召喚術の世界に憑依したけれども、魔法を使っていく 作:クーネル・アソーブ
しばらくの間、貯め書きしたり、今まで投降した作品の見直しをするので、投稿を控えるつもりです。
きちんと連載を再開するつもりです。
多機能フォームの使い方がわからない………
テストで高得点を得るためにできることは何だろうか?
教師に方々に聞いて帰ってくる答えは「予習、復習などの日々のたまもの」である。
確かにそれは正しい。基礎ができていなくては応用や発展は見込めないからだ。
しかし、待ってほしい。日々習っている内容すべてがテストに出るわけではない。問題を出すのはそれぞれの考えがある教師である。(これは覚えていてほしい)(これは分かってほしい)(ここは悩んでほしい)等、教師たちは考えているのだ。
何が言いたいのかというと、普段からしっかりと座学を修めてなおかつ、師匠がどういった問題を出すのかなんとなく予想ができる私は無事、テストを合格して魔法の実習に移れた、ということである。
昼食後、師匠とともに屋敷の裏庭に出ていた。半年前から住んでいるこの屋敷は、一辺が50Mの正方形の石の壁に囲まれている。その正方形の真ん中に屋敷は建っており、正面はいつでも来客があっても大丈夫なように綺麗に整えられている。一方、表から目が届かない裏庭側は作物が栽培されていたり、倉庫が建てられていたりと、生活臭がとてもする。そして、裏庭には開けた空間もある。ここは、魔法を試したり、運動したりと実際に訓練するための場所であり周囲に被害が出ないように結界が張られている。
そんな場所にきた師匠はこちらを振り向いて、ポケットから伸縮式の杖を取り出した。
「さて、魔法を実際に使う前にもう一度おさらいじゃ。そう、嫌そうな顔するではない」
おさらいと聞いて、感情が顔に出ていたのか注意を受けてしまった。
「さて、魔法とは【魔力】をエネルギーに超常現象を引き起こす力じゃ。引き起こされる現象は限りなく自由度が高い。矛盾している事象を再現したり、不可能を可能にしたりの」
手に持っていた伸縮式の杖をのばし、先に水が出現し、空中で姿を動物や食べ物、道具などの形に姿を変える。
「このように、本来の物理現象では起きるはずがないこともできる。これは【召喚術】でも同じことじゃ。異なっている点は、我々【魔法使い】は自分たちですべて掌握していることで、自由度が高いことじゃ」
そう言いながら、杖を振ると水が凍りつきながらも、水のように姿が変わっていく。
「しかし、余りにも自由度が高すぎると持て余してしまう。そこで出てくるのが術式じゃ」
空中に出されていた魔法による氷が、重力を思い出したかのように地面に落ちるのに目を向けず、設置されていた目標に杖を向ける。
「魔法の射手!連弾・光の101矢!」
その詠唱とともに、目標へと向けられた杖からは光の塊が飛んでゆく。瞬く間に目標に到達したそれらは、炸裂弾がぶつかったように目標を破壊した。破壊された目標をしり目に、
「このように、決められている術式を使用することで定められている超常を引き起こすことができる。さらに「師匠~、もう説明はいいですから、魔法を使わせてくださいよ~」は………」
余りにも説明が長かったので途中で遮って文句を言うと、無表情に何か言いたげな目を向けてきたが、そんなのは無視する。それよりも、さっきから魔法を使いたいという欲求が抑えきれない。たぶん、自分の顔はお預けを食らった犬のようになっているであろう。
「………ハァ~、そうじゃの、今日は座学ではないからのう……」
しきりなおすように師匠はそう言って、手に持っていた伸縮式の杖を渡してきた。
「魔力の操作はできておるか?魔力を杖に送りながら’’火よ灯れ’’と詠唱するのじゃ。」
そう言ってやってみろと腕を組んでこちらを見てきた。
初めての魔法行使にドキドキが止まらず、魔力を思いっきり杖に送り込みながら、
「’’火よ灯れ!!’’………………あれ?」
杖からは何も出てこず、ただ魔力だけが漏れ流れていく。
「最初から成功するはずがなかろう。」
その様子をいつも通りの無表情で、師匠は口を出してきた。
「まず、魔力を入れすぎじゃ。その術式にはそれほど魔力はいらん。次に呪文は、ただ唱えればいいものではない。引き起こされる超常に対するイメージが重要じゃ。」
組んでいた手を解き、上に向けて広げられた右手に小さな赤い火がともる。
「’’火’’一つも千差万別じゃ。ただの火種の火から」右手の小さな赤い火は、柱のような形の蒼白い火に変わる。「このように、鉄すら溶かす火まである。この中から、自分が思い描く’’火’’を作り出さねばならんのじゃよ」
