インフィニット・ストラトス~悪魔は乙女と踊る~ 作:ラグ0109
特に目立った事件も起きず、クラス代表対抗戦当日となった。
この対抗戦は、いわばクラスごとの実力を測るための試金石とされている…と言うことになっているが、内情は違う。
実際のところは、ISバトルと言うものがどういうことなのかを触れ、或いは見ることで感じて貰う為の場としてあるのだ。
実際、国家代表候補生クラスとなると専用機を持っていることが多く、その大半が専用にチューニングされた特別仕様機や、国が威信をかけて作り上げた次世代型の専用機…学園が保有している訓練機とは性能に雲泥の差が生まれてしまう。
もちろん、そう言った有利不利を覆す隠れた実力を持った人間もいるが、そんなものは本当に極々僅かな人間だけだ。
もちろん、クラスの中にそう言った人間がいないとは言わないが、今回対抗戦に出場するのは各クラスから1人だけ…大会中に片鱗を見せる人間が出てくる可能性は皆無と言ってもいいだろう。
そうした大番狂わせが楽しめそうなのは…来月6月に準備されている学年別トーナメントになるだろう。
こちらの大会は本格的な学園内ISバトル大会で、各国のIS委員会所属の人間から軍の幹部、はたまたIS製造関係の企業や研究所からの賓客が多数集まる大規模なものになるそうだ。
実際、水面下では来月の学園内警備に関する会議が頻繁に行われていたりする。
『ミュラー先生、聞こえますかー?』
「あいよー。しっかし、俺までかり出されるとは思わなかったぜ…」
第三アリーナ地下格納庫…エネルギー供給用のケーブルに直接繋がれた第二世代型ISラファールを身に纏い、大会が始まってからの数時間待機し続けている。
アリーナの管制室に居る真耶からコア・ネットワーク回線で通信が入り、呑気な声で返事をした俺は小さくため息を吐く。
基本的にIS学園と言う組織は、慢性的な資金不足から来る人員不足にあえぎ続けている。
超が付くほどの一流の設備に機材、専門の知識を備えたスタッフ、そして、青春時代を謳歌すべき女子生徒達に対する手厚いアフターフォロー…と、様々な部分でお金を吸われていってしまっているからだ。
しかも基本的な運用資金は、学園のある日本が税金から賄っている。
税金と言っても、国家運用のための予算枠から僅かな額を絞り出すのに精一杯と言うのが現状だ。
公平中立を謳うのであれば、各国が全体のパワーバランスの元公平に資金を出して運用するのが正しい姿だろう。
これは、白騎士事件と言う盛大なマッチポンプを仕掛けた束に原因がある。
情報統制が敷かれていて一般にはあまり周知されていない事ではあるが、白騎士事件が起こるひと月前…束は14歳と言うあまりにも若すぎる年齢でISコアを作り上げ、世に送り出そうとした。
しかし、その若すぎる年齢に世間は少女の妄想と決めつけ相手にせず、結果としてこの時はISと言う存在の産声を聞くものは居なかった。
この出来事に束はキレちまったんだろうなぁ…世界中の軍事施設と言う軍事施設を一斉にハッキングし、掌握。
各国が保有している核以外の長距離弾道弾ミサイルの標的を日本に設定して一斉に発射するという暴挙に出る。
もちろん、これは自分が作り上げたISを活躍させるための舞台装置に過ぎない。
第零世代型…『白騎士』が活躍するための舞台装置だ。
結果として、あらゆるミサイルを人的被害皆無で無力化することに成功した白騎士は、各国の軍の追跡をこれまた人的被害皆無で振り切り逃走。
その直後に束は満を持して、ISを世に送り出すことに成功した、と。
この事からマッチポンプと言うことが分かっていて糾弾されずに済んだのは、束がISコア製造法を秘匿し、コアにブラックボックスを仕掛けたからに過ぎない。
そして物質的、軍事的な損害を被った各国は、束が日本国籍なのを良いことに日本を糾弾。
