デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO-   作:深淵騎士

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第十九話 兄妹

オーシャンパーク・遊園地エリア―――PM 1:30

 

 

この度フラクシナスの艦長兼炎の精霊、五河琴里は冷や汗をかき来るべきその時に耐えようとする。それは……

 

 

「来るぞ~琴里!」

 

「う、う、う……」

 

 

突然視界が急速に変わり

 

 

「きゃああああああ!!!!」

 

 

絶叫と共にジェットコースターは猛スピードで下っていった。

 

 

 

「はー……はー……」

 

 

壁に手を着き琴里は肩で息をする。

 

 

「結構良かったな」

 

「どこがよ!」

 

「それじゃ次はあれだな!」

 

 

士道が指差すのは幽霊屋敷、琴里は目元がひくりと動く。

 

 

「し、士道?流石にあれは……」

 

「ほら、早く行くぞ」

 

「いーやー!!」

 

 

 

 

 

「いーやー!!」

 

 

同時刻、四糸乃の可愛らしい悲鳴がオーシャンパークに響き渡る。何故こんな声を上げているかというと、もう一度ウォータースライダーに乗りたいという十香の申し出を渋々受け、一緒に滑っているからである。

 

ウォータースライダーの終わりが見えてくる頃には、四糸乃と十香は宙に浮かび

 

 

「はぷっ!」

 

『ほぷっ!』

 

 

そのままプールに落下する。ぷはっと十香はプールから顔を出し

 

 

「うむ!やはり面白いな!」

 

「こ、怖かった……」

 

『スリルはあったけどねぇ~』

 

 

二人はプールから上がり

 

 

「四糸乃、次はじゃんぐるくるぅずに行くぞ!」

 

「は、はい……!こ、怖そうですけど……」

 

 

怖いとは言ったが、四糸乃は誰かとこうして遊ぶことを楽しみ自然と笑みを浮かべている。そうして十香の後を追いジャングルクルーズへと四糸乃とよしのんは向かう。

 

 

 

 

 

 

天宮市・街道―――PM 3:26

 

 

「急げ千牙、もしかしたらもう接触してるかもしれんぞ」

 

「ああ」

 

 

千牙は車を運転しつつザルバに反応する。

 

 

「まさか魔界道が使えないとはな、まいったもんだぜ」

 

 

魔界道とは内部に時空の歪みがある道の事だ。様々な場所へと繋がっており通る事で最短距離で各地へと移動することができる、魔戒騎士等に重宝される道だ。何故か今回そこの歪みが非常に強く、通れば危うい状況になっていた。そのため車で移動するしかない。

 

 

「しかもこっちの方角はオーシャンパークだ」

 

「まさかだとは思うが、鳶一の狙いは……」

 

「まだわからんぞ、それよりも今は直ぐにでも到着することが先決だ」

 

 

彼は小さく頷き、アクセルを強く踏む。

 

 

 

 

 

 

オーシャンパーク・遊園地エリア―――PM 4:10

 

 

「はぁ……疲れた」

 

 

士道と琴里はベンチで休憩を取っていた。

 

 

「けど楽しかったろ」

 

「……まあね」

 

 

横目で士道の顔を見ると、彼も琴里の事を見ており視線が合う。

 

 

「な、何よ……」

 

「いや、何でも……なあ、琴里」

 

「はい!」

 

 

名前を呼ばれピクンと背筋を伸ばす。

 

 

「もしかして……」

 

 

何かを察する五河琴里、14歳。

 

 

「ねえ、し、士道……?確かに頃合いだとは思うんだけど……もう少し人気のないところが……」

 

「良いじゃないか、此処でさ」

 

「士道が良くても私が……」

 

 

彼は少しだけ琴里に寄る。

 

 

「大丈夫だよ、琴里」

 

「うっ……」

 

 

二人の影が重なろうとした……しかし

 

 

「ッ!?」

 

 

爆音と共に目の前が煙に包まれる。

 

 

「琴里!!」

 

 

煙から出ると空には見覚えのある少女が。

 

 

「折紙……お前!」

 

 

ホワイトリコリスを装着した折紙が。

 

 

「お前、今何をしたと思って――」

 

「五河琴里を……殺した」

 

 

の筈だが。

 

 

「簡単に言ってくれるわね」

 

「!?」

 

 

立ち上る煙が掻き消え、炎を周囲に漂わせながら琴里は現れる。

 

 

