デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO-   作:深淵騎士

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更新が大部遅れて申し訳ありません。次回の更新はまだ未定ですが、必ず更新いたしますので暖かい目で見守っていただければ幸いです。

HDリマスター牙狼絶賛放送中ですが、やはり鋼牙はいいですね……


第二十六話 黒翼

天宮市――― PM 10:58

 

 

ドナローブを探し、天宮市を歩き回る千牙。奴の気配と手懸かりは一向に掴めずにいる。彼が人気の無いところに来ると

 

 

「千牙さん」

 

 

千牙の影の中から狂三が姿を現す。

 

 

「何かわかったか?」

 

「気になることが二点ほど、二日前にこの街で怪死した人が居るようで、何でも髪は真っ白に染まり、やつれ、顔は恐怖に歪んだような表情で亡くなってるみたいですわ」

 

 

彼女の話を黙して聞く千牙。

 

 

「昨日、来禅高校の教師が同じような亡くなり方をしているということがわかりました」

 

「……なるほど、どう思う」

 

 

ザルバにそう問いかける。

 

 

「可能性はあるな、問題は次に誰に憑依したかだ」

 

「それについては目星が付いていますわ」

 

「何?」

 

「実は……」

 

 

 

 

 

 

???――― ??:??

 

 

 

「何でこんなことに……」

 

 

物陰に隠れ、士道は息を荒げながらに言う。十香、琴里は彼の命を狙い追いかけて来ている。彼女達だけではない、これまでに八舞姉妹、四紙乃が襲い掛かってきており何とかそれを撒いたのだ。

 

 

「一体どうすれば……?」

 

 

背後から足跡が迫り、そちらを向く。

 

 

「せ、千牙さ――」

 

 

そこに居たのは千牙、しかし彼は士道目掛け蹴りを入れようとする。辛うじてかわし道路に転がり込む。

 

 

「避けられたか」

 

「千牙さんまで……」

 

 

最早、士道の味方をする者は居ないのであろうか。

 

 

「悪いな士道……貴様を此処で斬る」

 

 

魔戒剣を彼に向ける千牙。恐怖、絶望、死が今そこに迫っている。足は動かない、声もまともに出せない。どうすればこの状況から抜け出せる?幾ら考えても答えは導き出せない。

 

千牙は既に目と鼻の先、剣の間合いに入った。彼は魔戒剣を空へ翳し

 

 

「死ね、士道」

 

 

振り下ろされる刃、士道は強く目を瞑り

 

 

「うわあぁぁぁぁ!!」

 

 

彼は叫ぶ。するといくら経っても刃は自分の体を切り裂かない。おかしいと感じた士道は恐る恐る瞼を上げると、魔戒剣を握っていた腕が消えていた。

 

 

「な、何が……」

 

「くそ……邪魔をするなああああ!!」

 

 

悲痛な声を上げながら、千牙は足元から灰となり崩れさって行く。それと同時に、士道の耳に声が聞こえ始める。

 

 

『……う』

 

「この……声は……」

 

 

徐々に大きくなっていく声。

 

 

『し……う……』

 

 

間違えない、この声は紛れもなく……

 

 

『士道!!』

 

 

 

 

 

 

五河宅 ―――PM 11:03

 

 

 

「ッ!!」

 

 

勢いよく士道は体を起こすと直ぐ側には千牙が居た。

 

 

「目が覚めたか、士道」

 

「千牙さん……俺……」

 

 

先程の光景を思いだし、千牙に問いかける。

 

 

「えっと……本物、ですよね?」

 

「何を言う、本物も偽物あるか。俺は俺だ」

 

 

間違いなく彼は千牙本人だ。張っていた気が緩んだのか、盛大に息を吐きベッドに再び横になる。

 

 

「ところで、千牙さんは何で俺の部屋に?」

 

「単刀直入に言わせてもらうが、士道……お前にホラーが憑いている」

 

「えっ」

 

 

安堵した表情から一変、士道は凍りつく。

 

 

「安心しろ……とはあまり言えんが、お前の身体に憑依しているわけではない。お前の“夢”に憑依している」

 

「夢……もしかして……」

 

 

心当たりはある、あの異様な光景……

 

 

「どうやら思い当たる節があるようだな。そのホラーは憑依した人間の夢と魂を喰らう特殊な奴だ」

 

「い、一体どうすれば……」

 

「解らん」

 

「わからんって……」

 

「今奴に関して調べている最中だ」

 

 

士道の表情は優れず

 

 

「眠ったら、またあの夢を見るのかな……」

 

 

不安げな顔で呟く。千牙は士道と同じ目線に合わせ、肩に手を置く。

 

