デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO-   作:深淵騎士

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第四話 精霊

 

フラクシナス・応接室―― PM4:42

 

 

「さーて、何であんなところに居たのか話してもらうわよ」

 

 

またこの光景か、と千牙は頭を抱えたくなるような状況にあった。琴里の側には令音が居り、千牙は彼女に何とかしてくれと視線を送るが。

 

 

『こればかりは無理』

 

 

そう言わんばかりに視線をずらした。琴里は彼への追求を止めない。

 

 

「今日こそは吐いて貰うわ」

 

「……」

 

 

ずいっと身を乗り出す琴里を無視し、ザルバにこの場を切り抜けられる策はないか訊ねる。

 

 

『ザルバ、どうする』

 

『千牙、諦めろ。前みたいに黙秘を貫いても構わないが、今回ばかりは上手くはいかないだろ。最悪話してしまってもいいんじゃないか?』

 

『……仕方がないか』

 

 

一度目を閉じ

 

 

「わかった……話そう。その代わりにそちらも話してもらおうか」

 

「何を?」

 

 

千牙は瞼を開き琴里を見る。

 

 

「あの剣の娘の事を」

 

「……いいわ、令音も構わないわよね」

 

 

確認を取るために令音の方を向くと彼女を縦に首を振る。

 

 

「あの娘は……精霊よ」

 

 

『精霊』異世界より出る生命体。絶大な力を保有し更に、その異世界より現れる時に空間揺らぎが起き、空間震が発生するとのこと。今回現れたのはプリンセスと呼ばれる個体で他にも精霊は存在する。琴里から精霊についての説明を受けた千牙の表情が強張る。

 

 

「奴の言っていたことは本当なのか……それで、お前達はその精霊とやらを専門にする組織、といったところか」

 

「そうよ、けど精霊を殺そうとするASTとは違う。私達は対話による平和的解決が目的なのよ」

 

「……なるほどな、大体お前達の事は理解できた」

 

「そ、なら良いわ」

 

 

キャンディー左右に振り、琴里は千牙に向ける。

 

 

「次はあんたの番よ」

 

「わかっている……その前に紹介しなければならない奴がいる」

 

 

そう言い左手を琴里に向けた。彼女は彼の指にはめられている指輪を見る。

 

 

「この悪趣味な指輪がどうしたの?」

 

「悪趣味とは失礼だな」

 

「へ?」

 

 

突然聞こえる声に琴里は混乱する。まさかとは思い悪趣味と毒づいた指輪に視線を戻すと

 

 

「よう、嬢ちゃん。会うのは二回目だな、俺様はザルバ、宜しくな」

 

 

ザルバはウィンクをすると琴里は驚きの色を隠せない。

 

 

「ゆ、指輪が喋ったぁ!?」

 

「想像通りの反応だな」

 

 

ケラケラと笑うザルバ。令音聴こえない声でクスリと笑っていた。

 

 

「何なのよ、こいつは!」

 

「魔導輪といってな、俺にとって相棒のような奴だ」

 

 

ザルバをまじまじと見始める琴里。

 

 

「魔導輪……聞いた事も無いわね……ま、まあこいつの事は置いておくわ」

 

「そうだな……お前が知りたいのは俺の方だろう、なら単刀直入に言わせてもらう、俺は魔戒騎士だ」

 

 

魔戒騎士という単語に首を傾げる琴里。千牙はため息を吐き

 

 

「魔戒騎士の説明をする前に、ホラーという存在を教えておく必要があるか……」

 

「ホラー?ホラー映画のホラー?」

 

「違う、闇のなかに潜む魔獣。人間の邪心、陰我が宿った物がゲートとなり魔界という場所から此方の世界へと出現して人間に憑依し活動する。目的は一つ、人間の血肉、魂を喰らう事だ」

 

「に、人間を食べる……」

 

 

グロテスクな想像をし琴里の表情はひきつる。

 

 

「成る程ね……そのホラーを専門にしてるのが魔戒騎士って訳ね」

 

「先程もホラーを追っていたら彼処に辿り着いた。それにどうやら今回の奴は人間ではなく精霊を狙っているらしい」

 

「それは本当なの?」

 

「ああ、逃がしてしまったがな」

 

 

椅子に腰をかけ直し琴里は黙り込む。

 

 

「……千牙、私達に協力しない?」

 

「協力だと?」

 

 

ええと頷き不適な笑みを浮かべる。

 

 

「明日彼女と私の愚兄がデートすることになっているの。もし最中にそのホラーに襲われたら厄介だわ。此方は二人のデートをバックアップするために監視をするつもり」

 

 

淡々と言葉を並べるが話の筋は見えてきた、千牙はふっと鼻で笑い

 

 

「俺が協力を引き受けたら、精霊の監視を共にさせてくれると言うわけか」

 

「物分かりが良いのは嫌いじゃないわ。そ、プリンセスの動向が解ればホラーがいつ現れても対処は出来る。悪くない話でしょ?」

 

「千牙、嬢ちゃんの言う通りだ、ここは協力したほうがいいと思うぜ?」

 

 

千牙は数秒考え決断を下す。

 

 

「……わかった、協力しよう」

 

「いい答えが聞けて安心したわ。それじゃ千牙、貴方には姫《プリンセス》を守る騎士《ナイト》になってもらうわよ」

 

