fallout外伝 過ちの、過ちに   作:ろんりーすとーん

2 / 2
1:pawns

兵役に就いて学んだ教訓。幾つかあるそれらの教訓は、俺の頭の中でたった一言に集約された。

 

人は、過ちを繰り返す。

 

 

 

アメリカ合衆国正規軍 第八機械化師団 第四大隊第一中隊 特別強襲戦隊。

それが俺の所属してきた部隊。俺の踊った舞台。

アンカレッジでの戦い。共産主義圏の軍からあの場所を奪還する戦いにおいて、俺は名も無き孤児として銃をとっていた。

巻き込まれただけ、偶然か必然か、ミサイルランチャーの至近弾を受けて父母の家族が死に、迫り来る戦火の猛威を生き抜く為に15歳の少年は撃鉄を起こす事となる。

共産主義でも資本主義でも、撃ってきそうな奴はとにかく殺した。現地調達・現地改造の銃剣付きライフルは大いに殺してくれた。4人5人の話では無い。少なく見積もっても10人は殺めた筈だ。

そこで戦うち、傷ついたパワーアーマーを拾った。

中にいた兵士の遺言。

中隊指揮官への連絡と、愛する家族への、最期の言葉だった。

息を引き取った男を埋葬し、男の遺品たるパワーアーマーを纏った俺は戦場の端っこから躍り出た。目指すは前線基地。男の遺言とパワーアーマーを携えてレーザーライフルを撃ちまくった。

今度は共産主義っぽい奴だけ撃った。

 

「伝令!」

 

そう言って基地司令室に駆け込んだ時、パワーアーマーはもうボロボロで、男の言葉を伝えるや否やさっさとドッグ入りになった。

そこでとある小隊長に志願兵の形をとって戦地徴兵され、代わりに相応の待遇を約束してもらった。

それからは激戦だった。

修理したパワーアーマーを赤と黒に塗り、コンドルの紋章で胸部を飾ると休む暇もなく駆り出された。

 

アンカレッジは合衆国の大勝に終わった。

多数導入されたパワーアーマーは絶大な戦果を挙げ、多くの勝利をもたらした。

俺は正規兵になり、パワーアーマー兵の先駆者として准尉に昇格。この時すでに50人以上を手にかけていたと、そう記憶している。

 

そうしてその後の数年間、合衆国の鉄の死神と呼ばれ続ける事になる。

 

赤と黒の鉄器兵。

死を振りまく伝説の猟犬、と。

 

 

 

 

 

 

「……鉄の……死神…」

 

呟いた女に鎮静剤を注射すると、女はみるみる瞳孔を緩めて、見開いた目を閉じた。

ハウンド5が女を回収し、降下してくるベルチバードに飛び乗る。

 

「うわあ!……ととっ、ハウンド2!本ベルチバードは飛び乗り禁止だこの野郎!!」

 

「すまん」

 

「すまん、じゃねえ!俺のベルチバードがへこんだらどうしてくれる!?第一戦闘ヘリにパワーアーマーで飛び乗り搭乗する奴があるか!」

 

戦闘ヘリの操縦を務める男が怒鳴る。長い付き合いだが、未だに名前を覚える気になれ無いのは何故だろうか。

俺がヘルメットを取りミニガンを構えたところで、雪を掻き分けてハウンド5が乗り込んできた。両腕で女を抱え、先に女を乗せてから自分も、という七面倒な事をやっている。

 

「コイツはそういう人間です。そんな事よりも、こんな寒い中薄着の女性をヘリに乗せるのはどうかと。せめて急ぎましょう」

 

紳士か。

顔に比例して紳士度も増す、それがイギリス系アメリカンらしい。

 

「はいよー。離陸するぞ!ハウンド2!敵が来たらちゃーんとソレでミンチにしとけよ?間違っても俺のベルチに傷なんかつけやがたら」

「いいから早く上がれ、パワーアーマー着てても寒みぃよ」

 

他愛無い会話をしながら、今日も漆黒の鳥が夜空に舞い上がった。

その時だ、ハウンド5の声が背中越しに聞こえてくる。

その様子は緊迫しており、とてもいつものコイツとは思えなかったのを、よく覚えている。

 

「ニューヨークとペンシルバニアで……核爆発……?!司令!それは一体!司令!!」

 

 

 

 

嗚呼、何故だろうか。

 

 

人よ何故、過ちを、繰り返すのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。