デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO-   作:深淵騎士

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第十三話 衝突

 

 

何処だ……何も……見えない……誰だ?

 

 

「俺は……さんととう……」

 

「可哀……私が……めてあげますわ」

 

 

隣にいるのは俺?……お前は……

 

 

「あ……く……あな……たの事、気に入り……」

 

 

聞こえない、何を……

 

 

「そうです……大きくなっ……の騎……になってくださ……」

 

「わかった……おね……んの事守っ……あげる!」

 

「楽しみに……ますわ」

 

 

 

―――千牙さん

 

 

 

冴島邸・千牙自室―――AM5:53

 

 

「……」

 

 

千牙は思い瞼を上げ意識を覚醒させる。辺りを見渡す、何時もと変わらない自分の部屋だ。

 

 

「んー……」

 

 

ザルバも気持ち良さそうに寝ている。千牙は椅子に更に深く腰を掛け

 

 

「何だったんだ……」

 

 

妙な夢だった、何処かで見たような見たことのないような、そんな不確かな夢だ。しかしあの娘には見覚えがあるが、頭が回らず意識がまた朧気になっていき千牙はまた瞼を下ろした。

 

 

 

 

 

「千……ん」

 

「……」

 

「千牙さん」

 

「……!?」

 

 

目を開くとそこにいるのは黒髪の美しい少女……

 

 

「狂……三?」

 

「はい、狂三ですわ」

 

 

クスッと笑う狂三だが千牙は立ち上がり

 

 

「何でお前が此処に!」

 

「んん、なんだでかい声出して……」

 

 

彼の声にザルバが目覚める。

 

 

「こんにちは、ザルバさん」

 

「む、嬢ちゃんじゃないか……ん?何で俺様の事知ってるんだ?」

 

 

千牙は疑問を抱く、何故狂三はザルバの事を知っているのか。彼とザルバは一度も狂三の前で話したこともない。

 

 

「本当にお前は何なんだ……何故ザルバの事を……」

 

「……そうですか、貴方は」

 

 

悲しげな表情になり、後ろに下がる。

 

 

「千牙さん、今日は……貴方を食べに来ましたわ」

 

「……」

 

 

ようやく来たか、千牙は身構え何時でも彼女が動き出しても対応出来るような状態にする。

 

 

「来禅高校まで御越しください、そこで待ってますわ……“私達”と共に」

 

 

スカートの端を上げ影へとその姿は飲み込まれた。

 

 

「……どうする千牙」

 

「行くしかないだろう、アイツには色々と聞きたいことがある」

 

「そうだな、しかし何で高校なんだ?」

 

「さあな、今は考えてる暇はない……」

 

 

 

 

 

 

天宮市・来禅高校―― AM 11:12

 

 

「……何だ?」

 

 

来禅高校に近づくにつれ、妙な感覚に襲われた千牙とザルバ。

 

 

「何かが学校を覆っているようだな……結界に近い」

 

 

間違いなく狂三の仕業、恐らくは罠だろう。

 

 

「行くぞザルバ」

 

「おいおい、罠と解って行くつもりか?」

 

「虎穴入らずんば、ではなかったか?」

 

「……そうだな、何があってもお前なら切り抜けられるだろう」

 

「決まりだ」

 

 

コートをたなびかせながら校内へと入っていく。

 

 

「何だこれは……」

 

 

生徒達が皆その場に倒れている。この結界が影響しているのだろうか?

 

 

「屋上だ、屋上に嬢ちゃんの気配を感じるぜ」

 

「……士道と十香は?」

 

 

今日は登校日ならば士道達も居る筈だろう、ザルバに確認を取ると

 

 

「二人とも屋上だ、それとやけに大勢いるな」

 

「……しかしなんだ、ここ最近は何かと屋上に縁がある」

 

「バカ言ってないで急げ」

 

「……ああ」

 

 

ザルバの的確な指摘に千牙は反論せずに屋上へと向かう。

 

 

「ふっ!」

 

 

屋上へ通じる扉を蹴り開けると、白い手に動きを封じられている士道、その側に彼と似た顔つきの少女、制服の一部が霊装となっている十香、AST戦闘服の折紙が。

 

 

「随分と役者が揃ってるようだな」

 

「センガ!?」

 

「何で此処に……」

 

 

そして……

 

 

「あら、ようやく来ましたのね」

 

「遅かったですわね」

 

「待ちくたびれましたわ」

 

 

10人以上はいる狂三だ。千牙は視界に写る彼女達に頭を抑えたくなる。

 

 

「……お前何人姉妹だ」

 

「考えて何とか出した言葉がそれとは、センスを疑うぞ」

 

「放っておけ」

 

 

千牙とザルバのやり取りに、背後に巨大な時計の前にいる狂三はクスリと笑う。

 

 

「随分と余裕ですのね」

 

「少なくとも士道達よりは有るつもりだ。それで、この様子だとお前の狙いは俺だけではないようだな」

 

「ええ、貴方と士道さん……此処で食べさせてもらいますわ」

 

「そうか……」

 