 

「大丈夫だ、必ずホラーを倒す。だから今は少しだけ耐えてくれ」

 

「……はい、お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

天宮市―――AM 8:21

 

 

 

昼前、千牙は何処かのマンションへと向かっている。

 

士道はというと、あれから一睡も出来ず、寝てしまってはあの夢を見るという恐怖により精神がやや不安定になっているとのことだ。現在は千牙の提案により冴島邸で過ごしている。

 

一刻も早く彼の内からドナローブを取り除かなければならない、千牙は彼を助けるために奮闘するつもりだ。

 

 

「此処か」

 

 

中々に立派なマンションの目の前に立つ千牙。

 

 

「千牙、まさかだとは思うが……」

 

「ああ」

 

「奴が協力するとは限らないぜ?」

 

 

ザルバは呆れ口調で言う。

 

 

「……話してみなければわからん」

 

 

そうしてマンションの中へと入っていき、エレベーターに乗り込む。上の階へと上がっていくエレベーター、千牙は腕を組み

 

 

「最後の綱、と言うわけではないが……少し前まで魔界にいた奴なら……」

 

 

 

 

「なんの用なのさー黄金騎士様ー」

 

 

扉を少し開けて、千牙の様子を伺うのは士道のクラスメイト、鳶一折紙……に瓜二つの姿を持つ、ホラーのシャジェドニだ。

 

 

「お前に聞きたいことがあってな」

 

「んー?」

 

「ドナローブを知ってるか?」

 

 

ドナローブの名を聞いた瞬間、シャジェドニの表情が変わる。

 

 

「なーに?もしかしてあいつ現界(こっち)に出てきたの?」

 

「ああ」

 

 

溜め息を吐き、シャジェドニは頭を掻く。

 

 

「まーた嫌な奴が出てきたねー……あいつはホラーの中でも一際同族に嫌われてた奴なんだよ」

 

「どういうことだ?」

 

「あいつは憑依した相手に悪夢を見せて、恐怖が最高点に達した魂を美味として喰らう最悪な奴なんだよ。ましてや見境がない、同族であるホラーすら奴のエサなのさ」

 

「何て奴だ、悪趣味極まりないな」

 

 

同感とシャジェドニは呟く。

 

 

「それで、黄金騎士様。オレの所に来たのはドナローブの対処方法を聞きに来たんでしょ?」

 

「そうだ」

 

「いいよ、教えてあげるー」

 

 

存外簡単に教えてくれるシャジェドニに千牙は多少驚く。

 

 

「奴が悪夢を見せるとき、その夢は魔界に近い世界になる……君たちの言う“内なる魔界”ってのとほぼ同じかな。奴を倒したければその魔界に飛び込むしかないね」

 

「……そういうことか」

 

「魔戒騎士なら、内なる魔界に入ることなんてらくしょーでしょ?」

 

「簡単に言ってくれるが……出来ないことはない。ありがとう、シャジェドニ。お陰でドナローブを倒す手立てができた」

 

 

にぱぁっとシャジェドニは笑みを浮かべる。

 

 

「いーよいーよ、気にしなくてさ」

 

「それではな」

 

 

千牙はエレベーターに向かって歩いていく。シャジェドニは扉をパタンと閉め部屋に戻っていく。

 

 

「シャニ」

 

「どったの?宿主様」

 

 

部屋に戻って早々に、不安はそうな折紙が居る。因みにシャニというのは折紙がシャジェドニに付けた愛称だ。シャジェドニという名は如何せん呼びにくい、そのため折紙が“シャニ”と呼ぶことにした。とうの本人は喜んでその愛称を受け入れたとか。

 

 

「さっき話してた相手……あの男?」

 

「そーそー、この街に現れたホラーの事を知りたいって言うから教えた」

 

「いいの?貴女の同族なのに」

 

 

んーと声を上げ、腰に手を当て

 

 

「べっつに?オレは他のホラーがどうなろうと知った事じゃないし、放っておけば、もしかしたら宿主様に危害加えるかもしれないし。消えてもらったほうがオレとしては万々歳なんだよねー」

 

「……そう」

 

 

何処か優しく笑む折紙。

 

 

「……シャニ、新しくお菓子を作ったんだけど、食べる?」

 

「え!いーの!?食べる食べる!」

 

 

 

 

 

 

冴島邸・地下鍛練場前―――AM 9:17

 

 

「ここからは俺と士道だけで入る、お前は待っていろ」

 

 

鍛練場の扉の前に来た千牙、士道、十香。ホラーが士道に潜んでいると千牙から聞かされた十香は、不安げな様子を見せる。しかし千牙は

 

