ー愚者の空母ー
ここ、空母跡地に2人の神機使いがボルグ・カムランの残骸を背に海を、その先にあるモノ……エイジス島を眺めていた。神機を地面に刺し、隣に並ぶアリサにユイは語りかける。
「この場所はアラガミ出現の混乱の中で火事場泥棒を行っていた集団の拠点だった空母であり、かつてはその無法者共と、それに抵抗する集団の戦場だった……しかしアラガミによってその戦いは共倒れに終わり、擱座した空母はそのままになっているってまぁノルンにも載ってるから知ってるよね?」
「はい。それがどうかしましたか?」
「うん……この場所を見て思うんだけど、人ってさ後が無ければ無いほどなんでもするよね」
「なんでも…ですか?」
「あぁ、さっきも言ったようにアラガミという人の天敵が現れたのにも関わらず人は人同士で殺しあう。例えば……アリサ、外部居住区以外とかでも度々食料の強奪とかあるのは知ってる?」
「えぇ、以前タツミさん達との防衛任務のときに見かけました」
「んじゃフェンリルの庇護下に無い難民の集落は同じだと思う?」
「……外部居住区よりは酷いと思います」
「そう、難民の集落なんかはフェンリルからの支援なんて無いからその日を生きるのも必至だ。アラガミ装甲なんて無いし、いつアラガミに喰われるかわからない中食料を求めて人を殺し、自分が生きる……そんな酷い状況さ。そこでだ、この世に安全な場所ってあると思う?」
「安全な、場所……それならフェンリルの庇護下に入り、どこかの支部の外部居住区に移るのが安全かと……」
「ふーん。本当にそう思う?」
「え?」
「現に此間だって装甲が破られ、外部居住区にアラガミが入ってきた」
「ならエイジス計画が完成すれば……」
「エイジス計画、ね。俺は何の役にも立たないと思うよ」
「な、何でですか!?」
「確かに、エイジス計画が完成し、そこで自給自足ができてアラガミに襲われる確率は下がる。けど、よくエイジスを見てみなよ」
「エイジスを?」
「そ、確かにアラガミ装甲は天にそびえるように高くエイジスを覆っている。だがあの装甲だって絶対に破られないなんて保証はどこにも無いしもし、あの装甲を好んで捕食する傾向のオラクル細胞があらわれたら?」
「そんなこと…」
「ありえない?どこにもそんな保証は無いよ?こうしている間にもオラクル細胞はどんどん変化する。例えばスサノオ。このアラガミの特徴は?」
「えっと、確か神機を好んで捕食する傾向のアラガミ……」
「ほら、神機を好んで捕食するアラガミがいるんだ。アラガミ装甲を好んで捕食するアラガミが現れてもおかしくはない」
「………」
「まぁ、俺も何もできないから偉そうに言える立場じゃないけど、これだけは言えるぜ……フェンリル上層部の奴らは私利私慾の塊で食料や物資、金なんかをしこたま持ってんのさ。俺はいつかそいつらからぶん取って少しでも腹を空かせてる子供達に恵んでやりてぇって思ってる」
「ぶん取るってどうやって……」
「上層部の黒い部分根掘り葉掘りバラしまくって俺が代わりにその席に座ってやる…」
「……」
「いや、そんな驚く?」
「いやいや!ユイさん貴方上層部に消されますよ!?」
「そん時はそん時さ」
「いや、もっと他のやり方があるでしょう!?」
「例えば?」
「た、例えば……えっと、あっ!そう!例えばフェンリルの力を借りずに独立で難民を支援していくとか!」
「……あーいいね、面白そう」
「ね!ですからそんな馬鹿みたいな事やめましょう!」
「ん〜考えとく」
『ユイさん5分後に迎えが到着する予定です』
「ん、わかった」
2人で夢のような話をしている最中ヒバリからの連絡に返事をし、迎えの到着を待つ。だが、2年後この夢が実現することを2人はまだ知らない。
「さてっと…どう、感覚は戻ってきた?」
「はい!こんな楽なミッションに3度も付き合っていただき有難うございました!」
神機を地面から抜き、アリサと共に迎えの到着を待っているとズンッ!と後ろにナニかが落ちてきた。
「「ん?」」
それは人型のアラガミのであった、だがその外見は極東に伝わる鎧を纏い右腕に砲身がくっ付いアラガミ、そう……新種だった
「マジか!?ヒバリ聞こえる?現在新種と遭遇したから速攻で狩ってコア持ち帰るって研究班に言っといて」
『え!?ユイさんいま新種って言いませんでした!?ダメです!すぐに撤退を…』
「もう戦闘入りまーす」
ユイは笑いながらインカムを切り神機を新種に向け、アリサに告ぐ。
「アリサは手ぇ出すなよ!俺の獲物だ……」
そう言いながらユイは新種に突っ込んでいく。
「ちょっ!ユイさん!?」
グアァァァアア!!!!
新種がユイに向かってオラクル弾を撃ってくるがユイは構わず新種に向かって疾る。
「ユイさん避けてください!」
アリサの忠告を無視しそれでも疾るユイにオラクル弾が着弾____「邪魔」___するわけもなく邪魔の一言でオラクル弾を神機で切り裂きそのまま新種の砲身を切り落とした。
ガアアァァァァァアア!!!?
アラガミにも痛覚があるのか新種は膝をつき左手で右手の傷口抑えていた。
「つまんね、もういいよ死んで」
ユイはガンフォームに切り替え銃口を新種の頭に向け、発射した。新種の頭は吹っ飛び胴体は力なく後ろに土煙を上げ、倒れ込む……
「はぁ〜新種ってもっとこう強ぇの期待してたのになぁ」
愚痴を言いながらコアを回収しアリサのところへ戻ったユイはアリサの呆れた視線を浴びる。
「ん?どうした?」
「いえ、ユイさんがオラクル弾を切ってしまうほどの規格外ってことを忘れてました…」
「?いや頑張ればできるでしょ?」
「えぇそうですね私もシユウを蹴り飛ばしてオラクル弾を切り裂く位強くなって貴方の背中を守れるくらい強くなりますはい。」
「あ〜なんかごめん。謝るからそんな目に光が宿ってない怖い顔やめて頼むから」
この後俺なんか悪い事したっけ?と自問自答しながらアナグラへ帰るユイ達であった。
ユイ達が戻る少し前
ー極東支部ー
「ふんふ〜んふふふふ〜ん♪ってあれ?どうしたのヒバリさんそんな疲れた顔して?」
「コウタさん……実はユイさんが『緊急連絡、先ほど第一部隊が新種のアラガミの討伐に成功しコアを回収したとの事。研究班はすぐに集まってください。繰り返します先ほど第一……』……と、まぁ相変わらずなので少し疲れただけです……」
「お、おぅ。ユイってホント何するかわかんねぇ」
ヒバリを労うコウタの姿があったとかなかったとか
次回は長く書きますので今回の中途半端な終わりを許してください(ー ー;)