右手の火が消えるようになくなり、もう一度やってみろと催促される。
言われた通り、自分の火に対するイメージを思い浮かべながら、
「“火よ灯れ”!」杖を振る。今度は成功したらしく、杖の先からガスバーナーのような火が出てくる。魔法が成功したことに思わず空いている手を握りしめていると、
「ふむ、不思議な形じゃが成功したようじゃの。この“火よ灯れ”は術者のイメージ通りの火を出す魔法じゃ。ただし、基本となる形からズレていくほど、消費される魔力は上昇する。これは、他の魔法でも同じことじゃから気を付けるようにの?」
「わかっていますよそれぐらい。さんざん、座学でやったんですから。それよりもついさっきの魔法を教えてください!」
小言を軽く流し、次の魔法をお願いする。本当にわかっているのか、こやつは?と言いたげにしながらも、術式が空中に文字で描いていく
「……………ついさっき使ったのは”魔法の射手・連弾・光の矢”という魔法じゃ。”魔法の射手”自体は非常に使い勝手がよく、魔法使いなら最初に習うのはこの魔法か、あるいは類似するもの、というほどじゃ。途中の”連弾”は数を増やすための術式、”光の矢”は破壊属性の光を選択するという意味じゃ。最初は”連弾”ではなく、”魔法の射手・光の1矢”にしなさい。ん、どうしたのじゃ?」
術式を説明されて、違和感をうけた私は、それが出ていたのであろう、心配されてしまった。
「いえ、何でもないです。それよりも先生、ついさっきのは”光”なんですよね?」
首をかしげながら質問の意図を読み取ろうと、「そうじゃが、本当にどうかしたのか?」と聞いてくる師匠をしり目に、考える
(”光”ならどうして速さが見える?光が進む速さは文字同時、目に捉えられないほどなのに……。それに、どうしてものが壊れるの?)
この時、トリスの日本人であった頃の拙い知識が頭にあった。光は最も早い存在であること。そして光には質量がないことを。
この時、彼女は気づくべきであったし、師匠はもう少し聞くべきであった。中途半端に覚えている科学と、魔法のイメージによる自由度、そして、彼女が保持する魔力が合わさったらどうなるのかを。
(光なら速さは文字道理”光速”。ぶつかって目標が破壊されたのなら”質量はある”。……)
本来の術式とは別に、頭の中でイメージによる術式を無意識に組み立てながら、必要であろう魔力を杖にそそぎこむ。もしも、彼女がもう少し術式について無知であったなら。必要であろう魔力を無意識に理解して、なおかつそれを込めることができなかったなら。結果は変わったかもしれない。
傍で見ていたゼクトはその異常に気が付いた。杖に込められる魔力。弟子のトリスの様子。なにより、これまでの修羅場を潜ってきたことにより、鍛えられた直観が危険信号を鳴らす。
(これはやばい………!!)それに気づいた彼の対応は、彼の力量の高さを表していた。張られている結界の術式の強化。屋敷への曼陀羅のような結界。自分とトリスへの防御魔法・支援魔法。そのすべてを一瞬で組み立て、実行した彼の力量は素晴らしいものだった。
しかし、天才/天災はそれを凌駕した。
目標に向けられて「”魔法の射手・光の1矢”!」と唱えられ、杖から魔法が完成した瞬間、
轟音が鳴り響き、衝撃があたりを突き抜けた。
「きゃああぁぁぁあぁぁぁああぁぁ~~~~~!!??」「トリス!?ぬぅお!?」
衝撃によって飛ばされたトリスに注意を向けたゼクトも魔法が耐え切れなくなり、飛ばされることとなった。
「あぁ~~~~~、いたっ!?」
まるで台風によって舞う木の葉のように飛ばされたトリスは屋敷の壁にぶつかり、ようやく動きが止まった。
「っ~~。いったぁ、なにがおこったの………?」
打った頭を抑えながら目標があった場所に目を向けて、言葉を失った。
そこには爪痕しか残ってなかった。目標も、整えられていた芝生も、仕切られていた石の壁も、壁の向こうに広がっていたであろう森も、何もかもが消えていた。地面は抉られ、高熱のためかガラス化していた。石壁も残存する部分の端がオレンジに光り輝いている。森は直線状にあった木々は消え去り、残っている木も押されたこのように倒されている。
「えっ、なにこれ?なんで?」
状況が飲み込めず、呆然としていると家から慌てた様子のシルキーが飛び出てきた。シルキーは魔法が飛んで行った方をみて顔を驚愕に染め、呆然としているトリスを見て慌てて近づいてきた。
「大丈夫だよ、シルキー。体は打ったけど、師匠の魔法のおかげでそれほど酷くないから。それよりも、師匠は?」
