インフィニット・ストラトス~悪魔は乙女と踊る~ 作:ラグ0109
子供にしては鋭い斬撃を手早く左手に持った刀の鞘で受け止めれば、ゼロタイムで受け流し体勢が崩れたタイミングで強かに腹を蹴り飛ばし、距離を開けさせる。
背後からの奇襲を察知した俺は、軽く身を捩る事で的確に胴体の…脇腹目がけて照射されるレーザーを避ける。
「おぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「上等だが、奇襲で大声上げてるんじゃねぇぞ…一夏ぁっ!!」
純白を思わせるIS、白式を身に纏った一夏が、体勢の崩れた俺目がけて大上段で振りかぶり突撃を行う。
俺は鞘に刀を納めてそっと柄を握り直し、一閃。
素早く鞘に納めて第二撃目を更に放つ。
一閃目は零落白夜を纏う雪片弐型に直撃し弾き飛ばし、二閃目で一夏の脇腹に直撃させて先ほどから小賢しい牽制射撃を繰り返してくるセシリアの射線上に押し出す。
ギシッと腕が嫌な音を立ててバチバチと紫電が走るが、俺はそれを無視して次の標的を見定める。
「パワーアシスト解除、肘関節ニュートラル。チッ、脆すぎらぁ…!」
スラスター内にエネルギーを溜め込み、一気に開放する事で瞬時加速を行った俺は、体勢を漸く整えた一夏に飛び蹴りの要領で蹴り飛ばし、そのままセシリアの元まで肉薄する。
セシリアは一夏が俺の近くに居る為に得意のビット兵器による攻撃も、狙撃すらも封じられて逃げ惑うしかない。
一夏が苦悶の表情を浮かべ、しかし勝機を見出したかのように俺の足を抱える様にして掴む。
「捕まえたぜ…
「あぁ、そうかい!」
俺は機体に急制動をかければ、一夏ごと足を振り回して追いかけてきた箒に突きだす。
箒は、すでに手に持った刀を振り下ろし始めて反応が間に合わず、白式のウィング・スラスターを切り裂いてしまう。
「がぁっ!?」
「しまっ!?」
「だから、ガキなのさ…落ちな!!」
最小限の機動で箒の背後に回りこんで、居合の要領で箒が身に纏っている打鉄のスラスターを切り裂き、行動不能にする。
箒は力なく項垂れながらアリーナの地面に着地し、依然戦闘の続く上空へと顏を上げる。
そう、まだ箒が落ちただけだからだ。
「ちぃっ!しつけぇぞ一夏!!」
「勝利に意地汚くなれって言ったのは、兄貴の方だろ!?」
「いただきましてよ、先生!」
脚にしがみ付く一夏を幾度か蹴り飛ばして振りほどこうとすると、俺の囲む様にビットが配置される。
どうやら、一夏は自爆覚悟でトドメをセシリアに譲ったらしい。
だが、それでも俺にとっては避けるに十分なタイムラグが生じてしまっている。
手に持った刀と鞘を格納し、IS用のハンドガンを二挺呼び出し、前方に配置されているビット兵器目がけて銃弾を吐き出させる。
ハンドガンから撃ち出された銃弾は、真っ直ぐにビットの側面を掠る様に着弾して、ビットの射線をずらす。
いくらPICで制御されているとは言え、攻撃体勢を取った瞬間はどうしても無防備になる。
そこで射線がズレる様に弾丸を掠らせれば、容易に射線をずらすことが可能になる。
「あらよっと!」
「人間業じゃありませんわよ!?」
「いでででで!!!」
射線がズレたおかげでできた穴を潜り抜ける様にビットの包囲網を突破し、当たりそうになった時は足にしがみ付いている一夏を盾替わりに使用する事で凌いだ。
未だ無傷なのは付かず離れずのセシリアだけ…箒は言わずもがな、一夏も最早満身創痍だ。
一夏は、右手に持った雪片弐型から零落白夜を発生させて獰猛な笑みを浮かべる。
「うおぉぉ!死なば諸共ぉっ!!」
「あっそう」
優しく額に銃口を押し付け、容赦無く発砲。
当然の如く絶対防御が発動し、更に零落白夜による極悪燃費によってエネルギーが尽きた白式は、先ほどの箒同様にアリーナの地面に墜落していく。
「ったく、手ぇ離せば勝機があったっつーのに…それで、まだやるか?」
「いえ、降参しますわ…」
「あいよ、それじゃ反省会しようか」
俺はセシリアを伴って地上に降り立ち、身に纏っていたラファールを脱ぎ捨てる。
各関節とも俺の膂力に耐えきれずに過剰な負荷がかかり、僅かだが煙を上げてしまっている。
