デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO-   作:深淵騎士

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更新遅れて申し訳ありません。

今さらですが、魔戒烈伝最終回は良いものだった…個人的に流牙と鋼牙が共演してくれたら良かったなと思ったり。


第二十七話 異変

 

冴島邸―――PM 4:41

 

 

 

「ただいまー」

 

「帰宅、ただいま戻りました」

 

 

八舞姉妹がダイングルームに入っての第一声、それに答えるのは椅子に座り本を眺めている青年。

 

 

「おかえり、耶具弥、夕弦」

 

 

微笑みながら出迎える冴島千牙。耶具弥は辺りを見渡し

 

 

「ゴンザさんは?」

 

「質問、四糸乃達の姿も見えないようですが」

 

「ああ、ゴンザは少し出掛けている。四糸乃とよしのんは風呂だ。ゴンザがお前達の分の夕食を作っている、着替えて食べてくれ」

 

 

彼は本を閉じ椅子から離れる……が

 

 

「ッ……」

 

「!?」

 

「千牙!」

 

 

本を落とし、その場にしゃがみ込む千牙。慌てて二人は駆け寄ると、彼は苦痛に満ちた表情で胸を抑えている。

 

 

「千牙どうしたの!?」

 

「……」

 

 

無言で彼女達を手で制する。

 

 

「だいじょうぶ……だ」

 

「疑問……全然そんな風には……」

 

 

それでも彼は首を振り、痛みが引いてきたのか本を手に取りゆっくり立ち上がる。本はテーブルに置き台座に置いていたザルバを指にはめ

 

 

「すまない、少し……休んでくる」

 

 

それだけ言い残し千牙は部屋を出ていく。残った耶具矢と夕弦、室内には暗い雰囲気に包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

冴島邸・千牙自室―――PM 5:06

 

 

「……」

 

 

少しふらつきながら彼は椅子に深く腰を掛ける。今までこんなことはなかった、例え3日寝ずホラー狩りに勤しんでいても千牙は疲れも見せずにいた。しかし今はどうだ、時折原因不明の胸の痛みと目眩に襲われる。

 

間違いなく自身の身体に何かが起こっているだろうと考える。

 

 

「随分と堪えてるようだな、千牙」

 

「ああ……だが問題ない」

 

 

ザルバはため息をはく。相棒がここまで疲労しているのは流石の彼も心配なのであろう。

 

 

「千牙、今お前さんの体の中には異質な力が紛れている」

 

「異質?……まさか……」

 

 

思い当たる節はある、ここ最近千牙が取り込んだものであろう。即ち……

 

 

「霊力か……」

 

「恐らくだか、それが原因かもしれんな」

 

「……」

 

 

狂三、耶具矢と夕弦の三人の霊力を取り込んだ千牙、それが身体に負担が掛かっているとすれば……そう考えると千牙は表情を暗くする。

 

 

「確証は無いがな、ただ単に疲れから来ているからかもしれんぞ?今日はゆっくり休むことだ、それに……今日は“貰う日”だ」

 

「ああ……そうだったな、それでは早めに始めるとするか。ゴンザ達には……まあ伝えなくともいいか」

 

 

千牙は瞼を下ろし

 

 

「それじゃあ始めるぜ?」

 

 

 

 

「とは言ったものの、やっぱ心配だよ……」

 

 

千牙の部屋に向かう八舞姉妹。

 

 

「あんな苦しそうな千牙みたことないし……」

 

「同感……確かこの部屋ですね」

 

 

彼の自室の前に到着、耶具矢はノックをし

 

 

「千牙、大丈夫?様子見に来たんだけど……」

 

 

……無反応、数秒待ったが何も返ってこない。

 

 

「異様、あまりにも静かすぎます」

 

 

すると夕弦はドアノブに手を掛けた。

 

 

「ちょ!夕弦!」

 

 

