(…ふむ)
極東支部ラボラトリにある榊博士の研究室では、パソコンなどを多数に起動し、画面を睨んでいた
(リンドウ君の喪失ミッションから数分後に特異点の反応が検出されている)
榊博士はコンソールをとあるファイルに重ね、クリックする
(…成る程ね、そろそろご対面かな?)
人を小馬鹿にするような笑みを浮かべた榊博士は、またパソコンで研究などを開始する
医薬品の微かな香りが漂う、真っ白な病室でユイはベッドに横たわり静かに眠るアリサの傍の椅子に腰掛け、先日の不思議な現象をもう一度確かめるついでに見舞いに来ていた
「………」
ユイはゆっくりと、もう一度あの時のようにアリサの手に自分の手を重ねる。瞬間、手に触れたら、前と同じようにアリサの記憶が流れ込んでくる
とある廃ビルらしき場所で、まだ幼い頃のアリサらしき少女が彼方此方に隠れる場所がないか探していた
『もういいかい』
『まぁだだよー』
どうやらかくれんぼをしているらしく、遠くで少女を呼ぶ声に急かされるように少女は、近くにあったタンスに急いで隠れる
『もういいよー』
"もういいよ"、という声を聞き少女の両親は娘を探すべく、廃ビル中を探し回る。少女の隠れているタンスまでもう少しのところで『アラガミだ!アラガミが来たぞ!!』と外から声が響き渡り、少女の両親は急いで愛娘を探し、避難しようとするが悲しくも、その願いは叶わず突如現れた黒いヴァジュラに喰われ、その命を奪われた。
「パパ…ママ!?やめて…パパとママを食べないで!!!」
グチュ、グシャ、バキッ、ゴクン
少女の願いは虚しく黒いヴァジュラは少女の両親をバラバラに引き裂き、嚙み砕き、飲み込む。少女は嗚咽しながらも両親の無残にも喰べられてしまう黒いヴァジュラから目を離せずにいた
グルルルルルル!
少女の存在に気づいたのか、黒いヴァジュラは少女の方を向き、近づいてくる。タンスの目の前に来た黒いヴァジュラを最後に、少女は気を失った
「………」
少女が気を失ったところで丁度アリサの記憶が終わり、アリサが意識を取り戻す
「ん、ぅん…………あれ?あなたは……そうですかこの前のもやっぱり貴方が」
「…あぁ、悪いな。勝手に記憶を見せて貰った」
「いえ、大丈夫です。この前も貴方の暖かい気持ちが流れてきて、とても安心できたので」
「……なぁ、大丈夫ならお前の過去を教えてくれない?」
「…はい。最初はただ、かくれんぼでパパとママを困らせるためにビルに隠れたんです……『もういいかい』、『まぁだだよ』って………もう少しで見つかりそうな時『アラガミだ!!アラガミが来たぞ!!!』と声が聞こえて、そしたらっ!あの黒いアラガミがパパとママをっ!!?」
「……」
ユイに話しているうちに徐々に声を震わせ、涙を流し、錯乱していたアリサだが、気づいたらユイに抱き締められ、頭を撫でられていた。
「……貴方は本当に優しい人ですね」
「別に…ただ、俺がやりたいからしてるだけ…」
「はい…ありがとう……ございます………」
暫くしてユイに泣き止まされたアリサはまた、眠りについた
「……両親、か」
ユイはアリサの眠っている頭を撫でながら、何かを思い出すかのように目をつむって、次のミッションまで待機していた
ユイの過去って知りたい人いるのかな?