こんなザマでは、暫く俺はISに乗らない方が良いだろう…。
そもそも、ISは人間が乗る様に設計されているものなのだが、人の力ではどうしても足りない部分が出てくる。
そう言った部分を補うために、各関節部に動作を補助するモーターが仕込まれているのだが、俺は常に人以上の力を出してしまう。
勿論加減は出来るが、戦闘においてそんな手加減をする暇なんぞある訳も無し…結果として人の力以上の異常な力が関節にかかってしまい、壊れてしまう…と、そう言う訳だ。
パワーアシストを解除してニュートラルでやりあっても構わないと言えば構わないが、今度は重量がモロに俺の体にかかる為、ただの枷同然の状態になってしまう。
人間の感覚で言えば、片腕に常に50㎏程の負荷がかかっていると思ってもらって構わない。
「それにしても…本当に大道芸人でしたの?とても、戦闘慣れしていない一般人ではないのですが…」
「おっさんには秘密がつきものなのさ」
「おじさんと言う歳ではないでしょうに…」
遅れてセシリアが地上に降り立ち、身に纏っていたブルー・ティアーズを待機状態に戻す。
一夏と箒もISを解除して此方へと小走りに駆け寄ってくる。
「徒党を組めばイケると思ったんだけどなぁ…」
「阿呆、お前らの動きなんぞ全部お見通しなんだから、集団でやろうってんなら予めトラップの1つや2つ用意しとけ」
「私はやはり一対一の勝負の方が…」
一夏は悔しそうに歯噛みし、箒は箒で何やら不満そうに眉を顰めて思案する。
さて、この放課後の個人訓練…何故俺が手を貸しているのかと言うと、単純に次のクラス代表対抗戦まで時間が無く、付け焼刃でも良いから一夏をいっぱしのIS乗りにする為に鍛えているのともう1つ…箒とセシリアのお目付け役である。
この2人…一夏とのロマンスを追い求めすぎる所為か、一夏そっちのけで言い合いの喧嘩をしてしまうのだ。
これではあまりにも拙い…と、勝手ながら判断した俺が、3人纏めて面倒見てやるから訓練に付き合ってやると言ったのだ。
「箒、そりゃ確かに理想だろうが、此処ではその言葉はご法度だ。第一、剣道みたいな決まった型を使うんだったら、まず相手に反応させるな」
「む…」
「セシリア、お前の機体は確かに射撃戦特化の構成だが、近接戦闘が出来ない訳じゃねぇ…近接戦闘の不利は負けに直結するぞ」
「そ、それは…ですが、踏み込ませなければ良いのでは?」
それぞれに駄目出しをすると不満そうな顔をされ、セシリアに至っては反論をしてくる。
内心、エリートといての矜持がそうさせるのだろうが…此処は一気にへし折って初心に戻ってもらおう。
こういったプライドは時に成長の妨げになるものなのだ。
「態とは言え、踏み込まれて追い詰められたお嬢ちゃんは誰だったかねぇ…?」
「ぐ…そ、それは…」
「あの時、インターセプター(BT用の近接兵装)を容易に展開できれば防げただろ?それが出来ない防げないじゃ話になりもしねぇ。それにお前の機体はエネルギー一辺倒で燃費が悪すぎる。どこかで近接戦闘を仕掛ける必要が必ず出て来るぞ」
「グヌヌ…」
セシリアは言い返す事も出来ず、悔しそうに唇を噛み締める。
ブルー・ティアーズに積まれている火器はビット2基に積まれているミサイルとインターセプターと呼ばれるダガー以外がエネルギーを消耗する類のものばかりだ。
つまり、射撃戦で決定打を与えられなかった場合、どうしたってジリ貧に陥ってしまうのだ。
だが、幸いにしてブルー・ティアーズにはビットと言う工夫次第で凄まじい脅威になりうる武器がある…故に…
「だから、セシリアはこれを読んで勉強をする様に」
「これは…?」
俺はラファールの拡張領域にしまっておいたファイルを引っ張り出し、セシリアに渡す。
タイトルは、『分割思考と近接格闘のススメ』。
「恐らく、お前の今必要な内容が其処に書いてある。機体制御とビット制御…両方こなしたいだろ?」
「それは…そうですが…」
セシリアはファイリングされた書類の中身をぺらぺらと捲り、半信半疑と言った顔になる。
なんせ、いずれも半ばお遊びの様な内容ばかりだからだ。
特にお嬢様向けって感じの内容だと…オルガンの課題曲集か?