IS操縦士育成機関の設立、及び維持費を一括してなすりつけられる羽目になったとさ。
…疫病神じゃねーか。
『織斑先生は国の承認が無ければISに搭乗することは許されませんし、互角以上の技術を持つミュラー先生が適任だったんです』
「手放しで褒めんなよ…照れるっつーに。だが、まぁ…この人員不足どうにか解消しねぇと、今年から大変かもしれねぇな」
優秀な設備に優秀なスタッフ…と言っても、全てをカバーするには限界があるし、何より常に稼働し続ければどこかで疲弊が生じて回らなくなることがある。
機械であれば部品を交換すれば良いが、人間はそうも行かない。
それに、学園は大量の機密を取り扱う場でもある…迂闊な増員は機密の流出に繋がってしまうため、おいそれと増員ができない。
まさしく八方塞がりだ。
『無い物強請りはできんからな。そうやって待機してもらっているが何か起こるとは限らない…適度に肩の力を抜いていてくれて構わん』
真耶の通信を割り込む形で、千冬が優し気な声で話しかけてくる。
開き直ったあの夜…あれ以降露骨なスキンシップは減ったものの、何処か張りつめていた気が和らいだ印象を受ける。
一夏や鈴から矢継ぎ早に問い質されたが、変に噂が広がるのも面白くないので適当にあしらっておいたが…あの2人は気付いているだろうな。
かたやニヤつき、かたやローキックだったからな。
「ちーちゃんは優しくて涙がちょちょ切れるよ」
『貴様がその渾名を呼ぶなっ!』
『すっかり仲良くなりましたね。やっぱり一緒に住んでるからでしょうか?』
「甲斐甲斐しい主夫は懐かれんのさ」
『2人して揶揄うな!!』
『「はーい」』
束の様な呼び方で千冬の事を揶揄うと、案の定千冬は声を張り上げて抗議してくる。
案外、今頃顔が真っ赤かもしれないな。
俺は、ニヤニヤとした表情のまま管制室との通信を切り、全身の力を抜いてリラックスしながらハイパーセンサーに映されるアリーナで行われるバトルを見つめる。
今は第二回戦…四組と三組の代表者同士の戦いだ。
四組の方の代表は…なんと言うか、あの悪戯が好きそうな会長殿を彷彿とさせる顔の少女だ。
確か…更識 簪…楯無の妹だったかね?
簪は積極的に攻めることはせず、何処か仏頂面で打鉄のアサルトライフル『焔備』から弾丸を垂れ流している。
対している三組の代表はISを扱うのに四苦八苦しているようで、徐々に被弾を重ねていく。
簪が仏頂面なのは、恐らく倉持技研の一件があるからだろう。
そう、彼女こそが専用機をないがしろにされた日本の代表候補生なのだ。
「まぁ、面白くはねぇだろうな…認められてたはずの努力を蔑ろにされりゃ…」
ぽつりと呟きながら、簪の戦い方を見つめ続ける。
簪の戦法は何処まで行っても嫌がらせ…つまるところ理攻めの極致だ。
相手がやられたら嫌がることをとことんまで突き詰めてじわじわと削り殺す…また、相手が奇策に転じてもすぐに対応する柔軟性を持ち合わせ、全体の流れを掴むことに長けている。
まぁ、今は八つ当たりの側面が結構強いようなので嫌がらせに集中しているように見受けられるか。
結果としてはタイムアウトによる判定勝ち…普通の人間からはどちらも攻めあぐねた結果の様に見えたことだろう。
次の第三回戦で、一夏の出番となる。
「さて…何か起きるとしたらこの辺りか…」
ぼんやりと、以前俺が受けた襲撃を思い浮かべる。
世界に2人だけの男性操縦者…欲する人間がいれば排除したい人間もまた居る。
俺の場合は両方の思惑が交差しているようだったが、一夏の場合は…。
心配してどうにかなる問題ではないし、何より…常に俺が見てやれるわけではない。
勿論、間抜け面を晒して良いようにされない為に俺なりに今まで鍛えてきたし、あいつも誘拐事件を機に自身を苛め抜いてきた。
全ては後悔しない為に。
己の弱さを嘆かない為に。