そのままドアを開けてしまった夕弦。彼女達の視界に映ったのは椅子に座り、目を閉じている千牙だ。彼は寝ているのだろうと思いほっとするが……

 

 

「奇妙、何かおかしくはないですか?」

 

「おかしい?何が?」

 

「不明……何かはわかりませんが……」

 

 

夕弦は千牙の側に寄ると異変に直ぐに気づき青ざめる。

 

 

「どうした……の」

 

 

彼女も気づく。千牙は先程から一切呼吸をしていないのだ。よく見れば顔を白く、まるで死人のような状態になっている。

 

 

「千牙!?ちょっと千牙!!」

 

 

身体を揺するが目を覚まさない。頬に触れてみると冷たく生気が感じられなかった。

 

 

「ま、まさか……し、死んじゃったの……!?」

 

「困惑……ど、どうしたら……」

 

「とりあえずゴンザさんが来るまで―――」

 

「何を騒いでいるのですか?」

 

「「!?」」

 

 

振り向くと狂三が部屋の前で不思議そうに此方を見ていた。

 

 

「く、狂三!」

 

「重篤、大変です!千牙が!」

 

「?」

 

 

何事かと思った狂三は首を傾げながら千牙の元へと。

 

 

「千牙が息してないのよ!一体どうすれば……!」

 

 

焦る耶具矢だが、嫌に冷静な狂三。彼女は千牙の左中指に居るザルバを見て、今千牙に起こっている状況を理解した。

 

 

「成る程、そういうことですか。心配なさらなくても宜しいですわよ」

 

「心配しなくてもって……」

 

 

フフっと笑う狂三は踵を返し

 

 

「ではダイニングルームへ行きましょう、そこで千牙さんの事についてお話しますわ」

 

 

コツコツと足音を立てて千牙の部屋から出ていく狂三。顔を見合わせ、頭に?を浮かべる八舞姉妹は仕方なく狂三の後を追うのであった。

 

 

 

 

「「仮死状態?」」

 

 

ダイニングルームにて狂三、耶具矢、夕弦、そして風呂から上がった四糸乃が机を挟んで座っている。

 

 

「ええ、千牙さんはザルバさんとの契約により、一ヶ月の内一日分の命を与える事になっています。そのため今日は丁度その日なので千牙さんは仮死状態になっている訳ですわ。心配しなくとも明日には目を覚ましますわよ」

 

 

狂三からの説明により深く息を吐く耶具矢と安心から肩の力が抜ける夕弦。

 

 

「そうだったんだ……」

 

「安楽、本当にビックリしました……」

 

 

そんな二人に四糸乃は苦い笑いを溢しながら

 

 

「最初は私達も驚きました」

 

『前に晩御飯が出来たから呼びにいってみたら、あんな事になってるもんねー夕弦ちゃんの言うとおりビックリしちゃうよー』

 

「ただいま戻りました」

 

 

玄関からゴンザの声が聞こえてくる。四糸乃は椅子から離れ

 

 

「すいません、少し失礼しますね」

 

 

ゴンザが荷物を持っているだろうと思い、四糸乃は荷物持ちを手伝うために玄関に向かった。

 

 

「……日が浅いのもあるけど私達、千牙の事知らなすぎだよね」

 

「同感……そういえば、何故ザルバに千牙の命を与えるのですか?契約とは一体……」

 

「そうですわね……ホラーについてはわかりますか?」

 

 

思い出すあの強硬なる魔獣、ハンプティ。二人はこくりと頷く。

 

 

「千牙さん達、魔戒騎士が討滅対象にしているのはこちら側の世界“人界”へやって来る謂わば不法入国者“プリズンホラー”と呼ばれる存在ですわ。そして人界側と交わした約定に沿って生きている、人間に友好的なホラーはソウルメタルという金属に封印され、魔戒騎士の手助けをしています」

 

「理解、それがザルバなのですね」

 