「周りを見なさい、警報も鳴っていない、避難もろくに出来ていない。そんな所にミサイルぶっ放す様なイカレた女だったとはね」

 

「……」

 

「まあいいわ」

 

 

手を翳すと周囲の炎は彼女に纏っていき、霊装へと変わる。

 

 

灼爛殲鬼(カマエル)!!」

 

 

巨大な斧、灼爛殲鬼を出現させ臨戦態勢に入る。

 

 

「!」

 

 

琴里は折紙に接近し灼爛殲鬼を振るう。

 

 

「ちっ!」

 

 

後方へ回避しありったけのミサイルを打ち込み、全て直撃する。

 

 

「……」

 

 

しかし煙から再び琴里が現れ不適に笑みを浮かべる。

 

 

「無駄よ、貴女じゃ……」

 

 

 

 

 

「今の音……」

 

 

爆音は十香と四糸乃がいるプールにまで聞こえてきた。

 

 

「この感じは……まさかコトリ!」

 

 

士道達の元へ行こうとする十香だが、よしのんに腕を掴まれ止められる。

 

 

「何をするよしのん!」

 

『ダメだよ、十香ちゃん!千牙くんから話は聞いてるよ、今の十香ちゃんは士道くんの中に霊力を封印している状態なんだって。そんな状態で行ったら命の保証は――』

 

 

必死に止めようとするよしのんの手を優しく解き

 

 

「忠告助かる……けど私は行かなければならない。士道がコトリを全力で助けようとしている、ならば私も……」

 

 

彼女に紫の光が起き、水着の一部を霊装にしていく。

 

 

「士道を全力で守って見せる」

 

 

そう言い残し、十香は士道達の居る遊園地エリアへと駆ける。

 

 

「……よしのん」

 

『解ってるよ、四糸乃も行きたいんでしょ?』

 

「うん……だけど……」

 

 

右手の薬指に嵌められている魔封輪を見る。これを外せば霊力は戻る。だが、そんなことをして千牙がどんな反応をするのか、四糸乃は恐れていた。

 

 

『大丈夫だって、誰かのために力を使うなら千牙くんもきっと許してくれるよ』

 

「……うん!」

 

 

 

 

「うぅっ……」

 

 

折紙は息を荒げる。ホワイトリコリスは彼女に相当の負担を掛けており、活動限界も少しづつ迫ってきていた。

 

 

「討滅せよ、《ブラスターク》!!」

 

 

ホワイトリコリスの両門から緑の光線が放たれ琴里を覆う。しかし琴里は回避しており、折紙の背後に。ホワイトリコリスの上に乗り灼爛殲鬼の刃でボディを打つ。

 

 

「《プロテクト・テリトリー》展開!!」

 

 

防御壁を張るが、直も琴里は攻撃の手を緩めない。

 

 

「あら、どうしたの?私を倒すんでしょう?私を討つんでしょう?」

 

 

何時しか見た、歪んだ笑いを見せながら何度も刃を振り下ろす。

 

 

「私を……殺すんでしょう?」

 

 

 

 

 

「んじゃー殺させてもらうねぇ」

 

「ッ!?」

 

 

何処からともなく現れた少女はニカッと笑い

 

 

「にはははっ!」

 

 

琴里の目の前に影のホラー、シャジェドニが迫り彼女の首を掴む。

 

 

「そーれぇっ!」

 

 

地面目掛け投げ、背中を叩きつけられ肺から空気が一気に漏れる。

 

 

「まーだだよぉっ!」

 

「がふぅっ!!」

 

 

シャジェドニがそのまま落下し琴里の身体が跳ね、彼女は口から血を吐き出す。くるくると回転しながらシャジェドニは琴里の上から飛び退く。

 

 

「宿主様さーせっかくそれ持ってくるのに手貸したんだからさーもうちょい頑張りなよー」

 

「わかってる……!」

 

 

軽口を叩くシャジェドニを一睨みし、琴里に向き直る。

 

 

「あれは……折紙?いや、違う……」

 

 

折紙と瓜二つの少女、士道はシャジェドニから何処かで感じたことのある異質な気配を感じ取った。

 

 

「この気持ちの悪い感じ……まさか、ホラー!?」

 

「ふーん、ホラーの事知ってるんだ、じゃキミは魔戒騎士?なら殺さなきゃ……」

 

「彼は殺さないで」

 

 

えーと不満げに折紙に文句を言おうとするが

 

