デート・ア・ライブ-GOLD KIGHT GARO-   作:深淵騎士

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今回は少しドロッとした表現を含みます。ご了承ください。


第七話 使命

冴島邸・玄関――― PM 9:05

 

 

 

「お帰りなさいませ、千牙様」

 

 

千牙の帰宅にゴンザが出迎えてくれる。

 

 

「ただいま、四糸乃はどうしてる?」

 

「ぐっすりとお休みになられています」

 

「そうか……俺は部屋に戻る」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

冴島邸・千牙自室――― PM 9:07

 

 

 

部屋に戻るや否やコートを掛け、ザルバをテーブルにある台座に置くと椅子に深々と腰を掛ける。

 

 

「……」

 

「どうした、また難しい顔してるぜ?」

 

「考え事だ、二つほどな」

 

「?」

 

 

勿体振ってないで言えとザルバの表情から察し

 

 

「まず一つ、時崎狂三という娘についてだ」

 

「ああ、あの物騒な嬢ちゃんの事か」

 

「近々俺を喰らうと言っていた、また襲いに来るだろう」

 

「その時はどうするんだ?」

 

 

ぎっと椅子を鳴らし、腕を組む。

 

 

「……俺とて喰われるわけにはいかん、抵抗はするさ」

 

「ふむ……で、二つ目は?」

 

「この街についてだ。少し前にコカグローグが出現し、更に直ぐにヘイフレイドが現れた。コカグローグを討伐した後のエレメントの浄化は怠っていなかった筈……陰我の溜まり方が異常ではないかと思ってな」

 

「確かに妙だがたまたまって可能性もあるぜ?」

 

「だと良いのだがな、何にせよ気を引き締め直さんといかんな」

 

 

横目で窓の外を見ると月が雲に隠れ、漏れだした月光が彼を照らしている。

 

 

 

 

 

 

天宮市・来禅高校教室――― AM 10:30

 

 

 

「はぁ……」

 

 

この俺、五河士道は盛大にため息を吐いてしまう。ため息を吐いたら幸せが~なんてよく言うけど、吐かずにはいられない。何故なら……

 

 

「どうしたのだ、シドー?」

 

 

ちらりのそちらを向いたら、視線に気づいたのか笑顔で反応する女の子……そう、十香だ。十香が学校に転校という形で入ったまではよかった。まさか……家に住むことになったなんて思いにもよらなかった。

 

お陰で昨日はトイレットペーパー投げつけられるわ、風呂で溺れかけるわで大変だった……いやまあ、殆ど俺の行動が空回りしてるのがあれなんだが……

 

 

「……なんでもないよ、ちょっとトイレいってくる」

 

「おう!」

 

 

元気良いな、十香は……俺は席を立ち教室を出ていく。歩きながらに昨日の事を少しだけ思い出す。

 

俺はこの前、十香の力を封印しこれで終わりだと勘違いしていた……精霊は他にもいるって琴里から言われて言葉を失ったしまった自分がいる。正直、俺が何処までやれるかわからない……けど……!

 

 

「辛気臭い顔してるな、五河」

 

「……佑都」

 

 

へらっとした笑い声で肩を叩いてきた男子生徒。こいつは暮下 佑都、中学からの友達で別のクラスだが今も仲良くしている。

 

 

「何だ?具合でも悪いのか?」

 

「別に、大丈夫だって」

 

「なら良いんだけどなーそうだ!お前、あの折紙だけじゃなくて夜刀神って女子と仲良いんだってな」

 

 

羨ましいと唸る佑都。なんか女たらしって聞こえた気もするけど、やっぱそういう風に見られてるんだな、今の俺って……

 

 

「まあ俺も今日告白するんだけどなっ!」

 

「え!?誰に!?」

 

「誰にも言うなよ~……一組の高梨だ」

 

 

俺にしか聞こえない声で言う。高梨とは男子からも人気で成績もスポーツも出来る万能少女だ。結構競争率高いんじゃないかと思うんだが……

 