あれ、手と足両方使って演奏するからな…。
「ですが、これで本当に?」
「兄貴が言うんなら間違いない、やってみろって」
「さっきから気になってたんだけどな…」
「「「兄貴ってなんだ(ですの)?」」」
俺、箒、セシリアは一斉に一夏を見つめ、一夏は一夏で首をこてんと傾けて不思議そうな顔をする。
男がやっても可愛くねぇよ…。
「いや、もう外堀から埋めてしまおうかと…」
「あのなぁ、埋めるのは構わねぇけどな…お前、姉ちゃんの意志無視か?」
俺は眉間を揉みながら呆れた様に肩を竦める。
確かに、千冬からは多少なりとも好意らしきものは感じるが、男女のそれかどうかは本人にも俺にも分かっていない。
時折、凶暴だし。
箒とセシリアは俺の後ろで、ひそひそと恨み節を呟いている。
(なんで私達の気持ちには気付かないで、他人の色恋沙汰には聡いのだ)
(噂には耳にしていましたが…いいえ、諦めませんわよ…!)
(貴様には負けないぞオルコット…!!)
「アモン兄しかいないと思うんだよなぁ…尻に敷かれないで済むの」
「そう言うのはお前が考える事じゃねぇっつの。そりゃまぁ、千冬に言い寄られるのは悪い気はしねぇけどな?」
一先ず乙女たちの決意から意識を逸らし、一夏へと向き合う。
一夏は一夏で自分に向けられる好意に鈍い割りに、他人の色恋沙汰には敏感だ。
それはもう隣に住んでるおばちゃんレベルで。
そう、つまりお節介が過ぎるのだ。
「だけどな、そう言う事に気配りするくらいなら、まず自分をどうこうしてからにしろ」
「ぐ…」
「兄貴だのアモン兄だの呼ぶのは構わねぇ…それよかやる事あるんだからよ」
わしわしと乱暴に一夏の頭を撫でながら諌め、軽く溜息を吐く。
悪い奴じゃない…他人に対して優しく出来るのは美徳だ。
度が過ぎれば悪徳なんだけどな…。
「さて、お前と箒にも言える問題点なんだけどな…お前ら、相手と平行方向から攻めようとするクセ無くせ」
「へ?」
「は?」
「あぁ…」
一夏と箒は何を言っているのか分からないと言う顔で、セシリアは訓練開始から気付いていたのか納得したような顔で頷く。
一夏にしろ箒にしろ、ISによる空中戦闘と言うのは日が浅い…つまり、地面に立って戦う時と同じ感覚で戦っている。
どちらもPIC制御をオート制御でやっている弊害とも言えるんだが…あれ、強制的に天地を正そうとするし。
「あのな、空中戦って事は360度全天回りこめるわけだ。それこそ足元から頭のてっぺんからって具合に。にも拘らず、お前らは地上での癖が抜けきらないのか、必ず俺を水平に捉え様として行動できる範囲を狭めている。箒は射撃武器積んで対応できるから構わないかもしれねぇけど、一夏はそう言う訳にもいかねぇ。なんせ、雪片弐型しか積めねぇからな」
「う~ん、なんか機体がそう言う風に動きたがってる気がするんだよなぁ…」
「私としては正々堂々と戦いたいのですが…」
「箒…相手がいつもお前と同じ正々堂々で来るって思うなよ…」
箒は不満げに唇を尖らせるが、俺はそれをピシャリと言って黙らせる。
試合ならばまだしも、戦場でそんな言葉は通用しない。
卑怯、結構。
勝てば官軍と昔から言うしな。
「皆、ルールの範囲内で死力を尽くしてくる。そうさな…例えば、セシリアが引き撃ちに徹してお前の土俵で戦えなかった時…お前は