 

「はいはい、まー宿主様が殺したいのは……あっちだしね」

 

 

ゆっくりと身体を起こす琴里が視界に入る。

 

 

「普通の人間なら今ので内臓グッチャグチャで死んでる筈だけどねぇ、精霊ってタフなんだ」

 

「いきなりやってくれるじゃない、まさか鳶一折紙がホラーを味方につけてるなんてね……でも関係ないわ!」

 

 

灼爛殲鬼を握り直し、シャジェドニの近くへと行く。彼女の身の丈以上はあるその大斧は影の魔獣に降り下ろされる。

 

 

「ぐあぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

刃によって切り裂かれたシャジェドニは叫ぶ……と思ったのも束の間

 

 

「――なんてね」

 

「なっ!」

 

 

斧を払いのけ細い首を右手で鷲掴みにする。

 

 

「確かにキミは強いけどさー……魔戒騎士でもない奴がホラーに勝てるはずないじゃん?」

 

 

後ろに向き琴里は地面に叩きつけるように投げられ、地面をバウンド、士道の側へと倒れる。

 

 

「琴里!!」

 

 

彼女の身体を抱き起こす。

 

 

「し、士道……」

 

 

そして彼等の方へ近づくシャジェドニ、ホワイトリコリスの砲門を向ける折紙だ。

 

 

「士道、そこを退いて」

 

「退かない!折紙の方こそ止めてくれ!」

 

「止めない、貴方には言った筈、私は両親の仇を討つために今まで生きてきた。“イフリート”を殺す事だけが私の……」

 

「それでも駄目だ!これ以上は……!」

 

「……くっ!」

 

 

ホワイトリコリスの活動限界が近づく、折紙は士道を睨み

 

 

「シャジェドニ!イフリートを!」

 

「はいはーい」

 

 

シャジェドニの左手が黒くなり、まるで剣のように変化する。

 

 

「君は宿主様の事何も解ってないよねー」

 

「え……?」

 

「もういいや、そいつこっちに寄越しなよ。責めて苦しくないようにするからさ」

 

「ふざけるな!誰が琴里を渡すものか!」

 

「じゃ無理矢理にでも……」

 

「たあぁぁ!!」

 

 

勇ましい声と共にシャジェドニに斬りかかる人影が。

 

 

「十香!」

 

 

水着を一部霊装化させた十香がシャジェドニの刃と鍔競り合っていた。

 

 

「コトリを連れて早く隠れろ!」

 

「わかった!」

 

 

士道は琴里を抱えその場を逃げようとするが、折紙が許す筈はない。

 

 

「逃がさ――」

 

 

彼女を襲う氷の礫。

 

 

「士道さんの邪魔はさせません!」

 

『させないよー!』

 

 

少し大柄のウサギ風の生物になったよしのん、それに跨がった十香とは違い完全な霊装を身に纏った四糸乃が。

 

 

「ハーミット!?くっ!!」

 

 

ミサイルを四糸乃に放つが、よしのんは口を大きく開けブレスを吐く。ミサイルは全て爆散し煙が起こる。

 

一方の十香は……

 

 

「それ!」

 

「ふっ!」

 

 

刃と刃がぶつかり激しい火花を散らす。だが圧されるのは十香の方だ。

 

 

「弱い弱い!」

 

「何っ!?」

 

 

十香の剣へシャジェドニの刃が当たると、刃は蛇のようにうねり剣を伝い十香の首に巻き付く。

 

 

「よいしょ!」

 

 

先程琴里のように、十香もまたシャジェドニに地面へと投げつけられる。ふと折紙の方へ視線を移すと、四糸乃とよしのんの攻撃によって反撃の芽を潰されていた。

 

 

「……宿主様もそろそろ限界かなー」

 

 

影の一部が別れ、人間大の蛇となり十香に向かう。折紙と交戦していた四糸乃だが

 

 

「お嬢ちゃんちょっとおいたが過ぎるよ」

 

「ッ!!きゃああっ!!」

 

『ひぎゃっ!』

 

 

シャジェドニの体当たりによって、よしのんは倒れ、四糸乃は地面に落ちる。そのままシャジェドニは四糸乃の首元を掴まえ

 

 

「く、くるし……」

 

 

その魔の手から逃れようともがくが、彼女の力ではどうにもならない。

 

 

「邪魔されると面倒くさいんだよ、ちょっと痛いけど我慢してねぇ」

 

