召喚術の世界に憑依したけれども、魔法を使っていく 作:クーネル・アソーブ
筆者の執筆意欲が続く限り連載するつもりです。
説明というか、設定についてのお話です。早く「千の雷」とか「終わる世界」とか出したいです……
かっこの種類で過去、現在、名前などあらわしています。
ゼクト・フィリウス師匠の弟子となってから、早く半年の月日が過ぎた。トリスになってどうしようかと悩んでいた最初頃からは、思いつかないほどの環境の変化があった。
弟子となり、この屋敷に住み始めて、始めは驚きの連続だった。
最初に連れていかれたお風呂場では脱いだ服が籠に入れられると、いつの間にかなくなっているし、空っぽだった風呂は一瞬で温かいお湯でいっぱいになった。いい湯加減でした。
風呂上がりに渡された服は、デザインは異なるが、日本で来ていた服と同じぐらいの着心地であった。
そして、案内された食堂では、こちらの体調を考慮してか、胃にやさしいながらも、しっかりと味のする料理が振るわれた。思わず夢中で食べてしまい、温かい目で見られたことは恥ずかしいやらなんやらだった。しかし、一番驚いたことは
「まさか、師匠がショタ爺キャラだったなんて……」
館に連れてこられたその日、食事が終わり、お腹が飢餓以外の理由で物理的に膨れて、人心地ついていたとき、向かいの席でコーヒーを啜っていた師匠がふと思い出したようにこちらを見て、
『そういえば、もう一つ、伝えておかねばならないことがあったんじゃった』
と言い出した。まだ何かあるのか?もうお腹いっぱい(精神的にも物理的も)だよとおもいながら、
『伝えたい事?それって何ですか?』と怪訝そうに尋ねると、真面目そうにしながら
『うむ、お主が弟子になると決まった以上、いつまでも隠しておくのはどうかと思うしのう』
そう行ったあと、師匠の体は光の粒子につつまれ、輪郭が変化していった。そのことに思わず口から『へ?』の音が出てしまうが、そのことは直ぐに意識から消えていった。
なぜなら、光が収まり、粒子が消えたその場には、年12歳ほどの白髪の少年が立っていたのだから。思わずフリーズしているこちらを、口だけを笑みの形にし、
『改めて自己紹介させてもらおうかの。今日からお主の師匠になるゼクト・フィリウスじゃ。よろしく頼むぞ。我が弟子よ』
と悪戯そうにいってきた。その言葉に固まっていた意識の時が動き出し
『ええええええええええええぇぇぇぇぇぇ――――――――!!?』
と、自分が女になっているとわかった時と同じぐらいの声が、食堂を響かせた。
あれから半年が経ち、最初のころとは比べられないほどに体調は良くなってきている。
飢餓状態により、子供とは説明できないほど膨れていたお腹はへこみ、四肢は子供らしく健康的である。
頬も膨らみ、渋柿のような顔から満月のように丸い子供らしい顔となっている。
髪も、きちんと手入れすることで肩甲骨までの鮮やかな紫色となっていた。
ただし、その眼だけは年に似合わない理性と子供らしい光が宿っている。
つまり、何が言いたいのかというと
「最初と比べると見違えたなあ……。ロリコンどもがお持ち帰りしちまうんじゃねーの?」
割り当てられた部屋にあった姿見をのぞき込んで、思わず感想が口から出てしまった。そう、今では自分の体になっているとはいえ、余りにも愛らしかった。動物で例えるならば子猫のようである。二次元のキャラクターがかわいいのはは一般的であるが、現実となってからもポテンシャルが高いのは予想外だった。
「いや、子供は可愛いからこれは当たり前のことなのか…?」
子供の愛くるしさは世界共通なのだから、と考えていると、雷が落ちたような閃きが頭をよぎった。
「トリスは原作では二十歳近くになっても、幼児体系の見た目中学生ぐらいだったはず……!つまり、この体は大人になっても子供の愛くるしさを保てる!ということか……!」
ロリコンが追い求める永遠のロリキャラに………!