「言い得て妙だな……それで、その精霊とデートする奴はどんな奴なんだ」

 

「あーそうね、一応顔合わせはしておいたほうがいいわね。令音、呼んできて頂戴」

 

「わかった」

 

 

令音は応接室を後にする。数分も経たない内に扉が開くと

 

 

「何だよ琴里……ってあなたは……」

 

 

やって来たのは二度、空間震の場所に居た少年だ。琴里はキャンディーを口にくわえて

 

 

「いい士道、彼が貴方とプリンセスのデートを守ってくれる魔戒騎士よ。因みにプリンセスをホラーっていう化け物が狙っているから気を付けたほうがいいと思うけど、まあ千牙が居るから大丈夫、貴方は何も気にせずプリンセスとのデートを完遂させなさい」

 

「まてまてまて!また訳のわからない単語並べられても困るって!少し待ってくれ!」

 

 

すると士道は千牙の側に寄る。

 

 

「えっと、この間は助かりました。きちんと礼が言えなくてモヤモヤしてた所で……あ、俺、五河士道って言います」

 

「冴島千牙だ、よろしく頼む」

 

 

千牙と士道は握手を交わす。ふと士道は彼の姓が気になった。

 

 

「冴島ってどこかで……」

 

「鈍いわね、彼はあの大手企業、冴島財閥のトップよ」

 

「ええ!!」

 

 

驚く士道を尻目にザルバが思わず声を出した。

 

 

「コロコロ表情が変わる坊主だこと……」

 

「ゆ、指輪が喋ったぁ!?」

 

「おいおい、兄妹揃って同じ反応か?やれやれだぜ」

 

「うっさい!……千牙、明日は頼むわよ」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

冴島邸・ダイニングルーム――― AM 4:29

 

 

千牙はフラクシナスから降りた後、ヘイフレイドを探して町を回ったが見つからなかった。日の出が近づいた為、一度家へと戻り食事を取ることにした。

 

 

「成る程デートを見守る、で御座いますか……」

 

「相手は人間じゃないがな」

 

「ましてや空間震の元凶だぞ?」

 

 

スープの飲みながら千牙はザルバの言葉に耳を傾ける。

 

 

「実際どうなんだ、千牙。そのプリンセスとやらは守るに値するのか?」

 

「……さあな、俺はよく解らん……だがホラーに襲われると解っていたら無視は出来んだろう」

 

「それもそうだがな……」

 

「俺達はただホラーを討伐することを考えればいい、今日少し忙しくなりそうだ」

 

 

 

 

 

 

フラクシナス・ブリッジ――― AM 10:30

 

 

 

所定の時間にキチンとフラクシナスに千牙は回収された。令音によってブリッジへと案内されると

 

 

「来たわね」

 

 

司令席に脚を組んで座る琴里、千牙はああとモニターを見る。

 

 

「……もう始まっているのか」

 

 

モニターの向こうには士道とプリンセスが、既にデートは始まっている。

 

 

「……ん?」

 

 

視線を感じる、どうやらフラクシナスのクルー達が千牙を見ているようだ。

 

 

「……何だ」

 

 

一睨みすると慌てて各自コンソールに向き直る。

 

 

「あんまりうちのクルー苛めないで頂戴」

 

「物珍しさでこちらを見るのが悪い……しかし」

 

 

千牙はモニターに視線を戻すと士道とプリンセスは屋台が並んでいる場所へと来ていた。ふと疑問に思う、彼はこの町の地理は詳しい管轄を担当するならば当然の事だ。だからこそ……

 

 

「あの地点にあんなのあったか?」

 

「私達が用意したのよ」

 

「……中々手の込んだ事をする」

 

 

やや呆れ口調で声を漏らす。

 

 

「……こうしてみると人間と変わらないんだな」

 

 

楽しそうな表情で店の食べ物を頬張るプリンセスの姿が何故か微笑ましく思えた。食べてばかりだが……

 

 

「そうよ、精霊としての力を使っていない時は人間となんら変わりない……だからこそ傷付け合うだけじゃない、解り合うことが大事なの」

 

「解り合う……か」

 

 

琴里の言葉が妙に心に響く。士道達は突然降りだした雨でゲームセンターへと駆けていった。

 

 

「……」

 

「……何故俺の顔を見ている」

 

 

令音が彼の顔を覗き込んでおり千牙は思わず言葉を投げ掛ける。

 

 

「いや、君は厳格な人物だと思っていたんだが……そういう穏やかな表情もするんだな」

 

「うるさい」

 

 

そんな顔をしていたか…と千牙は顎に手を添える。幾分か時間が経った、外は夕暮れ太陽が沈み始め茜色に空が染まる。

 

 

「ザルバ、奴の気配はするか」

 

「いや、まだだ」

 

「そうか……」

 

 

町を一望できる高台の公園、夕焼けをバックに士道、そしてプリンセスは向かい合っていた。

 

 

「いい感じね、もう一押しって所かしら」

 

「どうだかな……?」

 

 

すると士道が突然プリンセスを突き飛ばし、それと同時に一閃の筋が士道の脇腹を貫き風穴を空ける。力なく倒れ彼を中心に赤い液体が広がっていった……

 




あの嬢ちゃんを守るんだろ?
なら迷うことはない、お前の意思に従うんだな。
次回、『黄金』
悪しき陰我を断ち斬れるのはお前さんだけだ。
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