ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか Two Rabbits 作:朝灯
朝灯というものです。
新しいの書くぐらいなら他の小説の続き書けよ!と思った方は正解です!
迷宮都市オラリオ。冒険者ならば誰もが一度は聞いたことがある名前だろう。
その地下に広がるダンジョンにはモンスターが生み出され、俺たち冒険者は日夜戦いに身を投げ入れる。
ある者は地位や名誉を求め、ある者は単純に強さを求め、またある者はスリルを求めてダンジョンへと足を運ぶ。
そんな俺もある願いを持ってダンジョンへ潜る冒険者だ。
父と母から聞かされた出会いの物語。
お互いの背中を任せられるようなパートナーを見つけて、守り合う。
そんな関係に憧れて、俺はそんなパートナーを見つけるべくオラリオにやってきた。
紆余曲折の末、ダンジョンに潜る為に必要な物を装備を揃えて、何とかファミリアに所属することが出来た。
この世界ではファミリアとは冒険者にとって必要不可欠なもの。
すなわち神との契約によって恩恵を得て、様々な経験を得て成長をして初めて冒険者として認められることになる。
恩恵によって与えられた力は冒険者の身体能力などに比例し、どんどん強くなっていくというわけだ。
主神の恩恵を与えられていない状態でダンジョンに足を踏み入れてしまうと、恐らくは生存などを許してはもらえないだろう。
なので、人知を越えるモンスターには人知を越える力を持って対抗するしかない。
ファミリアに所属する者は戦いを経て、どんどん強くなれる。
だから俺も仲間と一緒にダンジョンに潜っていたのだが......
「お~い!!ベル~!!どこだ~!?」
見事にはぐれた。
ベル......ベル・クラネルは俺と同じファミリアに所属している人種がヒューマンの男だ。
髪は白、目は深紅と何とも兎を思わせる容姿をしている。
一応俺と同じく駆け出しの冒険者。
つい先ほどまで一緒にいたのに、後ろを振り向けば姿が掻き消えていた。
「...これ、やばくね?」
いくら神の恩恵を受けている冒険者でも最初から強いわけではない。
技術面では優れていても、どうしようもないものだってある。
恩恵を受けた冒険者にはパラメーターというものが与えられる。
戦えば戦うほど、
具体的なパラメーターは基本アビリティ、発展アビリティ、魔法、スキル、そして自身のランクを示すレベルに分かれている。
基本アビリティとは力、敏捷、耐久、器用、魔力からなる、いわば冒険者の基礎能力だ。
一般的にはI~S、0~999の数字と等級によって示される。
発展アビリティとは......何て説明すればいいのか、まあ特性だ。
これはLvが上がるごとに発現するみたいだが、駆け出し冒険者でLv:1の俺にはよく分からん。
次に魔法。これは字に書いて如く、読んでもそのままだ。
圧倒的な力、超常現象的な力だ。
スキルは固有能力らしい。
特殊な効果を持つものをレアスキルって言うみたいだ。
Lvとはランク。
これも強さに関係していて、例えばLv:1で全ステイタスがオールIだとして、同じようにLv:2のステイタスがオールIだったとして勝つのは単純にLvが高い者、といったような感じだ。
つまり、Lv:1の魔法も発現していない駆け出しの冒険者がソロでモンスターに囲まれたらやばい、というわけだ。
今がその状況。
背中を冷や汗が伝う。
幸いモンスターは現れてはいないものの、今俺がいるのは第4階層。
ぶっちゃけ冒険者を始めてまだ半月の冒険者が来ていい場所ではない。
本来ならば、もっと浅い階層で経験を積み、成長してから下を目指さないといけないのだが、俺とベルは2人なら大丈夫だろうという何とも浅はかな考えでダンジョンの深くを目指してしまったのだ。
地上に戻るべきなのだろうが、はぐれたままのベルをおいては行けない。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
「今の......ベル!?」
モンスターの出現を警戒していた所に聞こえたきたのは仲間の叫び声。
しかも、この遠さ......あいつもしかして5階層に降りたのか!?
俺は急いで階層を下りるための階段へと向かう。......が
『グォッ!』
「こんな時にゴブリンかよ!!」
もう少しでにたどり着きそうだった所に、緑色のモンスターが壁から這い出してきた。
比喩ではなく、本当にモンスターはダンジョンから生まれる。
天井や床、壁からも生まれ落ちるのだ。
俺は自身の武器である、短刀を逆手に持ち、醜い面の怪物と対峙する。
数は一匹だし、これぐらいなら俺1人でやれる......はず!
