスを切り上げ士道達の待つ部屋に向かう千牙達。

 

 

 

 

 

「待たせたな」

 

 

ダイニングルームにやって来た千牙、四糸乃とよしのん、ゴンザ。千牙は端の、四糸乃達は彼の側の椅子に座りゴンザは千牙の横に立つ。

 

 

「すまないな、態々来てもらって。今日は直接礼を言いたかった、お前達の御掛けで四糸乃達を救うことが出来た……感謝している」

 

 

彼は浅く頭を下げ、四糸乃もそれに合わせる。

 

 

「別に俺は大したことしてませんって……」

 

「私もなにもしてないぞ?」

 

「それでもだ、礼を言いたいんだよ」

 

 

千牙が話し終えると琴里が千牙に向けて言葉を放つ。

 

 

「千牙、貴方に言いたいことがあるの」

 

「何だ?」

 

「四糸乃を私達に預けてくれないかしら」

 

 

彼女の言葉に一番強い反応をしたのは四糸乃だ。

 

 

「この娘はまだ人間社会に慣れていない、私達の元で教育をしたいの……普通の女の子として生きていけるように」

 

 

これは五河琴里ではなく、フラクシナスの艦長としての言葉であろう。鋭い眼光が千牙を射ぬく。対する千牙は表情一つ変えずに

 

 

「……確かに精霊専門のお前らに任せれば問題はないだろうな」

 

「せ、千牙……さん……」

 

 

思わぬ言葉に四糸乃は彼の方を向いた。

 

 

「……だがそれを決めるのは俺ではない、四糸乃だ。四糸乃、お前はどうしたい?」

 

「私は……」

 

 

俯く四糸乃。

 

 

『四糸乃ー、こう言うときははっきりいわなきゃ!』

 

「う、うん……」

 

 

よしのんの言葉に顔をあげ

 

 

「わ、私は……千牙さんの所に……居たいです。此処から離れたくありません」

 

『そうだねぇ、よしのんも千牙くんと一緒に居たら楽しいのからねぇ~』

 

 

二人のその言葉に千牙は頷く。

 

 

「だ、そうだ。本人の意思を無視して連れていくか?」

 

「……んなわけないでしょ、わかったわ。四糸乃の事はあなたに任せるわよ」

 

 

ただし、と琴里は付け加える。

 

 

「しっかり守ってやりなさいよ」

 

「当たり前だ。さて、長く話をしてしまったがお前達を呼んだのは礼を言いたかっただけではない、せっかく来てもらったのだから食事を用意させてもらった」

 

 

ゴンザに視線を送ると、彼は部屋を出ていきたくさんの料理が置かれたカートを持ってきた。それは次々士道達の前に置かれていく。

 

 

「おおー!」

 

 

キラキラと目を輝かせる十香。全ての料理が並べ終わり

 

 

「これ全部食べてもいいのか!?」

 

「ああ、好きに食ってくれ」

 

「良い奴だな、センガは!」

 

 

喜んで十香は料理を口に運んでいく。

 

 

「皆も自由にな。ゴンザも座って休んでくれ」

 

「では御言葉に甘えます」

 

 

するとザルバが若干言いづらそうに

 

 

「せっかくのところ悪いが、千牙。メディルが呼んでいるぜ」

 

「……わかった」

 

 

千牙は席を立ち、四糸乃の向かいに座っていたゴンザも立とうとするが

 

 

「いいよゴンザ、支度は一人で出来る。士道達もゆっくりしてあってくれ」

 

 

早足で扉を開けて千牙は出ていく。

 

 

「忙しいんですね、千牙さんって」

 

「ええ、千牙様はこの街の方々を守るために日夜尽力なさっているのです」

 

「……ゴンザ、だったわよね」

 

「はい、何でございましょう琴里様?」

 

 

今がチャンスと言わんばかりに琴里は彼に質問をする。

 

 

「幾つか聞きたいことがあるのだけれど良いかしら」

 

「答えられることなら何でもお聞きください」

 

「なら……魔戒騎士ってのは千牙一人だけってわけではないわよね」

 

 

ゴンザは直球な問いに一瞬言葉を詰まらせるが

 

