アルケミックD×D 作:春日和
「それにしても、昨日はマジで助かった。ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ寝る場所を貸していただいてありがとうございます」
「そんなこと言うなって。お前が俺を起こしてくれなかったら、俺は警察のお世話になってただろうし。マジ感謝」
「いえいえ、倒れている人を放っておかないのは人として当たり前のことですし。むしろ、その程度のことで見ず知らずの他人を家に泊めてくださったあなたこそ大変心がお広い。ありがとうございます」
「その程度じゃないだろ。起こした後も介抱してくれて、しかも快復してからも心配してついてきてくれるなんて、並大抵のことじゃないと思う。それに、見ず知らずなんて言うなよな。俺とお前の仲じゃないか」
「いえ、対して急いでいるわけでもなし、先ほどまで倒れていた人を住処まで送って差し上げたいと思うのは、人間として自然なことです。むしろ、恩着せがましくも押しかけるような真似をしてしまい、ご迷惑ではなかったでございましょうか」
「いやいや、全然そんなことないから!むしろ、話せてよかったと思ってる。大体、その自然なことを自然にできる人間が世の中にどれだけいるかもわからないぞ。とにかくお前には感謝してるんだ。ありがとうな」
「いえいえ」
「いやいや」
さっきから俺とお礼合戦を繰り広げているのは、昨日俺が倒れてたところを助けてもらったニコラス。一人で世界を旅して回ってるらしい。
話を聞いたときは、今のご時勢じゃ物語に出てくるような旅人なんてもういないと思っていたのと、俺と同い年くらいの奴が旅人やってることに驚いた。
あと、見た目からは全く想像つかないほど日本語が達者なことにも驚かされた。少し長めの金髪に黄色の目で、光の当たり方によっては金色にも見えるザ・外人さんて感じの見た目だったから、起こされた時はひたすら混乱してた。それが流暢に日本語で話しかけてくるもんだから余計に混乱しちゃって、ニコラスを困らせた記憶がある。
それに、日本人かと思うくらい謙虚な奴だ。ムカつくくらいのイケメンなのに、その行動と謙虚さのせいか不思議と親愛の感情が湧いてくる、なんとも素晴らしい人間だと思う。
……だが、不思議なこともある。
「……あのさニコラス、昨日のことなんだけど」
「はい、なんでしょうか?」
「何度も聞くようだけど、俺が倒れてた時になにかおかしなこととかなかったか?……その、血とか」
「はい、何度言っても面白みのない答えですが、特におかしなことはなかったと思います。もっとも、イッセー君が
そうなのだ。思い出したくもないことだが……
……確かにあの時、俺は
それが、起こされてみれば気怠さはあるものの痛みは特になく、辺りはきれいなまま、当然腹に穴が開いてたりもしない。