 

「心配するな、十香。士道は必ず救う」

 

「……わかった、頼んだぞセンガ」

 

「ああ……入るぞ、士道」

 

「は、はい……」

 

 

重々しい扉を開け、二人はその中へと姿を消す。ただ士道の帰りを待つ少女は知らず知らずの内に両手を合わせていた。

 

 

「シドー……」

 

 

 

 

 

「屋敷の下にこんな所が……」

 

 

千牙がいつも剣の鍛練をするこの場所。彼曰く、自らの意思で招き入れたのは士道が初めてらしい。中央には人一人寝かせられる台が置かれている。

 

 

「士道、そこに寝ろ」

 

「は、はい」

 

 

言われるままに士道は台に寝転がる。心なしか緊張しているようにも見えた。

 

 

「今からお前の中にいるホラーを討伐する、準備はいいな?」

 

「……はい」

 

 

返事を聞くと千牙は赤い札を取りだし、士道の額に当てる。すると彼はゆっくりと瞼を下ろし眠ってしまう。それを確認すると

 

 

「……サルバ」

 

「わかった、ボウヤとお前さんの魔界を繋げるぜ」

 

「頼む」

 

 

サルバを士道に向け、千牙も目を閉じ意識を集中させると直ぐに意識は途切れてしまった。

 

 

 

 

 

 

悪夢・魔界―――???

 

 

「ふっ」

 

 

空中から出現した千牙は軽々とその場に着地、辺りを見渡す。そこは黒と紫が入り交じったような空間で、上には歪んだ赤い月、足場という足場は宙に浮いた岩だけだ。岩を外れれば、下は暗く深淵が顔を覗かせている。

 

気配を感じそちらを向くと、この空間と同じ配色の素体ホラーを思わせる外観のホラー……ドナローブが千牙を見下ろしていた。

 

 

「よく来たな、黄金騎士」

 

「貴様……」

 

 

魔戒剣を抜き、ドナローブに向ける。

 

 

「……黄金騎士よ、何故人間に与する」

 

「何?」

 

「人間とは愚かだ、自身が生きるために他者を踏みにじり、他の生物を残虐に殺し喰らう。現界で最も残酷な存在は人間だ、そんな存在を守る理由があるか?」

 

 

ドナローブからの問いに千牙は思考を巡らせる。確かに人間は同じ人間を殺し欺く。過去に魔戒騎士を異形の者とし、処刑をしたとも聞く。奴は同じ人間をも、ホラーの魔の手から守護する魔戒騎士すら、その手にかける人間を守る価値があるのか、そう結論付けたいのだ。

 

 

「我が人間を喰らっているのは、人間共がしていることを―――」

 

「下らん」

 

 

一蹴、千牙はドナローブを鋭い眼で射ぬく。

 

 

「確かに、人間は過ちを犯す。邪念があるからこそ、貴様等ホラーを呼び出す……だが、貴様がどれだけ御託を並べようが俺の意思は変わらない」

 

 

千牙は不気味な空に己の剣を掲げる。

 

 

「俺はどんな人間の心の中にある“光”を信じて戦う、それだけだ」

 

 

円を刻み、金色に輝く鎧を魔界から呼び出し身に纏う。

 

 

「人間を悪夢へと誘い、喰らう貴様の陰我……俺が断ち斬る!」

 

 

牙狼剣を両手に構え、ドナローブに迫る。

 

 

「やはり我等と貴様等は相容れぬか、ならば黄金騎士よ……貴様の恐怖を見せてみろ」

 

 

ドナローブが右手を千牙に向けると漆黒の波動を広範囲に放つ。千牙はそれをかわそうとするが

 

 

「くっ、おおおおお!!」

 

 

波動の直撃を受け吹き飛んでしまう。しかしダメージは少なかったのか直ぐに立ち上がり、ドナローブを再度睨む。

 

 

「千……牙……!」

 

「どうした……何!?」

 

 

千牙は鎧を見ると、足の先から少しずつ金色から黒へと変わっていきザルバも漆黒に覆われ口を閉ざす。それと同時に身体には激しい痛みが襲う。

 

 

「ぐあああ……!!」

 

 

痛みが引いていくと、千牙は目を疑う。彼の纏う金色の鎧は漆黒へ染まってしまっていた。ドナローブは高らかに笑う。

 

 

「ふはははっ!!貴様等黄金騎士の金色は希望の光、その輝きを失う気分はどうだ!」

 

 

ドナローブの言う通りだ、牙狼とは“希望”その金色は人間の未来を照らす“希望の輝き”だ。金色を失うことは黄金騎士にとって恐怖そのものだ。

 