 

「この間デートもしたんだよ」

 

「へ~」

 

「今日放課後さ、プレゼントも渡そうって決めてる」

 

「本格的だな、実ると良いな、その恋」

 

「おーまーえー折紙と夜刀神が居るから余裕ってか!このたらし!」

 

「たらし違うわ!」

 

 

佑都からの言葉に思わず反応してしまうが、佑都は直ぐににへらっと笑顔になり

 

 

「まあお前にも春が来てるんだ、無駄にはするなよ」

 

「余計なお世話だっての」

 

「へへ、それじゃなー」

 

「ああ」

 

 

またポンと肩を叩かれ、佑都は小走りで通りすぎていった。そっかぁ、あいつ告白するのか……本当に実れば良いな。

 

 

「……」

 

 

ふと窓の外を眺める。何気ない光景、校門の方に視線が移すと気のせいか白いコートを着た人が通りかかったような気がした。

 

 

 

 

 

 

冴島邸・客室――― AM 11:03

 

 

 

「~♪」

 

 

鼻歌を交えながら、手箒で置物を掃除するゴンザ。千牙がエレメントの浄化に出てる間、こうして冴島邸の掃除をするのが彼の仕事である。

 

嫌々やっているわけではない、彼は騎士でもなく魔戒法師でもない。だからこそ主である千牙のために何が出来るか、それは彼の帰るべき場所を保ち笑顔で迎えられるようにする。ゴンザはそれが自分の役目だと信じ、炊事洗濯掃除をこなしているのだ。

 

 

 

「ゴンザ……さん」

 

「?」

 

 

四糸乃が彼の服ちょっぴりだけ引っ張る。ゴンザは腰を曲げ四糸乃の目線に合わせ

 

 

「どうかなさいましたか?」

 

「あの……千牙さんって……どういう人なんですか?」

 

 

尋ねたのは千牙の事だ、自分の大切な者を必ず探して見せると言った彼。四糸乃はどんな人物なのか知りたくなったのだ。

 

 

「そうですね……とても実直で、とてもお優しい方で御座いますよ。だからこそ四糸乃様を放って置けなかったのでしょう」

 

「……」

 

 

笑顔で言うゴンザ。彼は千牙の事を心から信頼しているのだろう。すると玄関の呼び鐘が邸内に鳴り響く。

 

 

「おや、御客様のようですね。申し訳ありません、失礼します」

 

 

軽く礼をし、ゴンザは玄関へと向かう。

 

 

「お待たせしました」

 

 

扉を開けると黒髪を両肩から下に垂らして結んでいる少女がうっすら笑みを浮かべてたっていた。

 

 

「冴島千牙さんはいらっしゃいますか?」

 

「千牙様は今外出しております。失礼ですが貴女は?」

 

「私、千牙さんの知り合いの……」

 

 

少女は妖艶な笑みへと表情を変える。

 

 

 

 

 

 

天宮市・来禅高校廊下――― PM 4:06

 

 

 

時刻は4時、日も少しづつ沈み校舎を茜色が染め上げる。そんな来禅高校の廊下は陽気にステップをする五河士道の友人、暮下 佑都。

 

 

「さーてあとは高梨を呼んで……」

 

 

曲がり角を通ろうとしたが何やらコソコソとした女子の声が聞こえて彼は立ち止まる。

 

 

「えー本当に?」

 

「そうそう」

 

 

声から察するに二人、片方は彼にとって聞き馴染みのある。佑都が告白しようとしている相手、高梨だ。

 

佑都は静かにかつ耳をすます。

 

 

「暮下とデートってあんた……二組の沢渡ともこの間してたじゃん」

 

「!?」

 

「もう沢渡は振ったって、今は暮下に付き合ってあげてるの。けど面白いよ、一回デートしてあげただけなのにあいつすっごく私に夢中なんだから」

 

「あんた遊びグセあるよね」

 