『シャッ!』
「っ!」
短い叫びとと共にゴブリンが飛びかかってくるが、さすがにそんな直線的な動きには当たらない。
落ち着いて横に回避し、傍を通過する瞬間に短刀で切りつける。
『ギャッ!』
「ふっ!!」
着地し、怯んでいるところに拙い回し蹴りを繰り出し、モンスターを吹き飛ばす。
壁に叩きつけられて弱っているところを狙い、短刀を振り下ろす。
「ふぅ......何とかなった」
頭から血を噴き出して、ピクリともしなくなったゴブリンを見下ろして、俺は呟く。
そのまま魔石回収に移ろうとした時に、先ほど聞こえたベルの叫び声を思い出し、ピタリと手が止まる。
「やべえ!急がないと!」
俺は魔石を回収することも無く、急いで階段を下る。
「ベルッ!!どこだ!?」
5階層に下った俺は、モンスターが寄ってくるかもしれないというのに大声を張り上げる。
『ヴモォォォォォォォォォォォォッ――!?』
「っ!?」
断末魔が響き渡り、ズズゥンという衝撃がダンジョンを揺らす。
ビクッとしていた体に喝を入れ、断末魔が聞こえた方向に急ぐ。
「あの......大丈夫、ですか?」
そこには、尻餅をついて呆然としている血まみれの人物と血が滴るサーベルを持っている青い軽装に身を包んだ金髪の少女が立っていた。
...あれって確か......【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン!?
冒険者の中でもトップクラスの剣の使い手。
その見目麗しい容姿からファンも多かったはずだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
呆然としていたその血まみれの人物が俺の方へと走ってくる。
赤すぎて分からなかったが、声で誰か分かった。
「おいっ!?ベル!?」
彼こそが俺が探していた人物、ベル・クラネルだった。
しかし、パニック状態の少年は俺に気がつくことは無く、そのまま駆け抜けていった。
そんな少年の背中を追う為に、俺はくるりと踵を返す......前にこちらを見ている金髪金眼の剣士に一礼して、走り出した。
帰り道にはモンスターは湧かず、速度を落とさずにダンジョンを駆け抜けて出口に辿り着く。
そのまま街中を走っている血まみれの少年とそれを追う少年の図が出来上がった。
走っていく方向からするに多分ベルはギルドへと向かっているのだろう。
ダンジョンを運営管理しているのがギルド。
冒険者はダンジョンに潜る際、このギルドに登録を行わなければならない。
ここでは魔石の換金なども行われている。
モンスターを倒せば、その体内から魔石という結晶を取り出すことが出来る。
大きさによって値段は変わり、腕の立つ冒険者なら1日にかなり稼ぐことが出来るというわけだ。
「エイナさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
「あっ、ベルく.......きゃあああああああああああ!?」
血まみれの少年はそのまま自らの担当アドバイザー、エイナ・チュールさんに向かって声を張り上げながら叫ぶ。
当然、エイナさんは悲鳴を上げる。
「アイズ・ヴァレンシュタインさんの情報を教えてくださぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
「その前に!!!シャワーを浴びろ!!!」
俺はベルに負けない大声を出しつつ、ベルの襟元を掴む。
「うわっ!そうだった!......ってシキ!?いつの間にいたの!?」
「お前がヴァレンシュタインさんに助けてもらった時からだよ!いいからシャワー浴びてこい!!」
本来なら白い髪のはずの少年を送り出しつつ、俺はため息を吐く。
「...それで?どういうことか説明してくれるよね?シキ君」
「...俺も詳しいことは分からないんで......とりあえずベルが帰ってくるのを待ちませんか?」
ニコリと微笑むエイナさんに俺は再び冷や汗を流すことになった。
Continue to next time――
はい、どうだったでしょうか?
初回ということで戦闘シーンも少なめで何とかやれたと思います。
キャラ紹介
シキ・アスティリア
職業:冒険者 性別:男 人種:ヒューマン ステイタスLv:1
武器:《ギルド支給 初心者用短刀》二つ名無し
所属:【ヘスティア・ファミリア】
本作の主人公。年齢は15歳。
父と母の出会いの話を聞き、自身もそんな出会いをしてみたいと思い、半月前にオラリオへとやってきた。
しかし、弱い自分などを入れてくれるファミリアが見つからずにとうとう資金も底をついて空腹で倒れていたところを偶々通りかかったベルに救われる形でヘスティアファミリアに所属することになる。
見た目は黒髪に黒眼と一般的だが、中性的な容姿のため、彼も周りから兎のようだと言われている。
身長はベルより少し高い。
こんな感じです。
次回もよろしくお願いします。