心配するようなシルキーをなだめ、周囲を見渡す。おそらく自分の魔法によって引き起こされたであろう土煙が漂っている。シルキーとともに探していると、離れたところに倒れているローブが見えた。
「あっ、いた!ほら、シルキー。あそこに師匠がいるよ!って、待ってよ!」
一緒に探していたシルキーにゼクトが倒れている場所を指さし、教えると、指がさされた先にいるゼクトの姿をみて走り出したシルキーの後を追う。
シルキーはゼクトの傍に行くとゼクトの様子を見るように顔を覗き込んだ。
「シルキー!師匠はだいじょうぶなの!?」
近づくにつれて、微動だにしていない師匠が心配になり、安否をシルキーに尋ねる。
「………………」声は出せずとも、いつも何らかの方法で答えてくれるシルキーだが、この時にはなにも反応してくれない。焦りながらも自分もゼクトの顔を覗き込む。
「師匠!大丈夫です……か………??」
最初は焦りを顔に出していたが、ゼクトの顔を覗き込むと、その表情は困惑の色が強まった。ゼクトにはパッと見、怪我がないように見えた。服にも汚れは見当たらず魔法で防いだことが読み取れた。
ただし、その顔は何時もと様子が異なっていた。
「……………術式が破られた?術式にほころびがあった?いや、結界自体にはほころびはなかった。ならばなぜ結界が破られた?それにあれは何だったんだ?使用した魔法は”魔法の射手・光の1矢”だった。しかし、あれは初級呪文。いくら強化しても上級の防御呪文を突破するなど……………」
無表情の顔に、目は考え事をしているのか目の前にいるシルキーやトリスに気づくことはなく、焦点はあっていない。口からは自分の考えをまとめるためか、術式に対しての考察が絶えず流れている。今までなんだかんだで師匠は此方からの呼びかけに応じてくれた。しかし、今は呼びかけに答えず、口だけを動かしている
つまり、不気味であるといことだ。
「し、シルキー?師匠は大丈夫なの?」
今までに見たことのない様子だったのか恐る恐る尋ねるトリスに、今度は反応し大丈夫と言いたげにその顔をうなずく。その顔は疲れていた。
シルキーはゼクトの頬をぺちぺちとたたくが、考察に集中しているのか反応がない。その対応に表情をいつもの無表情にし、指をチョキの形にし、ゼクトの目に入れた。
「………術式の耐久力が「ブスッ」ッギャーーーーーー!!??目が、目がぁあああ!?」
流石に目つぶしを食らったら外界に反応せざるを得なかったのだろう。自分の目を手で覆い、転げまわる。そんな彼を見下ろしながら、フンスッと息を吐くシルキー。それを一歩離れてみてオロオロしているトリス。彼らの後ろには魔法による爪痕が残っている。
「すまんのぉ、思いがけない事態に思わず我を忘れてしまったわい」
そう言いながら目つぶしを食らったせいか、目を赤くしてトリスを見る。涙目のゼクトをみてどこかゾクゾク来るものを感じながら、続きを促す。
「っ、なにか寒気がしたんじゃが?」「風邪ですか?」
いや、風邪はひかないのじゃがのう、と首をかしげながら、魔法によって破壊された壁や目標を見る。
「まさか、初級呪文でこんなことになるとはのう………。いや、謝らなくてもよい」
思わず謝罪するトリスにそう言いながら、杖を掲げる。
「とりあえず、外の森も直しておかんとのう……。その前に”治癒”っと」
その呪文とともに、光が杖から出てきてトリスを包む。くすぐったい感覚を覚えながらも擦り傷が消えていくのを眺める。
「うむ、次は、”Reparo”っと。」
トリスをみて満足したゼクトは、今度は杖を森のほうにむけ、別の魔法を放つ。倒されている木々や壁、地面は時間が巻き戻されるように治っていく。
「すごい…………」
その光景を呆然と目を大きく開く。そんな弟子をしり目に作業を続けていくゼクトは修復が終わったことを確認したのか周囲を見渡し、杖をしまう。
「さて、説明してもらおうかの?」
そう言って振り返る師匠の顔は無表情でありながら、目がギラギラと輝いて怖かった。
落ち着いて話をするために食堂に移動して師匠に聞かれるままに術式について答えた。
「なるほどのぅ……、納得したわい。」
コーヒーを飲みながら、師匠は納得したように思案にふけっていた。おそらく、自分でもできるかどうか考えているのだろう。
「師匠、いままでこんな事例はなかったんですか?」
「突然、同じ魔法なのに、これほど効果が変わるという事例はなかったはずじゃ。魔法の術式とは”どのような効果を発揮するか”というものに他ならない。今回のように、初級魔法があんな非常識なものになるなど普通はありえん。」
恐る恐る尋ねると、キッパリと答えが返ってくる。それは、そうだろう。魔法が同じなのに、効果が違う、なんてことがあったら術式の意味がなくなってしまう。