 

彼女は何を言っているのだろう。耳を疑うような言葉が次から次へと彼女の口から放たれる。

 

 

「別に沢渡も暮下もどうも思ってないって。面白いから遊んであげてるだけ――」

 

 

彼は歯を食い縛り、その場を逃げ出した。信じられない、彼女は自分の事をそう思っていたなんて。俺と一緒に居た時間は遊びだった。突きつけられた現実に胸の内から黒い感情が込み上げてくる。

 

 

 

「……くそ」

 

 

誰もいない自分のクラスの教室へと駆け込むと佑都は涙を流し、ポケットから可愛らしく包装された小さな袋を取り出す。頑張ってバイトをして金をため、彼女の為にプレゼントを用意した。だが今はこんなものはただのゴミだ。

 

自分の机へと行き中からカッターナイフを出し、刃を露出させる。それを見ると思い出す、過去に行った自分の罪を。

 

 

「小学の時もそうだったな……好きな子できて、けどボロクソに拒否られてカッターナイフ刺して……あいつも同じように……」

 

 

殺意、彼にあるのはただそれだけ。彼は彼女に対しての感情は本気だった。ようやく本気で一人の女子に恋をし、それが実るかもしれなかった。だが彼女は……考えれば考えるほど込み上げてくる感情。そんな彼に―――

 

 

「え――?」

 

 

腕を掴まれ振り返えさせられた。

 

 

「ひっ!!」

 

 

視界に入るのはおぞましい姿の化け物――

 

 

「うわああああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「何か聞こえなかった?」

 

「気のせいじゃない?ん?」

 

 

携帯に通知が来ていた。送り主は佑都、今すぐ教室に来てほしいとの事。

 

 

「噂をすれば、暮下から」

 

「なんて?」

 

「今すぐ教室に来てくれーだって、仕方ないから行ってくるね」

 

「それじゃ先帰ってるね」

 

「うん、バイバイ」

 

 

友達と別れて高梨は彼が待つ教室に向かう。

 

 

「ゴメン、待った?」

 

 

教室に佑都が居るのを確認すると作った笑顔で彼の前に姿を現す。

 

 

「……暮下君」

 

 

返事は無い、不思議に感じだ高梨は彼に近づくと急に振り返り両腕を掴む。

 

 

「いたっ!何するの!?」

 

「……」

 

 

またもや無言、いよいよ腹が立ってきた高梨は彼の腕を振りほどこうとしたが、あまりの力にそれは叶わない。

 

 

「なあ……高梨」

 

「な、何……?」

 

「俺の事好きか?」

 

「う、うん……好きよ?」

 

 

何だ、そんなことか。そう思った矢先、佑都の瞳が濁り不気味に笑んだ。

 

 

「俺もだ、食いたいほどにな」

 

「ッ!?いやああっ!!!!」

 

 

口が異常なほど開くと、そのまま頭を食い千切られた。それだけでは収まらない、高梨であった『モノ』を飢えた獣のように貪り食らっていき跡形も無くなる。

 

 

「はあ……美味かったよ、高梨」

 

 

愉悦に浸る佑都。口や服は血で濡れ猟奇的な光景を見せる。すると教室に思いもよらぬ客が。

 

 

「佑都……何やってんだ?」

 

「あ?……ああ、五河か」

 

 

忘れ物を取りに戻り、悲鳴を聞き付けてやって来た士道。士道は佑都の姿を見て震える。

 

 

「お前、今……」

 

「どうした、五河?何でそんな震えてる?」

 

「……うぷっ」

 

 

先程の光景を望まなくても見てしまった士道は、思い出し吐き気を催す。佑都はフラフラと彼へと近づいていく。

 

 

「そういえばお前、良い匂いがするな……お前も美味そうだな……」

 

「やめてくれ……佑都、お前どうしちまったんだよ!」

 

「どうもしてないよ、俺はただ自分のやりたいことをしてるだけだぁ!」

 