 

「はい、様々な場所に魔戒騎士は居られ、遥か古からホラーの魔の手から人々を守っておられます。私の知る限りでは平安時代から存在したと聞かされておりますね」

 

「そんな昔から!?」

 

「相当長い歴史があるのね……」

 

 

驚く士道を尻目に琴里は次の質問へ移る。

 

 

「それであのホラーという化け物は魔戒騎士以外に倒すことはできるの?」

 

「不可能で御座います」

 

 

存外はっきり言われ、言葉を失う。

 

 

「ホラーはソウルメタルという特殊な金属を用いた武器でしか倒すことは出来ず、ソウルメタルは魔戒騎士のみが扱う事ができます」

 

「……成る程ね。ところで質問を振った私が言うのもなんだけど、そんなペラペラと話しても良いことなの?」

 

「本来なら魔戒騎士やホラーの事については一般の方には知られてはなりません。ですが、千牙様が此処へあなた方を招いたということは、信頼に足る方々であると私は思っております」

 

「そう……安心して、他言はしないわ。ね、士道」

 

「ああ、そう思われて好き好んでバラしたりするものかって」

 

「私も誰にも言わんぞ!」

 

「同じくだ、そもそも前にそう約束したからね」

 

 

士道達のそれぞれの言葉にゴンザは安著した表情を見せる。

 

 

「皆様、ありがとうございます」

 

 

ふと士道は周りを見渡し

 

 

「そういえば、この家には千牙さんとゴンザさんと四糸乃しか住んでないんですか?」

 

『ちょっと士道くん!よしのんの事を忘れるなんてヒドイよ!』

 

「ああ……ごめん」

 

 

彼と四糸乃は視線をゴンザに戻し、先程まで静かにしていた四糸乃は小さく手を挙げ

 

 

「私も……気になりました」

 

 

二人からそう言われゴンザは何やら暗い表情になっている。

 

 

「現在は千牙様と私、四糸乃様とよしのん様しか居られません」

 

「えっと、千牙さんの両親は……」

 

「どちらとも亡くなられております」

 

「えっ……」

 

 

言葉を濁す。琴里から脇腹を肘でどつかれ

 

 

「す、すいません……」

 

「いえいえ、良いんですよ」

 

「差し支えなければ何故亡くなったのか聞きたいんだが」

 

「令音!」

 

 

思わず声を荒げて琴里は立ち上がる。

 

 

「落ち着きください、琴里様。答えられることなら何でもと言ったのは私ですので……」

 

 

宥められゆっくりと椅子に腰を掛けなおす琴里。

 

 

「そうで御座いますね……千牙様の御父様は非常に強力なホラーと戦い、その身を犠牲にしホラーを打ち倒しました。あの方の最期は壮絶で魔戒騎士の中でも歴史に残るとまで言われました」

 

 

懐かしむようにゴンザの口から放たれる。そして彼の母親について語られるが、何故か濁す。

 

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、あの……実は……千牙様の御母様は……」

 

 

次の言葉に士道達は息を飲む。

 

 

「空間震で亡くなったのです」

 

 

 

 

 

 

白の管轄・番犬所 ―― AM 0:56

 

 

 

番犬所へと着いた千牙はメディルに礼をし姿勢を正す。

 

 

「冴島千牙、貴方に討伐してもらいたい者がいます」

 

「討伐?」

 

「冥黒騎士・鎌威《カイ》の称号を持つ暮嶋 輝《ヒカル》……ホラーと成り果てた騎士です」

 

「ッ!?……冥黒騎士が……」

 

 

メディルは頷き

 

 

「何時ホラーとなったかは不明ですが、過去に様々な追ってから逃れ、現在この管轄内に侵入したとの報告が入っております。冴島千牙、黄金騎士・牙狼の称号の名に掛けて、これを始末するのです」

 

 

彼女の声はこの番犬所の中に響き渡った……

 




女ってのはどうにもわからん。
まずその女の事を優先的に考えなければならないからな。面倒なものだぜ。千牙、お前さんもだろ。
何?お前さんがデート?
次回、『時狂』
まあせいぜい頑張りな。
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