魔法少女リリカルなのは Vivid Dream Fighters 作:ライジングスカイ
シャンテの全力の攻撃から何とか逃れるヴィヴィオ
「双輪剣舞!」
二本の剣を交えるように斬りかかるシャンテ
射程外に何とか逃れたヴィヴィオだったが
「ベルガント・カノーネ!」
シャンテの追撃をよけきれずまともに食らってしまう
だがヴィヴィオは攻撃を受けてもひるまずシャンテに殴りかかる
ヴィヴィオのこぶしを何とか受け止めるシャンテだったがヴィヴィオはその状態のまま蹴りを放ちシャンテを蹴り上げた
「ディバインバスター!」
そのまま追撃するヴィヴィオだったがシャンテは自らの剣を盾代わりにそれを防いで見せた
だがそれでもひるまず攻めるヴィヴィオ
空中のシャンテにジャンプして近づき蹴りを決める
「ソニックシューター!アサルトシフト!」
更にその体制のまま砲撃魔法の構えに入った
「シュート!」
虹色の魔法弾が次々シャンテに襲いかかる
「双輪剣舞!」
ヴィヴィオの着地と同時にシャンテが斬りかかる
とっさのことでよけきれずシャンテの攻撃をまともに受けてしまうヴィヴィオ
気がつけば両者の残り体力も少ない
二人とも後一撃くらえば倒れるほどに
「シャンテ!ベルガント・カノーネを………」
「だめです」
セインの言葉を騎士カリムが止める
「今あれを撃ったところでヴィヴィオのスピードなら簡単にかわされます」
カリムの言いたいことに気付いていたのかシャッハも続けて言う
「じゃ、分身を使って」
「それだと第1ラウンドと同じことになってしまうでしょう、ですが………」
「ヴィヴィオも条件は同じだ」
「ああ、シャンテはヴィヴィオの射撃魔法を防ぐ武器を持っている、お互いが向き合ったこの状態なら防ぐのは容易い」
ノーヴェとチンクもまたこの状況が意味することを理解していた
「(つまりお互い、ミドルレンジは通用しない)」
「(搦め手も意味を成さない、勝負を決めるのは………)」
ヴィヴィオとシャンテも理解していた、互いが向き合った状態、共にミドルレンジが通用しないなら選択肢は一つ
「「(クロスレンジの真っ向勝負!)」」
拳を構えるヴィヴィオ、そしてシャンテは十字架のように双剣を重ねた構えをとった
「シャンテ!?その技は………」
「(見ていてくれシスターシャッハ、あたしはこの技にすべてをかける………だって)」
シャンテの放った技が目の前の岩を砕いて見せた
「やった………」
肩で息をしながら自らの技が成功したことを喜ぶシャンテ
「シャンテ」
そんな彼女にシスターシャッハが近寄ると
「よく頑張りました、えらいですよ、シャンテ」
シャンテの肩に手を置いてやさしく微笑んだ
そしてもう片方の手をシャンテに差し出す、そこにはシャッハと同じ双剣型のデバイスが
それを見たシャンテはシスターシャッハのうなずく顔を見て彼女に抱きついた
「(いつも怒られてばっかりだったあたしだけど………はじめて褒めてもらえた………大好きな人に認めてもらえたんだって、だから、この技で決めたいんだ!)」
互いに全力で踏み込み突っ込んでいく
構えは崩さずただ目の前の相手だけを見据えていた
「エクシードスマッシュ!」
ヴィヴィオの拳に虹色の魔力が纏われ振り上げられる
「逆巻け!ファンタズマ!烈風一迅!」
刃に魔力を込めたシャンテが舞うように振りかぶる
魔力同士の激突に爆発が起こりリングが煙で覆われた
煙が晴れそこに移ったのは立っている両選手
「両選手立っている………勝ったのはどっちだ!?」
ヴィヴィオが腹部を抑えふらつくと
「やった!」
「いえ………」
シャンテの勝利を確信したセインだったが
シャンテの手から剣が落ち、そのまま崩れ落ちる
「どうやらヴィヴィオに軍配が上がったみたいやな」
それを見たはやてもそうこぼした
「勝者はヴィヴィオ選手だー!」