 

士道へと迫る佑都、そんな時白い影が士道の前に立ち塞がり

 

 

「そこまでだ」

 

「ちっ!」

 

 

佑都は離れ、乱入してきた者を視界に捉える。

 

 

「無事か?」

 

「え……千牙、さん」

 

 

魔戒騎士、冴島千牙が彼の前に立っていた。

 

 

「残念だが千牙、一人既に喰われたみたいだぜ」

 

「……」

 

 

佑都の足元に散らばる衣服と携帯。千牙は間に合わなかった事から表情を強張らせる。

 

 

「千牙さん、佑都は一体……」

 

「奴はホラーに憑依された」

 

 

魔戒剣をコートの内より取り出し抜刀、構えて刃先を佑都に向ける。

 

 

「魔戒騎士がぁ!」

 

「であぁっ!!」

 

 

こちらに向かって突っ込んでくるが、千牙は佑都の顔を蹴り飛ばす。

 

 

「がっぁあ!!」

 

 

並べられた机を散乱させ佑都は横たわる。

 

 

「どうやら小物のホラーのようだ大した奴じゃない、早くケリをつけようぜ」

 

「わかっている」

 

 

千牙は佑都の近くにより、胴を脚で押さえつけ魔戒剣を降り下ろそうとしたが

 

 

「止めてください!」

 

 

士道の声に寸前の所で止まった。

 

 

「そいつは……佑都は俺の友達で―――」

 

「こいつの魂はもう死んでいる」

 

「……え?」

 

 

顔だけを少し士道に向け

 

 

「ホラーに憑依された人間の魂は死ぬ……詰まり、憑依された時点でこの男はお前の友人ではない、人間を喰らう化け物だ。それにホラーになった人間は絶対に元の人間には戻りはしない」

 

 

そう良い放ち、佑都の首を切り裂いた。

 

 

「おの……れぇ……!」

 

 

殺意の篭った言葉と共に佑都の身体は四散してしまった。士道は膝を床に付け言葉を失う。

 

 

「……」

 

 

何も語らず千牙は魔戒剣を仕舞い教室を出ていこうとするが

 

 

「……千牙さん」

 

 

呼び止められ脚を止める。

 

 

「貴方は何時もこうしてホラーを斬ってるんですか?」

 

「……ああ」

 

「もし、貴方の親しい人がホラーになっても同じように斬るんですか!」

 

「当然だ」

 

「!?」

 

「ホラーになった者は誰であろうが斬る、それが魔戒騎士……俺の使命だ」

 

 

そう言い残し千牙は教室を出ていく。一人になった士道は言い様のない感覚に胸を締め付けられていた。

 

 

 

 

冴島邸・玄関――― PM 6:29

 

 

 

「戻ったぞ」

 

 

家に着き奥からゴンザが慌てて出迎える。

 

 

「お帰りなさいませ、千牙様」

 

「ただいま……どうした?浮かない顔だが……」

 

「実は御客様が数時間前からお越しになっておりまして、千牙様がお戻りになるのは遅いと言ったのですが、それでも待つと言われまして……」

 

「変わった客だ」

 

「とりあえず客室に待たせて居るのですが……」

 

「わかった」

 

 

ゴンザの言われる通り客室へ脚を運ぶ。

 

 

「千牙、嫌な予感がするぜ」

 

「嫌な予感?」

 

 

何の事かわからないが、千牙は客室前に着き扉を開く。

 

 

「あら、ようやく来ましたわね」

 

「ッ……お前は」

 

「今晩は、千牙さん♪」

 

 

客室に居た少女を見て千牙の表情が変わる。

 

 

「何で此処に居る、時崎狂三……!」

 




痛みってのは与えられてその辛さを知るもんだ。
知ってるからこそ、相手にも与えたくない、与えられたくない。
あの嬢ちゃんはそれをよく理解してるみたいだな。
次回、『氷獣』
また厄介事になりそうだ。
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