「そうですわ。ザルバさんは元を辿ればホラー、千牙さんはザルバさんを使役する代わりに“一ヶ月に一度、一日分の寿命を彼らの糧として与える”という契約を交わす必要があるのです」

 

 

納得した顔をする耶具矢。

 

 

「そういうことだったんだ……けど狂三は千牙について色んなことしってるのね」

 

「フフッ……勿論ですわ、彼の事なら色々と……だぁって、千牙さんの事“愛して”ますもの」

 

 

蠱惑的な声で狂三は頬杖をつきながらに言う。直球で千牙に対する好意を示した彼女に反発するように二人は立ち上がり

 

 

「わ、私だって千牙の事……!」

 

「同意、夕弦も千牙の事が……」

 

「あら?千牙さんの事が、なんですの?」

 

 

彼女は意地悪く言うと、そんな険悪なムードの中

 

 

「おや、お邪魔でしたかな?」

 

 

扉からひょっこり顔を覗かせているゴンザが。一斉に視線がギロリと彼に向く。

 

 

「お、お邪魔のようでしたな、それではごゆっくり……」

 

 

静かに扉を閉めてその場を後にしたゴンザであった。

 

 

 

 

 

 

天宮市・ビル屋上――― PM 11:39

 

 

「……良い街だ」

 

 

フードを被った青年が、夜の天宮市を見下ろしながら呟く。

 

 

「だがこの街はいずれ黒く染まる……」

 

「皮肉なものよな、我等はなにもすることができん」

 

 

老いた男性の声が青年の左手から発せられる。

 

 

「構わんさ……俺はあいつさえ救えれば……!!」

 

 

何かの気配に気づき背後を向く。視線の先に居るのは髪もコート等の衣服さえも黒く一色に着飾った男だ。

 

 

「何の用だ」

 

「いや、お前が裏切らないか気になってな」

 

「よく言う、裏切らんことは知っておるだろうに」

 

「クッハハ……暫く事は動かんよ、それまではゆっくりとしていてくれ……それではな」

 

 

影の中に沈み、男は姿を消した。

 

 

「食えん奴よ……」

 

「ああ、だが奴を出し抜き必ず……!」

 

 

青年はビルから飛び下り、明かり灯る街並みへ姿を消した。

 

 

 

 

 

 

冴島邸――― AM 8:32

 

 

晴れ晴れとした朝焼けが差し込む今日は休日、学校もなくどう一日を過ごそうか話している八舞姉妹は屋敷の廊下を歩いている。

 

 

「おはよーゴンザさん」

 

「挨拶、おはようございます」

 

「おはようございます、耶具矢様、夕弦様」

 

 

廊下でゴンザと会い挨拶を交わす二人。

 

 

「朝食の用意はできております、居間にて少々お待ちください」

 

「はーい、行こう夕弦」

 

「応答、はい」

 

 

ゴンザの横を通りすぎダイニングルームの前に着くと扉が開き

 

 

「あ……」

 

 

出てきたのは千牙だ。

 

 

「二人ともおはよう」

 

「お、おはよ……」

 

「挨拶、おはようございます。もう具合は大丈夫なのですか?」

 

「ああ、問題ない。心配させたようだな」

 

 

耶具矢はそっぽを向き

 

 

「べ、別に心配してないし、千牙なら大丈夫だろうって思ってたし……」

 

「訂正、めちゃめちゃ心配してました」

 

「夕弦!」

 

 

顔を真っ赤にして声を上げる耶具矢。

 

 

「ありがとう、耶具矢」

 

「う~……」

 

 

優しく彼女の頭を千牙は撫でる。一方の夕弦はぷくっと頬を膨らませると

 

 

「不満、夕弦も千牙の事を心配してました」

 

 

彼の左腕に夕弦はぴったりくっつく。

 

 

「わかっている。聞いたよ、二人とも部屋まで来てくれたんだろう本当にありがとう、心配してくれて」

 

「質問、本当に感謝していますか?」

 

「ああ勿論だ」

 

