召喚術の世界に憑依したけれども、魔法を使っていく   作:クーネル・アソーブ

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言い訳させてください(正座)
バイトが忙しかったんです。表現力がたりなかったんです。短編書くのが楽しかったんです。ネタ集めに出かけていたんです。
つまり今後も大体これぐらいの速さで更新していくということです。スイマセン。
えっ?出来?………ゲヘッ☆


5話

 

「これもどうですか?おいしいですよ?」

「は、はぁ………」

口に近づけられるクッキーを口に含む。サクサクしながらも中はしっとりとしていて、外側の包装からも高級品であることがわかる。

でも、今はあまり味がわからなかった。

向かい合う席では師匠がこちらを無表情に見てくる。何も言ってないのにとても居心地が悪い。

シルキーはそんな師匠にコーヒーを注いだり、私にお茶を注いでくれたりと仕事をしているが、ふとこちらを見た時の何とも言えない目に謝りたくなる。そして……

「それでは此方もどうですか?中にチョコレートが入っているケーキだそうです。中身はトロトロ、生地はふわふわだそうですよ」

そう言いながらフォークに突き刺したケーキをあーんしてくるこの男だ。中性的な顔を満面の笑みをうかべ、膝に抱っこしている私に次々と餌付けしてくる。餌付けされるものを食べるたびになぜか師匠が怖くなってくる

(どうしてこうなった……)

そう嘆きながらも差し出されるお菓子を食べる。味はおいしかった。

 

「あのっ、質問いいですか?」

つまむものがひと段落して、抱えられ頭を撫でられているけど、いい加減に質問しようと思い尋ねる。

「なんですか、トリス?このお菓子についてですか?」

指でつまむお菓子を示しながら笑顔で聞いてくる。確かにこのお菓子はおいしかったのでどこで売っていたのか聞きたいが今はそうじゃない。

「いえ、そうではなくて。あなたは何者なんですか?」

そう尋ねると頭を撃ち抜かれたようにのけぞるが、すぐに上体を戻して汗をぬぐっている。K,O寸前のボクサーみたいだな

「そ、そうですね、自己紹介がまだでしたね。私の名はレイム。そこの古本とシルキーの降るお知合いです」

「師匠とシルキーの?」

グロッキーな男、レイムさんに師匠とシルキーと知り合いと聞いて、師匠の方を向くとコーヒーを飲みながら横目でレイムさんをみて

「わしの知り合いにレイムなる名前の優男はおらんがな」

と冷たく返答した。どういうこと?

「すみませんね、本名はまだ話せないのです」

本名が離せない?まだ?

「どうしてですか?」

不思議に思い小首をかしげると言い聞かせるような口調で説明してくれる。

「私は前のあなたを知っていますが、あなたは前のあなた自身を思い出していないからです」

っっ!!前のって、まさか転生したことを知っているのか?でも前は名もなき世界の住人だったはずだし関係ないはずでは。

「フン、レイムと今は名乗っているんじゃったな。どうしてここがわかったんじゃ。隠しておいたはずだったんじゃがのう」

驚愕を隠していると師匠が口をはさんでくる。まぁあれが原因だよね?

「数か月前に身に覚えのある愛おしい魔力を感じましてね。仕事を部下に押し付けて駆け付けたんですよ」

「愛おしい……?やはりトリスは……」

またこの二人だけでわかる話をしている。こっちにも説明してほしい。

「えぇ、その通りです。古本も役には立つんですね。ほめてあげましょうか?」

「殺すぞ」

あっこれはダメだわ。師匠の手に魔力が集っている。レイムさんも周りが禍々しい。ほっといたらここで大決戦が始まりそう。

「あの、当事者である私には説明してくれないんですか?」

二人の間をぶった切るように話に戻す。

爆心地で二人の争いに巻き込まれるなんて死んでしまうからな。まだ死にたくない。

「ふむ、そうじゃの。確かに説明しなければいかんか。」

魔力を納め師匠が考えるように目をつぶり腕を組む。レイムさんも禍々しい雰囲気が消える。どうやら助かったようだ。

「トリスよ。転生というものをしっておるかの?」

………………ハッ!自分のことがばれたのか!?いや、まだばれてはないはず。ここは師匠から習ったことから答えよう。

「それぞれの世界の魂が循環することじゃないんですか?」

そう答えると頭の上から返答が帰ってくる。

「違いますよ、トリス。その転生では魂は別のものになってしまいます。今話している転生の定義は魂を生前のまま新しい肉体を与える事ですよ」

見上げると遠くを見るようなまなざしで語りだした。

「少し、昔話をしましょう」

あるところに他人を信じない男がいました。男は生まれつき他より強く周りは敵ばかりだったからです。男はある時沢山の敵からの攻撃を受け怪我をして動けなくなってしまいます。もはやここまでと思ったとき一人の女の子が男の前に現れます。女の子は男を助けるために必死に看病しました。男は最初、女の子の力を手に入れるために治療を受けましたがやがて女の子自身が欲しくなりました。男は女の子に金銀財宝を与えますが嬉しそうではありません。どうやったら喜ばせてあげられるのか分からなかった男は女の子のお手伝いに聞きました。お手伝いは一緒にいると嬉しそうだと答えました。男はそれから毎日女の子の傍にいることを決めました。すると、日を追うごとに女の子は笑顔になってきます。こうして女の子はと男はいつまでも一緒に暮らしました。