俺は機体を軽く動かして、具合を確かめる。
今、ISのパワーアシストは解除してある…普通の人間には動かすことすら出来ないであろう鋼鉄の塊と化すが、そうでもしないと俺の場合は短時間で行動不能の自滅を起こす可能性がある。
勿論、手加減して動けば良いだけの話だが、戦闘中にそんな気の抜けた動きができるわけもない。
ハイパーセンサー越しに映る映像には、白い甲冑の様に見える白式を身に纏う一夏と、黒と鮮やかな赤に塗られた鈴のIS、『
互いに何か喋っているようだが、音声までは拾えていないので内容は分からない。
恐らく、互いに煽って精神的な動揺を起こそうとしているのだろう。
「管制室ー、学園周囲に動体反応あるかね?」
『学園が封鎖している周囲30キロに動体反応無し…ミュラー先生は仕掛けてくると思いますか?』
「どうにも嫌な感じがな…俺は手を出して一夏は手を出さないなんて道理は無いだろう。警戒は強めておいた方が得策だろうよ」
『海上に教員を配置しての厳重な警備体制だ…突っ込んでくる莫迦は居ないと思いたいがな』
管制室に居る真耶と千冬に声をかけ、状況を聞くものの今のところは杞憂で済んでいるらしい。
管制室側の方から試合開始のブザーが聞こえると同時に、一夏が弾き飛ばされるのが見える。
瞬時加速…と言うには無防備なその動きは、鈴のしてやったりと言う顔を見て攻撃であることを察する。
『初手から衝撃砲を使ってきたか』
『未完成…なんて報告がありましたけど、やっぱり虚偽報告でしたね』
「まぁ、下手に探られたら堪ったもんじゃねぇだろ…さて、零落白夜じゃ対処しきれねぇぞ~?」
衝撃砲…これは甲龍に搭載されている第三世代型兵器だ。
両肩のアンロック・ユニットを起点にPICによる見えない砲身を形成、空間を圧縮することで空気の塊を発射する…と簡単に言えばそういう事なんだが、厄介なことに砲身どころか弾が見えない。
最大出力で圧縮をかけた時に巻き込まれた塵が発火現象を起こして光って見える程度で、通常出力ではそんな現象は起きない。
また、空気の塊を飛ばしているだけなので、零落白夜によるエネルギー無効化能力の適応外と来たもんだ。
鈴の技量は現在の1年生の中でもトップクラス…苦しい戦いになるな。
一夏は素早く機体を制御して鈴を睨みつつ、弾かれるように右側へと移動する。
観客席のエネルギーシールドに衝撃砲の弾丸が炸裂して、ちょっとした悲鳴があがる。
「ひとまず距離を開けて様子をみるしかねぇわな…やっぱ、
『十中八九な。イメージ・インターフェース・システムの弊害とも言えるが…』
『お二人とも、初撃で看破するんですね』
『山田君、君ならば白式を身に纏って攻略する際どう動く?』
真耶は千冬の問いかけにう~ん、と唸って熟考する。
恐らく、鈴の癖を見抜こうとアリーナでの戦闘を舐めまわすように見ているのだろう。
『今回のISバトルはフラット…障害物も何もありませんし、まずは相手に高さをとらせます』
「その心は?」
『私にしろ織斑君にしろ、雪片弐型しか持っていないと言うことには違いありません。ですので、凰さんは衝撃砲による中遠距離戦で仕留めようとするはずです。ですので、まずは姿を隠すだけの砂煙を起こしてもらいます』
戦闘を見る限り、真耶の言い分は最も…そして、若干の慢心が鈴に見える。
自分よりも格下だと言う認識による慢心だ。
それは、張り付いて消えることのない笑みからも見受けられる。
『姿を隠せるだけの砂煙が起きれば、後は分の悪い賭け…囮代わりに雪片弐型を投擲した後に瞬時加速を用いて回り込み、徒手格闘で仕留める…と、言ったところでしょうか?』
『アモンならどうする?』
「視線で射線を決定してると仮定してだ…射線読んで突っ込む。面倒だからな。零落白夜なら…まぁ、一撃必殺も狙えるだろうし」
弾丸の大きさがどれくらいなのか?