「じゃが、しれは大多数の場合でしかない。一部のものにはそれが当てはまることはない。」
なぜだが、顔を険しくしながらそうつけ足してきた。
「そんなの習ってないのですが……。それで、その一部とはなんですか?」
知らなかった言い訳と、そんな非常識な一部が何なのかを尋ねる。もし、そんな存在がいるのなら、魔法の術式を習う意味がなくなってしまう。
「うむ、その一部というのは天才と一部の高位精神生命体などの天災じゃ」
顔を未だ険しくしながら話は続けられる。
「天才というのは魔法を後天的に習得した者たちの中で、他と比べて異様に才能があった者たちのことじゃ。感覚で魔法を組み立てるものもいれば、知っている知識を粘土のようにこねくり回し、新しい魔法をポンポン作るような奴らのことじゃ。ハッキリ言うと理不尽の塊じゃの。
そして、天災のほうは、魔法を使える時から魔法を手足のように使える者たちのことじゃ。こちらは天才とは異なり、種族や血統の中でもごく一部の者たちから出現してくる。多くは高位精神生命体や、霊格の高い存在たちが代表される。最初から立っているステージが異なる存在じゃ」
そこまで説明して、残っていたコーヒーを喉の奥に流し込む。え~と…
「師匠、何か怒っていません?やっぱり、怒っていますか?」
恐る恐る尋ねると、罰が悪そうな表情で
「いや、お主には怒っておらぬよ。ただ、昔に天才と天災の両方に会ったことがあっての。その時のことを思い出しただけじゃ」
「どんな人たちだったのですか?」
好奇心の赴くままに尋ねると、またもや師匠の顔は険しくなる。
「まず、天才のほうじゃが、適当に魔法を唱えるだけでこちらの使う魔法を軽々と超えるようなやつと、わざと相手と同じ系統の、より強い魔法をその場で作るやつがおった。前者は人の話を聞かないし、後者は嫌な奴であった!」
話していると昔のことを思いだしてきたのかヒートアップしていく。こんな師匠は見たことがなくて、新鮮だった。
「天才の奴らもぶっ飛んでいたが、天災のほうは輪をかけたような有様じゃった!なんじゃ、『便利だから』とは!そんな理由で天候を弄られたらたまったもんではないわ!それに、花が欲しいといわれて、一面花畑にするやつがあるか!もともと生えていた薬草が全部パーじゃ!大体アヤツは…………」
一度思い出したら、収まりが利かなくなったのだろう。次々と不満をぶちまけていく。
そんな師匠を見ながらどうしようかと思っていると、シルキーがお風呂の準備ができたことを告げに来た。
「ありがとう、シルキー。それじゃ、後のことヨロシク」
文句を言いながら、だんだん顔が黒くなっていく師匠から逃げるように、風呂へ向かう。
すまない、シルキー。私にはどうすることもできない………!
後でシルキーを労わろう、と心に決めながら風呂場へと向かった。
………というわけでアヤツはどうしようも、おや、トリス?」
いつの間にか目の前から消えていた弟子に首をかしげながら、シルキーにトリスがお風呂に向かったことを聞かされる。
「なんじゃ、聞いてきたものがおらんのに、話し続けていたのか。まったく………」
そうこぼしながら、新しく注がれたコーヒーを飲みながら、考えるのは弟子のことである。
(あの子は初級呪文をあんな規格外に変えた。間違いなく、天才の人間じゃろう。しかし、)
コーヒーを机におき、頬をつき、考えを深める。
(どこか、違和感があった。まるで、アヤツらのような天災の………)
そこまで考え、ため息をつきながら、これからのことを考える。
「どちらにせよ、しばらくは面倒ごとが続くじゃろうなぁ………」
これから切るであろう憂鬱な出来事にたいして、頭を回す。新しい弟子のために。
その後ろではシルキーがいつも通りに控えていた。
"魔法の射手"読み方は"サギタ・マギカ"属性によって効果が変わる。学校の講義でふと思いついたことから魔改造。原作でもネギの"魔法の射手"をアーウェルンクスが「上級魔法並み」と評価していたしこれぐらい大丈夫のはず。この作品では《高速で動く、質量をもつ矢を放つ》と解釈されたけっか。基礎が奥義なんてよくあることだし、大丈夫
"治癒"読み方は"クーラ"ネギまにでてくる回復魔法。適正によって効果が変化するもよう。京風美人近衛木乃香はから。魔法による治療って失われた肉体をどう解釈してんですかね?
"Reparo"読み方は"レパロ"壊れたものを直す呪文。ハリーポッターより。壊れたものを直すとしか説明されていなかったので解釈を拡大し、壊れたものを壊れる前のものに近づけると設定。