そこまで考えて、何を言っているんだ?と自分で自分に突っ込み、いったん頭を冷やす。
自分に突っ込みながらも、身支度を進めていく。寝巻のジャージのようなものを脱ぎ捨てて、用意してあった服を着る。服はシャツとズボン、その上に特別性のコートを着る。
このコートは余った放出される微量の魔力を吸収・再度体に取り込ませることで、魔力の最大値を増やす、という魔力版の「巨人の〇」に出てくるマススーツのような役割を果たしている。そんな便利なものならみんな使っているのかと思ったがそうでもないらしい。
『召喚術師たちは、いかに魔力を媒体となる石に効率よく渡せるか、という考えが主流じゃ。魔力の過多は生まれや血統で決まっていると考えておるから、こういった道具はないんじゃよ。それに、これを作る技術も材料も奴らにはないからの』
コートについての疑問を尋ねると帰ってきたのはこの回答であった。ちなみに、ベッドにも同じ効果がついている。
つまり、かなりのレアものだよな、と思いながら身支度を整え師匠が待つ食堂へと向かう。
食堂に行く途中、体が透けているメイド服を着た女性が向こうから浮いてきた。
「おはよう、シルキー」そう口に出すと、スカートの裾をつかんで頭をさげて、挨拶してきた。彼女はこの家の家事を一切合切仕切っている妖精のシルキーだ。
名前はあるらしいが、それを知っているのは師匠だけである。なんでも
『彼女のように精神だけのような存在は名前が大きな意味を持つ。ゆえに雇い主のわしだけが知っておるのじゃよ』自慢げに述べながら、コーヒーを飲んでいる彼の前に、コーヒーばかり飲むのは体に悪い、と言わんばかりにミルクを置いて去っていく彼女をみて、(仲がいいんだなぁ)と文句を言う師匠をみながら思ったものだ。
「師匠はもう、食堂にいる?」
かつてのことを思い出しながら訪ねると、首を縦に振り、去っていく彼女に礼を言い、師匠がいる食堂へと入っていった。
「おはよう、トリス。疲れはとれているかの?」
相変わらずコーヒーばかり飲んでいる師匠はいつものように朝の挨拶をしてくる。
「おはようございます、師匠。疲れはありません。コーヒーばかり飲んでいては体に悪いですよ?」
そう返すと、苦虫を噛み潰したような顔を取り
「お主までシルキーのようなことを言ってくれるな。だいたい、わしの体は人のそれとは違うことは知っているじゃろ?」
そう言いながら、コーヒーの残りを全て飲み干す師匠。
そう、彼は人間ではない。彼は付喪神のような存在なのだ。アーティファクト【チシキノダンペン】それが彼の本体だ。ありとあらゆる知識を収集し、人に伝えるために再現することを目的とした存在。それが私の師匠だ。
始め、このことを打ち明けた師匠は私の目をみて『どう思う』と聞いてきた
『どう、とは?』そう返すと、師匠は腕を組み
『うむ、じゃからわしのような人ならざるものが師になることをどう思った?』
と聞いてきた。その質問に少し考え
『つまり、師匠は生きた知恵袋なんですね』
と返すと、安心したように薄く微笑み、
『そうじゃな、その認識で構わんよ』
そのあとにシルキーの紹介され、この屋敷での生活が始まった。
食堂のいつもの椅子に座ると、シルキーが台車に料理を乗せて運んできた。
台車から机に移される料理は、焼き立てのパン、クリーミーなコーンポタージュ、カリカリのベーコンや半熟に目玉焼き、みずみずしい野菜と牛乳であった。
シルキーに礼を言って、「いただきます」の一言の後、手を付けだした。一口一口味わうように食べていると、向かいの師匠が呆れたように
「いつも思うが、毎度毎度うまそうに食べるのう。それだけ旨そうなら、用意したシルキーもうれしいじゃろうな……」
そう言いながらコーヒーのお代わりをシルキーに入れてもらっている。
「当り前じゃないですか、師匠!こんなおいしい料理味わなかったら、しつれいですよ!」
そう反論すると「わかった、わかった」といいながら師匠は手をひらひらとさせる。頬を膨らませて不満の意を表していると、シルキーが嬉しそうな雰囲気出しながら台所に去っていく。
「それにしても、お主もだいぶかわったのう」
手のコーヒーカップを揺らしながらこちらを流し見してくる。そんなに変わっただろうかと首をかしげていると、
「最初は男口調じゃったし、一人称もオレだったじゃろ?体もまるでシルターンにいる餓鬼のような有様じゃったしのう」
と思い出すように告げてくる。たしかに自分でもだいぶ変わってきたなぁと、しみじみ思う。
日々が過ぎると同時に少しずつ俺と私は混ざっていった。女への違和感も少しずつ薄くなってきた。また、男だった時の記憶も思い出せなくなってきた。