だが千牙は知っている、輝きを失った牙狼を纏い、そして仲間と共に戦い、母との約束を果たし金色を取り戻した騎士の事を。だからこそ、自分は恐怖など、絶望などしない。

 

 

「例え鎧の輝きが消えたとしても、俺の心の輝きは消えはしない!」

 

「……ならば、その輝きを抱いたまま奈落へと落ちろ!」

 

 

その時、千牙の足場となっていた岩が砕け彼は深淵に向かい落下していく。

 

 

「ちっ!轟天!!」

 

 

名を呼べども魔導馬は来ず、千牙は奥歯を噛み締める。

 

 

「轟天が呼び出せないだと……このままでは……」

 

 

奈落へと落ち、士道を救えず彼も二度と外の世界へは戻れないだろう。

 

 

「こんな所で……終わるわけにはいかない!!」

 

 

その瞬間、千牙の耳に声が届く。

 

 

 

―――守りしものとなり、そして強くなれ

 

 

 

「ッ!ウオオオオオオォォォォ!!!!」

 

 

千牙は吠えると空間が震え始めた。

 

 

「ふん、何をしようとしているかわからんが、もう無駄―――」

 

 

言葉をいい終える前にドナローブの目の前を何かが通りすぎ、空へ飛び上がる。歪んだ月を背景に、蝙蝠のような翼を広げる漆黒……闇を纏った牙狼が天に居た。

 

 

「光に照らせぬ闇などない!!」

 

 

漆黒の翼を羽ばたかせ、ドナローブに飛翔する千牙。再び波動を放ち彼を落とそうとするが、俊敏に動く漆黒の牙狼を捉えることは出来ない。

 

 

「小癪な……!」

 

「ドナローブ、終わりだ!!」

 

 

ドナローブの首を掴み更に天へ飛ぶ。右手に持った牙狼をそのままドナローブの胴に押しあて

 

 

「おおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

「グオウオオオオオオオッ!!!!」

 

 

力の限り振り抜きドナローブの胴を寸断、呻き声を上げながら

 

 

「アオオオア……」

 

 

恐ろしい声を上げるドナローブ、千牙は近くの岩に足をつける。奴を倒したことによって、牙狼の鎧が腰のエンブレムを中心に元の“金色”へ戻っていく。

 

 

「ぷはっ、息がつまりそうだったぜ」

 

 

解放されたザルバは空気を思いきり吸い込む。

 

 

「というよりは止まっていただろ……!?」

 

 

両断されたドナローブは千牙を視界に収め

 

 

「見えたぞ……貴様が真に恐怖するものを……!!」

 

「何……」

 

 

その時千牙を覆う影が。彼は直ぐに振り向くと、そこには……

 

 

「こ、これは……」

 

 

 

□□□□□□□ッ!!!!

 

 

 

 

 

 

五河宅―――PM 10:11

 

 

 

「う、ん……」

 

 

士道が目を覚ますと、そこは見慣れない天井。彼は自分に起こった事を振り返り起き上がる。すると

 

 

「シドー!」

 

 

側に居た十香が彼に抱きつく。

 

 

「心配したのだぞ……」

 

「十香……痛いって」

 

「す、すまん……」

 

 

彼女が士道から離れると同時に、寝室へ琴理が。

 

 

「とんだトラブルに巻き込まれたようね、士道」

 

「琴理……」

 

「何?変な顔して。まあいいわ、それとごめん……士道が大変なときに側に居れなくて……」

 

 

小さく頭を下げて謝る琴理。彼は首を横へ振り

 

 

「気にすんなって、この通り生きてるからさ」

 

「そう……ね、またあいつに借りができちゃったわね」

 

「そうだな……」

 

 

窓の外に視線を移す士道。晴れ渡る空、太陽の光が彼の頬を照らしていた……

 

 

 

 

 

 

冴島邸――― PM 11:21

 

 

ドナローブを撃破した千牙は番犬所に報告をした後、自室の椅子に腰を深々と下ろす。

 

 

「俺の……恐怖か」

 

 

思い起こすのは、ドナローブに見せられた巨大な獣……千牙は拳を握りしめ

 

 

「俺はもう過ちを繰り返すわけにはいかない……何があっても……!」




人間はよく無理をするな、自分の限界を知らないのか?
あいつだってそうだ、俺様の忠告を無視して行動しやがる。
今、あいつの身体がどうなってるか、本人でさえ気づかないんだろう。
次回、『異変』
おっと、祭りか?こんな時に気楽なもんだぜ…
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