「っぐ…そんな事は…!!」
箒は、俺の言葉に反論しようとキッと睨み付けてくるものの、強く言い返せないでいる。
負けた時の逃げ道になり得ると本人でも気付いてしまったのだろう。
だが、問題はそこだけじゃない。
「あ、アモン兄、言い過ぎだって!」
「えぇ、少し言い過ぎかと」
一夏は箒を庇う様に俺の前に立ち、セシリアも一夏に賛同する様に小さく頷く。
だが、続く俺の言葉に2人とも黙さざるを得なくなる。
「いいや、駄目だね…此奴には専用機が配られる事がほぼ確定している。今からでも戦場に立つ心構えを叩き込んでおかなきゃ…死ぬぞ」
そう、箒の姉の事を考えれば、箒に専用機…それも新規に造られたコアが搭載された物が配られると言う事は必定。
それも、現行ぶっちぎりのスペシャルな機体が来ることは目に見えている。
だが、乗り手が甘ったれなケツの青いガキだったら…?
ISを奪われるのなんて目に見えている。
だからこそ、自分の身は自分で守れるくらいの非情さを身に付けてもらわなければならない。
「姉さんなんかには…頼りません!」
「…それならそれで良い。けどな、お前の事情なんて考えると思うか?」
「そ、それは…考え、ない…です…」
「そんなに酷いんですの…?」
「束さんの二つ名くらい知ってるだろ?本当にあの通りだから…」
「すっぽんぽんでベッドに潜り込まれたことあったなぁ…」
俺が遠い目をしながらボソリと呟くと、三者三様…主に軽蔑するかの様な視線が降り注ぐ。
…俺は悪くない、何も悪くないだろうが…。
「不潔ですわ!」
「…見損なったぞミュラー先生」
「アモン兄…わりと軟派なのか…?」
「応、勝手に潜り込んでたっつったろ、俺被害者だぞ被害者!」
俺は仏頂面になりながら必死に抗議するものの、そこは女社会…無情にも被害者カウントされる事は無かった。
男だって被害者になり得ると言う事を切に説いたい…。
何とか必死に事態を説明して助平の烙印を逃れた俺は、一夏達よりも早めに訓練を切り上げて、学園の正門前で煙草を吸いながら人を待っている。
…何年振りかの再会となる転入者を待っているのだ。
箒とセシリアのライバルとなり得るだろうその人物は、一夏の幼馴染に当たる人物だ。
しかもやたらと気配りできる…このアドバンテージは、正直デカい。
箒とセシリアはアピールに必死すぎてるからなぁ…。
待ち始めてから30分程経っただろうか…何本目かの煙草を携帯灰皿に捨てて上着にしまうと同時に正門の前にタクシーが止まり、中から見覚えのあるツインテールが降りてくる。
「あー…やっと着いたわ…」
「おう、チンチク鈴…久しぶりだな」
「その名を呼ぶのは…シショー!!」
タクシーが立ち去ったのを見計らって、待ち人…凰 鈴音へと歩み寄る。
しばらく見ない間に大きく…なってないな。
相変わらず体の至る所がちんまいままだ。
もはや、身体的成長は絶望的かもな…。
鈴音…鈴は、他の同い年の女性に比べて少しばかり小さい。
具体的には小学生に見えない事も無い身長しかなく、身体の凹凸も比較的平坦な部類だ。
しかし、その小さな体に反して肝っ玉は据わっており、コミュニケーション能力も高い。
何より、先にも言ったが気配りがよく出来るのだ。
「お前な…相変わらず俺をその名で呼ぶのか」
