デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO-   作:深淵騎士

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第五話 黄金

フラクシナス・ブリッジ――― PM 5:10

 

 

「何が起こった!」

 

「ちっ、ASTね。士道はどうやらプリンセスを庇って撃たれたみたい」

 

「呑気に言ってる場合か、お前の兄が撃たれたんだぞ」

 

 

フラクシナスのクルーも狼狽えている。士道の側に居たプリンセスは何時か見たドレス姿へと変わっており、剣は以前よりも巨大な物へと変貌していた。そしてその剣を振るうと大地を抉り、木々は吹き飛んでいく。

 

 

「大丈夫よ、千牙。士道は蘇るわ、見なさい」

 

 

言われるがまま、士道の映っているモニターを見る。

 

 

「……っ!?」

 

 

彼は目を疑う、士道の空いた脇腹が燃え広がり彼の身体は撃たれる前の状態へと戻っていた。合点した、何故琴里がこんなにも冷静で居られるのか。

 

 

「ね?言ったでしょ」

 

「随分と特異な能力だ……それで、あのお姫様はどうする」

 

 

プリンセスは狂ったように剣を振るい斬撃を飛ばしている。

 

 

「手は打ってあるわ」

 

 

 

 

 

 

フラクシナス・後方ハッチ前――― PM 5:36

 

 

「あああああああ!!!!」

 

 

蘇って早々、士道はハッチから悲鳴を上げながら落ちていった。暴走しているプリンセスを止めるためには、士道が彼女と口づけをし力を封印する必要があるとのこと。

 

 

「何ともロマンチックな方々だ」

 

「あら、あんたにもそういう感性があるのね」

 

「バカにするな、お前さんよりはあるつもりだ」

 

 

皮肉げに琴里に返すザルバ。やるべき事は果たした、千牙と琴里はブリッジに戻ろうとしたが

 

 

「……千牙、ようやくお出ましだぜ」

 

「そうか」

 

 

奴が来た、ザルバと視線を合わせた後に千牙は方向をハッチへと変える。

 

 

「ちょっ!千牙!?」

 

 

 

 

 

 

天宮市・公園――― PM 5:40

 

 

 

封印は成功だ。落下した士道はプリンセス……十香に受け止められ、彼女と口づけした。二人は地面へと着き、身を寄せあっていた。十香の力を封印した際何故か服まで消えてしまったので彼女は裸、こうしているしかないようだ。十香は士道を見つめ

 

 

「シドー」

 

「?」

 

「また……デェトに連れていってくれるか?」

 

 

今にも消えそうな声の十香、士道は笑い頷く。

 

 

「ああ!何時だって連れてってやる!」

 

 

その言葉に十香満面の笑みで答える。自分にしか出来ないこと、一人の少女を救うこと、彼はそれを完遂した。全ては終わった……かに思えた。

 

 

「すまないなぁ……いい雰囲気なのにさぁ……」

 

「「!?」」

 

 

声が発した方にはいつの間にか男が立っている。

 

 

「シドー、こいつから嫌な気配がする……」

 

「えっ?」

 

「……小僧、その娘を寄越せ。そいつは空間震の元凶、消さねばならない」

 

 

男の言葉に士道は怒りの感情が込み上げる。

 

 

「ふざけるな!十香は向こうへは帰らない、もう十香は空間震を起こすことはない!それでも十香を消そうっていうんなら俺が……俺が十香を守る!!」

 

「シ、シドー……」

 

「下らない、無理矢理にでも……」

 

 

火球が男の手のひらに発生すると士道達にゆっくりと迫る。士道は十香を守るように背後に立たせ、男を睨む。男の手から火球が放たれそうになる、その瞬間

 

 

「いい覚悟だ。その覚悟、忘れるな」

 

 

空から千牙が男目掛け踵落としを叩き込み、声を上げさせる間もなく男の頭は地面にめり込んだ。

 

 

「お、お前はあの時の!」

 

 

十香が千牙に指を指すが

 

 

「大丈夫だよ十香、千牙さんは俺たちの味方だ」

 

「そうなのか……?」

 

 

不審がる十香だが士道の表情で察する、彼は敵ではないと。

 

 

「士道、こいつがホラーだ。フラクシナスに移動しろ」

 

「は、はい!十香、ちょっと我慢してくれ」

 

「シドー、一体何を―――」

 

 

声が途切れフラクシナスに無事二人は回収されたのだろう。ヘイフレイドは頭は勢いよく上げ

 

 

「貴様……邪魔しやがってぇ……!!」

 

 

千牙に向かって走り右拳で殴り付けようとするが、顔を傾けて交わし脇腹に手刀を叩き込む。短く声を上げ怯むが、尚も攻撃を加えようとヘイフレイドは掴み掛かる。

 

 