実況の声と共にわずかに残った体力が表示される
歓声の中ヴィヴィオの脳裏には最後の激突の瞬間が浮かんでいた
スピードで勝ったのはシャンテだった、だがヴィヴィオは最後の衝突の瞬間、シャンテの攻撃を完全に見切り攻撃を決めた
「よしっ」
「ん………」
気がつくとシャンテは医務室のベッドで眠っていた
「あたし………負けたんだ………」
試合のことを思い出しため息を零すシャンテ
「やっぱ意地はってないで分身使えばよかったかな………」
ため息を零しながら天井を見つめるが誰かから返事が返ってくるわけでもない
「………ってなんで誰もいないの!はぁ………」
ため息を零しながら布団にもぐりこむシャンテ
「あたし………これからどうしよう」
「シャンテー、起きてるかー?」
セインが扉をノックした後入ってきたのが音で分かった、誰かと一緒なようだが
「どこ行ってたの?」
布団にもぐりこんだまま尋ねるシャンテ
「何拗ねてんだよ、飲み物買いに行ったらこの子がさ」
セインの言葉にシャンテが頭を上げると彼女と共に小さな女の子の姿が
「あたしに何か用?」
「あの、試合見てて!双剣術、すごくかっこよかったです!」
「そりゃどーも」
目を輝かせてる女の子とは対照的に適当な感じに流していたシャンテだったが
「私も大きくなったら聖王教会に入りたい、シスターシャンテみたいになりたいです」
女の子のその言葉に目を見開いた
「それで………もしそうなったら、私に双剣術教えてくれますか?」
女の子の問いかけに俯きながら黙るシャンテ
女の子の頭に手を乗せるとその頭を撫でた
「そうなったときはさ、あたしから師匠に頼んであげるよ、双剣術だけじゃない、もっといろんなことを教えてもらえるように」
「ありがとうございます」
お礼を告げて女の子が去っていくのを見届けるとセインはシャンテのほうを見た
「よかったじゃんよ、これでシスターシャッハに喜んでもらえる」
「馬鹿言わないでよ………たった一人だよ………そんなんで………喜んでもらえるわけ………ましてや恩なんて返せないよ」
俯いたまま背を向けるシャンテの態度にセインは頬杖をつきながら笑みを零す
「でも、今のあんた、すごくうれしそうだよ」
自分の思いが確かに届いていたことを知って涙を流すシャンテ
そして部屋の外では
「ずっとこのために戦ってきたんです、本当に良い弟子に出会いましたね、シャッハ」
扉の陰に立つ騎士カリム
そしてその隣ではシャンテの真意を知って涙を流すシャッハの姿
「私が話したということ、シャンテ達には内緒ですよ」
「ありがとうございます、騎士カリム、ありがとう、シャンテ」
その日の試合が全て終わり帰り支度をするヴィヴィオ
「嬉しそうだな」
そんなヴィヴィオにチンクが声をかける
「シャンテのおかげで先が見えた気がしたんだ」
「神眼の領域が開いたのか?」
ノーヴェの問いかけに首を振るヴィヴィオ
「まだ完全じゃない、でも、この調子ならもっと先に行ける、限界って扉を、突き破ることができる気がするんだ」
「その意気だよ」
背後からの声に驚くヴィヴィオ
「しゃ、シャンテ!?もう動いて平気なの!?」
「あたしも結構頑丈だからね、もうこの通り」
余裕の表情で腕を回すシャンテ
「あたしに勝ったんだ、きっとどこまでも行くよ、あたしの代わりにヴィヴィオがこの大会で優勝するんだ」
そう言ってこぶしを突き出すシャンテ
「うん!ありがとう!シャンテ」
ヴィヴィオもそれに応えるように拳をぶつけた
「そういえば、いつの間にシャンテはヴィヴィオを名前で呼ぶようになったんだ」
チンクの問いかけにヴィヴィオはハッとなりシャンテを見た
「当然だよ、ヴィヴィオはあたしにとって最高のライバルだもん」
そういってヴィヴィオの肩に腕を回すシャンテ
その光景を見たノーヴェとチンクも満足そうに笑っている