 

右手を再び刃に変え四糸乃に向ける。

 

 

「い、いや……千牙さん……」

 

 

その時

 

 

「殺らせはしない」

 

 

 

 

 

琴里を連れ建物の物陰へと避難した士道。彼女は最早限界、息も途切れ途切れだ。

 

 

「琴里、大丈夫か!?」

 

「お兄……ちゃん」

 

 

猶予は残されていない、士道は一度瞼を閉じ琴里の手を優しく握る。

 

心の中で唱える。決めたんだ、守ると助けると、これは俺にしか出来ない、たった一人の妹を救えずに、何が兄だ!と。士道は瞼を開け琴里と見つめ合う。

 

 

「琴里、俺はお前が好きだ!」

 

「ふえっ!?」

 

 

唐突の告白に変な声を上げる琴里。

 

 

「どうしようもないくらい好きだ!愛してる!この世で一番の自慢の妹だ!琴里、お前は俺の事が好きか?」

 

 

畳み掛けるように言葉を繋げ、最後の問いに彼女の顔は真っ赤になり耳まで朱に染まる。

 

 

「わた、私は……」

 

「どうなんだ!?」

 

「だ……だ……」

 

 

大きく息を吸い

 

 

「大好き!私はお兄ちゃんの事が大好きよ!誰よりも愛してる!んむっ!」

 

 

士道は琴里と唇を重ねた……

 

 

 

 

 

「――あれ?」

 

 

シャジェドニは右の肘から先の感覚が突然途切れた。それもその筈、彼女の腕は綺麗に断面を作り切り裂かれていたからだ。

 

 

「四糸乃、よしのん……すまない、痛い思いをさせてしまった」

 

「何とか間に合ったぜ」

 

 

シャジェドニから離れた位置、霊装が解けた四糸乃、何時ものパペット姿に戻ったよしのんを抱えていた千牙が。

 

 

「千牙さん……ごめんなさい、勝手に指輪外して……」

 

「いいんだ、士道達の為に力を使おうとしたんだろう?お前のやった事は正しい……もう大丈夫だ、休んでてくれ」

 

「はい……」

 

 

近くのベンチにゆっくり下ろしシャジェドニを視界に収める。

 

 

「あー君は魔戒騎士?」

 

「……」

 

「ってか聞くまでもないよねぇ、宿主様には言われてなかったけど……ホラーとして君は放って置けないんだよねっ!」

 

 

無くなっていた筈の腕は、黒く染まった新たな腕として生え変わり異常な程伸びる。

 

 

「ふんっ!」

 

 

直撃する前に蹴り飛ばし、懐へ潜り込もうと距離を詰め、魔戒剣を投擲し十香に迫っていた蛇を貫く。

 

 

「でぇえあっ!!」

 

「うぎゃっ!」

 

 

勢いをつけた鋭い蹴りはシャジェドニの腹に見事決まり

 

 

「がっ!にゃ!ぎゃふぅ!」

 

 

三度地面にバウンドし顔面から落ち滑る。

 

 

「十香、怪我はないか?」

 

「助かったぞ、センガ!」

 

「……士道と琴里は?」

 

「二人は逃がしたぞ!」

 

「そうか、よくやった。下がってろ」

 

 

彼が地面に突き刺さった魔戒剣に向け、手を翳すと剣は震え千牙の手に引き寄せられるように戻ってくる。

 

 

「鳶一折紙、まさかこんな事態を引き起こしているとはな」

 

「貴方には関係無い」

 

「確かに……だがな、ホラーが関わっているなら無視は出来ん……それに」

 

 

コートの内から短刀を取りだし、ホワイトリコリスに目掛けて飛ばす。

 

 

「何を……!!」

 

 

短刀がホワイトリコリスにぶつかると爆発を起こし折紙もろとも大地に落ちる。

 

 

「くっ……なんで……」

 

「俺の大切な者に銃口を向けるなら、例えお前でも容赦はしない」

 

 

そして吹き飛んでいたシャジェドニは勢いよく立ち上がり

 

 

「いったた……君の靴、硬っ!!何はいってんの!?」

 

「ああ、俺の靴にはソウルメタルのプレートが仕込んであるからな、硬いのは当たり前だ」

 

「ホラーじゃなかったら間違いなく死んでるってぇ……」

 

 

シャジェドニは左手も刃に変える。

 

 