連射速度は?
面制圧されるのか?
と言った部分を見る必要はあるが、戦闘を見る限り大して連射速度があるようには思えない。
恐らく、空間圧縮に多少の時間がかかるためだろう。
一夏は意を決したかのように雪片弐型を両手で握りしめ、肩に担ぐ様にして構えると踏ん張る様に身を縮めて一気に加速する。
尋常ではないその速度は間違いなく瞬時加速…それも瞬時加速中に再度瞬時加速を行う離れ業だ。
よもや素人の筈である一夏がそんな離れ業を使うとは思わず一瞬動きを止めた鈴は、両手に二振りの青龍刀を呼び出して構える。
『ほう…物にしていたか』
「なんだかんだでちーちゃんお姉ちゃんやってんだよなー」
『茶化すな!』
『でも、上手く近接戦に持ち込むことができましたね!』
そう、実際不意を突くと言う一点において、一夏は上手く立ち回ることができた。
問題は、甲龍の得手が近接戦闘にあると言う点だ。
見たところ、甲龍は安定制を主眼に置いたコンセプトで作られているようで、速度を犠牲に装甲を厚くしている。
並大抵の斬撃では、エネルギーを消耗することなく受け止めることができる。
そう、ただの斬撃では。
一夏は勝利を確信し、鈴は自身の腕を信じて疑わず切り結び続ける。
一合、二合、三合…切り結ぶたびに剣戟は加速し、金属同士のぶつかり合いは甲高い音を幾度も上げ続け轟音と化す。
やがて、鈴は違和感に気付き驚きに目を丸くする。
甲龍のシールドを兼ねているアンロック・ユニットの装甲が、浅くではあるものの斬り裂かれているのだ。
確かに、鈴は努力をして才能を開花させてきた。
しかし…しかしだ…いくら鈍感で少々間抜けだとは言え、一夏がなんの努力もしていない訳ではない。
必死に鍛錬を積み、そして付け焼刃ながらも代表候補生に師事してもらってきたのだ。
俺は2人の弟子の成長に素直に笑みを浮かべる。
『互いに決め手に欠けているか…』
「出し惜しみって訳でもないだろうしな…油断したところをブスリ、かね?」
『お2人とも楽しそ…っ、所属不明のIS反応接近!!』
和やかに3人で試合の内容を見守っていると、突然真耶が声を張り上げて警報装置を作動させる。
すぐさま緊急アラームが作動するものの、ほんの10秒も満たずにアラームが鳴り止む。
慌てて、エネルギー供給用のケーブルを切断して機体を搬入口まで移動させた瞬間、地震に似た衝撃がこの地下格納庫にまで響き渡る。
ハイパーセンサー越しの映像も気付けばシャットアウトされ、外の様子を窺い知る術はない。
「千冬、真耶!聞こえるか!?」
管制室との通信は繋がらず、また搬入口のハッチも反応を示さずに沈黙したままだ。
…アリーナ全体の機能が乗っ取られているって事か?