「ロマンチックな話ですね……」

「えぇ、そうです。この話がこれで終わればですがね」

男が女の子の傍にいるようになってから幾ばくか月日が経ちました。二人は幸せでしたが女の子の血縁者は男の力を求めてくるようになってきました。男は拒んでいましたがある日、女の子が人質になってしまいます。男は女の子と引き換えに力を授けましたが血縁者は報復を恐れ、男を殺そうとしました。それを聞いた女の子は男を助けるために頑張りますがその結果、命を落としてしまいます。男は泣き叫びました。そして女の子にある術式を掛けることにします。世界の理に反する魔法【転生】です。男はいつ女の子に【転生】の術式を施した後、故郷に帰りました。いつか転生してくる女の子を待つために。

「そして、話に出てくる男は私で、その女の子があなたなのですよ、トリス」

語り終わって視線を向けてくるがその眼と声は熱がこもり、どこか狂気的なものを感じる。

「えっ、でも私はあなたのことを……」

身に覚えがなく、向けてくる目が怖い、自分のかつての名もなき世界の記憶との辻褄合わせから聞かされる話は否定したい。でも、レイムさんは追いつめるように説明してくる。

「構いませんよ。なにせ、当時の私は力が足りませんでしたからね。他所の不具合があっても仕方ありません」

「それで、どう思いますか?」

「どう、とは?」

何が言いたいのかわかりたくなくてはぐらかそうとするけれども、ぐいぐいと押してくる。

「今の話を聞いてどう思いますか?」

「……………」

その質問に私は答えられない。身に覚えのなく、自分の知らない所で終わってしまった話の続きをしろと言われてどう答えればいいのかわからない。

彼が一途に話の少女に恋しているのは分かる。でも、私はその少女であるという自覚がないのだ。ならばどう答えればいいのだろうか?

「まぁ、今は返答はいりませんよ」

「えっ?」

答えを出そうと悩んでいると上からついさっきまでの熱が幾分か抜けた声でレイムさんがあっけからんと告げてくる。というか、今答えなくていいの?

「今のあなたは何も覚えていないのですからね。そんなあなたに答えを求めるのは酷でしょう。だから」

「覚悟してくださいね?私はあなたを逃がすつもりはありません。今のあなたも私から目を離せないようにしますからね」

ついさきほどまでとは比べられないほどの熱意がこもった声と笑顔に、頭がくらくらする。今日一日で考えることが多すぎて頭が痛い。

頭痛に苦しみながら立とうとすると、力が抜けて暗転した。

 

「のぉ、お主。今何をしておるんじゃ」

おそらく知恵熱で倒れたトリスをシルキーが運ぶために部屋を出て行ったのを見計らってゼクトは目の前の人外に問いただした。目の前の人外が司っているモノがモノである以上、ろくでもないことをしていることは確かだが、問題は此方に面倒を持ってこないか否かである。

「古本には関係のない話です、と、言いたいところですがあの子が巻き込まれてはたまりませんからね。デグレアで軍事顧問をしていますよ。相変わらず人間は愚かですね」

「トリスも一応人間じゃがの」

「トリス以外で」

「清々しいほどの翻しっぷりじゃの………」

若干呆れを声に乗せながらゼクトの頭の中では背景を読み取る。

崖上都市・デグレアは聖王国と最も近い旧王国領だ。そこの軍事顧問ということは争いに関わりやすいということ。ましてやこの男は………

「ともかく、あの子が危険なことに首を突っ込まないようにしてくださいね?」

ゼクトの心の内を知ってか知らずか、レイムは要求してくるが、それは無理だろう。

「保証はせんの」

戻ってきたシルキーがコーヒーを入れるのを見ながらレイムのかつての名前を口に出す。

「のぉ、メルギトス」

口に出した瞬間、部屋は冷たい水に使ったような錯覚にとらわれる。その出どころは銀髪の目の前の男が原因だ。

「その名を貴様に呼ばれたくはないですね」

笑顔でも言葉に強い拒絶の意思を述べてくる。情人ならそのまま言われたとおりにするのだろうが、ゼクトには懐かしい程度のモノである。

「メルギトスよ。トリスからは悪魔の力がみられた。それも上級のな。このことが何を意味するか分からんお主ではないじゃろ」

もう一度かつての名前を呼びながらトリスの状態を告げるとレイムは顔を苦々しそうにしかめる。

「騒乱に巻き込まれやすい、ということですね」

「そうじゃ、ゆえにわしがすることはあの子に自分の身を守れる力を教えることじゃ」

そう告げると渋々レイムは引き下がる様子を見せる。

「やむをえませんね。しかし、何かあったら教えなさいね」

前の時も自分の目の届くところで籠に囲い込んで大事にしていたいと執着心を持っていた男である。随分と柔らかくなったなと感じながら胸を指す。

「うむ、お主のつけていたこの術式を通じてでいいかの」

「………気づいていましたか」

「害はないから放っておいたがの。それで、話は終わりかの」

終わったんならとっとと帰れと裏音声が聞こえたのか唇を引きつりながら帰り支度を始める

「ええ、これで終わりですね。それでは失礼しますよ、古本、お手伝い」

「さっさと帰れ」

ぺこり。

それぞれの別れの態度を出しながらかつて1人を中心に集まっていたものたちは分かれる。

 

 

門を出て後ろを振り返ると館が消えていくのが見える。結界が起動されたのだろう。

「また会いましょう。***」

待ち望んでいた出会いに心を弾ませながらデグレアへと戻る。力を取り戻すために。

 




プロットもなしに勢いで書いたせいか設定がガバガ………。リメイクしたほうがいいかも……
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