 

まさか士道も狙っているとは思わなかった、千牙は溜め息を吐きながら魔戒剣を右手に携え、鞘から刀身を引き抜き

 

 

「悪いがお前の思い通りにはならん」

 

 

勢いよく魔戒剣を回転させながら投擲すると士道の方へと飛んでいく。

 

 

「うわっ!!」

 

 

彼の体を掴んでいた手を切り裂いた。まるでブーメランのように千牙の元に魔戒剣が返り構えていた鞘に見事納刀する。

 

 

「そこの怪我をしてる娘、しっかり守ってやれ士道」

 

「は、はい!」

 

「それと十香と白髪の娘、狂三の相手は俺がする。士道の方に下がれ」

 

「わかったぞ!」

 

「何で私が……」

 

 

千牙は士道達の盾になるように前へ立つ。

 

 

「……悲しいですわ、千牙さん」

 

「何がだ」

 

「私はずっと待ってましたのに……貴方は忘れてしまったのですね」

 

「?」

 

「もういいですわ、私達!」

 

 

千牙と話していた狂三以外が士道達を囲む。彼との戦いを邪魔させないように。

 

 

「先に貴方を喰らい私と一つになっていただきますわ!」

 

「言った筈だ、お前の思い通りにはならんと」

 

 

千牙もまた魔戒剣を構え狂三を視線に捉える。

 

 

「あらあら、鞘を付けたまま私と戦うおつもりですか?」

 

「俺の剣はホラーを斬るためにある。人間やお前を斬るためにあるんじゃない」

 

「きひひひ!嘗められた物ですわ……一の弾《アレフ》!」

 

 

短銃をIの時刻に合わせると、そこから黒い影のような物が銃口へと入る。狂三は自分の頭部に銃を突きつけ、引き金を引くと

 

 

「行きますわ!」

 

 

彼女の姿は消える。

 

 

「千牙、気を付けろよ!」

 

「わかっている」

 

 

その時、狂三は千牙の背後に移動しており銃を向ける。

 

 

「甘い」

 

 

彼女が引き金を引く前に態勢を低くし、下段から銃口を蹴り上げる。

 

 

「ちっ!」

 

 

後方へ飛び退き一度彼と距離を離す。

 

 

「今ので獲るつもりだったのですが……」

 

 

次にⅦの時刻へと合わせ

 

 

「七の弾《ザイン》」

 

 

影が充填された銃口を千牙に向けると士道が叫ぶ。

 

 

「千牙さん!それを受けたら危険です!」

 

 

士道の言葉は遅く弾丸は放たれた。千牙はその場に止まり避ける動作も見せない、が魔戒剣の柄に手を掛けると彼に迫っていた弾丸は一瞬にして全て消え去った。当然、当たると思っていた狂三の表情は強張る。

 

 

「魔戒騎士が“普通”の速度で飛んでくる弾を叩き落とせないと思っているのか?」

 

「……いいえ、思ってませんわ。そうでしてわね、貴方は魔戒騎士……普通の人間と比べて圧倒的な力を持っている……ですが!」

 

 

右腕を掲げるとけたたましい警報音が鳴り響いた。

 

 

「空間震警報だと?まさかお前……!」

 

「流石の貴方でも空間震をどうにかできまして?」

 

 

不味い、此処には彼女の結界の影響で身動きの取れない生徒や教師達、そして士道達が。千牙は狂三に

 

 

「狂三、止めろ。此処にいる奴等を巻き込むつもりか」

 

「ええそのつもりですわ、でも御安心ください。貴方と士道さんはちゃんと食べてさしあげますからぁ……き、ひひひひっ!!」

 

 

今此処で彼女を止めなければ甚大な被害が、彼には空間震を止める術はない。しかし彼女を斬るわけにはいかない、この状況を覆す事は……千牙はギりっと噛み締め鞘から刀身を抜こうとしたが

 

 

「止めなさい、千牙」

 

「!?」

 

 

ふと我に返ると何も起こらなかった。それどころか彼に言葉を掛けたのは予想もしていなかった人物。

 

 

「まさか……」

 

「オイオイ、こりゃ想像もしてなかったぜ」

 

 

空を浮遊する可憐な、千牙もよく知る少女。士道は目を見開く。

 

 

「琴……里?」

 

 

羽衣のような帯が腰などに巻き付き、頭に二本の角を携えた五河琴里その人が居た。

 

 

「この感じ……驚いたぞ、お前自身が“精霊”とはな」

 

「そこまで驚いているようには見えないんだけれども?」

 

 

まあいいわと巨大な斧を狂三に向け

 

 

「千牙、貴方は下がってなさい、あいつは私がやるわ」

 

「……」

 

 

何故か無言の千牙。

 

 

「さあ――私たちの戦争(デート)を始めましょう」

 




自分と最も近い人間は、最も自分が理解出来てると思うもんだ。
だがな、最も近い人間こそが自分の理解を越える存在だってのは存外知られてないものだぜ?
次回、『炎舞』
ボウヤの知らない彼女が目の前に……
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