もちろん、怖いと思ったこともあったが、そういうものだと納得した。もとから楽天家で事なかれ主義だったことでもあるし、人格に変わりがなかったのも理由のひとつだろう。それに、一度死んだ身だ。
「まあ、いい。それよりも今日の特訓じゃが。」
自分で言い出したことなのにサラリと流して、今日の予定を告げてきた。
「あの~師匠?そろそろ魔法の実習をしたいのですが?」
恐る恐るそう意見を述べると、
「未だ魔力操作が完璧でないひよっこがぬかしよるのう」
と無表情に告げてきた。それに対して何も言えない私は黙り込んだ。
師匠の弟子となり、早半年。その間にしていたことと言えば座学と魔力操作だけであった。
『まずは体調を整えることが先決じゃの。それまでは座学と魔力操作を集中的にしようかの』
弟子になって魔法をつかえる!と意気込んでいた私に言われたことがこれだった。
それからはひたすら座学と魔力操作ばかり。
座学では召喚術と魔法の違いなどを勉強した
『召喚術の特徴と言えば、術は召喚獣に頼っていることがあげられる。つまり、召喚師は魔力タンクであると同時に召喚獣の操作だけに集中しておればよい。術の過程も、召喚と送還だけじゃしの。一方魔法は術のプロセスすべてを自分で行う必要がある。必要な魔力の捻出、術式の構成、周囲の把握、術の操作すべてを。代わりに魔法は術式の根幹に逸れてないのならばある程度の自由が利く。【火】の魔法なら火種程度の火から、鉄を蒸発させるほどの火まで、すべて己の才覚だけで実現することができる。』
もちろん、難しくなるがの、とだけいって何か質問はないかとこちらに目線を向けてくる。
『それなら、召喚術のほうが簡単に使えていいんじゃないんですか?』
そう尋ねると師匠は『そうじゃな』と首肯する。ただし、その顔はゆがんでいる。
『確かに召喚術はその習得の容易性、使用性の簡潔性から重宝されておる。実際、サモナイト石に誓約を結ぶ儀式以外ならそこら辺の子供でも使用することができる。逆に言えば、誰でも使用できるせいで暴走が多いことじゃ。』
そこまで言って、一度区切り
『お主の兄のようにな』
と告げてきた。そう言われて、暴走のことを思い出して少し顔を青くしたこちらを心配するように
『大丈夫か?大丈夫でないなら一度話を中断するが?』
と聞かれたが、首を横にふって授業の先を促す。
『そうか、それなら先を続けるぞ?他にも召喚術は召喚した召喚獣が元の世界に返されていない現状がある。昔は送還術を使えるものがいたのじゃが、今ではほとんど見ることのない。さて、問題じゃ。これは何が問題じゃと思う?』
そう聞かれて、召喚獣が帰らないと何が問題か考える。
『召喚獣が帰れなくて困る?』『違う』
『帰れない召喚獣が人々を襲う?』『違う。それは自業自得じゃ』
『呼びたいと思った召喚獣が呼べない?』『違う。召喚獣は基本的には一体一体異なる個体が呼び出される。ブッキングしたり、理想郷にいた場合は魔力が多いほうに呼び出される』
頭をひねって考えるも、これ以上は出てこない。白旗を上げると
『正解は魂が正しく循環されないじゃ。』と言ってきた。何のことだと思っていると、
『この世界と取り巻く四つの世界の魂の循環について前教えたな?』
といわれ、世界の魂の循環について思い出す。たしか……
『魂は機界ロレイラル→鬼妖界シルターン→霊界サプレス→幻獣界メイトルパの円環の形となっています。また、これはそれぞれの世界の相性も表しています。そのなかで、この理想郷はそれぞれの界に挟まれるように存在します。理想郷から各世界の魂の循環はさほど活発ではないのは、結界が張られているからです』
そう答えると、答えに満足したようにうなずき、
『そうじゃの。正確に表すには言葉ではちと難しいからの。それぐらいでよかろう。ここで問題なのは、理想郷と各世界の魂の循環が四つの世界の循環ほど活発でないことじゃ。理想郷は結界が張られておる。これにより四つの世界の魂が簡単に入ってこれないようにしている。さらに、この結界をすり抜けて魂を循環に乗せるために【送還術】が使用された。』
しかし、と一度ここで区切り、厳しい顔で水をコップに注ぎながら、
『【召喚術】により魂がこの理想郷に呼ばれることで状況が一変した。本来循環に乗るはずだった魂はこの世界にとどまり、滞ってしまった。こうなると、この理想郷の容量は厳しい状況になってくる。しかも【名もなき世界】という本来なら隣接していない世界ともつながってしまい、その容量は圧迫される一方じゃ』
まるでこのこっぷのようじゃな、と注がれていく水を見下ろす。