「ふっ、せいっ!!」

 

 

右脚で腹、顔面に蹴りを入れ、地に着いた右脚を基点に身体を捻り

 

 

「でえぇりゃあっ!!」

 

 

勢いを一切殺さず左脚の蹴りが喉元に直撃し飛ばす。

 

 

「ぐ、おおお……魔戒騎士……おのれぇ!」

 

 

両手に火球を作り出し

 

 

「死ねぇ!!」

 

 

迫るは増悪の焔、千牙は横向きにしながらジャンプ、更に身体を捻ると焔は通りすぎていく。そして着地と同時に弾丸の如くヘイフレイドへと肉薄し

 

 

「うおぉぉっ!!」

 

 

千牙から打ち込まれた蹴りが再び顔面へと決まると、地面を滑るようにヘイフレイドは転がっていく。フラフラと立ち上がり怒りに満ちた表情で千牙にその増悪を向ける。

 

 

「殺す……貴様は殺すぅ!!!!」

 

 

両腕を振り払うとヘイフレイドの身体は紅蓮の炎で燃え盛り、皮膚を焼いていく。皮膚が焼け落ちるとそのしたにあったのはおぞましい姿、顔はガスマスクと骸骨が合わさったかのような醜悪な外観、身体は焦げ付いたように黒く背中には二対の金属のような突起が飛び出していた。

 

 

「これが奴の本当の姿か……」

 

「キシィィィィィ!!」

 

 

砲台のように変貌した腕を千牙に向けると凄まじい程の炎が彼を襲った。

 

 

 

 

 

 

フラクシナス・ブリッジ――― PM 5:58

 

 

「琴里!」

 

 

ブリッジへ来た士道は琴里を見ると彼女は強張った表情でモニターを見ていた。彼も同じ方を向くと

 

 

「これが……ホラー」

 

「な、何だよ……あれ……」

 

 

明らかに人間の姿ではない、化け物といった方が納得いく。ヘイフレイドは腕から炎を放出すると千牙は辛くもそれを回避する。

 

 

「どうするんだよ、このままじゃ千牙さんがあの化け物に!」

 

「静かにしてなさい、士道。黙って見てるのよ、あれだけ大口叩けるんですもの、魔戒騎士ってのがどれ程の物なのか見せて貰おうじゃない……」

 

 

 

 

 

 

天宮市・公園――― PM 5:58

 

 

本来の姿を現したヘイフレイド。千牙は魔戒剣を取り出しつつ炎を交わし、標的を視界に捉える。

 

 

「ヘイフレイドは憑依した人間の憎しみが強いほど、放つ炎の威力が変わる。ここまでの物とは、憑依された奴は相当な憎しみを持っていたんだろうぜ」

 

「……憎しみだけでは俺は倒せん」

 

 

鞘を抜き

 

 

「増悪に染まりし貴様の陰我、俺が断ち斬る!!」

 

 

魔戒剣を天へと翳し円を描くと、軌道に沿った時空の裂け目が出来光が漏れる。そして剣を降り下ろし円は割れ光が千牙を包んだ。

 

光が晴れると白いコートを着た千牙は居ない、代わりに居るのは眩い金色の鎧、牙を剥いた狼を思わせる風貌に美しい紫水の瞳。ヘイフレイドはその姿に後ずさる。

 

 

「ナタサ……シタナバ……!」

 

「そうだ、この男はお前が嫌いな魔戒騎士……『黄金騎士・牙狼』だ!」

 

「ギィイイイイイイ!!!!」

 

 

声を上げ両腕から炎を打ち出す。

 

 

「無駄だ」

 

 

灼熱とも言える炎が当たっているにも関わらず、彼は平然と歩む。ヘイフレイドは更に打ち続けるが彼は眼前に迫り

 

 

「はあっ!!」

 

「ギィッ!!」

 

 

ヘイフレイドの顎を蹴り上げ上空へと飛ばす。手に持った黄金の剣『牙狼剣』を構え跳躍し

 

 

「ウオオオオォォォォ!!!!」

 

 

胴体へ刃を押し当て力の限り斬り裂く。

 

 

「ガァァァアアアア!!!!」

 

 

断末魔を上げヘイフレイドは両断され爆散する。千牙は地に足を着け、足元を見ると歪んだペンダントが落ちていた。

 

 

「恐らくこれがヘイフレイドが現れたゲートだな、ホラーになったあとも未だ持ってるとは」

 

「余程大切な物なのだろう……」

 

 

ペンダントは四散し光の粒となり空へと昇る。千牙はそれを目で追いふと美しい夕陽が視界へと入る。同時に彼の纏う黄金の鎧を染めていた。

 

 




ようやく一段落だ、これで少しは楽が出来るな。
何?また精霊?
次回、『泣天』
お人好しにも程があるぜ?
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