「シショーはシショーでしょうが。まさかISに乗れて教師やってるなんて思わなかったわ」
「こっちだって予想外だよ…。それよか、鈴…お前のライバル増えてんぞ」
「ん?あぁ、一夏の事か。あたし、降りたのよ」
…鈴の言葉に半ば目を丸くし、思わず間抜け面を晒す。
一夏が振るとは考えにくい…と言う事は…。
目の前で物思いに耽ると、鈴が俺の足を踏みつけて思考を停止させる。
「いってーな、おい!」
「変に勘繰らないで良いわよ、シショー。あたしは、一夏にとってそう言う対象で見られなかったと言うだけ。もう、吹っ切れてるんだから」
「ったく、チンチクリンの癖に器量だけは一丁前だな、お前は」
「フフン、良い女でしょう?」
「ハッ、もう一回り歳食ってから出直して来な」
「グヌヌ…」
鈴の額にデコピンをすれば、正門を通って学園内の敷地へと入る。
案内も無しに学園へと入ると、初めて来た人間は広大な敷地の中で迷子になる。
それだけ似通った建物が多いし、通路も標識があるとは言え張り巡らされている。
最早、迷路と言っても過言では無い。
「あぁ、そうだ…とりあえず、これパンフレットな。これに地図載ってるから頭に叩き込んでおけ」
「はーい。それより、シショー…今まで何処に居たのよ?」
歩きながら鈴にパンフレットを手渡すと、鈴は俺の前に立ちふさがる様に出て歩みを止める。
その頬は不満そうに若干膨らんでいる。
一切連絡を取らないでいたから、余計に不満なんだろう。
「ん~、何処って言われてもな…世界中?根無し草なのは昔話しただろ?」
「そうだけど…何も旅に出なくたって良かったじゃない?」
「お仕事も兼ねてるんでね…一つ所に中々留まれねぇのさ」
「じゃぁさ…この学園からも何時か居なくなっちゃうの?」
鈴は不安そうに此方を見上げてくる。
…その言葉は的確で、そして必ず来てしまう。
そもそもこの世界の住人では無い俺に、居場所なんて無い。
俺はあっけらかんと笑って鈴の頭を撫でてやる。
「そら、何時かは居なくなるだろうさ…けど、それは今すぐでもねぇし、少なくともどっかにほっつき歩いたりはしねぇよ」
「む…なら、良いけど…行くなら行くで挨拶くらいしなさいよ!」
「へぇへぇ、仰せのままに…」
慇懃無礼にならない程度に紳士的な礼をしてやると、遠くからセシリア達の声が響く。
どうやら漸く訓練を終えて、寮へと戻る様だ。
「へぇ…元気そうじゃん。あの二人が一夏にホの字って訳ね…」
「ポニーテールは幼馴染だって話だ。金髪ドリルの方は先日落とされた」
「アイツ、無自覚にフラグ建設するから…それでいて反応してないから金玉付いてるのかわかんなくなるわ」
「女の子が金玉とか言うなっつーに」
鈴は何処か小馬鹿にしたように…辛辣に一夏に対して呟く。
相当こっぴどい目に合わされたのか何なのか…まぁ、想像に難くないんだが。
「え~、シショーったらあたしの事女の子として扱ってくれるの~?」
「そら、扱うだろうが…鍛えるときは容赦しねぇけどな」
「うへ~…でも、ま…学園に無理矢理来ただけの甲斐はあったわ!また、よろしくねシショー!」
鈴は旅の疲れを感じさせないとびきりの笑顔を浮かべ、俺を見上げる。
一夏と何があったのかは分からないが…まぁ、昔の様につるむことが出来ると言うのは、純粋に嬉しく思うのだった。