『このままだと、どうなるんですか?』怖い想像をしながらも尋ねると、水は表面張力を超え、、
『世界は結界の崩壊するじゃろうな。それも、過去の【誓約者】が結界を張る以前よりも酷い有様となるじゃろうな』
水がコップからあふれ出し、床を濡らしていく。淡々といわれ、絶句する。この世界が崩壊する?そんな物語のクライマックスで明かされるような真実をきいて、個人で聞かされても、と狼狽えながらも
『人々に知らせないんですか?』と聞くも、首を横に振られる。床にこぼれた水はいつの間にか消えていた。
『既に【召喚術】は世界にひつようなものとして根付いている。どうしようもできん。【送還術】の使用者もおらんしの』
なにかしらのご都合主義的な展開があるなら話は別じゃがの、と付け加えながら
『もう一つは召喚術の術式構成の欠陥じゃ』と続ける
『召喚術のプロセスは大まかに言えば、召喚、使役、送還の三工程じゃ。このうち、召喚と送還のプロセスは=で結ばれている。つまりじゃ、送還されない限り、結界に空いた召喚用の穴は完全に閉じない、ということじゃ。もちろん送還されるまで穴はできる限り小さくなるがの』
続けて言われたことにもはや、頭はパンクしそうだった。こんなことを言われても……
『どうにかできないのですか?』
途方に暮れて聞いてみると、くびを横に振って『無理じゃな』と返される。
『【召喚術】の術式は【送還術】を基にしたものじゃ。術に必要なサモナイト石、術者の組み合わせは他の誰にも手出しできない。手出しするには【送還術】か結界に直接携わるものでなければ不可能じゃ』と続けられ、思い悩む。
そんなこちらに対してあっけからんと『大丈夫じゃよ』とら頭に手を置かれる。
どういうこと、とゆう意思を目に込めて睨むと
『確かに結界は【召喚術】で負荷を負っているが、限界までにはまだ余裕がある。そうそう敗れることはないじゃろう。それに、召喚術に関する穴は時間が経つ、または、呼び出された召喚獣が死ぬことでほぼ閉じられるしの。』
まぁ、魂に関しては時間か特別な術式が必要だがの、と不安なことを付け加えながら
『お主が人間としての寿命を果たすころはまだ結界も持って居るじゃろう』
と付け加えながら授業は次に進められていった。
色々不安になることを聞かされながらも、座学では時折出される課題に答えながら進められていった。
魔力操作に関しては座禅で魔力を感じるところから始まり、水の上にたったり、用意された込められた魔力を数値化する道具で出される魔力を込めたり、シャボン玉を魔力を使って体に纏わりつかせたり、など様々な訓練をした。さらには魔力を使った瞬動など魔力を使った実演を見せてもらった。
しかし、最初は大きい魔力に振り回されるように訓練では失敗の連続だった。それでも、最初のころとは見違えるようになったのだが……。
こちらの不満を感じ取ったのか、少し考えるようにして
「それなら、午前中にテストをしてその結果が良かったら、午後から魔法の実習を考えてやろう」と提案していた
「本当ですか!?それなら急いで用意しないと」
これは、絶対にテストを失敗できない!と意気込み、朝食を食べ終わり
「ごちそうさま!シルキー!後片付けよろしくおねがい!」
と伝え食堂から飛び出ていく。頭を下げて了承の意をしめすシルキーと、呆れたように「やれやれ」とため息を漏らす師匠だけが残された。
「まったく、元気じゃのう……。」そう言いながらもコーヒーを啜る彼は師匠というより、保護者であった。。
シルキー……『魔法使いの嫁』に出てくる家事妖精(ブラウニー)。どこかの弓兵じゃないよ!シルキーという種族だったと思っていましたが、家事妖精だったんですね……。作者の『魔法使いの嫁』で三本指に入るお気に入りのキャラ。容姿や性格を流用しました。本のカバー裏の『シルキーちゃん日記』は必読物。カワイイ
【チシキノダンペン】=ゼクト・フィリウス……元ネタは『魔法先生ネギま』のアルビレオ・イマのアーティファクト【イノチノシヘン】。キャラとしては好きだけれども、あのキャラを再現するのは無理だと思い、断念。
理想郷と四つの世界と名もなき世界……攻略本の絵を見て思いついた設定。魂の循環の中にリィンバウム向きがなかったから。リィンバウムと書くか理想郷と書くか悩みどころ。
召喚術と送還術……魔法と対比するために独自解釈を増設。いや、5で結界壊れちゃってるし……。アティさんが結界壊れた後の状況述べてるし。実は、ネギまの【完全なる世界】の世界を救うため~~という設定が頭にあるのだが、そこに至るまでにエタりそう。