アリーナ全体には強力なシールドエネルギーが展開されているので、そうそう侵入されることは無いと思いたいが、システムを掌握されている以上シールドエネルギーが解除されている算段が高い。
と、なると四の五の言ってられないわけだ。
「給料天引きとかカンベンしろよ…!?」
ラファールの両肩アンロックユニットに仕込ませたパイルバンカー『
ハッチからピットまでは邪魔が入らなかったものの、ピットに入り込んだ瞬間ゆっくりとアリーナへの出入り口が分厚い鋼鉄のシャッターによって閉じられそうになる。
スライディングの要領で機体と床を水平にして滑り込む様にシャッターの隙間を通り抜けてアリーナへと躍り出る。
「アモン兄!?」
「シショー!!」
「ったく!なんだ此奴ら!?」
アリーナにはゴリラの様に前腕が大きくISの1.5倍程の体躯の黒鉄の人型が3体、一夏と鈴を取り囲むようにして降り立っている。
いずれも腕を一夏と鈴に向けつつ微動だにせず立ち続け、一種異様な光景が広がっている。
観客達は突然の襲撃にパニックを起こして非常通路へと殺到しているが、混乱が混乱を招いているせいで思うように避難ができないままでいる。
下手すると防火シャッターが降りている可能性も考えられるな。
「こいつら、アリーナのシールドぶち破って来たんだ!」
「こっちに銃口向けてるけど、まるで動かないのよね…薄気味悪…」
「動かねぇなら、動かねぇで好都合だ…シールドエネルギーぶち破るって事は、流れ弾で死人が出るかもしれねぇからな」
迂闊に動けず、しかしこのままでは埒が明かない…観客席をハイパーセンサー越しに見つめると、千冬を含めた教師陣は避難誘導にあたっているようだ。
僅かな駆動音を響かせて3体がゆっくりとした動作で動き始める。
俺は拡張領域からいつの日か使った推進器付きの片刃大剣を呼び出し、ゆっくりと肩に担ぐと、地上に立っていた俺は飛び上がる事はせずにホバー移動の要領で手近な敵機へと瞬時加速を行い、すれ違いざまに推進器を全開にした片刃大剣で膝関節部分目掛けて横薙ぎにする。
速度の乗った一撃は鋼鉄を紙の様に容易く切断することに成功するが、倒れることは無い。
今の感触、そして切断面から見てただの機械人形の様だが…。
「何やってるのよ、シショー!人が乗ってるのかもしれないのよ!?」
「あんな巨人が居て堪るか!ノルマ1人1体、空飛ぶの禁止な!」
「こんな時に鬼かよ!?」
片刃大剣についたオイルを振り払い、素早くスライドして背後からの光の奔流を避ける。
集束させた高密度のレーザーを、背後に居た人型が俺目掛けて放ってきたのだ。
危なげなく避けた俺は、背後に居た人型2体を一夏と鈴に任せて、足を切り飛ばした一体目掛けて突進する。
機械人形たちの方が上背の為、極力地上に居る様にすれば流れ弾が観客席に向かって飛ぶことは無いはずだ。
どうも、標的は俺と一夏らしいからな…頭が良ければ同士討ちするようなこともしない筈だ。
「シショー!これ完膚なきまで破壊しても平気なの!?」
「両腕両足切り飛ばすだけにしとけ!腹の中に人間居たんじゃ困るからな!」
鈴は機械人形と切り結びながら、何処か気楽そうに声をかけてくる。
まるで一夏の方がよっぽど手強いとでも言いたげだ。
一夏は、動きを見極めるためなのか近接戦闘において受け流しを多用して出方を慎重にうかがっている。
「あらよっと!」
俺は手早くこちらに向けられた左腕をバターの様に切り飛ばし、返す刃で残されている足を切り飛ばしてから首を叩き落す。
千冬と比べるなって所だが、動きが悪い…本当は中身がいない可能性があるな。
右腕を残してばらばらになった機械人形は一旦距離を開ける為に空へと舞い上がる。
頭は飾りで、体中にレンズの様なものが仕込まれているようだ…まるでゾンビか何かだ。
追撃を入れようと足に力を入れた瞬間、アリーナに起こるはずのない事態が起こる。
『一夏ぁっ!男なら…男ならその程度の敵を倒さないでなんとするっ!!!』
『篠ノ之、貴様何を!!??』
アリーナに設置されたスピーカーと言うスピーカーから、箒の叱咤にも似た激励が飛び出したのだ。
一夏と鈴は思わず動きを止めてしまい、機械人形の拳をまともに受けてしまい弾き飛ばされ、スピーカーからは絶えず箒と、諫める千冬の声が響き続け…一斉に俺の背後にある管制室に機械人形の銃口が向けられる。
思考を全て置き去りにし、全てが遅延する世界で俺は管制室に対して楯になる様に無防備なまま躍り出る。
無理な挙動をした結果かスラスターから煙が噴き出す。
しかし構わずにアンロックユニットのシールドを2枚構えたところで、俺の視界は光に飲まれた。