「提案、ならこのあと夕弦達に付き合ってください」

 

 

突然の提案に耶具矢は驚き、夕弦に近づき彼に聞こえない小さな声で

 

 

「夕弦一体何を……」

 

「嫉妬、耶具矢は良いのですか?このままでは千牙を狂三にとられてしまいます。何処かで狂三との差を縮めなくてはなりません」

 

「うぐっ……よ、良くは無いけどさ。千牙はこのあと予定とかないの?」

 

「特にはない。今のところ指令も来ていない、それに昨日の内にオブジェクトの浄化は済んでいる」

 

「決定、でしたら夕弦達と出掛けましょう」

 

 

彼からの返事は「別に構わん」の一言。

 

 

「支度が出来たら呼んでくれ、俺は部屋に居る」

 

 

そう言い残し彼は自室へ。姿が見えなくなるのを確認すると

 

 

「完璧、これで一緒に居られる口実が出来ました」

 

「いきなりで焦ったけど、夕弦ナイス!」

 

「当然、夕弦に掛かればこれくらい朝飯前です。さあ、夕弦達と千牙の距離をこれを期に一気に縮めましょう」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

天宮市・商店街――― AM 10:03

 

 

「しかしお前達から出掛けようと言われるとは思わなかったな」

 

 

千牙を真ん中に、右に耶具矢、左に夕弦と商店街を歩く。千牙は何時ものコート姿であるが耶具矢は黒を、夕弦は黄色を基調とした私服をそれぞれ着ている。

 

 

「しかし初めてだな、こうして出掛けるのは」

 

「言われてみれば確かに」

 

「それで何処に行くんだ?」

 

 

そう問いかけると夕弦の表情は固まる。

 

 

「……」

 

「……何処に行くか考えてなかったのか」

 

「謝罪、すいません……」

 

 

軽く溜め息を吐いた後、彼は笑み

 

 

「まあいいか、お前達はこの街についてまだ解らんからな。案内するよ」

 

「うん!」

 

「期待、楽しみです」

 

 

そうして歩き出した千牙と八舞姉妹だが、途中電信柱にある貼り紙を見て、千牙は立ち止まる。

 

「天央祭……もうそんな季節か」

 

 

近日行われる“天央祭”とは天宮市に存在する高校、およそ十校で行われる合同文化祭だ。

 

今から30年前に起こった大規模の空間震の被害により人口が少なくなってしまった天宮市。そのため近隣の高校の生徒数が少なく過疎化していく状況に陥っていた。そこで高校同士が身を寄せ合い支え合うために開催した合同文化祭、それが天央祭だ。

 

千牙も昔、その天央祭を体験したことがある。人々が手を取り合い、支え合って作り上げる大きな祭は、当時の千牙に感動を与え、同時にこの人々を、この街を守ると改めて誓ったことを思い出す。

 

 

「私たちの高校も出し物やるんだけど、千牙も来て欲しいな」

 

「希望、きっと楽しい筈です」

 

 

二人の曇りない笑顔に千牙は自然と表情を綻ばせ

 

 

「ああ、何もなければ是非行かせてもらおう」

 

「絶対だよ」

 

「約諾、約束です」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

閑岱―― AM 12:13

 

 

草木多い繁る地に古めかしい木造の建物が、その中には男が座っている。入り口から、白いコートを来た青年が来ると

 

 

「尊士、お呼びですか?」

 

 

『尊士』と呼ばれた男性が険しい顔になり

 

 

「今直ぐ白の管轄の……冴島千牙を閑岱に呼んでくれ」

 

「わかりました」

 

 

頭を下げ建物を出ていき、尊士は険しい表情のまま窓に視線を移す。

 

 

「不穏だな……」

 




歓声上がる祭典、しかしそこには白き騎士は居らず。
誰もが楽しむはずの祭典に不穏な影が差し込む。
次回、『歌姫』。
あの嬢ちゃんも精霊か、これはこれは……
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