「ってかそのコートに赤い鞘の魔戒剣……まーさか君は黄金騎士かな?」

 

「そうだ、この男はお前さんの毛嫌いしている黄金騎士・牙狼だ!」

 

 

げんなりした表情でシャジェドニはため息を吐く。

 

 

「まーじーかー……流石に黄金騎士は……ほいっ!」

 

 

両手の刃を地に付けると、夥しい量の蛇が大地を這い千牙へと向かう。彼は迎え撃つために鎧を召還したが、何か違和感を覚える。

 

 

「これは……」

 

 

確かに鎧を召還した。だか鎧は普段の物ではなく、以前狂三の霊力を取り込んだ姿“装天”となっていた。

 

 

「来るぞ、千牙」

 

「わかっている、あれを使うぞ」

 

「何秒だ?」

 

「50秒で行く」

 

 

牙狼装天銃を蛇に翳し、引き金を引く。シャジェドニが出現させた蛇と匹敵する量の、炎の狼が現れ蛇と相殺し合う。全ての蛇が消え去るとシャジェドニの姿も消えていた。

 

 

「奴は……」

 

 

ホワイトリコリスの側にいた折紙の姿もない、恐らく彼女をつれて逃げたのだろう。

 

 

「逃がしたか……」

 

 

追おうと考えたが、彼は鎧を魔界へと戻し先に士道と琴里の状況を把握しようとした。すると琴里を抱き抱えた士道が此方へと歩んでくる。

 

 

「士道!」

 

「シドー!」

 

 

彼に駆け寄る。

 

 

「どうなった……?」

 

「はい、もう大丈夫です……!」

 

 

封印は成功、彼の言葉に千牙と十香はホッと胸を撫で下ろす。

 

 

「よかった……やったな、シドー!」

 

「少しは見直したぜ、ボウヤ」

 

 

笑顔で士道は千牙に頭を下げる。

 

 

「千牙さんのお陰で俺、琴里を……」

 

「いや」

 

 

彼は首を振り

 

 

「俺はなにもしていない、琴里を救えたのは士道、お前の力だ……よくやったな」

 

 

千牙は彼にそう言葉を伝え、四糸乃の居るベンチへと向かう。

 

 

 

 

 

「う……くっ」

 

 

折紙は意識が戻り、自分は誰かに抱えられているのが解る。

 

 

「あ、起きた?」

 

「シャジェドニ……」

 

 

シャジェドニが折紙を脇に抱え、建物の上を飛び回って居たのだ。

 

 

「良かった、宿主様に死なれたら困るもんねぇ」

 

「……ありがとう」

 

「……ふふふ」

 

「何がおかしいの?」

 

 

思わず問いかける折紙。

 

 

「いやさ、オレ今まで礼とか言われたことなかったからさ、嬉しくて。気に入ったよ、宿主様の事」

 

「……そう」

 

 

 

 

 

 

冴島邸―――PM 6:32

 

 

 

「戻ったぞ」

 

「お帰りなさいませ、千牙様」

 

 

千牙は四糸乃をおぶったまま玄関へと入る。出迎えてくれたのは何時も通り、ゴンザそして

 

 

「お帰りなさい、千牙さん」

 

 

メイド服を着た狂三だ。

 

 

「……何だ、その格好」

 

「見てわかりませんこと?メイド服ですわ」

 

「いや、それはわかってるが……まあいい、ゴンザ、四糸乃を休ませてやってくれ。今日は疲れただろうからな」

 

「かしこまりました」

 

 

四糸乃をゴンザに預け、彼は奥の部屋へと足を運んだ。

 

 

「しかし、家にそんな服あったか?」

 

 

狂三の方に視界を向け呟く。

 

 

「どうでしょう?似合ってるでしょうか……?」

 

「ああ、似合っているよ。可愛いと思うぞ」

 

「嬉しいです♪」

 

 

それと、と千牙は彼女の頭に手を乗せ

 

 

「狂三、ありがとうお前が居てくれて、お蔭で今日は助かった」

 

 

優しく撫で、千牙は自室へと。残った狂三は彼に撫でられた頭を触り

 

 

「何の事でしょう……でも、悪い気はしませんわ♪」

 

 




知ってるか?世界ってのは一つじゃない。
木の枝が分かれている様に、無数の道ある。
黄金騎士だって様々な世界に居ると思うぜ。
次回、『道外』
未熟な黄金騎士か、まあお手並み拝見と行こうぜ?
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